アイドルの世界に転生したようです。   作:朝霞リョウマ

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だんだん『りあむwith123』みたいになりつつある三話目。


番外編57 七周年特別企画 その3

 

 

 

 それは、あり得るかもしれない可能性の話。

 

 

 

 前回、少し遅い朝食をとるために足柄サービスエリアへとやってきた皆さんでしたが、その前に車内でりあむちゃんを変装させるために四苦八苦……。

 

 果たしてりあむちゃんは、怪しくならなさすぎず、尚且つちゃんとアイドルだとバレないように変装することが出来たのでしょうか……?

 

 

 

 

 

 

 AM 9:17

 

 足柄SA(下り)フードコートエリア

 

 

 

「ほ、ホントにこれでダイジョーブなの……?」

 

「大丈夫だって。そんなに心配?」

 

「だって、コレ変装って言わないし! ぼくの顔丸出しだし!」

 

 結局髪の毛結んで帽子の中にしまっただけだからな。

 

「堂々としてれば意外とバレないって。周りからは『ビデオ撮影しながら旅行中の二組のカップル』にしか見えてないから」

 

「カ、カップルですか!?」

 

「おっと、恵美ちゃんの方が反応しちゃうのはちょっと予想してなかったぞ。落ち着け恵美ちゃん」

 

「こここ、この場合どっちがどっちとカップルになるの!?」

 

「ちなみにりあむちゃんはどっちがいい?」

 

「……ちょっと待って、真剣に考えていい?」

 

 くだらねぇことで真剣になってないで、さっさと飯食うぞ。時間ねぇし、腹も減った。

 

「くだらなくなんかないよぉ! この選択肢で今後のぼくの扱い色々と変わるかもしんないじゃん! それに『周藤良太郎』か『天ヶ瀬冬馬』かなんて究極の選択、いち123ファンとしてはそれはもう一日中時間をかけてでも真剣にすべきなの! そんなことも分かんない!?」

 

 あぁん!?

 

「ひぃぃぃ!? ゴメンナサイ調子乗りました!」

 

 

 

『りあむちゃんのやむポイント その8』

 オタク特有の早口で天ヶ瀬冬馬に睨まれる

 

 

 

「コラ冬馬、後輩で年下で女の子だぞ。もうちょっと手心を加えて威嚇しなさい」

 

「威嚇すること自体は止めないんですね……」

 

 ぐっ……悪かったな大人げなかったよ。

 

「大丈夫だよーりあむー、態度や言葉は怖いけど冬馬さん面倒見が良くていい人だから」

 

「ほ、ホント……? かみつかない……?」

 

 噛みつくか!

 

「はいはいそこまで。恵美ちゃん、悪いけどりあむちゃんと二人で俺と冬馬の分のご飯買ってきてもらっていい? 財布渡すから、二人もこれで好きなもの買ってきていいよ」

 

「分かりました!」

 

「俺は月見うどん。冬馬は?」

 

 ……ラーメンセット。

 

「了解です! いこっ、りあむ」

 

「う、うん……」

 

「さて、二人にご飯を買ってきてもらってる間に、カメラの電池交換しとこうぜ」

 

 

 

 

 

 

「……冬馬、あんまりこういうこと言いたくないんだけど」

 

「なら言うな」

 

「お前さ」

 

「わざわざカメラ止めてまで言うな」

 

「相変わらず女の子と接するの下手すぎだろ。何年この業界でやってんの」

 

「だから言うなっつってんだろっ!」

 

「男の照れ隠しも需要はあるだろうが、もうちょっとこう……なぁ?」

 

「余計なお世話だっ!」

 

 

 

 

 

 

「……よし、これでオッケー」

 

 飯食ってるときも回すのか?

 

「基本的にはずっと回すぞ。最近はただ食事風景を垂れ流すだけの動画とかも人気らしいし、これも一定の需要はあるはずだ」

 

 ホントかよ……。

 

「あー……ウチの事務所でも、かな子ちゃんがお菓子を食べる動画がありまして……」

 

 あるのかよっ!

 

「123だとどうだろう……志希に無理やり食事させる動画とかどうかな?」

 

 どうせすぐに失踪して画面から誰もいなくなるに決まってる。

 

「確かに。よし、食べようかね。はい、いただきます」

 

「いただきまーす!」

 

「い、いただきます……」

 

「りあむちゃん、それだけで良かったの?」

 

「さっきも言ったけど、ぼく朝は食べてきたから……」

 

「りあむ、もしよかったらこっちも食べなよ。はいあーん」

 

「やめてぇ! フライドポテトを手ずから食べさせようとしないでぇ!?」

 

 

 

『りあむちゃんのやむポイント その9』

 所恵美のあーんはある意味拷問

 

 

 

 ……夢見、さっきのは俺が悪かったからチラチラこっち見ながらビクビクすんな。

 

「うぐっ、ご、ゴメンナサイ……」

 

「だから謝らなくてもいいって。ホラ、恵美ちゃんだって後輩なのに俺たちに対してフランクに接してるでしょ?」

 

「そーそー。強引に引き込んじゃったからとはいえ、こうやって一緒に旅することになったんだからさ。もっと気軽に気軽に!」

 

「が、頑張リマス……」

 

「ん? なんだって? ガンバりあむ?」

 

「言ってないよ!? そんな何処かで聞いたことあるようなフレーズ口にしてないよ!?」

 

「いいじゃんガンバりあむ。こうやってピーカブースタイルなブリッ子ポーズで……ガンバりあむ! って」

 

「定着させようとしないで!?」

 

 

 

『123プロのここが凄い! その13』

 ガンバりあむ!

 

 

 

 オイ、これもある種のパワハラじゃねぇか?

 

「いやいや、先輩アイドルとして業界を生き抜くためのアドバイスの一つだよ。りあむちゃんは今回の旅でこの『ガンバりあむ!』を是非持ちネタとして自分のものにしてもらいたい」

 

「持ちネタ!? え、やらなきゃダメなの!?」

 

「えー? 可愛いじゃん、ガンバりあむ!」

 

「「かっわいい! さすめぐ! さすめぐ!」」

 

 さっきからずっと思ってたんだが、こいつら根っこの部分が殆ど同じだな……。

 

「ほら! やっぱりこういうのは可愛い子がやんないとダメだって! ぼくがやっても事故るだけだって!」

 

「大丈夫大丈夫、事故るのは免許持ってる人の方が多いんだって」

 

「何が!? 何が大丈夫!? ぼくの免許は運転免許ぐらいだからね!? 別にアイドル免許持ってていつも事故ってるわけじゃないからね!?」

 

「……ん?」

 

「え?」

 

 ……お前。

 

「……え、え? な、何?」

 

「りあむちゃん、今『運転免許持ってる』って言ったよね?」

 

「え……あ゛」

 

 

 

 

 

 

 AM 10:04

 

 新東名高速道路下り

 

 

 

 はい。朝食でお腹を満たした我々は再び車に乗り込み、東名から新東名に乗り換えたところです。

 

 先ほどのサービスエリアにて、我々は今まで明かされていなかった新情報を手にすることが出来ました。今回の急行旅、使えるものはなんでも使っていきたい所存なので、是非ともその新情報を有効活用させてもらおうと思います。

 

 というわけで、ご紹介しましょう。

 

 

 

 ドライバー役として緊急登板していただきました、夢見りあむちゃんです。

 

「なんでこうなるのさあああぁぁぁ!?」

 

 

 

『りあむちゃんのやむポイント その10』

 運転免許を持っていることがバレる

 

『123プロのここが凄い! その14』

 運転手 周藤良太郎 → 夢見りあむ

 

 

 

 冬馬用に用意しておいた初心者マークを早くも使うことになるとはね。

 

「こんなこと言いたくないけど! 憧れのアイドルであり偉大な先輩である良太郎君にこんなこと言いたくないんだけど! バカじゃないの!? バカなんじゃないの!? ぼくにハンドル握らせるとか何考えてるの!?」

 

 あーホラホラちゃんと前向いて。右車線、後ろから大型車来てるから風で煽られないようにしっかりとハンドル握ってね。ガンバりあむ!

 

「みぎゃあああぁぁぁ!」

 

 いやー、まさかりあむちゃんが免許持ってるとは予想外だった。これでさらに運転の負担が減らせるよ。ありがとう、りあむちゃん。

 

「いやあああぁぁぁそっとぼくの手に手を重ねないでえええぇぇぇ!? ハンドル狂うから!? いやマジでマジでマジで!?」

 

「危ねぇからマジでやめとけって」

 

 なんだよ冬馬……りあむちゃんが心配か?

 

「べ、別に、そんなんじゃねぇよ」

 

「やめてえええぇぇぇ『乙女ゲーの主人公を取り合う攻略対象二人』みたいなやり取りしないでえええぇぇぇ運転に集中出来なくなるうううぅぅぅ!」

 

「あははっ! それにしても意外だったなー! まさかりあむが車の運転出来るなんて」

 

「はぁ……はぁ……免許を持ってて『運転が出来る』っていうだけで、別に『運転に慣れてる』わけじゃないんだよぉ……マジでずっとハンドル握ってないペーパーなのに、いきなり高速道路って……」

 

 いや真面目な話、初心者は高速道路の方が運転しやすかったりするよ。車間距離さえ取っちゃえば一定のスピードで走り続けるだけでいいからブレーキ操作は少なくていいし、信号待ちが無ければ難しいカーブもない。しかも新東名は比較的新しく作られた高速道路だから、カーブや高低差もゆるやかだから走りやすいんだよ。

 

「へー、そうなんですね」

 

 と言っても、俺も殆ど高速道路使うことないから殆ど受け売りだけどね。旅行とかも行かないし。

 

 だから初心者のりあむちゃんでも安心! ついでに俺も助手席からこうやってシートベルトで強調されたりあむちゃんの大乳を撮影しながらちゃんとサポートするよ。

 

「うぅ……その配慮は嬉しいんだけど……なんだろう、飴と鞭というか、すっごい甘い飴を無理やり喉の奥に突っ込まれているような感じ……」

 

 俺の飴がりあむちゃんの喉の奥にとな?

 

「オイコラ」

 

 

 

『123プロのここが凄い! その15』

 周藤良太郎の飴(意味深)

 

 

 

「うぅ……本当に、どうしてぼくはこんな目に遭ってるんだろうか……」

 

 うーん、確かにこのままだとりあむちゃんには何もメリットがない旅になっちゃうね。

 

「別に俺たちにもメリットねぇけどな」

 

「りあむー、なにかアタシたちにして欲しいことってある?」

 

「……え? して欲しいこと?」

 

 そうそう。俺たちに出来ることなら何でもするよ。

 

「何でも!?」

 

 前! 前見て!

 

「……そ、そそそ、それじゃあ……さ、サイン……とか?」

 

「え? そんなのでいいの?」

 

 ふむ、それじゃありあむちゃんはバンジーを飛べたらそのご褒美ということで、俺たち三人と一緒に写真を撮ってそこにサインをしてあげる……っていうのはどうかな?

 

「なにその超お宝!? 国宝じゃん!? 新時代の神器じゃん!」

 

「食いつきがスゲェ」

 

 おっ、やる気になった。それじゃありあむちゃん、ご褒美に向かってガンバりあむ!」

 

「ぼく、ガンバりあむ!」

 

「アハハッ! りあむ、ガンバりあむー!」

 

「定着しつつある」

 

 これは流行る。

 

「流行らねぇよ」

 

 

 

 

 

 

 まさか、りあむちゃんが運転することになるとは思いもしませんでしたね……。ですが、良太郎君たちからご褒美がもらえることになり、りあむちゃんはすっごく張り切っています……。

 

 りあむちゃんも大変でしょうけど……ふふっ、ガンバりあむ、ですね……。

 

 

 




・『ビデオ撮影しながら旅行中の二組のカップル』
バレはしなかったものの、周りからは「すげぇ美男美女カップルがいる」と注目は浴びていた模様。

・食事風景を垂れ流すだけの動画
315の翼とか、283だとチョコ先輩とか、その辺りの食べるだけの動画見たい……見たくない?

・ガンバりあむ
流行らせコラっ!(せめてアイ転内だけでも流行らせてやる……!)

・ピーカブースタイル
多分ヲタ的には幕ノ内一歩スタイルと言った方が分かりやすいかもしれない。

・りあむの運転免許
元ネタはツイッターの漫画。見た途端「これだ!」と思った。



 なんだコレは……段々りあむに浸食されている……いや、マジでこの子動かしやすいのホント。

 次回辺り、いよいよバンジーですが、リアルの都合上まだ作者取材に行けてませんので、ルポ記事を頼りに書こうかと思います。

 実際の飛ぶのは、多分本当に年末かなぁ……。

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