とあるチートを持って!   作:黒百合

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プレシアと戦ってみた

「ここどこ?」

 

フェイト・テスタロッサの母親、プレシア・テスタロッサの住まう古城のような場所に響とアルフがいた。

 

「オニババの家だよ。」

「・・・いや、鬼婆って・・・鬼・・・の住まう場所、なのだろうか?いや、まぁ鬼ヶ島って感じはするけど・・・浮遊する刺々しい城を鬼ヶ島と呼ぶかはちょっと微妙なところ。」

「・・・?あんた何言ってるんだい。オニババってのは比喩表現に決まってるだろ。」

 

響のとぼけた一言にアルフがツッコむ。

 

「付近がやたらと暗い感じになっていて、なんか異世界に来たような気がする。」

「異世界に来てるんだよ!

さっきから何を言ってるんだ!?」

「・・・おうち帰りたい。ぽんぽん痛くなってきた。」

『よしよし、治癒魔法使っておいてあげるから頑張ろうね。』

「う、うん、がんばる。」

「・・・ほんとに大丈夫なのかい?」

 

響は荘厳な雰囲気に包まれた世界に気を飲まれつつあった。

概要は聞いた。

オニババを懲らしめたいとかなんとか。

なんか知らんがフェイトとかいう厨二病全開の名前を持つ女の子、もとい鎌の女の子をいじめるオニババを倒すのに力を貸してくれという。

 

「あのカマでぶった切ればいいんじゃないかと思うんだけど・・・」

「そうもいかないのさ。フェイトをいじめるあのオニババは・・・あの子の母親だからね。だからさ、やさしいフェイトは・・・」

「え゛?」

「えって何さ。」

「いや、それってつまり・・・児童虐待・・・なのか?」

「・・・?

そうなるね。今更何を言ってるんだい?」

 

児童虐待。

赤の他人が関わるには重すぎる問題だ。

 

難しいとされるのはソレが躾なのか虐待なのかの判断が難しく、ちょっとした現行犯やアザ程度では躾だと言い切られることもある。

それを解決したとしても子供と親のその後、誰が子供を引き取るのかという問題も。

あんなカマをもつ物騒な女の子を預かってくれる施設なんてあるのだろうか?とちょっと疑問に思う響だった。

警察に言ったほうが・・・と思うものの、さすがに薄々なりとも「これ、警察に言ってもどうしようもなくね?」というのは気づいていたためにあたふたするだけに終わる。

 

「ついたよ。」

「え、もうっ!?」

 

虐待する親になんて言えばいいのか全く分からず、困っていたというのに、もう件のオニババとやらのいる場所に来てしまったらしい。

あたふたと慌てるだけの響。

 

「いやいや、ここは警察行かない?

警察に届け出を出せば・・・」

 

でもやっぱり警察を頼ることを一応勧めておく。

 

『でも、警察はあまり動いてくれないって言うよね。』

 

響たちの言う警察は当然ながら日本の、である。

もちろん仮に言ったところで解決しないのは言うまでもない。

 

「あんたたち、さっきから何をブツブツ言ってるんだよ!

ここまで来たんだから、きっちり付き合ってくれよ、頼むからっ!!」

「・・・お、おう。わかってらぁ。

たかが母親よ。虐待をしていようと魔法を持つ俺に敵はいない!」

『何をしに来たのかしら?』

「っ!?」

 

唐突に響いた声にバッと構えるアルフ。

響は声の主を探すべく、周りをのんびりと見渡す。

スピーカーでもあるのだろうか?と見当はずれなことを思っていた。

 

「・・・あんたをぶっ飛ばしに来たんだよっ!」

『・・・。あの子は使い魔の作り方が下手くそね。

余分な感情が多すぎる。』

「あんたは母親だろうが・・・どうしてフェイトに・・・フェイトにちょっとでも優しくできないんだよっ!!」

 

そう言いながらアルフは上空に飛び跳ねる。

響もそれにつられてそっちへ向くと、声の主であるプレシアテスタロッサが中空に浮いていた。

 

「あなたは赤の他人に対して無償の優しさを注げというの?

大したお人好しね。」

「っ・・・!!・・・フ、フェイトは・・・他人じゃないだろうがぁっ!!」

「・・・。」

 

アルフの拳をバリアーで受け止めつつ、プレシアは言った。

 

「そうね。あの子は・・・道具よ。だから最低限、大切にはしているつもりなのだけれど・・・道具は粗末に扱うものではないし。」

「っ・・・っ!!

このっ人でなしがはっ!?」

 

殴りかかろうとするも、見えない手で殴られたかのように吹き飛ぶアルフ。

それを甲冑に身を包んだ響が受け止めた。

 

「あぐ・・・あ、あんた・・・その姿・・・?」

「あ、これバリアジャケットだから。

えと・・・良く分からないんだけど・・・えと、あれがオニババさんですか?」

「そ、そうだよ・・・かはっ。」

「お、おおっ!?

ち、血っ!?血がどばって・・・」

 

アルフの口から大量の血が吐き出されて、ビビる響。

 

「ちょっ!?し、死ぬなーっ!」

「う、うるさいよ。耳元で叫ばないでおくれ。」

『響、慌てずに治癒魔法を・・・っプロテクション!?』

「うおあたっ!?」

 

極太の雷が響に襲いかかる。

それを間一髪防ぐ、アイシテル。

 

「なるほど・・・なかなか強い魔力を持ってるようね。

とはいえど、アルフ。

あなた、この程度の相手と一緒に私を殺すつもりだったの?

本気で?

あまりにも舐めすぎではないかしら?」

「こ、ころごふっ・・・かはっ。

・・・はぁ・・・はぁ。・・・殺すつもりなんて欠片もない。」

「・・・?」

「あんたを止めに来たんだよ、私は。」

「この期に及んで・・・甘すぎるわ。・・・でも、褒めてあげる。」

「・・・何をだい?」

「駒は多い方がいいから。」

「・・・まさかっ!?

あ、あんたっ、ここはもういい!

すぐに、」

「逃がさないわ!」

「えっ!?

えっ!?えええっ!?」

『こ、これは・・・』

 

あまりの急展開にあたふたするしかない響。

そして焦るアイシテル。

プレシアは響を捉えようと響に接近しつつ魔力を溜め込んでいく。

 

「洗脳して駒にする。もしくは恐怖と痛みで調教というのも・・・」

「あ、その、SMプレイは遠慮します。」

 

調教=洗脳という公式が響の頭の中に刻まれる。

なにそれ怖い。

なんか女王様っぽい挑発的な服装といい、どうやら目の前の女性は生粋のSらしい。

生粋のSであるがゆえにSプレイを娘に強要してしまった。

そういう悲しい性なのだろう。

なおさらどうすればいいのか分からなくなった響である。言うまでもなく誤解であるが。

 

「そんな俗っぽいのではないわ。

もっと高尚で、素敵な・・・そう素敵なアリシアのために貴方の身を捧げなさい。」

「アリシアっていったい誰なんだ?」

「別にあなたは知らなくていいことよ。」

『響、今は逃げたほうがいいわ。一対一ならともかく、けが人を抱えたままだと分が悪い。』

「治せばいいんじゃないの?おっぱいチートで。」

『・・・そうだけどね。まぁいいんじゃないかしら?』

 

治癒魔法を使ってもアルフの今の傷を治すには数分かかる。

しかし、それを見過ごすほどプレシアは優しくないだろう。

だが、おっぱいチートならば神様印であるがゆえの即回復が期待できる。

響はさっそくとばかりにアルフの決して小さくはない乳、もとい巨乳といってもいいおっぱいを見る。

治療行為といっても巨乳を揉みしだく行為を想像し、ごくりと生唾を飲み込む。

アルフはダメージの大きさから、気絶しているようだ。

 

見た目だけは妙齢の女性の胸を寝ている状態で揉みしだく。

実に背徳的な行為であるが、そんなことも言ってられない。

 

「し、失礼して・・・」

 

プレシアが繰り出す雷を避けつつ、防御しながらアルフのおっぱいを揉む。

もみもみと。

アルフのおっぱいは響の一揉み、一揉みに手の形のまま沈み込み、形を変える。

弾力あふれるアルフのおっぱいは握り込む力に反発するかのように指の隙間からぷりぷりとその顔を覗かせる。

要所要所が筋肉質でもやはり胸だけは非常に気持ちのいいものであった。

 

「し、死んでもいいかもしれない・・・」

『それならプロテクション解く?

すぐに死ねると思うけど。』

「言葉の綾ですからっ!

本当に解かれたらあんなの俺には避けれないよ!?」

 

と叫びつつ、アルフを抱えつつ、逃げ続ける響。

 

 

「ちょこまかとうっとおしい・・・もう、殺してしまおうかしら?」

 

プレシアはなかなかクリーンヒットしない響に対して苛立ちを顕にしはじめる。

研究者としても、魔道士としても最高峰に位置するプレシアにとって、響を倒そうと思えばいつでも出来る。

チートを持つ相手ゆえに多少なりとも苦戦はしても、一対一で、なおかつ気絶したアルフを抱えてる状態で響が勝てるほど、逃げ切れるほど甘い相手ではないのだ。

アルフの怪我はすでに治っているものの、しかし目を覚まさない。

ピンチである。

 

『油断してる今がチャンスかもね。』

 

ちょっと前に魔法を覚えたというだけの響が勝つには今しかない。

油断している、そしてこちらを捉えようと加減している今しかない。

そう考えたアイシテルは魔法をあらたに編み上げた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 


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