アイドルの世界に転生したようです。   作:朝霞リョウマ

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トークバトル決着!


Episode51 Like a dream 4

 

 

 

『危うく二度と約束が出来ない体にされるところだったゾ』

 

『小指が無くても約束ぐらい守りなさいよ』

 

『約束は守るかもしれないが、そもそも碌な約束しねぇだろうが』

 

『さ、三人とも、暴力沙汰は流石にちょっとー』

 

『ほら、唯一の常識人枠の恵美ちゃんが困惑してるから、トークに戻るぞ』

 

『『誰のせいだ!』』

 

『はい天の声ー、次のトークテーマ!』

 

 

 

 ――仮にこの四人が兄弟姉妹になった場合、一番上と下は誰?

 

 

 

『おー! けっこーおもしろそーな質問来ましたね!』

 

『兄弟姉妹、ねぇ』

 

『この場合、実際の年齢とかそういうのは関係なく考えるべきかな』

 

『そうね、そうしないと所恵美が一番下になるものね』

 

『それじゃあ、まずはせーので一番上を指差しましょうか』

 

『オッケー』

 

『『『『せーの!』』』』

 

 

 

良太郎 → 良太郎

冬馬 → 麗華

麗華 → 麗華

恵美 → 麗華

 

 

 

『『……なん……だと……!?』』

 

『イイ判断ね、天ヶ瀬冬馬、所恵美』

 

『あ、あはは……』

 

『冬馬! お前も自分を指差すタイプだろ!』

 

『……いやまぁ、冷静に考えるとこーなるだろ』

 

『自分で自分を指差しておいて負けるとは、随分と滑稽な姿よね』

 

『チクショウ……頭では納得出来るが、心では納得出来ない……!』

 

『え、えっと、とりあえずそれぞれ指定した理由を言いませんか!?』

 

『そんなの、私がアンタよりも頼りがいがあるからにあるからに決まってるじゃない』

 

『『………………』』

 

『……待ちなさい? 天ヶ瀬冬馬はともかく、どうして所恵美まで目を逸らすのかしら?』

 

『……えーっと……』

 

『ちなみに冬馬はなんで麗華を選んだんだ』

 

『消去法』

 

『消去法!? どういうことよ!?』

 

『所は俺より上っていうイメージが湧かねぇし、良太郎は根っからの次男坊気質だろ』

 

『言いたいことは分かる』

 

『だから東豪寺に一番上の責務を投げ出して置いた方がいいって思ったんだよ』

 

『……確かに、良太郎(コイツ)が弟とか、それだけで悪夢ね』

 

『そんな悲しいこと言わないで、お姉ちゃん』

 

 

 

 きゃあああぁぁぁあああぁぁぁ!!??

 

 

 

『マジでやめなさい!? 見てこの鳥肌!』

 

『ハッハッハッ、この周藤良太郎、どんな立ち位置にでも瞬時に受け入れるだけの順応力は持ち合わせておるぞ』

 

『言われたわけでもねーのに、俺もウゼェって思ったぞ』

 

『観客のみんなには、十分なファンサービスになったみたいですけどねー』

 

『あっ、ちなみに今の弟としてのファンサービス、舞台裏でもカメラに向かってやってたりするから、円盤の特典映像を期待してろよー!』

 

 

 

 わあああぁぁぁあああぁぁぁ!!

 

 

『あー……そーいやそんなことやってたな』

 

『それで恵美ちゃんは、どうして麗華が一番上だと思ったの?』

 

『アタシはその……純粋におねーちゃんが欲しかったなぁーって理由です』

 

『貴女はイイ子ね……ホント、123なんかよりウチに来ない?』

 

『おっと公開引き抜きは勘弁。この子は「周藤良太郎」が見初めた原石だぜ』

 

 

 

 おおおぉぉぉ!

 

 

 

『あ、あははー、やっぱり正面から言われると照れちゃうなー』

 

『そもそもウチの事務所はわりと少数精鋭で、俺は家族みたいなところだと思ってるからな。家族は渡せないさ』

 

『……ふん』

 

『あー……そう考えると、リョータローさんはお兄ちゃんっていうよりは、お父さんって感じかもしれませんね』

 

『こいつが親父ぃ……?』

 

『見ろよこの冬馬の嫌そうな顔を。でもそうだな、これからは123プロのパパとして活動していくのもいいかもしれん。……つまり、パパ活動!』

 

『『おいバカヤメロォ!』』

 

『このままだと色々とマズそうなので、次は一番下にいきましょう! ね!?』

 

『りょーかい。それじゃあ、せーの』

 

 

 

良太郎 → 冬馬

冬馬 → 良太郎

麗華 → 良太郎

恵美 → 良太郎

 

 

 

『どーいうことだってばよ!?』

 

『へーいハイタッチへーい!』

 

『所恵美、へーい!』

 

『へ、へーい!』

 

『ちくしょう、楽しそうに三人でハイタッチしやがって。というか恵美ちゃん、さっきのお父さんみたい発言はどうしたのさ』

 

『……えへへ、アタシなりに空気を読んでみました』

 

『可愛いから許す! 俺はこれから恵美ちゃんの弟として生きていこう』

 

『私を姉と指定した所恵美の弟になる……つまりこれがどういうことか、アンタには分かってるのよね?』

 

『弟の存在は抹消されました』

 

『朝令暮改も真っ青だな』

 

『お姉ちゃんが手編みのマフラーを作ってあげる弟の存在なんて、最初からいなかったんや!』

 

『おい公式から存在を抹消された弟の設定やめーや』

 

『一体なんの話なのよ……』

 

『というか、そもそも何で俺が弟なのよ』

 

『どう考えても手がかかるからの一択でしょうが』

 

『これでも、この業界だとかなり頼れる存在だともっぱらの評判なんだけど』

 

『それお前の本性を知らない奴らからの評価だろ』

 

『メリット以上のデメリットを持ってくるから厄介なのよアンタは』

 

『誠に遺憾であるが、ここで恵美ちゃんに「そんなことないよね?」と話を振らない俺の優しさは評価してもらいたい』

 

『あ、あはは……』

 

 

 

 

 

 

 

「まるでトップアイドルとは思えないような、芸人めいた会話の応酬デスね……」

 

「や、やっぱりこれぐらいのトーク出来ないとアイドルって難しいのかな……?」

 

「はー……良太郎君が弟とか夢が広がりまくり……」

 

 

 

 

 

 

『それにしても、なかなかNGワードが出てこないわね』

 

『実は既に言ってたりしねーか?』

 

『裏でスタッフたちがしっかりと判定してくれてるから大丈夫だろ』

 

『次のトークテーマで決着が着くといーけど』

 

『それじゃあ次、お願いしまーす!』

 

 

 

 ――今一番気になっているアイドルは?

 

 

 

『気になるアイドルか』

 

『これはうかつな発言は出来なさそうね』

 

『そーですね、なんてたって日本のアイドル業界の先頭に立つ三人なんですから、それはもうとんでもなく注目が集まっちゃいそーですね』

 

『恵美ちゃんも十分その一角だよ? ……しかしそうだなぁ』

 

『アタシはそーですねー……346の大槻唯ちゃん!』

 

『あっ、なんとなく言いたいこと分かるかも』

 

『美嘉とかと一緒のステージ出来たら面白そーだなって思うんだ!』

 

『何それチョー見たい。冬馬はどうだ?』

 

『……ノーコメント』

 

『おいそれは無しだぞ』

 

『ノーコメントだっ!』

 

『……オッケー、それだけで逆にもう分かった。後でSNSで拡散しちゃる』

 

『オイっ!?』

 

『恥ずかしがって言わない奴が悪いんだよ!』

 

『麗華さんはどうですか?』

 

『私はそうね……北沢志保なんか、伸びしろがあっていいと思うわ』

 

『志保ですか!?』

 

『おっ! お目が高い。志保ちゃんはいいぞ、割と付き合い長いのに未だに懐いてくれない黒猫みたいで可愛いくてさぁ』

 

『同意します!』

 

『超個人的感想をドーモ』

 

『私、あぁいう挑戦的な目をする子が好きなのよ。特に彼女の場合は、色々と()()()()()()()からね』

 

『……なるほど、そーいうこと。それなら俺も一人気になってる子がいるんだよなぁ』

 

 

 

 おおおぉぉぉ!?

 

 

 

『「周藤良太郎」が気になってるアイドルね……』

 

『気ぃ付けて発言しろよ?』

 

『俺だって自分の影響力ぐらい分かってるさ。でもあの子なら大丈夫だと思うんだよ』

 

『誰なんですか、リョータローさん』

 

 

 

『夢見りあむちゃん』

 

 

 

 ……えっ!?

 

 

 

『『『……え?』』』

 

 

 

 

 

 

「「「……え?」」」

 

 

 

 

 

 

『……わりぃ、誰だ?』

 

『私も知らない名前ね……』

 

『確か346プロの新人ちゃん……でしたよね?』

 

『そーそー』

 

『どういうアイドルなの?』

 

『逸材なのか?』

 

『えっと、まだ正式にデビューはしてないはずですけど……』

 

『基本的には麗華と一緒。ネットで噂を聞いて彼女のSNSを覗いてみたんだけど、もう凄いぐらいの挑戦的な発言が多くてさ。思わず感心しちゃったよ』

 

『ふーん』

 

『新人の癖に根性あるな』

 

『……そ、そーいう捉え方でいいんですかね……?』

 

『炎上気味なのがちょっと気になるけど、それでもなおそのスタイルを変えない辺りも純粋に凄いって思うよ。あぁいう子が伸びてくれると、お兄さん嬉しいな』

 

『お前がそこまで言うってことは、相当なんだな』

 

『私も覚えておくわ』

 

『……いいのかなー……?』

 

 

 

 

 

 

「……ウゲッ、ゴボッ、オロロロロロロ……!」

 

「りあむさん大丈夫!?」

 

「#ギリギリセーフ

 #あってよかったエチケット袋

 #正直同情はする」

 

 

 

 

 

 

『お前にしては随分と真面目に選んだな』

 

『アンタのことだから、どーせ胸がどーだのこーだの言い出すのかと思ったわ』

 

『そりゃあお前、俺だっていつも()()()()()()()()言ってるわけじゃ』

 

『『『あっ』』』

 

『え?』

 

 

 

 おおおぉぉぉおおおぉぉぉっ!!

 

 

 

 ――周藤良太郎、アウトー!

 

 

 

『『よっしゃあああぁぁぁ!』』

 

『やったー!』

 

『あー……やっぱりこれだったかぁ……なんとなく予測はしてたんだけどな』

 

『へへ、ざまぁ!』

 

『これで罰ゲーム回避よ!』

 

『ごめんなさいリョータローさん!』

 

『いいよいいよ、楽しんでもらえたなら。みんなも楽しかったー!?』

 

 

 

 楽しかったあああぁぁぁ!!

 

 

 

『そうかそうか、それなら俺は本望だよ。……あとは罰ゲームがせめてまともなものであることを祈ろう』

 

『幸太郎さん、是非キツいやつを』

 

『コイツの心が折れるぐらいのやつを』

 

 

 

 ――罰ゲームの発表は後日になります。

 

 

 

『ちっ、命拾いしたな』

 

『懺悔の用意をしておきなさい』

 

『お前ら後で覚えてろよ……?』

 

『え、えっと、というわけで、相手のNGワードを引き出せ! 「アイドルトークバトル」! これにて決着です!』

 

『SNSでテーマを投稿してくれたみんな、ありがとなー』

 

 

 

 わあああぁぁぁあああぁぁぁ!!

 

 

 

『それじゃあ最後に、いつものアレいっとこう!』

 

『……いつものアレって何!?』

 

『知らないんですけど!?』

 

 

 

『みんなー! 次回のトークもまた、見てくれるかなー!?』

 

 

 

 いいともおおおぉぉぉ!

 

 

 

『ダメなやつじゃねぇか!』

 

『観客巻き込んで何やってんだよ!?』

 

『うわーん! まゆ助けてー! もう疲れたー!』

 

 

 




・この四人が兄弟姉妹になった場合
個人的には上から麗華・良太郎・冬馬・恵美。

・パパ活動
ころめぐとか唯ちゃんとかにパパって呼ばれてぇなぁ(願望)

・『弟の存在は抹消されました』
今井リサに弟? ははっ、なんのこったよ(すっとぼけ)

・『夢見りあむちゃん』
・『『『……え?』』』
りあむのメンタルにダイレクトアタック!(良太郎に悪意はない)

・周藤良太郎、アウトー!
(みんな知ってた)(オッズ1.0倍)(約束された敗北)

・いいともおおおぉぉぉ!
だんだん分からない世代も増えていくんだろなぁ……。



 というわけで、罰ゲームは良太郎でした。はい、順当ですね。

 これにて長かったミニゲームもすべて終了です。そして次回からは、いよいよ感謝祭ライブの終盤戦です。まさか一年以上書き続けることになるとは思わなかった……。

 でもその前に、もしかしたら久しぶりに番外編書くかも……。

 それでは皆さん、よいお年を。

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