「しかし……どうしたものでしょうか」
港にひとり残された私は、大きなため息をついてしまいます。
帰りを待つと言ったものの、正規空母加賀が深海棲艦と交戦したのは鎮守府から西へ600キロ程度も離れた海域です。そこから不知火達駆逐艦が加賀さんを曳航してくるとのことですので、2日程度かかるらしいです。
これは、もともと船を曳航するようにできていない軍艦である駆逐艦娘3人で交代しながら曳航すること、それから、その対象が空母という駆逐艦よりはるかに大きく重い船であることも原因となります。どんなに急いだところで、寄港するまでにその程度の時間はかかるのは仕方がないでしょう。
「そうですね、二日近くも港で待っているわけにもいきませんね」
ひとり呟いてしまいます。
そうなると、今、やらなければならないことは決まっていますね。私がもっとも気になっている事、望んでいる事、それは舞鶴医療センターに収容された提督の様子を見に一刻も早く向かうことです。いえ、……それしかありえません。
実際のところ、ずっと提督の事が心配で心配で、いてもたってもいられないのです。すぐにでも提督の元へと行かなければならない! まるで何かに急かされているような気がします。
けれど……そう思ったものの、今の自分の立場を思い出し、踏み出した歩みを止めてしまいます。止まらざるをえなかったのです。
けれど、ある事を思い、冷や水を浴びせられたようにその思いが萎えていきます。
そうなのです。自分は、舞鶴鎮守府の秘書艦なのです。
その立場にある者、それは自分のやりたい事よりも、やらなければならない事を優先しなければならないのです。自分の気持ちを押し殺してでも、それは実行しなければいけないのです。私情に流されてはいけないのです。
……まずやらなければならないこと、それはドック入りした島風と気を失った扶桑さんの様態を確認することです。秘書艦としては、鎮守府艦隊の状況を常に把握しておく必要があります。
秘書艦であることは名誉なことであるし、そのおかげで提督のお側にずっといられるので嬉しいことなのですが、こんな非常事態時は秘書艦としての仕事を優先せざるをえない事、提督のお側にいられないことがとてつもなく辛いです。
……けれど、こればかりは仕方ないことですね。
今は、自分を秘書艦に指名してくれた提督の期待に応えなければいけないのですから。
ドックに到着すると、すぐに治療担当の乾崎という名の女性の医師が対応してくれます。
何度か入渠した時に対応してくれている人です。私もお世話になっています。結構気さくに話してくれるし、艦娘の事を理解してくれて、とても優しい人です。気になっていることは、私と比べると控えめな大きさですが、その胸を強調したような格好をいつもしていることに少し違和感を感じていました。今日も胸元を大きく開いたシャツを着ています。一体、何でなのでしょうか。……今は関係ない話です。
私は秘書艦として、彼女に状況を尋ねます。
彼女の話では、運び込まれた扶桑さんについては、単なるショックな事に直面し、脳がオーバーヒートを起こして気絶しただけでしかありませんとのことでした。現在はベッドで休ませているとのことです。
あの状況であんな悲鳴を上げて倒れたものですから、一体どんな大変な事になっているのか心配して損をした気分になりました。それでも拍子抜けしたけれど、彼女が無事だったことにほっとしましたけれど。
「けれど、駆逐艦島風については、芳しくはありません」
医師は深刻そうな表情で宣告します。その口調からして嫌な予感がします。
「ど、どういうことでしょうか? 」
「とりあえずのところ、命には別状はないのですが。……艦娘本体には、何の怪我はありませんし、軍艦部の外装についても、これといった損傷はありません」
「では、どこが……」
「そうですね……」
乾崎は間をおいて再び話し始める。
「実は、島風の軍艦部分がかなり良くないのです。彼女の機関部は、想定を越えた長時間における限界解除稼働を続けたため、各所において致命的な損傷を受けています。まだ調査中ではありますが、現在把握できている損傷箇所の修理だけにも相当に時間がかりそうです。それから、秘書艦もご存じだと思いますが、島風という駆逐艦そのものが特殊な駆逐艦ですから、他の艦と共用できる部品がとても少ないのです。これが大きな問題となっています。我々人類が所有している部品の中には在庫が無いものがあり、その入手についてはあなた達の上の方との協議になるらしいですが、問い合わせた限りでは、それもかなり難しいようです。このため、応急措置的な修繕はできるのですが、彼女の完璧な修繕については、今の状況では不可能なのです」
「では、彼女は、もう治せないということなのですか? 」
修理できないということは、軍艦としてはもう出撃できないということなのでしょうか? それは艦娘にとって死に等しい事なのです。息が苦しくなります。
「いえ、もちろん修理ができないわけではありません。ただし、完全な修理ができないということなのです。軍艦として稼働するレベルまでの修繕は可能です。可能なのですが、それはそこまでということです。……つまり、島風は、もうあのスピードで海を駆けることはできなくなるということです」
それがどれほど島風にとってはショックなことか、私にも想像できます。常に最速であることが彼女にとっての自慢でありましたから。そのスピードは戦闘においても絶対的優位を与えますし、艦隊においても切り札として使用することもできます。その機能が無くなるということは戦術的価値が下がるということです。それはすなわち、提督の役に立つチャンスが減るということですから。
けれど、島風はそうなることを覚悟の上で、提督の命を守るために限界を超えたのです。
普段はそんな風には見えないのですが、彼女は本気で提督のことを大切に思っていたのでしょう。それは自分の命よりもずっと大切なものとして。
知らず知らずに目頭が熱くなるのを感じてしまいます。
「……わかりました。島風のことをお願いします」
それ以上の言葉は出てきませんでした。
「ベストを尽くしますから、私達を信頼して下さい」
医師の言葉に頷きます。
状況は把握できました。扶桑さんたちの事はドックのスタッフに任せるしかありません。
扶桑さんたちと一緒に来ていた艦娘達と合流します。彼女たちもここに来てずっと待機しているだけで手持ち無沙汰そうです。これ以上、ここにいても私達には何もできません。それに彼女たちも提督の事が心配らしいのと、時間的にもまだ余裕があることから、病院に行くことにします。
提督が入院している舞鶴医療センターは、旧日本軍の舞鶴鎮守府の海軍病院として創設されたました戦後、国立病院となりその後の行政改革の一環で独立行政法人というものになりました。その後、深海棲艦の侵攻をうけ、自衛隊法改正による国軍化に合わせて再び海軍病院とされたそうです。
基本的に軍関係者を優先して受け入れているものの、一般の市民も一部受け入れて治療を行っています。
今回は鎮守府トップの緊急手術であることと警備上の問題もあり、一般の入院患者は事前に他の病院へ移送されています。滅多にない事なのですが、これについては前回、冷泉提督が負傷した時と同じ段取りであったため、さほど混乱はありませんでした。これも鎮守府の陸・海軍の方がいろいろと手はずを整えてくれたおかげです。
到着した病院の入口は封鎖されており、武装した陸軍兵士が立っています。
鎮守府内の敷地については海軍の部隊が警備をしてますが、敷地外やその他の軍関係施設は陸軍の方が警備を担当することになっています。海軍からすれば、まるで陸軍に監視されているように思えますが、これは人員が圧倒的に少ないためやむを得ない事情なのです。先の深海棲艦との侵攻による戦闘で、海軍の戦闘員の大半が艦艇と共に海に沈んでしまったのです。このため海軍兵士だけでは手が回らないというのが本音です。やむにやまれぬ事情という事ですね。
車は一端、警備兵によって止められます、運転している海軍兵士が通行証を見せるとすぐにバリケードを移動し、道を開けてくれます。窓越しに陸軍兵士と目が合いますが、特に反応はありません。普段なら物珍しさからじろじろと無遠慮な視線を向けられるのですが、今日は何人もの艦娘がこの病院に来ているから見慣れたのでしょうか。
車は敷地内を移動し、検査手術棟に横付けされます。すぐにスライドドアが自動で開く。私達は車を降りるとまっすぐに玄関へと向かっていきます。
玄関口にも兵士が二人立っており、私達に気づくと敬礼をしてくれます。
「警戒ご苦労様です」
そのまま奥へと進み、待合室へと向かいます。
節電のため必要最低限の電灯のみが点けられているため、院内の通路は薄暗いです。そして、人の気配はまるで無く、静まりかえっています。
それでも提督が前に鎮守府の二階から転落して大怪我して入院していた時に、何度か来たことがありますので、迷うことなく来られました。
手術室の前にも警備兵が立っています。こちらは海軍の人です。
私達は手術室の廊下を挟んで反対側の待合室に向かいます。待合室の扉を開けると、すでにみんなが集まっていた艦娘たちがこちらを見ます。彼女たちは、入って来たのが私達であることを確認すると、また元の姿勢に戻ります。
長椅子に座っている子、立ったまま壁を背にし俯いたままの子もいます。泣いている子さえいます。一様に皆暗い顔で黙りこんでいます。
そして、待合室には艦娘以外にも人がいることに気づきました。
鎮守府で働く海軍の人たちです。戦闘以外の全ての事務は彼らがやってくれています。最終決裁者が提督であるため、よく決済書類を持って提督の執務室に来る人たちの顔が見受けられます。軍務において提督を補佐する秘書艦になると、いろいろと仕事上の関係があるので、よく彼らとは話すことがあるのです。
普通の鎮守府ですと提督の副官といったポストの人が組織にはいて、提督不在時の代理を行うのですが、どういうわけか舞鶴鎮守府には副官がいないのです。
私の存在に気づいた彼らがこちらに歩んできます。
「高雄さん、ご苦労様です。しかし、副官がいればこの場を取り仕切ってくれるのですが、やむをえませんね」
開口一番、まだ若い……とはいっても私よりは年上の事務方の女性がぼやきます。
「確かにそうですね。……無いものをぼやいてもしかたありませんものね。けれど、副官不在となったのは私がこちらにお世話になることになる前の話、先代の提督の事だと聞いています。すると、もう3年以上は前の話なのですね。……提督は補佐官無しでずっと働きづめなんですね。なんで一人で無理をなさるのでしょうね」
何気なく言った言葉に彼女は怪訝そうな顔でこちらを見ています。
何か私がおかしな事をいったのでしょうか?
「どうかなさいましたか? 」
そう思い、問いかけます。
「いえ、な、なんでもありません。少し考え事をしてました。失礼しました」
急に何かに思い当たったかのような表情をすると、彼女は、慌てたように否定します。
「無いものを嘆いても仕方ありませんね。今はそれよりも提督の事が心配です……」
無理に話題を変えるような態度。……違和感を感じてしまいます。何か私は変なことを言ったのでしょうか。気にはなりますが、今はそんなことを考えている場合ではありません。それに、彼女もそれについては答えるつもりは無さそうです。急に慌てたような感じになり、この場から離れたがっているのが明らかです。
「そうですね。私達でなんとかしないといけません。艦娘達のことは私がなんとかしますから、そちらのほうはよろしくお願いします」
そう言って会話を打ち切ります。
「了解です。今はみんなで提督の無事を祈るしかありませんね。では、私は別室で待機していますので、何かありましたらお知らせ下さい」
そう言うと、安堵したような表情を見せ彼女は部屋を出て行きました。
この件については、すべてが片づいたら調査してみる必要があります。記憶のメモに書き込んでおきます。
「高雄、ご苦労様ネ」
軍の人たちが去るのを待っていたかのように、金剛さんが近づいて来ました。
「金剛さん、提督の具合はどうなっているのですか? 」
私は、一番に気になる事を彼女に問いかけます。
その途端、彼女の表情が曇る。
「あのね……」
普段元気な金剛さんがしょんぼりした感じで教えてくれる。それによると、現在、手術中であり、詳細は誰も教えてくれず、多分誰も分からないだけなのだろうけれど教えてくれないとのことだ。ただ、輸血用らしい大量の血液が運び込まれている事、大勢の医師や看護師が慌ただしく行ったり来たりしている事から舞鶴医療センターの総力をもって提督の治療に当たっているので、今は人間達を信じて待つしかないとのことでした。
最後に金剛さんが告げます。
「治療に当たっている人たちを信じてるんだけど、ただ、状況は彼らの態度を見るだけで分かってしまう。今が相当に危険な状態であることが」
「そうなのですか……」
予想はしていたことだけれど、聞いてしまうと不安が増します。眩暈さえします。
「ところで、高雄。みんなはどうだった? 」
暗くなりがちな雰囲気を察してか、話題を変えようと扶桑さん達の話を振ってくれる。
けれど、それも明るい話にはならないのです。
「扶桑さんは気を失っていただけで、特に以上はありませんでした」
「そう、それは良かったネー」
彼女も心配していたのか、胸をなで下ろしているようだ。
「けれど、……島風が」
私は島風の状況を説明します。
「なんてこと。そこまで深刻な状態なんて……あの子、無理しすぎなダヨ」
提督の命を守るために彼女にできる事をやったのです。自分を犠牲にしても。その気持ちは金剛さんにも理解できたのでしょう。悲しそうな表情を見せます。
「資材さえあれば、改修は可能らしいのですが、あまりに特殊な機関部なので修復は人間の技術では困難とのことです。だから、応急的措置しかできないので、もうあの子は前のように早く走ることはできないそうです」
「なんで島風までそんな目に遭わなければならないのですか! 」
突然、叫び声が、待合室に響きます。
こんな狭い待合室ですから、私と金剛さんの話はみんなにも聞こえていたのでしょう。艦娘の一人が問いかけというより怒りをぶちまけます。
「みんな加賀さんの我が儘が原因なんでしょう? そのせいで提督があんな目に遭わされて、島風までそんな状態になってしまうなんて……。どう考えても可哀想すぎます」
彼女が言っていることは分かる。当然のことだ。みんなが思っていることを代表して口に出しただけだ。それを否定する者は誰もいないでしょう。私ですらそうです。
けれど、この状況は良くありません。
艦娘みんなが加賀さんに対して批判的になっています。もちろん、すべての原因は彼女にあるのですから、仕方ないけれど……。けれども、ここで艦娘全体の仲に不協和音が発生するのは、とても危険なことです。
「みんな、そのことについては今は保留しておいて欲しいネ! お願いだから。今は提督の無事を祈ることが一番大事ネ。そんなことは後の事ダヨ」
金剛さんが叫びます。
その一言で、とりあえずみんなが黙り込みました。もちろん、誰一人として金剛さんの言葉に納得したわけではありませんが、今は仕方が無いというだけの妥協の産物でしかありません。この問題はすぐには解決しないでしょう。ずっと尾を引く難問として舞鶴鎮守府に残ることになるかもしれません。そして、状況によっては致命的な問題となる可能性も孕んでいるのでしょう。けれど、今はそれから目を逸らします。
「高雄、ところで加賀たちはいつ頃こちらに到着しそう? 」
金剛さんが私に聞いてきます。
「先ほど不知火と連絡を取りましたが、鎮守府から距離が結構あるので、どんなに急いでも明後日頃になるとのことです。無理をしなくていいから警戒を怠らずにみんな無事に帰ってくるようにと伝えましたけど、あの子たちのことですから、無理をするでしょうね」
「不知火と叢雲だからネ。あの子達、提督の事が心配で休むこともしないかも知れないかもネ」
会話が続きません。けれどそれは仕方ないことです。
そして、またみんな黙り込みます。時間は遅遅と進まない様に感じられます。
一向に手術は終わる気配がありません。おまけに何の情報ももたらされないですから、みんな不安しかありません。
そして、長い長い夜が明けていきます。
手術は朝になっても終わることはありませんでした。
そして、悶々とした気持ちで待ち続けているうちに、加賀さん達が帰港する時間が近づいてきた。港からも連絡が入ります。
ここから離れたくはありまえんが、私は秘書艦として彼女たち迎えに行かなければなりません。後の事はみんなに任せ、何かあれば至急連絡をくれるよう依頼し、再び鎮守府へと戻ります。
港についてしばらくすると、港へと入港してくる艦影が見えてきました。
連絡を受けて待機していた整備の人たちの乗ったタグボートが加賀さんを移動させていきます。
そして、不知火、叢雲、村雨の三人は、そのまま港に着岸します。
さほど疲れた様子も見せずに下船してきた3人を労います。そして、降りてきた三人とともに車に乗り込み。再びドックへと急ぎます。
加賀さんは中破状態であることから至急修理へと入ることになります。もちろん本人も治療が必要なため、緊急入院となります。
整備の人たちに支えられるようにして、加賀さんが下船してきます。
「無事で良かったです」
私は形式的な言葉を彼女にかけます。本当ならもっといろいろと言いたいことがありますが、私情を挟むことはできません。加賀さんはぼそぼそと何かを口にしたようですが、聞こえませんでした。明らかに衰弱しているのが分かります。
目を真っ赤に腫らし、綺麗な彼女の顔が台無しです。鎮守府に曳航される間、ずっと泣いていたのでしょうか。泣きはらした顔でも、それでもなお冷たさを含んだ綺麗な顔をしているんだけれども……。
「加賀さん、すぐに治療が必要です。ドックへ急いで……」
しかし、最後まで言うよりも早く、
「それよりも、提督はどうなったの? 教えて」
と、加賀さんに遮られる。
「今も手術は続いています……」
彼女にも知る権利はあるでしょう。隠すことは出来ません。
仕方なく答える
「だったら、私もそこへ行きます。私のせいで提督はあんなことになってしまったのに、私がのんびりと入渠なんてしていられないわ」
と言って、ドックに行く気はまるでないようです。その意志は固そうで、私が行ったところで聞きそうにありません。体のあちこちに擦り傷のようなものがあるようです。その傷がどの程度かはわかりませんが、それでも治療を優先すべき状況だと思われます。秘書艦として入渠を指示すべきだとは分かっています。それから、艦娘たちの感情を考慮して、いろんな事情から本来なら病院には行ってもらいたくないのは間違いありません。
いろんな問題を抱えている現状からして、彼女には大人しく入渠してもらったほうが、こちらとしてもいらぬトラブルに巻き込まれなくてありがたいのですが……。それでも彼女の意志は固そうです。私レベルの艦娘の言葉を聞くようには思えません。
駆逐艦娘の3人に助けを求めようとしますが、不知火と叢雲はすぐにでも病院へ行こうとしています。加賀がどう行動しようと興味は無いかのようです。確かに、彼女たちはずっと提督の容体を気にかけ心配しながらも自分の為すべき事を淡々とこなして加賀さんを無事ここまで連れ帰ったのです。それ以上の仕事を押しつけるわけにもいきません。早く彼女たちを提督の所へ連れて行ってあげなければなりません。それに、私も提督のところへ行きたいです。
いろんな事を検討した結果、仕方なく加賀さんも連れて行くことに決定しました。
「けれど、約束して下さいね。あなただって怪我をしているんだから、長居は絶対だめですからね。提督の様子を確認したらすぐにドックに戻って貰いますからね」
「ええ、わかっています」
思い詰めたように答える加賀さん。嫌な予感だけしかない。連れて行ったら、提督が回復するまでずっといるつもりとしか思えない。
再び、私達は病院へと戻ります。