レーススタートと同時に走り出す参加者達。スタート地点で「のわっ!?」「なんやっ!?」と声が聞こえたので良牙と右京なのだろう。あの馬鹿、原作通り反対方向に走ろうとしたな。
そんな事を思いながら俺とシャンプーは一気に走り抜ける。
「落第者続出ネ」
「どう考えても村おこしする気がないよな」
第一関門『急流温泉丸太くだり』勢いのある濁流の温泉に流れ落ちてくる丸太に乗りながら川を下るアトラクション。振り返ると濁流に飲まれていく参加者達。
「よそ見してんなムース!」
「おっと」
「乱馬!」
「ちょっと、怖いってば!」
このままほっとけば参加者が脱落していって俺と乱馬と良牙のチームだけになるかなぁ、と思っていたら乱馬が舵取り用の竹竿で襲いかかって来た。乱馬に振り落とされない様にあかねはしっかりと乱馬に抱き付いている。
俺は舵取り用の竹で乱馬の竹竿を受け止めてから竹竿を反転させて乱馬の腹を突く。乱馬は受け止めるのも避けるのも叶わずに打ち貫かれながらも丸太から落ちる事もなく着地した。
「げほっ……」
「得物を使った戦いで俺に勝てるとでも思ったか?」
ヒュンヒュンとシャンプーとは逆側の手で竹竿を振り回して乱馬を威嚇する。「クソっ」と舌打ちをしながら俺を睨んでいた。力の差を感じても闘志が衰えないのは素晴らしい。
そんな事を思いながら俺は乱馬と、シャンプーはあかねと戦っていると背後から良牙と右京のコンビが迫って来た。
「わははっ!来たぜ来たぜ!」
「ちっ、面倒な奴が」
「んじゃ、早めに沈めておくか」
追いついた良牙が襲いかかって来たが俺と乱馬は互いに持っていた竹竿を交差させながら良牙の顔面を狙った。
「なんの……あ」
「ひゃあっ!?なんやねん!?」
「何してるカ!」
「最っ低!」
「「んぎゃ!!」」
高速で振り抜いた竹竿は良牙の顔面を捉える事は無く、相棒の右京に当たりそうになり……咄嗟に避けた右京だったが俺と乱馬の竹竿は交差しながら右京の服の端を掠った為に右京の服をめくってしまったのだ。晒された右京の白い肌に俺と乱馬と良牙は動きを止めてしまい、俺はシャンプーに乱馬はあかねに鉄槌を浴びる事となった。そのまま一気に第二関門の滝から落下してしまった。
「私以外の女になにしてるカ!」
「アンタ達ねぇ!」
「痛っつう……」
「流石に効いたな……」
「ふん、破廉恥な真似をした報い……へぶっ!」
「見たなら同罪や!」
シャンプーとあかねに説教されながら俺と乱馬はツッコミの痛みに耐えていたら良牙が高笑いをしていたが服を整えた右京にビンタを喰らっていた。
「痛たたっ……それはそうとすまなかった右京」
「ご、ごめんうっちゃん」
「もう……次は無いで。でも、らんちゃんならええで」
俺が謝ると乱馬も倣って右京に謝り始める。謝罪を受けた右京は怒りながらも許してくれた。その後、右京は乱馬に上目遣いで迫って乱馬はドキッとしたのか顔を赤くしており、あかねは不満そうに乱馬を睨んでいた。
「ほら、仕切り直しでしょ!行くわよ!」
「え、のわっ!?」
「あかねがヤキモチ焼いてるネ」
「良い傾向だとは思うけどな。よし、俺達も行くか」
「あ、待て!」
「出遅れてもうた!」
あかねが乱馬を引っ張って真っ先にレースに戻ったので俺はシャンプーを抱き上げて木に暗器を括りつけてスイングしながら後を追う。そして遅れて良牙と右京も動き始めた様だ。
走るよりも暗器スイングの方が速い為、乱馬とあかねを追い越していく。しかも上を飛んでいくのでワニ地獄と間欠泉を飛び越えていく。
「このままトップで独走出来そうだな」
「流石、ムースネ。最高にカッコいいヨ、旦那様」
原作だと間欠泉で足止めを食らうが俺とシャンプーはなんの障害もなく……行く筈だったのだがシャンプーが優しく抱きしめながら耳元で囁いた言葉に俺は体が硬直して手が滑った為、落下してしまう。褒められて直後にミスるとか恥ずかしい。落下しながらも俺はシャンプーを抱き止めていた。
「どわっ!?」
「きゃあ!?」
「なんだぁ!?」
「あかん!?」
そして丁度、真下にいた乱馬達の上に落ちてしまう。それと同時に勢い良く特大の間欠泉が吹き出した為、俺達は吹っ飛ばされた。