アイドルの世界に転生したようです。   作:朝霞リョウマ

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連続ですが番外編です。


番外編09 ぷちますの世界に転生したようです? 3

 

 

 

 それは、あり得るかもしれない可能性の話。

 

 

 

 

 

 

 ぷち転、前回までの三つの出来事!

 

 一つ! 大乳大好き良太郎モデルのチヴィット『りょたろ』登場!

 

 二つ! アイドルたちのチヴィットたちの説明&名前付け開始!

 

 三つ! 照れた律子の鉄拳がいつものように良太郎に炸裂!

 

 

 

 

 

 

「それじゃあチヴィット達の紹介を続けていこうかね」

 

 小休憩を挟み、良太郎によるチヴィット達の説明が始まる。

 

 まずは亜美もどきと真美もどき。

 

「亜美ちゃんモデルと真美ちゃんモデルは共に第一世代型のチヴィットだよ」

 

「とかー!」

 

「ちー!」

 

 ソファーに座った良太郎の膝の上で左右対称のポーズをとる亜美もどきと真美もどき。

 

「「「………………」」」

 

 向かいのソファーに座った私と亜美真美が説明の続きを待つが、良太郎は小鳥さんもどきが淹れたお茶をただ飲んでいた。

 

「……え、説明は?」

 

「え、終わったけど」

 

「「「終わり!?」」」

 

 あまりの情報の皆無さに三人の声が揃ってしまった。

 

「ちょっとりょーにぃ!? なんか真美と亜美の扱いが『ぜんざい』なんじゃない!?」

 

「『ぞんざい』ね」

 

「そーだよりょーにーちゃん! ちっちゃんの時もそうだったけど扱いが『ざいぜん』だよ!」

 

「だから『ぞんざい』だって」

 

 ばんっと机を叩いて立ち上がりながら抗議の声を上げる真美と亜美。まぁ、今までのメンツが個性豊かだっただけあって特徴の無さが際立ってしまっている。……全くもってブーメランなのだが、べつに気にしてないし。

 

「そうかな? だって『技の一号』に『力の二号』だよ?」

 

「だから何よ」

 

 ライダーツインマキシマムだよ? と言われても。せめてそこはライダーダブルキックではないのか。

 

「まぁ、都合二十体以上作ってるみたいだから、いちいち固有の能力考えるの面倒臭かったんじゃないかな」

 

「こんだけ散々やっといて今さらそんな理由を持ち出してくるなんて……」

 

 名前は小さい亜美と真美なので『こあみ』と『こまみ』になった。

 

 

 

 次は小鳥さんもどき。

 

「小鳥さんモデルは765プロのチヴィットの中で唯一の第二世代型のチヴィットです。ご覧の通り、反重力力場発生装置を内蔵していて飛行能力があります」

 

「事務員である私のチヴィットまで作っていただいて、嬉しいような申し訳ないような……」

 

「ぴっ!」

 

 ふわふわと浮かびながら敬礼をする小鳥さんもどきの姿を見ながら、小鳥さん本人が苦笑する。

 

「……ねぇ。わざわざ第二世代型って名前を付けてるぐらいなんだから、当然他にも第二世代型のチヴィットはいるのよね?」

 

「お、りっちゃん鋭いね」

 

 良太郎曰く、他の第二世代型のチヴィットは開発したグランツ研究所の関係者たちに贈られたらしい。

 

「じゃあ何故私のチヴィットだけ第二世代型なんでしょうね?」

 

 小鳥さんもどきの頭を撫でながら小首を傾げる小鳥さん。

 

(……このメンバーの中では年齢的な意味で『浮いてる』からってのは流石に穿った考えだよなぁ)

 

 何か良太郎が失礼なことを考えているような気がしたが、それに気付いてしまった時点で私も同じ穴の狢になってしまうので黙っておくことにする。

 

 名前は小鳥から連想した『ぴよぴよ』に決まった。

 

 

 

 次は真もどき。

 

「真ちゃんモデルのこの子も第一世代型チヴィットだよ」

 

「やー!」

 

「えへへ~可愛いなぁ~」

 

「特に何かしらの特徴があるわけでもないんだけど――」

 

「そうだな~名前は『まこちー』とかどうかなぁ~」

 

「……説明は大丈夫そうだね」

 

「そうね」

 

 ファンにはあまりお見せできないような表情で真もどきに頬擦りをしていた真は大丈夫だと判断して次へ行くことにする。

 

 

 

 次はあずささんもどき。

 

「この子もこの子で問題児よね……」

 

「あら~?」こたぷ~ん

 

「うふふ、可愛い子よね~」どたぷ~ん

 

 ……何だろう、あずささんもどきと同じようにあずささん本人からも変な擬音が聞こえてきたような気がする。

 

「さっきもちょっと説明したけど、あずささんモデルは最新鋭のテレポート機能が内蔵されている第三世代型チヴィットだ。大きな音で驚かせるとその近くにいた人の思い描いたところにテレポートさせてくれるけど、驚いたらテレポート機能が発動しちゃうから注意が必要――」

 

「りょー」

 

「あら?」

 

 いつの間にか、あずささんの胸にはりょたろがしがみ付いていた。良太郎は良太郎で結構オープンな性格をしているが、こいつはそれに加えてアグレッシブである。

 

「オイりょたろ! そんな羨ま……妬ま……羨ましいことを!」

 

「言い直せてないわよ」

 

 同じ意味の上に結局最初に戻ってるし。

 

 あずささんの胸にしがみ付いたりょたろに向かって手を伸ばす良太郎。

 

 その時、対面のあずささんに手を伸ばすため机に手を突いてしまい――

 

 バンッ!

 

「あ」

 

 ヒュン

 

 ――良太郎とあずささんもどきの姿が掻き消えた。

 

「……どうしてりょーたろーさんだけ連れていかれたんだろ」

 

「……お約束、って奴じゃないの」

 

 良太郎があずささんモドキと共に事務所に戻って来たのは一分後だった。

 

 ヒュン

 

「……さぁ、チヴィットたちの説明を続けようか」

 

「……その前にアンタが一体何処に行ってたのか聞きたいんだけど」

 

「あら~」こたぷ~ん

 

 あずささんもどきを小脇に抱え、全身に木の枝や木の葉を引っ付けた良太郎は何故か満身創痍といった様子だった。

 

 名前は何故か春香の意見が通り『みうらさん』に決まった。

 

 

 

 次は伊織もどき。

 

「伊織ちゃんモデルは特殊能力持ちの第三世代型チヴィットだよ」

 

「もっ!」

 

 伊織もどきは伊織の膝の上で仁王立ちをしていた。

 

「そういえば、一切の説明も無い第三世代型は初めてね」

 

「そういえばそうだね」

 

 今まで説明があった第三世代型(はるかさんとみうらさん)は前情報があったが、何も知らない状態のチヴィットは初めてである。

 

「それで? この子はどんな能力があるのよ」

 

「論より証拠かな。千早ちゃーん、雪歩ちゃーん、ちょっと窓開けてー」

 

「え?」

 

「わ、分かりました」

 

 良太郎の言葉に従い、事務所の窓を開ける千早と雪歩。

 

「窓を開けて、一体何を――」

 

「さぁ、伊織ちゃんモデル! チャージ開始!」

 

「もっ!」(みょんみょんみょん……)

 

 ……チャージ……?

 

 伊織もどきが目を瞑ると、妙な音と共にそのおでこに光が集まり始めた。

 

(……まさか)

 

「窓の外に向かって、てーっ!」

 

 

 

 カッ ドーンッ!

 

 

 

「「ビ、ビーム出たぁぁぁ!?」」

 

 ……亜美と真美のその叫びが、全てを物語っていた。

 

 窓の外に広がる、抜けるような青空。その青空に切り裂く一条の閃光……。

 

「……平和な光景ね」

 

「り、律子! 下のたるき亭の人がさっきの光は何だって電話が!」

 

 イヤー、ホントヘイワネー。ナンデコンナニヘイワナノニ、イオリハシロメムイテルノカシラネー。

 

「名前はシンプルに『いお』とかどうかな」

 

 かろうじて頷くことが出来た私を誰か褒めて。

 

 

 

 次は響もどき。

 

「その前に今さっきの無言の一発について説明を」

 

 次は響もどき!

 

「お、おう。響ちゃんモデルも特殊能力を持った第三世代型で……」

 

「飛ばす。次」

 

「え?」

 

「次!」

 

「はい!」

 

 

 

 一体飛ばして貴音もどき。

 

「貴音ちゃんモデルは第一世代型なんだけど、この子だけちょっと特別でね」

 

「………………」

 

「マシな意味での特別だからそんな目で見ないでください」

 

 今までが変だったって自覚はあったのね。

 

「この子は唯一、意思疎通することが出来るチヴィットなんだ」

 

「しじょ」『はじめまして』

 

 何処から取り出したのかは分からないが、貴音もどきは『はじめまして』と書いたスケッチブックを掲げていた。なるほど、これなら確かに人語を喋ることが出来ないチヴィットたちと意思疎通をすることが出来る。

 

 試しに話しかけてみる。

 

「えっと、初めまして」

 

「しじょ」『たかにゃ』

 

 ……? 名前?

 

「どうやらこの子は自分で呼んでもらいたい名前があるらしいね」

 

 ……まぁ、人工知能なんだから自我ぐらいあるわよね。

 

「えっと、名前以外の自己紹介でも……」

 

「しじょ」『らーめん』

 

「……え、えっと」

 

「しじょ」『らーめん』

 

「………………」

 

「食べたいってことかな」

 

「食べるの!?」

 

 はるかさんの時も思ったけど、ロボットなのにこの子たち食べるの!?

 

「寧ろ動力源だってさ。内蔵された原子炉で分解してエネルギーに変えるらしい。ジャパニメーションを参考にしたって言ってた」

 

 何故その技術を愛玩用ロボットに活用しようと考えたのか。

 

「さらにその原子炉を稼働させるためのニュートロンジャマーキャンセラーが!」

 

「あぁもう何処にツッコミ入れればいいのよ!?」

 

 

 

 そして迎えた最後。先ほど飛ばした響もどき。

 

「それで? この子にはどんな能力があるのよ」

 

「りっちゃん、そんなに身構えなくても」

 

 増殖、テレポート、ビームとくれば否応なしに警戒してしまうに決まっている。

 

「能力的にはみうらさんに近いかな。まず何でもいいのでこの子に涙を流させるんだけど……」

 

「だぞ?」

 

 何か自分に用かと首を傾げる響もどきに、さてどうしたものかと良太郎は腕を組む。

 

「見た目小さい響ちゃんであるこの子を泣かせるのは流石に良心の呵責が……」

 

「まぁ、確かにね」

 

「な、泣かせるなんてダメだぞ!?」

 

 庇うように響もどきを抱き締める響本人。

 

「別に殴ったりイジメたりするわけじゃなくて、どんな形であれ涙さえ流してもらえればいいんだけど」

 

 とりあえず擽ってみて、という良太郎の指示に従って響もどきの脇を擽る響。

 

「こちょこちょー」

 

「だ、だぞ! だぞ!」

 

 ロボットが何故擽ったがるのかとかいう根本的な疑問は置いておいて、身を捩りながら笑う響もどき。

 

 そしてキラリと光る涙がその目の端から流れ出た次の瞬間。

 

 ボンッ!

 

 そんな軽やかな音と共に――。

 

 

 

「くまー!」

 

 

 

 ――一頭の熊が現れた。

 

「く、熊だー!?」

 

「分かりやすい鳴き声の熊だー!?」

 

「とまぁ、こんな感じで響ちゃんモデルは涙をトリガーにした召喚能力が……」

 

「何冷静に説明続けてるのよ!?」

 

 突然の猛獣の出現に、当然ながら事務所内はパニックになる。

 

 ゴンッ

 

「あ」

 

 果たしてそれは誰が投げたものだったのか。一冊のファイルが飛んできて響もどきの頭に直撃した。しかも角。

 

「~っ!」

 

「あ、まず――」

 

 

 

「だぞ~~~っ!!」

 

 

 

 痛みに大泣きする響もどき。

 

 ボンッ!

 

 

 

 

 

 

 ――テケリ・リ……テケリ・リ……。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 一方その頃。

 

「麗華」

 

「ん? 何、ともみ……って、何そのダンボール」

 

「リョウからの届け物」

 

「りょーくんから!?」

 

「……結構大きいけど、一体あいつは何を……」

 

 

 

「ふんっ」

「イヒヒッ」

「………………」

 

 

 

 ……つづく?

 

 

 




・こあみ こまみ
亜美と真美のぷち。イタズラ好き。「にーちゃ」と鳴くのが可愛い。

・『技の一号』『力の二号』
本郷猛と一文字隼人

・ライダーツインマキシマム ライダーダブルキック
前者はWファングジョーカーとアクセル、後者は一号と二号のコンビネーションキック。

・ぴよぴよ
小鳥さんのぷち。宙に浮ける。事務能力が優秀。

・まこちー
真のぷち。つよい(小並感)。太りやすい。

・いお
伊織のぷち。おでこからビームを放つ。ツンデレ。

・「てーっ!」
SEED世代の作者的にはマリューさんボイスで。

・たかにゃ
貴音のぷち。筆談可能。らーめん好き。

・食べ物を原子炉で分解してエネルギーに変える
あったまてっかてーか!

・ニュートロンジャマーキャンセラー
そもそもニュートロンジャマーはというツッコミはサイクロプスでチンッ!されました。

・ちびき
響のぷち。涙で様々な動物を召喚する。欠伸や花粉症での涙でも可。

・テケリ・リ
この名状しがたい鳴き声の主に気付いてしまったプレイヤーはSANチェックです。

・一方その頃
このまま行くと876組やジュピター組も考えなければならない予感……。



 前回のあとがきで書いたように今回若干時間が取れなかったので応急措置の番外編でした。

 次回からはちゃんと千早回を始めたいと思います。

『どうでもいい小話』

 ニコニコ動画にてデレマス視聴しました。

 赤羽根Pとは一味違った武内Pのキャラがいいですね。あのキャラこそ勘違い系主人公にピッタリそうだと思いました。

 あと卯月と凛が可愛かった(小並感)

 それにしても、既にデビューしている娘たちは何処所属なんでしょうね。小説に反映したいから早く情報が欲しいです。

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