【改定につき更新停止 】 ギレンの野望(笑)   作:議連・座備

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誤字、句読点、分脈等の修正報告ありがとうございます。作品をよく見て貰えていると感じてモチベーションアップになってます。
他にも台詞等でこのキャラならこんな感じじゃね?と思われる部分があれば誤字報告であげてもらえれば修正しますので教えてください。
では良いお年を。


43話 UC0079年7月 10年越しの約束

ヨーロッパ戦線

 

ドイツ西部に構築されたジオン公国軍の防衛ライン。そこではモビルワーカーを使って無数の土塁や塹壕が築かれており、あちこちに自走榴弾砲や多連装ロケット砲が設置されていた。

また、その他にも多数の塹壕の中にはマゼラタンクの姿があり、土塁の影ではザクが砲撃戦用装備となり、開戦の時を待っていた。

 

「偵察に出ている部隊から連邦軍の位置情報が届きました。まもなく予定のポイントに到達します。」

 

「よし。全部隊、砲撃準備。わざわざやられにやってくる連中に砲弾の雨をプレゼントしてやれ。」

 

「…。敵部隊予定ポイント到達!」

 

「全部隊、砲撃開始!連邦の奴等を粉々にしてやれ!」

 

その言葉と同時に陣地の各所の機体から無数の光芒が解き放たれる。

自走砲や多連装ロケットランチャーの火力は単体では大したものではないが、数が集まればその投射量はモビルスーツをも上回る。

解き放たれた無数の光の矢は、近付きつつあった連邦ヨーロッパ方面軍の先頭集団を粉々に粉砕した。

 

「よし、初手としてはこんなものだろう。だが此方の位置も敵に知られたハズだ。予備陣地に陣を移すぞ。」

 

「は!それでは速やかに予備陣地に移動します。まずはサラマンダー1から順に…。」

 

だが、それは僅かに遅かった。砲撃が終了し予備陣地へと移動しようとした瞬間、今度は連邦軍から無数の砲弾の雨が降り注ぐ。

 

「ぐっ!何だこの揺れは?!」

 

「連邦の砲撃です!陣地転換中だったザクが一撃で吹き飛びました!」

 

「ザクが一撃だと!?いかん!ビッグ・トレー級だ!それにこの射撃密度…。複数の陸上戦艦がいるぞ!砲撃戦では勝負にならん。総員退避!偵察に出ている部隊に敵へ陽動をしかけさせろ。その間に分散して後退する。後、本部に増援の要請を出せ!」

 

「了解しました。直ぐに連絡します!」

 

 

 

連邦軍主力がジオン軍陣地への攻撃に意識を向けていたその時、そのすぐ側には偵察にあたっていた二機のモビルスーツが身を潜めていた。

 

「くっ。連邦のやつらめ、調子にのりおって…。」

 

「本隊が連中からの砲撃で甚大な被害を受けているようです。何とか連中の動きを止めなければ。」

 

「わかっている。間もなく連中の主力がここを通る。そこを襲撃するぞ!」

 

「了解です。……来ましたね。あれでしょうか?いや……何だあの船は!?ビッグ・トレー級なんかじゃないぞ!なんだあのY字構造の胴体と3基の三連装主砲は?!」

 

「わからん!だがあれが連中の主力である事は間違いない。あれをかたづければ本隊への驚異もなくなる。やるぞ!」

 

「まってください!あの甲板にいる白い人型は何ですか!?」

 

そこに見えたのはゴーグル状頭部カメラが特徴の白い巨人……モビルスーツであった。

 

「連邦め!モビルスーツを造りおったか!?しかもなんて数だ!」

 

ざっと見ただけで20機以上の機体が陸上戦艦の甲板や周囲に展開し警戒にあたっていた。

 

「連邦がモビルスーツの量産に成功したと言うんですか?!」

 

「そんな事はしらん!それより映像は撮ったな?お前はすぐに本隊に戻ってこの事を知らせるんだ!」

 

「了解です。ですが隊長はどうするんですか?」

 

「このままではお前が知らせに帰る場所がなくなる。俺が時間を稼いでやるからお前の持っている対艦ライフルをよこせ。」

 

「しかし……。」

 

「黙れ。この困難な任務にヘンシェルがいてくれれば良いのだが、お前では無理だ。こうして話している間にも本隊への攻撃が続いているんだ。早くしろ!」

 

「……。わかりました。どうかご無事で。」

 

「口を動かす前に動け!必ず本隊に情報を伝えるんだぞ。いいな!」

 

そう言うと、対艦ライフルを受けとった1機のグフはスラスターを吹かして敵陸上戦艦へ向け突撃し、もう1機のザクは本隊に情報を伝えるため全速で後退を開始するのであった。

 

……。なお、この後とある隊長は連邦の新型陸上戦艦と護衛のモビルスーツ10機を撃破して普通に帰還し、先に帰還した隊員が戦慄する事になる。

 

 

 

やあ…諸君。ギレン・ザビである。やっと宇宙からオデッサに戻って一息ついたと思えば、急に連邦の攻勢を受けててんやわんやの忙しさである。

 

今報告を受けたところの他にも、複数の箇所で連邦の攻撃を受けており、連邦の突破を許してしまった場所にはガイア連隊のドムを差し向けて戦線の立て直しを図っている。

かなりの規模の攻勢で最初はどうなるかと思ったが、地形を活用して防備を固めていたおかげか被害は思ったほど大きくなかった。

 

だがついに連邦軍がモビルスーツの量産を開始したか…。原作では確か9月位からジムの量産を開始していたと何かで読んだ記憶があるのでずいぶんと開発ペースが早まっているようだ。

いったい何が原因だ?

 

コロニー落としもしてないし、アクシズは既に地球圏に来てるし、モビルスーツ開発に至っては既にドムどころかゲルググが完成しそうな勢いだし…。

 

……。駄目だ…。心当たりが多すぎる…。

 

これはひょっとしたらV作戦の時期もずれるかもしれん…。情報部に発破をかけねば。

 

まあ、とりあえずメイが連邦の機体を調査した結果を教えてくれるそうなので話を聞いてみるとしよう。

 

一一一一一一一一一一一一

 

side

 

メイ・カーウィン

 

「それでは連邦の機体の調査結果について教えてくれるか?メイ?」

 

久しぶりに会ったのにいきなり本題から入るギレンさんにちょっぴりムッとしたけど、大事な報告が沢山あるので我慢して説明をはじめてあげる。

 

「いい?ギレンさん。連邦のこの白い量産型モビルスーツ…ジムっていう名前みたい。頭部の形状や装甲の形が違うから外見はあんまり似てないけど、ザクをそのままコピーしてジェネレーター回りだけを改造した機体なの。」

 

「ザクのコピー機だと?」

 

「うん、これを見て。」

 

そういいながら研究室の大型スクリーンにザクの構造図と、鹵獲した連邦の白いモビルスーツの構造図を左右に表示すると構造が一致した部分の色を赤くする。

 

「見てのとおり基本構造の八割近くが一緒で、違うのはコックピット回りとバックパック周辺ぐらいなの。それで、脱出装置とバックパック交換システム関係の部品を根こそぎ削って、空いたスペースを使ってジェネレーターを大型化する事でビーム兵器の運用を可能にしてるみたい。」

 

「これは酷いな。連邦軍に特許使用料を請求してやりたい位だ。だが多少大型のジェネレーターを搭載した位でビーム兵器を使用できるようになるのか?」

 

「うん。ビーム兵器と言ってもゲルググ用に作っているビームライフルより威力や射程がかなり低めのものになるから。」

 

「それならそこまで脅威ではないという事か?」

 

「ううん。残念ながらザクの装甲では防げない。ドムや新型のゲルググなら多少は耐えれると思うけどそれでも近距離では防げないと思う。」

 

予備のパーツでテストしたから間違いない。幸い連邦のビームライフル?の技術を転用する事でゲルググ用のビームライフル開発に目処がたちそうだけど。

 

「腐ってもビーム兵器か……。ジムの装甲はどうだ?」

 

「チタン系合金みたい。超硬スチールより軽いけど強度的にはそこまで大きく違わないからザクマシンガンでも壊す事はできると思う。まあ一発や二発では無理だし、大型の盾を持っているみたいだから簡単じゃないけど…。」

 

「そうか…。新型のMMP-80マシンガン等の配備を急がねばならんな…。

そういえばOSもコピー品なのか?せめてOSは盗られないように出来るだけ対策はしたのだが…。」

 

「そうなの!メイ達が一生懸命研究して造り上げたものがコピーされて使われていたの!完全にはコピー出来てないみたいだけど。許せない!もう!」

 

まったく!このOSを作るのにメイが何日徹夜したと思っているのよ!

 

「そ、そうか…。流出元は解りそうか?」

 

「誤魔化そうと色々細工してあったけど多分「紫」のところのじゃないかな?テスト機用に配った特製のプログラムだったし。」

 

「……。間違いないのか?」

 

「うん。テスト機用に配ったのは後で識別出来るように全部ちょっぴり変更しておいたし。」

 

特に「紫」のところに配るのは念入りにね。

 

「わかった…。報告ありがとう。メイ。そしてすまない……。」

 

「?何でギレンさんが謝るの?」

 

最近あんまりかまってくれない事以外はギレンさん悪いことしてないと思うけど。

 

「以前に約束しただろう。メイの父上の無罪を証明出来そうな証拠があれば協力すると。

今回の情報流出はメイの父上の件とは直接の関係ないがそれでも「紫」を疑うには十分な証拠だ。

だが連邦と戦力が拮抗している現状では直ぐに「紫」を逮捕する事はできない。無論水面下で調査は進めるがな。」

 

……。それは10年も前、初めて会った時にした約束。私自身、忘れはしなかったけど、それでも諦めかけていた約束。

 

「約束しよう。連邦に決定的な打撃を与え戦争の行方が決まった時、メイの父上の無実を証明するため動く事を。だからもう少しだけ待っていてくれ。メイ。」

 

……。ずるい。ずるいずるいズルイ!ギレンさんはいつもずるい。いつも私が予想もしていない方法で私を困らせ、驚かせ、喜ばせる。

だから今度は私が不意打ちをしてしまおう。

 

父の無実が証明されたら私はメイ・ザビからメイ・カーウィンに戻ろう。

そうすればギレンさんと私が恋人になろうがなんだろうが問題ない。

恋人が駄目ならララァちゃんみたいに愛人でもいい。

 

アイナお姉ちゃんがちょっぴり怖いけど、きっと真剣に相談したら許してくれるだろう。だからその日が1日でも早くくるように私に出来ることを全力でやっていこう。

 

「うん。待ってるね。ギレンさん。」

 

次は私がギレンさんを驚かす番なのでギレンさんも待っててね。

 

「あ、それと連邦のOSの中に私が配布OSにもしもの時のために入れておいた…」

次期主力モビルスーツとして採用するなら次の機体のうちどれ?※このアンケートで選ばれた機体が本作の次期主力機になるかはわかりません。

  • やっぱり安定のゲルググ
  • みんな大好きギャン
  • ゲルググもギャンもいらぬ。ドムこそ至高
  • 次期主力機?もうジムでいんじゃない?
  • いっそのこと他の作品から持ってきてビルゴ

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