IS学園に来た最狂の男   作:ゼニア

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一夏、チョロ甘回。


第二十一話 臨海学校編 銀の福音 前編

「ふ、ふふ、ふふふふ……」

 

 

「ああぁぁあぁ!! 箒ちゃんがぁぁあぁ!!」

 

箒が瞳に光を無くし、体操座りの状態で不気味に笑い、それをみた束が絶叫している。

 

「まぁ、貰ったばかりのISでバルバトスを倒せってのが無理すぎだよなぁ……」

 

箒の悲惨な姿を見ながら、一夏は呟く。

 

そう、箒は犠牲になったのだ……

バルバトスの専用機=強い、というよく分からない理論によりいつもより三倍ほど増した強さで攻撃され、墜ちた。

箒、症候群発症。

 

「つまらん、つまらんなぁ……」

 

バルバトスはとってももの足りなさそうである。

 

「束……」

 

千冬が束に声をかける。声をかけられた束は

 

「失敗した失敗した失敗した失敗した失敗した失敗した失敗した失敗した失敗した失敗した失敗した」

 

別のキャラになっていた。

 

「しっかりしろ馬鹿者」

 

ズゴン!!

 

束は千冬がどこからともなく取り出した出席簿(の角)で殴られる。

 

「ッ!?!?!? ふおおおお……!!!! ちーちゃん……強すぎ……」

 

「目は覚めたか?」

 

シュ~と煙りが出ている頭のタンコブを抑えて、涙目で恨めしそうに睨みつける束を気にせず千冬が冷めた目で言う。

 

「うぅ、冗談だったのに……

お前のせいだぞー!!」

 

束はバルバトスを指差し、怒鳴る。

 

「ぶるぁ……」

 

そんな束をギロンッと睨みつけるバルバトス。

 

「ひぃっ!?

うあぁぁぁん!ちーちゃぁん! やっぱりアイツ怖いよ! 縁切ってよー!」

 

威勢よく怒鳴りつけた束はバルバトスに睨まれた瞬間、泣きながら千冬に抱き付く。

 

「だから言っただろう、私からゲーティアと縁を切ることはない、と」

 

抱き付く束を引き剥がしながら、千冬は言う。

 

「クソぅ! クソぅ!

ちーちゃんを堕としたからっていい気になるなよー! 箒ちゃんの仇は絶対取ってやるー! 覚えてろー!!」

 

束はそういいながら、走り去っていく。

 

堕としたって何だ。

 

あと、箒は死んでない。

 

バルバトスは走り去っていく束の後ろ姿を見つつ、手に持つディアボリック・ファングを無造作に振るう。

すると、地を這うように飛び出した衝撃波のようなモノが束に向かっていった。

 

 

 

<アッーーー!

 

ピチューン!

 

 

皆さんご存知、魔神剣である。

 

 

「束さぁぁぁぁん!?」

 

場には一夏の叫び声が響いた。

 

―――――――――――

「箒さん? 大丈夫ですか? 箒さん?」

 

ふふふふふ……と笑い続ける箒の体を揺すり、セシリアは声をかける。

 

「最近はボコボコにされても発症しなかったから、耐性でも出来たのかと思ったけど、少し本気を出されると発症しちゃうのね」

 

鈴が遠い目をしながら呟く。

 

「ふん、軟弱者どもめ、そんな事では師匠(せんせい)の特訓について行けんぞ!」

 

ラウラが険しい顔で言い放つ。

 

「いや、ついて行きたくないし……

やっぱりこの症状を完全に克服するには、本気の一撃をくらうしかないのかしら……」

 

「死にますわね」

 

相変わらず遠い目をしながら言う鈴にこれまた遠い目をしたセシリアが答える。

 

「え、えと、そ、そういえば、篠ノ之博士って凄かったね!」

 

遠い目の二人をみたシャルロットが頑張って話題を変える。

 

「色んな意味でね」

 

「そうですわね」

 

「うむ」

 

鈴達は先ほどの束の姿を思い出し微妙な表情になる。

 

まぁ、ISと言うとんでもない物を作った人があんなのであれば無理もない。

 

 

「あ、あはははは……

え、えっと、ほ、箒のISも凄かったよね!」

 

三人の反応に苦笑いし、シャルロットは再び話題を変える。

 

「凄い……? アレを見て、凄い?」

 

「ふははははは……」

 

箒は笑い続けている。

微妙に笑い方が変わっている。

 

「だ、だよね……」

 

がくり、とシャルロットはうなだれた。

 

ちなみに、この少女達の会話に加わって来ない一夏はなにをしているかというと

 

「お、りゃあああ!!」

 

「甘いわぁ!!」

 

バキンッ!

 

「ぐあっ! クソッ!」

 

少女達から少し離れた場所でバルバトスと戦っていた。

いや、バルバトスの暇つぶしの相手をさせられていた。

 

「断罪のエクセキューション!!」

 

「なっ!? うわああああ!!」

 

白式のシールドエネルギーが0になり、ISが解除される。

 

「う、うう……クソッ、一太刀くらい浴びせてぇ……!!」

 

ボロボロの一夏が悔しそうに言う。

 

「馬鹿者、今のお前がゲーティアに一太刀浴びせるなど無理に決まっているだろう。

お前はまだゲーティアへの攻め方が甘い、いやチョロ甘だな」

 

戦闘を見ていた千冬が一夏にそう言った。

 

「なんだよ、チョロ甘って……」

 

「チョロイと甘いが合わさった造語だな」

 

「ちくしょぉぉぉ!! チョロイうえに甘くて悪かったなぁぁぁぁ!!」

 

千冬の言葉に一夏は泣きながら、走り去って……

ドンッ!

 

「うわっ」

 

「キャッ」

 

行けずに、人にぶつかり、その人を押し倒す形で倒れた。

 

「いてて……

う、うん? なんだ?」

 

 

一夏は自分の手に伝わるなんとも言えない感触の物を握る。

 

 

むにゅん。

 

 

「ひゃっ! お、織斑くん……そんな、人が見てます……」

 

「って、せせせ、先生!!」

 

顔を赤らめた山田先生が一夏の下でいやんいやんと首を振っている。

 

皆さんはもうお分かりだろう、一夏が握ったのは山田先生のオパーイである。

 

さすが、ラブコメ主人公。

 

ちっ、爆発しろ。

 

 

 

「ほう……? 織斑、教師に白昼堂々セクハラをかますとは、随分偉くなったものだな……?」

 

千冬から怒りオーラが溢れ出す。

 

「千冬姉っ……!? ち、ちがっ、事故!事故だよ!!」

 

 

バシーン!!

 

 

……………………………

「それで? 山田先生、何か用か?」

 

千冬に言われ、山田先生はハッと思いだしたように、焦りだす。

 

「そ、そうでした! 大変です、織斑先生!! こ、これっ、これを!!」

 

山田先生は千冬に端末を渡す。

 

千冬は受け取り、端末にかかれた内容を見る。

 

「特命任務レベルA、現時刻より対策を始められたし……ふむ」

 

端末の内容を見た千冬はこの場にいる皆に声をかけ、旅館へと戻っていった。

 

ちなみに箒は一夏が運んだ。


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