アイドルの世界に転生したようです。   作:朝霞リョウマ

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理由あって、章タイトル変更!

(ほぼ)sideM編、始まるよー!


第八章『Reason!!』
Lesson319 祭りの狼煙を上げろ!


 

 

 

『番号っ!』

 

 

 

『1!』 『2!』 『3!』

 

『4!』 『5!』 『6!』

 

『7!』 『8!』 『9!』 『10!』 『11!』 『12!』 『13!』

 

 

 

「もういっかい!」

 

 

 

「1!」 「2!」 「3!」

 

「4!」 「5!」 「6!」

 

「7!」 「8!」 「9!」 「10!」 「11!」 「12!」 「13!」

 

 

 

 俺と麗華の声に合わせて、ステージの上のアイドルたちが高らかに自分たちの存在をアピールする。

 

 俺たちを含め男女それぞれ十四人ずつ、総勢二十八人のアイドルたち。しかしまだステージに登場していないだけで、今回のライブに集まったアイドルたちはそれだけじゃない。何故なら今回のライブは総勢()()のアイドル事務所が参加する超大型ライブ。

 

 

 

『もう やるきゃない! って言っちゃって!』

 

『『『いーじゃん!』』』

 

 

 

 いーじゃん!

 

 

 

『『『いーじゃん!』』』

 

 

 

 いーじゃん!

 

 

 

『考えずに 行け!』

 

 

 

 会場に集まってくれたファンのみんなからのレスポンスが、俺たちのステージを更に『最高』の高みへと押し上げてくれる。冬の寒さが吹き飛んでしまうぐらいの熱が、上昇気流となってこの会場全体を天空の頂へと導いてくれる。

 

 

 

『アタマでっかちなんて!』

 

『『『バイバイ!』』』

 

 

 

 バイバイ!

 

 

 

『『『バイバイ!』』』

 

 

 

 バイバイ!

 

 

 

『『『感じてフッフー!』』』

 

 

 

 ――今回のライブの開催に至るまで、色々なことがあった。

 

 いや、大型ライブなのだから色々なことがあって当然だし、しかもライブ中止の危機があったとかそういう大事の話ではない。

 

 まぁ、色々は色々なのだ。

 

 

 

『合言葉は!?』

 

 

 

 Victoryのブイ!

 

 

 

 ――そんなライブの始まりは、まだまだ冬の寒さが見え隠れする春先にまで遡る。

 

 

 

 

 

 

「いやぁ765プロシアター組は強敵でしたね」

 

「言いたいことはそれだけか?」

 

 何故か123プロの事務所で正座をする俺と、何故かそんな俺の前で腕を組み仁王立ちしている兄貴。はて? 一体何があったのだろうか?

 

「シアター組のみんなに恋人(りんちゃん)のことが盛大にバレた件に決まってるだろうが」

 

「……あぁ、そんなこともあったっけ」

 

 何せ番外編を六本(やくにかげつ)も間に挟んだんだからすっかり前回のラストを忘れてしまっていた。

 

「章も変わったことだし、その辺りもリセットってことでダメですか?」

 

「ダメです」

 

 ダメだった。

 

「とは言っても、今回の件は俺マジで被害者側なんだけど」

 

 今回は珍しく『遊び人のリョーさん』のままで貫き通そうと思ったのに、未来ちゃんに伊達眼鏡と帽子を取られるのは流石に想定外だった。

 

 おかげでその後は色々と大変だった。千鶴やこのみさんを中心に俺の正体を最初から知っていた人も大勢いたが、それでも知らなかったメンバーは当然大騒ぎだ。

 

 まずは俺に周藤良太郎への感謝の言葉を伝えてもらおうとしていた静香ちゃんが撃沈した。真っ赤になった顔を両手で抑えてその場に蹲ってしまった。若干申し訳ない気持ちになったが、それと同じぐらい(この場面で照れ隠しに殴りかかってこないなんていい子だなぁ)と別の意味でホッコリしてしまった。

 

 次に未来ちゃんと共に静香ちゃんを宥めていた翼ちゃんから静かに睨まれた。以前から『周藤良太郎』のことを嫌いと公言していて、それを直接俺にも口にしたことがある彼女だったが、そのことを気まずいと思っている様子ではなかった。多分『それなりに仲の良かった知り合い』が『嫌悪している相手』と同一人物だった事実に、色々とモヤッているのだろう。

 

 あとはまぁ、遊園地のライブで顔を合わせていた昴ちゃんと美也ちゃんが「あのときの兄ちゃんがあの周藤良太郎!?」「あら~」といったリアクションを見せてくれたり、凛ちゃんと一緒に道案内をしたことがファーストコンタクトだった紬ちゃんが「なんやいね!?」とまるで猫のように威嚇してきたり、そんな感じのリアクション。

 

 そんな感じに騒がれながら握手などを求められてそれに対応していたのだが、その中で一番騒がしい筈の少女が一番大人しかったことに気が付いた。そう、亜利沙ちゃんである。

 

 元々アイドルヲタ仲間として交流を含めれば劇場メンバー内で千鶴の次に付き合いの長い亜利沙ちゃんだが、当然俺は自分の正体を隠して彼女と友人関係を築いていた。アイドルの話題である以上当然『周藤良太郎』に触れることは多々あったため、彼女からの熱い『周藤良太郎』語りを聞かされることもしばしば。

 

 さて、そんな熱心なりょーいん患者だった亜利沙ちゃんが、身近な友人であった『アイドル好きのリョーさん』が『周藤良太郎』だったと知ってしまったとき、どんなリアクションを取るのだろうか?

 

 それはもう凄まじいいテンションで「えええぇぇぇ!? りょりょりょリョーさんが周藤良太郎!? マジですか!? それは本当に言ってるんですか!?」と目を白黒させてくれると思ったが、こうも静かなところを見ると一切リアクションなく「し、死んでる……!?」という状況になっているのだろう。

 

 というわけで答え合わせ。

 

 

 

 ――えっ……え? ……え?

 

 

 

 (こたえ) ちょっと顔を赤らめて目を泳がせながら手も虚空に漂わせていた。

 

 おそらく普段から熱く語っていた相手がその語っていたアイドル本人だったことに対する羞恥なのだろう。きっと静香ちゃんと同じパターンだ。

 

 正直予想外に乙女な反応でお兄さんちょっとドキッとしてしまった。これがりあむちゃんだったら涙と鼻水で顔面がとても人前でお見せできるような状況になっていなかったことだろう。彼女に身バレする機会があれば是非カメラを回しておいて、アイドルヲタメンバーで集まったときの話題の肴にしてやろう。

 

「その亜利沙ちゃんの件に関しては管轄は俺じゃなくてりんちゃんだからいいとして」

 

 管轄って何? なんで「その件に関してはまた後日改めて」みたいなこと言ってるの?

 

「りんちゃんのことは、当然全員緘口令は出したんだよな?」

 

「出さないわけないし、全員誰にも言わないって約束してくれたよ」

 

 『リョーさん=周藤良太郎』となったことで『リョーさんの恋人=周藤良太郎の恋人』という等式が成り立ってしまったため、りんのことも説明せざるを得なくなった。一般人女性と付き合ってると誤解される方が色々と面倒だし、当然『朝比奈りん』として改めて紹介した。ここでも更に一騒動あったのだが、こちらは割愛しよう。

 

「ったく、何万回と言ってるが、本当に気を付けてくれよ」

 

「何万回も言ってるけど、分かってるよ」

 

 俺だって別に好き好んで身バレや恋人バレしてるわけじゃない。

 

「身バレってのは、もうちょっとこう、劇的な場面というか効果的なシチュエーションというか……」

 

「さては反省してないな?」

 

「山よりも深く海よりも高く」

 

 正座の時間が一時間延長した。

 

 

 

「それじゃあそろそろ本題に入るぞ」

 

「正座は?」

 

「あと五十分」

 

 今回、俺が兄貴の社長室へとやって来たのは正座をするためではない。結果としてそうなってしまったが、本来は別の話をするためだったのだ。

 

()()()……考え直すつもりはないんだな」

 

「ない」

 

 兄貴は暗に「考え直してほしい」「あわよくば撤回してほしい」というニュアンスで言ったのだろうが、当然俺はそれにノーで返す。

 

「りんと約束したからな」

 

「………………そう、だな。そうだよな」

 

 残念そうに、しかし何処かホッとした様子で兄貴はソファーに深く背中を預けた。

 

「分かった。もう二度と言わない」

 

「あぁ頼む。……あと何分?」

 

「あと四十八分」

 

 長ぇなぁ。

 

「それでこの企画は、()()()()()()ってことなんだな?」

 

 兄貴が手に取った企画書は、以前俺が()()()()()()()()()()と共に話していたもの。IEとかスクールアイドルとか色々なことがあって少しずつしか進めることが出来なかったが、()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()企画だ。

 

「言っとくけど後付けじゃないからな」

 

「言わなけりゃ誰も疑わなかったよ」

 

 パラパラと企画書を捲る兄貴。一度目を通した書類なんて内容どころかフォントの形式まで覚えているはずなので、これはあくまでも内容を思い返すための手癖みたいなものだろう。

 

「やろうとしている内容もコンセプトもしっかりとよく分かる。流石麗華ちゃんがまとめた企画書だな」

 

 コンセプト考えたの俺なんだけどなぁ……。

 

「……そして()()()も明確になっている点も大事だ」

 

「……そうだな」

 

 今回の企画、要するに『大規模な合同ライブを開催する』というものなのだが、俺が考えたコンセプトを満たすために一つだけ乗り越えなければいけない問題点という名の課題があった。

 

「あてはあるのか?」

 

「………………」

 

 目を逸らす。ないわけではないが、正直嫌な予感しかしていない。

 

「……俺から声をかけるより、お前から声をかけた方が可能性は高い気もするが……」

 

「どっちも変わらないと思うけどな」

 

 俺と兄貴が、そして麗華たちも考えている問題点。それは周藤良太郎と共にステージに立つことが出来る――。

 

 

 

 ――男性アイドルが存在するか、だ。

 

 

 

「……あと何分?」

 

「あと四十二分」

 

 

 




・『番号っ!』『1!』『2!』『3!』
予告で気付いた人もいるでしょうが、今回のコンセプトは765ASの『紅白応援V』という楽曲が元になっています。


・八つのアイドル事務所
『123』『1054』は確定として、さてあと何処でしょう?

・「いやぁ765プロシアターは強敵でしたね」
ほぼ前章から地続きで始まります。

・番外編も六本
正直作者も読み返して思い出すレベル

・亜利沙のリアクション
作者的には亜利沙ってヒロイン適正高いと思うんですよ(唐突)

・『例の件』
Lesson250で触れてた話。

・周藤良太郎と共にステージに立つことが出来る男性アイドル
男性アイドルが少ない理由、覚えてる?



 お待たせしました。今回から本編の再開……ついに(ほぼ)エムマス編です!

 ほぼです! ぶっちゃけジュピターが123にいる以上アニメの展開は無理なので、基本的にはオリジナルストーリーを展開しつつ、315プロのアイドルを中心にその他様々な事務所のアイドルたちの交流を書いていきます!

 女の子目当てで今まで読んできたそこのあなた! 安心してください! 女の子もいますよ!

 なんで章タイトル変えたのかというと、更新三日前に新しいストーリーを思いついてしまったからっていう、ある意味いつものアレです()

 ちなみにエムマス編を始めるにあたって、いくつか不都合な個所があったのでしれっと『過去改変』しています。お話の内容に変更はありませんが、気になる人は読み返してみてね!(該当箇所を教えない)

 そんなわけで、アニメではアイドルをやってなかったあんなキャラやこんなキャラ、そもそも『ゲーム本編ですらアイドルになれなかった』アイドルなんかも登場させる予定なので、これからよろしくお願いします!



『どうでもよくない小話』

 多くはぁ! 語りませぇん!

 今年もぉ! 高垣楓にぃ! 清き一票を! よろしくお願いしまぁす!

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