アイドルの世界に転生したようです。   作:朝霞リョウマ

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ついに全事務所集合!


Lesson329 集いし八つの芸能事務所! 3

 

 

 

『『本当にごめんなさい……』』

 

「はい、以後気を付けるように」

 

 

 

「……りょーたろーさんのガチ説教って初めて見た」

 

「ぶっちゃけ俺も初めてした」

 

 現状会議に参加しているメンバーの中だと、一応社会的には一番上の立場になっちゃうからね。共通の知り合いでもあるし今回の打ち合わせの主催でもあるわけだから、その辺りはしっかりとしておかないと。

 

「怒ってる良太郎さんも珍しくて素敵でしたよぉ~」

 

「普段怒られ慣れてるだけありますね」

 

 ありがとうまゆちゃん。それは関係ないんだよ志保ちゃん。

 

 ともあれ、未来ちゃんと愛ちゃんへのお小言はこれで終わり。

 

「久しぶりだね、愛ちゃん、絵理ちゃん」

 

『はい! お久しぶりです!』

 

『一年ぶり?』

 

「………………」

 

『良太郎さん?』

 

「あぁうん、そうだね、涼の騒動以来だから一年ぶりだね」

 

 絵理ちゃんの発言に一瞬脳内がバグったが、うん、こうして876プロの面々と揃って話すのは一年ぶりだね。何も間違っていない。

 

「現状()()()()()()()()()()()()()()()は国内で唯一無二の存在だからね。活躍はそれなりに俺の耳にも入ってるよ」

 

『男女混合ユニット!? 何それ凄いですね!』

 

「未来ちゃん音量」

 

『凄いですね』

 

 よろしい。

 

『逆を言えば、それだけ話題性があっても「それなり」レベルなんですよね……』

 

 苦笑する涼だが、それに関しては『もうちょっと精進しなさい』としか言えない。

 

 とはいえ『Dearly Stars』の三人はそれでも十分に売れているし人気のあるアイドルユニットである。それにも関わらずイマイチパッとしないのは、『周藤良太郎(オレ)』や『魔王エンジェル(れいかたち)』といったバグみたいな存在や、『Jupiter(とうまたち)』や765プロ(はるかちゃんたち)といった正統派の王道みたいな存在が強すぎるだけなのである。

 

 涼たち三人のキャラが薄いとはとても言えないが、例えば『魚嫌いを公言しているにも関わらず水族館のお仕事に選抜されて、とてもいい営業スマイルだけどよく見ると目が死んでるみくちゃん』とか、比較対象が濃すぎるのが問題なのだ。……いやこれに関して言えば俺も勝てない。ちょっと面白過ぎた。

 

 要するに俺の知り合い(とうじょうじんぶつ)のレベルが高すぎるだけなのである!

 

『あっ! そうだ! 私りょーおにーさんに言いたいことがあったんでした!』

 

「愛ちゃん音量」

 

『あったんでした』

 

 よろしい。

 

『りょーおにーさん、私、今回のイベント『Dearly Stars』の三人で出演したかったです』

 

『私も同じ気持ち?』

 

『えっと……ごめんなさい良太郎さん、僕もです』

 

「ふむ」

 

 なるほどね。確かに今回のイベントは以前から告知しているように男女別の対抗ライブという形式になっている。そうなると当然、男女混合ユニットであるディアリーの三人はそのままでは出演することが出来ない。この仲良し三人組はそれが不満らしい。

 

「まぁ出来ないことはないよ」

 

『本当ですか!?』

 

「愛ちゃん音量」

 

『本当ですか?』

 

 よろしい。

 

「りょーたろーさん、もうよくない?」

 

 いやだって釘刺しておかないとこの子たちならまた絶対にやらかすっていう負の信頼感があるから……。

 

「涼は数が少ない男性アイドル枠で出演する予定だったわけだけど、別に誰も()()()()出演できないとは言ってないし」

 

『そりゃ言う必要もないでしょうから……ってまさか』

 

「男性名義と女性名義で二人分出演するってことで……」

 

『『その手があったか』』

 

『いやいやいや……』

 

 目を輝かせる愛ちゃんと絵理ちゃんに対して、涼は苦笑して手を横に振った。

 

「確かにギャラは二人分出せないから割に合わないかもしれないけど」

 

『流石にそれの心配はしてませんよ。してませんけど……』

 

 言葉に出来ない何かがもにょっている様子の涼。この件に関してはあくまでも『例えば』の話なので、実行するかどうかは別問題だ。

 

「お前たち三人の考えもよく分かるから、この件はまた改めて話そうな」

 

『『『はい』』』

 

 さて876プロの三人との会話を一旦区切り、彼らと同時に入室してきた765プロへと会話を振る。

 

「未来ちゃんたちはバーベキュー以来だね。あのときはどうも」

 

『そうですね』

 

『はい、えっと、その……改めて、よろしくお願いします、周藤良太郎さん』

 

 画面越しにペコリと頭を下げる静香ちゃんの態度に若干の余所余所しさを感じる。

 

「いいよいいよそんなに畏まらないで。以前みたいに気軽にリョーさんって呼んでくれて」

 

『そ、それはその……』

 

『分かりました、リョーさん』

 

『ちょっと未来!?』

 

 あっさりと受け入れてくれた未来ちゃんに対して慌てる静香ちゃん。ここで無理強いをしてもパワハラになる可能性があるからやめておくが、今回のライブの通してもうちょっと馴染めたらいいなって思う。

 

 ……765プロの場合は、そんな静香ちゃん以上の難敵がいるわけだけど。

 

「翼ちゃんも久しぶり」

 

『………………はい』

 

 まるで時差のようにラグの発生した返事と、普段の翼ちゃんからは考えられないような仏頂面。これは返事をしてくれただけマシだと考えるべきか……。

 

「……やっぱり『周藤良太郎』は嫌い?」

 

『………………』

 

 翼ちゃんの性格的なことを考えると、否定しないってことは肯定ってことだよなぁ。

 

「……処します? 処します?」

 

「まゆステイ、あれぐらいなら可愛いもんでしょ」

 

「はいまゆさん深呼吸」

 

 マイクに拾われない音量だけど横から少しだけ物騒なセリフが聞こえてきたような気がする。うーん、今日のまゆちゃんの目のハイライトは絶好調。

 

 俺も世界中の人間に好かれてるなんて自惚れるつもりはない。なんだったらこれだけ露骨に嫌ってくれた方が逆にありがたかったりする。

 

 俺は『周藤良太郎』に対する反骨心を持っているこの方がアイドル的な意味で好みである……っていうのは、色々とややこしくなるから黙っておこう。これでも真剣な場所では沈黙することが出来る程度には大人なのである。

 

 

 

『……あ、風花さんこんにちは、今この部屋会議に使ってて……なにその衣装胸のところ凄いですね!?』

 

「未来ちゃんカメラ動かして! 風花ちゃんの方に! 早く!」

 

 真剣な場所がどうしたって? バカ野郎俺はいつだって真剣に生きてるんだよ!

 

 

 

『イイハナシダッタノニナー』

 

『これでこそ良太郎さん?』

 

『いつものりょーおにーさんですね!』

 

 

 

『これが……トップアイドル……!』

 

『#多分 #例外』

 

『ちょっと豊川風花ちゃんの艶姿だったらぼくも見たいんだけど!?』

 

 

 

 

 

 

「いや~緊張してきた……なぁ俺変なところないよな?」

 

「そうだな、身だしなみを整えるというのであれば髭を剃ってくるといい」

 

「これはオシャレ!」

 

「ま、まぁまぁお二人とも……」

 

 今日は俺たちが参加させてもらう『八事務所合同ライブ』についてのリモート会議の日。315プロ側からは今回の一件の責任者であるプロデューサーと、たまたま事務所にいて時間が空いていた俺たちドラスタの三人が参加することになっていた。

 

「それでプロデューサー、パソコンの調子どうだ?」

 

「……だいぶご機嫌が直ってきたみたいです」

 

 立ち上げた瞬間にブルースクリーンになったときは四人揃って思わず固まってしまったが、どうやらなんとかなりそうだ。

 

「一応打ち合わせの時間には間に合いましたね」

 

「とはいえ十分前だ。他の参加事務所と比べて僕たちはまだまだ新参者だから、出来るだけ早めに入室しておいた方がいいだろう」

 

「それもそうだけど桜庭、あのリョーさんならそんなこと気にしないと思うけどな」

 

「個人が気にする気にしないの問題ではなく……というか、君は本当に『リョーさん』呼びを続けるんだな……」

 

「え、だって本人がそれでいいって言ってたし」

 

 最初こそ面食らってしまったが、話すと気さくな人だということがよく分かった。トップアイドルとして敬意を払わないつもりはないが、それでもなんとなく仲良くやれそうな気がしたのだ。

 

「君はなんというか……いややっぱりいい、口にするまでもない」

 

「お? なんだ? 喧嘩売ってるか?」

 

「ほ、ほら二人とも会議繋がりますよ!」

 

「それじゃあ入室~」

 

 プロデューサーがそう宣言しつつログインボタンをクリックした。マイクとスピーカーは既に設定されているため、すぐに会議室の音声が繋がって――。

 

 

 

『はい復唱』

 

『私は二度と会議室で女性の胸部に執着を持たないことを誓います』

 

 

 

 ――なんかメッチャ怖い声を出す東豪寺麗華さんと、床に正座するリョーさんの姿が映し出された。

 

 ……え、ナニコレどういう状況?

 

『……あ、315プロの皆さん、お疲れ様です。今日はよろしくお願いします』

 

「「「「よ、よろしくお願いします……」」」」

 

 その状態のリョーさんが普通に話しかけてきたので、俺たちも同リアクションすればいいか分からず揃ってオウム返し。いや本当にどうなってるの?

 

『いやなに、ちょっと男のロマンを追い求めた結果、壁にぶつかっちゃってね。……今俺すげぇ上手いこと言った』

 

『誰が壁だっ!?』

 

 よ、よく分からないけど、とりえあずリョーさんが東豪寺麗華さんを何らかの理由で怒らせてしまった……ということでいいのかな?

 

『ったく、入室早々説教する身にもなりなさいよ』

 

『いや分かるよ、俺もさっきまで説教する側の人間だったから』

 

『また分かりやすい適当な嘘吐くんじゃないわよ』

 

『本当なんだけどなぁ……』

 

 そんなリョーさんたちのやり取りを眺めつつ、現在この会議室に入室している事務所を確認する。

 

 リョーさんの123プロ、東豪寺麗華さんの1054プロ、765プロに346プロ。それにえっと、876プロ? あ、確かあの去年話題になった男女混合ユニットの事務所だ。そして俺たち315プロを含めて、現在六つの芸能事務所が揃っている。

 

『これでまだ入室していない事務所はあと二つ……って、噂をすれば』

 

 リョーさんの言葉に画面の隅を見れば、そこには他者のログインを知らせる通知が届いていた。どうやら残りの二つの事務所が同時に入室してきたらしい。

 

 そして新たに映し出された画面に映ったのは……美人の女性と、壮年の男性の姿だった。

 

 

 

『遅れてすみません。310プロダクション社長のリンディ・ハラオウンです』

 

283(ツバサ)プロダクション社長の天井(あまい)(つとむ)だ。今日はよろしく頼む』

 

 

 




・男女混合三人組アイドルユニット
アイ転世界ではこのような形式で現在も活動中。

・水族館のお仕事
お魚の仕事だぞ猫なら喜べ前川ぁ!

・310プロダクション社長
・リンディ・ハラオウン
まさかほんの出来心で追加したクロスキャラがここまで参加することになるとはなぁ……。

・283プロダクション
・天井努
『アイドルマスターシャイニーカラーズ』の舞台となる事務所と、その社長。
CVツダケンでめっちゃ強そう。



 七つ目の事務所は高町なのは他リリなのキャラ所属の310プロでした。お忘れかもしれませんが読み方はミッドプロです。参加者は勿論三人娘となっています。

 そして最後の参加事務所は283プロです。そうですシャニマスです。

 これに関して言えばマジで土壇場で設定変更しました。具体的には更新四時間前。元々は別の事務所を参加させる予定だったのですが、時系列的にもそろそろ事務所が立ち上がっていてもおかしくないと考えた次第です。

 シャニ関連の設定はかなりのオリジナル色が強くなっていくことになりますが、出来るだけ破綻が無いようにしたいと思います。

 なお肝心の所属アイドルは……?

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