【改定につき更新停止 】 ギレンの野望(笑)   作:議連・座備

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18話 UC0073年2月

サイド3 ジオ・マッド社研究所

 

やあ…諸君。新年あけましておめでとう。

最近シリアスなシーンが多いのでそろそろアイナ嬢にセクハラのひとつもしてみたいギレン・ザビである。

というか同じ家で暮らしているのに屋敷が大きすぎて一度も着替えシーンに遭遇とかないので家が大きいのも考えものである。

 

昨年アステロイドベルトを出発して地球に向かっていたア・バオア・クーが今月の初めにサイド3宙域に到着した。

ちょうどキシリアから最近連邦軍の情報部がジオ・マッド社周辺をうろついているとの情報が上がっていたため、開発拠点をア・バオア・クーに移す事になり現在その引っ越し作業の真っ最中である。

 

「忙しくしている所にすまんな、ギニアス。」

 

「とんでもありませんギレン閣下。閣下がお呼びとあればどこへでも喜んで参りましょう。」

 

「アイナといい貴様ら兄妹には世話になってばかりだな。今後とも頼りにさせて貰う。」

 

「過分なお褒めの言葉をいただき、身に余る光栄でございます。全力で努めてまいります。」

 

「ウム。まあ体に無理のない程度にな。さてそれでは現在の状況について説明してくれ。」

 

「はっ。まず此方が今回完成した連邦のセイバーフィッシュのデータを基に開発した全領域型多用途戦闘機「F-1 セイバードップ」です。」

 

そう紹介されたのは上から見れば「山」の字に見えそうなドップとは似ても似つかぬ航空機だった。ていうかあの両翼の端についてる巨大な板状のものは何だ??

 

「装備換装により宇宙、地上問わずあらゆる空域での運用が可能なうえ、防空、対艦、偵察あらゆる任務に対応可能な設計となっており、閣下のアイデアから開発したムーバブル・シールド・バインダーにより地上における垂直離着陸さえ可能となっております。」

 

「ムーバブル・シールド・バインダー?」

 

「はい。セイバードップは機体の両翼端にフレームを介してこのガトリング砲1基とスラスター2基を内装したバインダーが取り付けられており、このバインダーのフレキシブルな可動により、従来の航空機とは比較にならない様々な挙動をとることが可能となっております。」

 

どうやらセイバーフィッシュの設計図を渡す時にギャプランの話をしたのがこうなった原因のようだ。まあギャプラン改と似たような設計なのに強化人間専用機とかにならなくて良かった。

 

「性能はどうなのだ?」

 

「運動性こそモビルスーツには及びませんが機動性ではMS-04を上回る性能となっております。」

 

「フム。それはなかなかのものだな。よし。それでは至急量産体制に入れ。モビルスーツの開発についてはどうなっている?」

 

「ご案内します。」

 

案内された先にあったのはどことなく狼をイメージさせる細身のシルエットのモビルスーツだった。

 

「此方が現在エースパイロット向けに開発中のYMS-05 ヅダになります。MS-04をベースに旧ツイマッド社のチームが開発した新型エンジンを搭載する事でMS-04の2倍程度の機動力の獲得を目指しています。ただ、現時点では機体の耐久力がエンジンの出力においついておらず先日のテストでは危うく自損しそうになってしまったため現在再設計中です。」

 

「ウム。時間をかけても構わないのでヅダる事のない機体に仕上げてくれ。」

 

「?…。ヅダるでありますか?」

 

「ああ、あまりの急加速に耐えられず機体が自壊・爆発したりすることがないようにという意味だ。一般兵用に開発中の汎用機についてはどうなっている?」

 

「YMS-06 ザクⅡについては現在試作機を製作中です。ザクIのジェネレーターを改良する事で大幅な出力の向上に成功しており、それによって生じた余力を性能向上に使う事で2割程度の性能向上が見込まれています。」

 

「汎用性についてはどうなっている?」

 

「汎用性についてはほぼ無改造で宇宙、重力下、短時間なら水中戦にも対応可能となる予定です。試作機が完成次第、アクシズと地上で運用テストを行う予定です。」

 

十分な性能だとは思うがまだザクとして完璧ではない。どうせ「ザク」の名を冠するモビルスーツを開発するのであれば宇宙世紀以外からも良い部分を取り入れねばな。

 

「フム…。それではまだ不十分だな。」

 

「不十分…でありますか?」

 

突然の言葉に戸惑うギニアスに向かい言葉を続ける。

 

「そうだ。環境への適応力という意味では十分な性能だが単一の機体で様々な戦局に対応させるという意味ではまだ不十分だ。」

 

「しかし閣下、モビルスーツは既にマニュピレーターの採用により多種多様な装備に換装可能でありそれにより様々な戦局に対応で可能です。」

 

まあそれはそうなんだけどね。

 

「確かにモビルスーツは人型の兵器だがそれに囚われすぎる必要はない。例えば背中のバックパックに高機動戦や砲撃戦向け等の特化機能を付与し、その任務事に適したバックパックを換装する事であらゆる戦局に柔軟に対応させることが可能になるのではないか?」

 

「確かに技術的には十分可能ではあるとは思いますが…。」

 

間違いなく可能である。正史でもゲルググ高機動型で実用化されているからね。だがどうせバックパック換装で様々な機能を持たせるならばやはり我がジオン軍の主力となるザクⅡに持たせるべきだ。

 

「そうすればバックパックひとつ換装するだけでモビルスーツに機動歩兵や砲兵、工作兵、偵察兵、降下猟兵といった様々な特性を付与する事ができようになる。それは今後様々な戦局に対応せねばならない我が軍の助けに必ずなるだろう。」

 

「…。設計を一からやり直す必要があります。また、開発の為には色々なデータを追加で取得せねばなりません。それ故にかなりお時間を頂く事になると思いますが…よろしいでしょうか?」

 

まだ開戦まで6年近くあるし量産する時間を考えてもまだまだ大丈夫…のハズ

 

「3年を目処に量産に至れるように開発を進めよ。無論途中経過については逐次報告するように。」

「はっ!ジーク・ギレン」

 

 

 

さて…それじゃ家に帰ってリアルモビルスーツを操縦して遊ぶ…じゃなかった。テストパイロットとしてMS用OSの為のデータ収集をするかな。いやぁ忙しいなぁー。?え、どうしたメイ?テストパイロットについて相談がある??

 

一一一一一一一一一一一一

 

side

ギニアス・サハリン

 

「ザクⅡの設計を一からやり直すだと!?」

 

ミノフスキー博士から出た悲鳴はある意味当然のモノであった。私が彼の立場であっても恐らく同様に悲鳴をあげていただろう。ミノフスキー博士が声を上げる程にザクⅡの設計案は高いレベルでバランスがとれており、恐らく名機と呼ばれてもおかしくない程の出来映えであったからだ。

 

「そうです。本日ギレン閣下に設計案をお見せしたところ、基本的な性能は十分だが汎用性が不足しているとの判断を下されました。」

 

「宇宙、地上、短時間なら水中でも稼働できる機体で汎用性が足りないとは次は空でも飛ばせと言うのか!?」

 

「それも悪くないアイデアですが、ギレン閣下から頂いたアイデアは背中のバックパックを換装する事で様々な戦局に対応できる汎用性をザクⅡに持たせるという事でした。そうする事でザクⅡは単一の機体で白兵戦から砲撃戦まで様々な任務に対応可能な真の万能機となります。」

 

ギレン閣下から伺ったアイデアを説明するとミノフスキー博士と一緒になって抗議の声を上げていた開発スタッフにも理解を示す者が現れはじめた。納得して貰えたか…。私がそう思ったその時、ミノフスキー博士の口から予想だにしない言葉が発せられた。

 

「…。確かに素晴らしいアイデアだ。技術的にも十分に可能であろう。しかしギニアス。我々は研究者だ。いつもギレン閣下が出される「答え」のようなアイデアに頼るのではなく、未知への挑戦を恐れずに、ひとつひとつ問題解決の為の経験を積んでいく事が重要なのではないか?」

 

突然のミノフスキー博士の問いかけは確かにひとつの真実を示していた。

 

ジオ・マッド社の誕生以降完成した、プチモビや小型融合炉、メガ粒子砲、モビルスーツ等は全てギレン閣下から示された具体的なイメージを基に開発が進められてきた。まだ研究中であるものの完成の目処が立ちつつあるメガ粒子砲の拡散化に小型化、ビーム攪乱幕、ミノフスキー・クラフト等についても同様である。

 

それらは本来我等研究者が試行錯誤の上で形にしていくべきものであるにもかかわらず、閣下から具体的な形で「アイデア」が示され、それに基づいて進められた研究はどれもが成功を収めてきた。まるで最初からそうなる事が決まっていたかのように。

故にミノフスキー博士の懸念には私も理解できる部分があった。しかし…。

 

「私も研究者として博士の懸念には理解出来る部分もあります。しかし博士。ギレン閣下は博士の言う未知への挑戦を禁止されている訳ではありません。現に私が提案させて頂いたメガ粒子砲とミノフスキークラフトを搭載した地上用大型機動兵器の研究も始まっています。」

 

「それは…そうなのだが…。」

 

「ザクⅡのバックパック換装システムについてもより良い案を提示することができればそちらを採用して頂く事も可能になるでしょう。閣下の案と並行してより良い改良案を検討していくという形で納得して頂く事はできませんか?」

 

「…。そうだな。詮無き事を言ってしまった。忘れてくれ。」

 

未だに多少ひっかかりはあるようだがなんとか納得してくれたようだ。しかし博士があのように思っていたとは…。大丈夫だとは思うが念のため閣下へ連絡を入れておくとしよう。

 

全てはギレン閣下の為に。




誤字の指摘ありがとうございます
とても助かっています
次回は半分くらい書けているので今回よりは早く出せそうです
真面目な話は書くのが難しい…

次期主力モビルスーツとして採用するなら次の機体のうちどれ?※このアンケートで選ばれた機体が本作の次期主力機になるかはわかりません。

  • やっぱり安定のゲルググ
  • みんな大好きギャン
  • ゲルググもギャンもいらぬ。ドムこそ至高
  • 次期主力機?もうジムでいんじゃない?
  • いっそのこと他の作品から持ってきてビルゴ

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