清める鬼と屍   作:ミスターサー

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鬼、鬼、鬼

日本中部某所、鬼が居た。

身長はだいたい170センチで、色はやや黄色、角は額から出ていてサイのように立派ではないが小さく白い角が有った。

ただ、のっぺら坊のように顔に目も口も無く。ただ角が生えているだけで、手には斧を持っていた。

 

そして目の前に巨大な蜘蛛が居た。しかし蜘蛛は息を乱し、弱弱しく「キシャぁぁああ」と唸っているだけであった。

 

鬼は斧の刃を取り外し、横笛に変えて、数箇所に針を撃ち込む。

 

「音撃射、羽音(はおん)」

 

スー、と息を肺に溜め。ゆっくりと吐き出して音を出す。

音は蟲の羽ばたく音に似ていながら何か悲しい音色をしていた。

蜘蛛はもがき苦しみながらも音に抵抗するような動きを見せるが、段々と弱くなり、最終的には動かず、爆発し、木の葉を舞い上がらせていた。

 

「ふう」

 

鬼は一息つき、辺りを見回して警戒するが何も異常ない事を確認して顔を変えた。

鬼の顔は人の顔、青年になった。

 

「しかし、まさかのオニグモかいな。」

 

関西地方の方言なまりを放つが、後ろから爆発音が鳴り響き。

 

「うへぇ、返り血浴びた」

 

「文句言うな、鎧になりかけた奴等を殺れただけでも儲け物だ」

 

二人の鬼が出てきた。

片や白色と茶色が入った迷彩柄の200センチの鬼

片や黒色の180センチの鬼だ。

 

「鎌鬼(かまき)さん、蝶鬼(ちょうき)さん。大丈夫でしたか?」

 

青年は黒色の方を鎌鬼、迷彩柄の方は蝶鬼と言った

 

「童子達に遅れはとらんさ、ついでだがオレは鎌鬼じゃなく黒鬼だ。」

 

「あ、御先代の名を襲名したんでしたね・・・すみません」

 

「ま、細(こま)けぇことは投げとけ。」と迷彩柄の鬼、蝶鬼が笑いながら言う。

 

「よくない」

とツッコミを入れる鎌鬼こと黒鬼

 

「で、蜜鬼は仕留めたか?」

 

「肢体を何度か切って勝ちました。」

 

「さすが蜜鬼だな」

 

蜜鬼と呼ばれた青年は蝶鬼に誉められ、頭を掻いて、照れる

 

「ありがとうございます。」

 

「じゃあ帰るか、救援要請分は働けたからな」

 

と黒鬼は言うと

 

「は、はい。」

 

「了解、リーダー。帰ったらビール呑もうぜ、ビール」

 

と二人(鬼?)は返事を返した。

 

「良いな、酔わない程度に呑むか」

 

チョウキの言葉に陽気な声で賛成するクロキ。

 

「だ、駄目ですよ。お二人は明日の新幹線で帰るんですから」

 

しかし、ミツキが反対の声を上げて阻止する。

 

「あ、そっか」

 

「残念だな」

 

三人は歩きだし、山を降りていく。

 

「あ、そういえば蜜鬼。金は大丈夫か?」

 

そう言いながら蝶鬼は鬼の面を消して、二十代半ばな青年顔して話す

 

「大丈夫ですよ。一人暮らししてますし、節制も心掛けしてます」

 

「なら小遣いやらないとな」

 

と黒鬼も青年の顔になり、言う

 

「え、ですが僕はちゃんと給料も貰ってますし」

 

「気にすんな、未成年にお小遣いやりたいんだ」

 

「なに、渡すの?ならオレも」

 

「お二人とも、僕は大丈夫ですから」

 

「「歳上と上司としての好意だ、受けとれ」」

 

「う、はい・・・」

 

そして山を降り、辺りを見回す黒鬼は山伏の服を着た僧を見つけた。

 

「黒鬼殿か?お役目ご苦労。後は我々光言宗に任せろ」

 

「悪いが魔化魍だった為、業務はこちらで行う。」

 

「条約違反になるが?」

 

「こちらの監督官、田神(たがみ)景星(けいせい)と宗家の高峰(たかみね )宗現(そうげん)様から許可はいただいている。聞いてみろ。」

 

「・・・ちっ」

 

山伏の一人は解りやすい舌打ちをしたのち、もう一人を連れて去っていった。

 

「感じ悪いなぁ」

 

「仕方ないさ、あちらも仕事とか条約が絡み合ってるしな」

 

「まぁ、光言宗の裏切り一族である俺が居たら尚更だし」と黒鬼は付け加えて、蝶鬼をなだめる。

 

「もう少し、仲良くできないんでしょうか?」

 

とミツキは山伏を見て呟く

 

「無理だな、ギリギリなラインで手一杯だろう」

 

と、少し肩を上げながらクロキは諦めた顔をする

 

「ちぇ、魔化魍に対抗できる力がないくせに偉ぶって・・・。

あんな奴等、魔化魍に食われれば良いのに」

 

「蝶鬼、そう言うのはやめろ。役割は違うが人を護るのは一緒のハズだ」

 

「・・・ヘイヘイ」

 

そして近くに有った車に乗り、三人は首から下の異様な鎧を無くすと裸になって着替える。

 

「レンタルカーで着替えるとか嫌だなぁ」

 

「文句言うな、車代だけでも出してくれるだけでも、ありがたいだろ。なぁミツキ」

 

「あ、アハハ、ノーコメントでお願いします。クロキさん」

 

さて着替え終わった所で、この三人を簡潔に紹介しよう

 

 

クロキ(黒鬼)

本名、黒野(くろの)友記(ともき)。

年齢、25歳

趣味、バイクのツーリング

 

チョウキ(蝶鬼)

本名、花塚(はなづか)蝶田(ちょうた)

年齢、25歳

好きな人、嫁

 

三井(みつい)陵(りょう)

年齢、16歳

備考、依海市立依海高校一年生。風紀委員

 

である。

 

 

 

「あ、そういえばミツキ。お前好きな奴出来たか?」

 

「チ、チョウキさん!いきなりなんですか!!?」

 

「あー、無駄無駄。こいつ、幼なじみの子に愛を注いでるから青春=幼なじみの遠距離恋愛だからな」

 

「二人とも酷い!僕でも長距離恋愛はしてますが、別の青春は謳歌(おうか)してますよ!

空いた時間は全ての部活の手伝いとか、友人の暴走を止めたり、友人の不幸を笑った―

・・・クロキさん、チョウキさん。なんで離れるというか引いた顔をしてるんですか」

 

「いや、なんかジンキに似てきたなぁ。って」

 

「おめでとう、ついに行動がジンキになってきたね」

 

「えぇ!?」

 

ジンキ、ミツキと同い年で現在は関東地区で退魔士(鬼)をしている人間である。

そのジンキは次期最強の鬼としての有力者の一人と上げられている程の強者で、最近ではクロキがジンキに負けかけた事も有ったが、ギリギリのラインで勝ち越ししている。

しかし、強さは本物であって、クロキは、ジンキが同等な力を着々と付けているので少し焦りやへこんでいる。

 

「というより!ジンキ君と一緒にしないでくださいよ」

 

「だって、ねぇ?」

 

「だよな~、普通は部活回りとかしないぜ」

 

クロキとチョウキは「あーぁ、ミツキもそっち(ジンキ側)に行っちまったか」と同時に言うがミツキは否定の言葉を放つ。

 

「僕は少しでも情報収集してるんですよ!

高校一年でも舐めんでください!」

 

「でも、まだ五月だぜ(クロキ」

 

「もう一種の職業病じゃねぇか?(チョウキ」

 

「クロキさん達は僕が中学生の頃から、この依海市にいるの知ってるでしょう!?

ただでさえ、猛士の協力者が入れないのに!」

 

「仕方ないだろう、それも条約だし無理なもんは無理だ」

 

「だけ―「ミツキ、家に着いたぞ」あーもう!反論しようとするとこうなる!いつもだ!チョウキさん、狙って運転してたでしょう!」

 

「しらねー」

 

「チョウキはん、めっちゃ棒読みやん!」

 

「だまらっしゃい!五月蝿いからさっさと出ろ!」

 

「横暴だぁあ!」と負け犬のような捨て台詞をチョウキに吐き、車から出るミツキ。

 

チョウキは腹黒な笑顔で見ているが微笑ましい目で視ていた。

 

「もー寝ます!寝ますよ、僕は!」

 

 

 

「勝手にどうぞー」

 

「ミツキ、おやすみ」

 

「おやすみなさい、クロキさん。チョウキさんサヨウナラ」

 

「あーん、ミツキが冷たいぃ」

 

「さっさと車出せ」

 

「うわぁん!」

 

そしてミツキは車が出るのを見届けるとマンションの中に入って行った。

 

 

 

 

 

「・・・クロキ」

 

走行中の車内でチョウキが言う

 

「あ?なんだ」

 

「ミツキ、少しずつだが・・・いい顔になったよな。吹っ切れたのかな・・・あの件の事を」

 

「・・・母親殺しの件か?」

 

「あぁ」

 

「さぁな・・・」

 

そう会話を早く終わらせたいかのようにクロキは窓の外を見ながら、ぶっきらぼうな声で終わらせた。

 

だが携帯電話の着信音が鳴り、車内に響く

 

「・・・クロキ」

 

「あぁ」

 

ピッ、とコールボタンを押し、クロキは電話に出ると数度聞いてから電話を切る

 

「誰からだ?」

 

「猛士本部、吉野からだ」

 

「?、何故本部が」

 

「全鬼(ぜんき)大将が直接命令をくださるそうだ」

 

「じゃあ嫁さんとのイチャイチャタイムは?」

 

「無しだな、吉野に行くぞ」

 

「ちくしょぉおお!」




クロキ
弦と打の音撃戦士

変身道具、音弦と音叉

武器
音撃弦「琵琶」
耳無し芳一で有名な琵琶である。斬撃系ではなく打撃系がメイン攻撃になる。

ちなみに音撃斬を使用する際には黒の音石で造られたクナイを相手に射し込んで使う中遠距離技になる。

音撃鼓「黄泉」
響鬼と同じ要領で使うが黒白の物

必殺技
音撃斬『黒煙粉塵』
音撃打『黄泉雷同』

備考、彼の先祖が光言宗の幹部一派で有ったが猛士に逃亡。
以降彼の一族は光言宗から嫌われ者とされる。また音撃戦士の中でも先祖が裏切り、人を襲ったと言われており、彼を嫌う者もいる。

属性
雷、闇


チョウキ
打の音撃戦士

変身道具、音叉

武器
音撃棒『三節紺(さんせつこん)』
中国の武器、三節棍をイメージして造られたもの。三節棍みたいに使えるが三つに分解して音撃棒のバチになるように出来る

音撃鼓「華(はな)」
使用方法は上にある音撃鼓と同上である。

必殺技
音撃打『一撃必殺』
音撃打『二連打』
音撃打『三連打』

属性、炎

備考
元自衛隊所属少尉、結婚して二年目だがいまだにラブラブである。

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