とあるチートを持って!   作:黒百合

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リリなの二次ではダントツでこれが好き。
そんな感想もらってしまっては書かねぇわけにはいかねぇよな?
いかねぇよっ!
ということで更新です。
実際は時間が空いたからなのですけども。


記憶

とでも思ったのか?

 

さて、いきなりネタをぶっこんでおいてなんであるが、両者の大技が激突しようとした時、フェイトの胸からいきなり腕がにょろんと飛び出した。

 

「あ・・・ぐ・・・くっ・・・これ・・・は・・・?」

「え?手品?」

『ばか、ドウ考えてもいつかの勇者王の腕でしょ!』

 

もちろんのこと忘年会で披露する様な手品(パフォーマンス)などではない。

あまりのとつぜんっぷりにアホなことを言ってしまったが、響も嗚呼確かにと納得する。

フェイトの後ろには勇者王がいたので別にいきなり腕を出したとかではなく、背後から一突きという感じだ。

 

「あの時はよくもやってくれたな。」

「貴様・・・」

 

ちょっと前のアレを思い出し、響が睨む。

そしてシグナムも一騎打ちという空気でしゃしゃり出るなよ、空気嫁と再度その眼光を強めた。

 

「・・・さぁ、奪え」

『無視されてるよ。』

「む、無視すんなっ!」

「無駄な話をしてる暇はなかろう?

早々に回収し、逃げるべきだ。ほら、来たぞ。援軍が。」

 

勇者王がアゴをしゃくった方向を見ると、彼の言うとおり援軍がワラワラと来ていた。

どうやらモブキャラの皆さん達だ。

リンディが不利な今の状況を見て、援軍を寄越したのだろう。

 

ヴィータたちの方を見ると、もちろんのことクロノの胸に生える腕。

正直こいつら美味しいとこ持って行きすぎですよね?

と思わずには居られない。

 

 

☆ ☆ ☆

 

八神家。リビングにて。

 

「あいつらの目的、何だと思う?」

 

ヴィータが話を切り出した。

あいつらとは勇者王の2人のことだ。

 

「あいつらの目的は闇の書の完成だ。テスタロッサのリンカーコアを奪い、私たちに渡した・・・行動的にそう推論するのが普通だろう。」

「そんなことして何になるんだよ?」

「闇の書を完成させて奪う・・・か?」

「ありえねぇ!

そんなことしても主ははやてだ!!どんな手を使おうと奪うなんてできっこねぇはずだ!!」

「ああ、その通りだ。闇の書が完成した時点で契約者たる主はやては強大な力を得る。脅迫や洗脳による効果があるとも思えん。」

「アイシテル・・・最近俺気づいたんだ。闇の書と夜天の書が別物じゃないの?ということに。」

「でも本には闇の書と呼ばれることもあるって書いてなかった?そんな感じのこと?」

「それにしては守護者たる彼女達が俗称で呼ぶのもおかしくない?」

「確かに・・・てことは、本が間違ってるってことかな?」

「そう考えて良いとおもう。」

 

響は響で別の勘違いを発生していた最中であったが。

 

「ねぇ、闇の書を完成させてさ。それではやてが本当のマスターになってさ。足も治って・・・それではやては幸せになれるんだよな?」

 

ヴィータが唐突に独白する。

 

「そんなのは私達が一番わかってることでしょ?」

「ああ・・・そうだよな。でも・・・なんか忘れてる気がするんだよ・・・何か大事なことを。」

「朝ごはんがまだとか?」

「響、今何時だと思ってるの?まだ朝の六時。日が昇ったばかりじゃない。朝ごはんはこれからよ。」

「なるほど、さっそく朝ごはんの準備にとりかかってもらおう。はやてを起こしてきて良いだろうか?いや、別に女の子の部屋を見たいとかそんな邪な打算はちっとも無くてだね!?」

「ダメに決まってるでしょ。どんだけ図々しいのよ。それに女の子の部屋というなら私ので我慢しなさい。」

「いや、アイシテルの部屋は最近出来たばかりでまだ特に個性が現れてないというか・・・ていうか、そんなこと思ってないし!!」

「・・・いつ入ったの?」

「あ、いや。」

「私、招き入れたこと無いよね?」

「えと・・・ほら、別にいいかな~と。知的好奇心が・・・」

「・・・。」

「ていうか見ればいいでしょってのもおかしくないか?」

「話をそらさないで。勝手に入ったって事よね?

それってちょっとーーーどうかと思うけど?」

「見ればいいでしょって言うくらいなら問題ないかとーーー」

「勝手に入ったってのが問題なんだけど?」

「ごめんなさい。」

「・・・さいてー。」

 

じとっと響を睨むアイシテル。

興味の示し方がこうーーーあれというか。なんというか。

こっそり女の子の部屋を覗くというのはいかがなものだろうか?

もちろん響だって一応の言い訳はある。

たとえばご飯ができた時などで部屋に呼びに行く際、留守であることがある。

アイシテルがお花摘みや人化したことによって服を買いにいったりと言う時だ。

そんな時「いないのか?」という確認ゆえに覗く事がある。いや、ノックして返事が無いのだから居ないかもしくは寝ているのだからそこはデリカシーのある人間ならば入るべきではないという判断をするのだが、響にそんなデリカシーがあるはずもなく。

 

そうして開けたドアの先をついつい女の子の部屋ということで凝視してしまったということだ。

 

アイシテルは嘆息し、とりあえず「人が真面目に話してるときに何の話してんだ!!」とツッコまれる、もといヴィータに殴られる響を見て微笑むのだった。

人が殴られてる時に微笑むーーーここだけ見れば嫌な女に見えないこともない。というのは言わぬが花である。いや、言ってしまっているのだが。

 

そんな時だ。

二階から大きな物音がした。

 

皆がいっせいに駆け上がる。位置ははやての部屋と思われた。

 

「はやてっ!!」

 

一番乗りはヴィータである。

倒れて胸を押さえるはやてに駆け寄る。

 

「はやてっ!?はやてっ!!

大丈夫かっ!?」

「動かすなっ!!そっとしておけ!!」

 

シグナムがすぐに指示を出す。

響は良く分からん状況に気おされてあたふたしていただけ。

アイシテルが響に言う。

 

「響っ!おっぱいチート!!」

「あ、お、おうっ!!」

 

アイシテルは真面目なのだが真面目に聞こえない不思議。

 

「ヴィータどいてくれ、今治す。」

「え、おま、どうやって・・・」

 

いきなりむんずと、はやての胸を揉みしだく響。

いつぞやのなのは事件のトラウマがよみがえるようだがこれもはやてのため。

さすがにここは揉んでもいいところだろう。

どう考えても倒れるほどの状態は危険だ。

嫌われると言うのは無いはず。

 

守護騎士達は目を点にする。

最初は唐突にはやての胸を揉みだしたことに。

次は見る見るうちにはやての血色が良くなり、呼吸が落ち着いていくことに。

 

「ふう、これで大丈夫か。アイシテル一応サーチャーを・・・アイシテル?」

「・・・もうやってる。ちょっと黙ってて、ついでに隅々まで検査するから。」

 

サーチャーではやての体の状態を見る。

一応小康状態といったところだ。

だが、すぐに闇の書による侵食が広まっている。

これではきりが無いだろう。それこそはやての胸を常に揉み続けていなくてはならなくなる。

根本をどうにかしないといけない。

 

「無駄ね。やっぱり根本の闇の書をどうにかしないといけないみたい。」

「そうか・・・。」

 

響のおっぱいチートは理論上、人間からさまざまな動物になれる。

もとい肉体改造ができる。

リンカーコアの摘出をしてみるかと考えるものの、それをした場合、寄生してる闇の書がどんな行動を起こすか分からないし、闇の書を介して存在してる守護騎士たちも消える。

そもそも物理的に不可能である。

響のおっぱいチートは確かに神から与えられたチートであるものの、やはりそこにはある程度の限界や物理的な理由が存在する。

たとえば今のように闇の書がはやてのリンカーコアにガッツリ侵食してる状況でどうにかするのは無理である。物理的にも響の力量が足らない。

おっぱいチートはそれ単体で機能するものではなく、あくまでも人に備わる能力であり、それを使いこなすのは術者である響だ。

たとえばおっぱいチートを使えば響は女に性転換することができるものの、それはあくまでおっぱいチートが持つ潜在能力(ポテンシャル)であり、扱うのはあくまでも響であるため現段階では不可能である。

拳銃を撃てば的に当たるのではない。

拳銃を撃つ訓練をした兵士が撃つからこそ的に当たるのである。

いわばおっぱいチートは道具なのだ。

 

その後、能力のことを守護騎士に説明し、女心が理解できそうに無いシグナムは「できれば常に胸を揉み続けてくれないか?」と願うも、さすがにシャマルとアイシテルが止めた。

一応子供とはいえはやても女の子だ。

それはちょっと避けたいだろう。

何よりも響の魔力が持たない。

おっぱいチートは強力な分、魔力の消費量が多い。

ずっと使っていて、いざという時に使えなかった場合のほうが問題だ。

 

 

結局、はやては入院することとなる。

 

☆ ☆ ☆

 

「大丈夫やて。ちょっと手と心臓が吊ってしまっただけや。」

 

病院でのはやての開幕一言がこれである。

心臓が吊るってどういう感じなんだろうか?

そんなことはさておき。

 

守護騎士達は心配げにはやてを見る。

着実に進む闇の書の侵食。

それがついに足だけではなく体全体に広がりつつあるということだ。

 

そして入院。

誰かと共に居ることを望んでいた、一人寂しく居ることを嫌っていた彼女にとってこれほど辛いことも無いだろう。

かといってそれが嫌だからとわがままを言ってどうなるはずもなく。

ゆえにこそはやては何も言わない。言えるはずがない。

自分を心配してくれる人がこんなにもいるのだから。

 

 

もちろんそのことは付き合いが一年に満たないと言えども、守護騎士達に、もちろん響にも伝わっている。

だからこそ笑んでいるはやてが痛ましい。

強がっているのが見なくても分かるほどに。

声だけでも辛いのがわかるのである。

その頑張りを無視することはできず、ただ気付かないふりをするしかない守護騎士達。

 

「シグナム・・・ページはあといくつだ?」

 

病室から出たヴィータの一言。

 

「・・・あと30だ。」

「間に合うかしら・・・あの侵食率だとあと半月・・・いえ二週間も持たない。」

「間に合わせるんだよ。いくぞザフィーラ。」

「ああ。」

「シグナム、今回は私も・・・」

「いや、シャマル、オマエは主と一緒にいてやれ。私たちはこれからしばらくここには戻らない。」

「・・・どうして?」

「もはや、管理局にはこの世界に私たちの主がいると気づいているだろう。いちいち戻っていては捕捉される可能性があがる。二度と捕まるヘマをするわけにはいかない。

次に戻るのは30ページ分を稼いだ時のみ。最悪、完成間近にするまでだ。ヴィータもそれでいいな。」

「異論はねぇ。」

「それと響達にも協力してもらいたい。頼めるか?」

「始めからそのつもりだよ。・・・そう、誤解だ。誤解が増えるだけ。そう増えるだけ。ふふ・・・ふふふふ。」

「ん?ど、どうした?何か怖いぞ?」

「気にしないで。自己暗示をかけてるだけだから。文香ちゃんにどう説明しようかな・・・」

 

各々がリンカーコア稼ぎに動く。

 

☆ ☆ ☆

 

「すいません、リンディ提督。」

「気にしないでいいのよ、フェイトさん。こっちのサーチャーでも捉えられない相手の不意打ちですもの。仕方ないことだわ。」

 

アースラ艦医務室にて、リンディとフェイトがいた。

フェイトはリンカーコアを奪われたことでしばらく魔法が使えない。

 

「あの・・・母さんとなのはは・・・」

「大丈夫。あなたよりも遥かに軽症・・・というよりも何の怪我も無いわ。」

「それは・・・どういう・・・」

「ただバインドで締め上げた・・・それだけなの。なかなか出来る相手が居るようね。」

 

戦いに置いて無傷で相手を捕らえる。

それがどれだけ難しいことか。

あの銀髪の女の子はそれをいとも簡単にやり遂げたということ。いや、簡単ではないが。

思わぬ強敵に身が強張るフェイト。

次に会った時に勝てるかどうか。

それを考え、自分ならどう戦うかを頭の中で組み立てる。

自分とやりあった時は近接戦メインで自分と同等、もしくはそれ以上のスピードを持っていた。

ならばそのスピードを殺しつつ相手にダメージを与えるような魔法を用いないといけない。

もちろん経験の浅いフェイトにそれが思い浮かぶはずも無く、ついと拳に力が入る。

そんなフェイトを見て、手に手を置くリンディ。

 

「あ、」

「今はゆっくり体を休めて。ね?」

「は、はい・・・」

 

少し顔を赤くするフェイト。

実の母であったプレシアにやさしくされたことが無く。

大人の女性に優しくされたことで埋め込まれた記憶上の昔を思い出すフェイト。

こういうのは久しく、頬を赤らめる。

どこか気恥ずかしい。

 

そのままリンディ提督が去っていくのを見送った後、フェイトはため息を吐く。

結局母さんを、なのはを助けることが出来なかった。そんな気負いでもって。

守ることが出来なかった。

自分が魔法を手にしたのは何のためだったのか?

純粋な少女は自分の無力を嘆く。

普通ならば考えすぎ、気負いすぎと一笑にできることなのであるが。

 

プシューと機械音が鳴り、次の来訪者。

プレシアテスタロッサがやってきた。

 

「か、かあーーー」

「私は貴方の母ではない。何度言わせるのかしら?」

 

プレシアとしては普通に接しているつもりなのだが語気が荒いのは自分の過去の失敗をーーーもっとありていに言えば黒歴史を目の前にしてるためだ。

別にフェイトが悪いのではなく、フェイトに悪いことをしてしまった罪悪感、自責感から自分に対する苛立ちが出てしまった結果がこれである。

 

「・・・ご、ごめんなさい。」

 

フェイトがそれを聞き、PT事件の時のクセで自分が悪いことをしたとすぐに思い込んでしまい、すぐに謝る。

それを見てまたプレシアはかわいそうなことをしたと自分を責め、再度苛立つと言う悪循環が出来るのだがこれは時間をかけてどうにかするしかないことだろう。

 

そしてプレシアの横には山田君のレアスキルで生き返ったという白目の部分も含めて目が赤いアリシアテスタロッサがいる。これは彼が使った外法忍術、穢土転生の副作用ともいえる。また定期的に山田君から魔力(チャクラ)を受け取らないとすぐに塵芥と化し、素体であるアリシアの遺体がむき出しになると言う制限がある。

そのアリシアというと、自分と同じ姿をしたフェイトに不気味さを抱いているようで若干居づらそうにしている。9歳児としては仕方の無い反応と言えよう。

 

「フェイト、大丈夫?」

 

とはいえやはりアリシアはフェイトの元であるだけあり、その純粋さは似る。

他意の無い気遣いをフェイトに見せた。

 

「うん、ありがとう・・・アリシア。」

 

最初はアリシアの後に姉さんと言う言葉がついていたものの、プレシアに母ではないといわれてからは姉と言うのもおかしいだろうということで、自分から直した。

 

「フェイト・・・今回は貴方に大事な話があるの。」

「何?・・・か・・・プレシアさん。」

 

記憶上はあくまでも母さん。

それは今も変わらない。

そんなフェイトからすると今の他人行儀な呼び方しか許されないことの現状たるや、なんと辛いことか。

しかし、プレシアとてそこは妥協できない。

もちろんこのままではフェイトがかわいそうに過ぎるというのは理解できている。が、自分の母である気持ちに嘘は付きたくない。

いまや成りを潜めてこそいるものの、いまだ彼女の中で死んだ娘をも生き返らそうとした狂った親バカ愛は消えてなくなったわけではない。その愛が自分の娘でないものを娘と、母と、呼ぶことを呼ばせることを許さない。

自分がフェイトを作ったのだから責任を持って娘とするのが筋なのだろうが、そんな奇麗事はクソくらえだ。

人としての筋よりも母としての筋を通す。それがプレシアテスタロッサ。その人である。

とはいえ。

とはいえだ。

このままではフェイトも辛かろうとプレシアが考えたのが。

 

「貴方の記憶を消すための魔法を作ったわ。」

「え?」

 

植え込んだ部分の記憶だけを消すという都合の良い魔法。

そんな魔法をプレシアは作り出した。

もちろんだがそんな都合の良い魔法は今までに存在しなかった。

フェイトのためだけにそれを1から作り出したのだ。

その労がどれほどのものか。

もちろん不可能ではない。

埋め込む手段があるのだから逆に取り除く手段もあって当然。しかし、フェイトを使い捨てるつもりだったプレシアはそっちの手法については微塵も知らなかった。

 

一夜ニ夜の徹夜ではこの短期間に作り出すなどということは不可能であろう。

属託魔導師としての勤務の傍らに素人目に見ても難しいであろう魔法技術を新たに生み出すなど並大抵のことではない。

それを赤の他人のためにするだろうか?

否。

プレシアは自分で言ってるほどフェイトを他人と感じているわけでないことがここから読み取ることが出来る。

が、幸か不幸か本人であるプレシア自身もフェイトもそのことに気づかなかった。

 

 

「記憶を・・・?」

「ええ、今のまま・・・アリシアの記憶があったところで所詮ソレは借り物。

ただ辛いだけでしょう?

だからこそ、この魔法を作ったの。安心して。今はもう貴方と言う人格が出来ている。

記憶を失ったからといって、貴方が変わることは無い。私としては強く勧めるわ。」

「・・・私が煩わしいんですか?」

「・・・いいえ。貴方のためよ、フェイト。原因である私がこういうのもーーーおこがましいとは思うけれど、貴方がーーーフェイトがアリシアの記憶に縛られることは無いの。」

 

フェイトからボロボロと涙が零れ落ちる。

誰か他の人間に言われるならば良い。

だが。

プレシア本人から。

自分が母親だと思う人からこのセリフを貰うとは思わなかった。

まるで「自分の母親への“愛情”も植え込まれたもの」といわれているようで。

いや、現にそうなのだろう。

今までの記憶は正しくアリシアのものなのだから。

だからといって。

 

到底納得できるものではない。

 

自分の今までを

気持ちを

覚悟を

魂を

 

すべてを一番否定してほしくない人に否定されたのだ。

できることならその場で泣き叫びたかった。

目の前の母親に自分の気持ちのすべてを受け止めてほしかった。

 

しかし、純粋で優しいフェイトは。

魔法の知識があるがゆえに。

記憶を都合よく弄る魔法。そんな物が簡単にできるはずもないことを理解し。

目の前の母親であるーーー自分にとっていまだかけがえの無い人が。

手間隙をかけて自分のためにしてくれた施しを拒否できるはずも無く。

本当の欲ーーー傍にいてくれるだけでよかったーーーを内に秘め。

プレシアの望むところが何なのか?

それを考えることも無く、ただ母親のためにという終始変わらない信念の元。

 

 

「・・・はい、お願いします・・・プレシアさん。」

 

選択した。

 

 

こうしてPT事件以来、一度もまともに母を母と呼ぶことなくフェイトの母親とのいざこざは、幕を閉じた。

これが良かったのかどうかはフェイトとプレシアの胸の内に。

プレシアはただフェイトの幸せのために。

フェイトはただプレシアの幸せのために。

 

お互いにお互いのことを思うがゆえにすれ違い、すれ違ったままこの物語は幕を閉じたのであった。

たった一言のわがままを言えばなんとかなったのではないだろうか?

もっとしっかり話し合えば分かり合えたのではないか?

 

壊れ物を触るかのような気遣いは必要なかったはずなのに。

 

そう思わせる形で。

 

 

 

 

 

一緒にいたかっただけなのに

 

 

 

「?

何か言ったかしら?」

 

改めて自己紹介とアリシアを紹介し、部屋を発とうとしたプレシアにぼそりとした言葉が聞こえた気がした。

 

「え?いえ、何も言ってないと思います。」

 

フェイトの顔はさっぱりとしていた。

まるで憑き物が落ちたかのように。

 

「・・・そう?」

「えと、じゃあね?フェイト。」

「うん、アリシア、またね。」

 

 

 

フェイトの記憶が戻ることは無いのだろう。

おそらくは未来永劫に。

 

 

 




後半はフェイトフラグ2。
フラグ1と2を回収した上で中学生時代に同じ学校、同じクラスになることでイベント『母と子と』が発生。
その後に起こる『私は・・・』のイベントにてフェイトルートに突入する。
なんてね。
まだヒロイン未定です。
個人的にはアインハルトちゃんが好きなんですけどね。作者的に。
ただそのころになるとヒロイン化が難しい、というかヒロインがそれまで出てこないということに・・・
ぶっちゃけ誰でもいいし、誰の話も書いてみたいという思いがあるから困る。
だからと言ってそれぞれのルートをかけるほど時間が余っているわけでもないし。
いっそのこと記憶引き継ぎ転生して、子供のころからこういうネット小説を書けたらなぁと思う今日この頃です。
いや、僕の子供のころだと20ちょっと前ですからたぶん、二次小説サイトないと思うんですけどもww

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