とあるチートを持って!   作:黒百合

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連戦縛殺

「さて、どうしようか。」

『モタモタしてたら負けちゃうかもよ?』

「さすがにそれは無いだろう?経験がある。アイシテルもいる。さらには魔力だって同格だ。負けはないはず。」

『だと・・・いいんだけどね。』

 

シグナムたちと戦っていたなのはに不意打ちをかけたものの見事に防御された。

目の前のことで精一杯だったはずなのだが。

 

響は剣を構える。

あいかわらずこうして面と向かい合うのは気まずいが、そうも言ってられない。

もちろん向かってくる敵といえど、こっちには負い目がある上に相手は自分よりも精神的な意味での年下の子供。

そんな彼女を傷つけるとは如何なものだろう?

どうにかしてバインドで締めてここは離脱。

出来ればフェイトのリンカーコアを回収。

そんなところだ。

 

「ねぇ、聞いてるの?

このまま闇の書が復活したら大変なことになるんだよ?」

「・・・ううむ、とりあえずこれはどうよ?」

『ディザスターシューター?でもこれじゃ・・・』

「お話の最中に攻撃は・・・ダメだよ!!」

『ディバインシューター。』

 

 

響の黒いシューター10発が、なのはが出したディバインシューターに全て穿たれた。

ついと漏れる息。

こっちが先手を打ったにもかかわらず、それにほぼタイムラグ無しで反応する。

関心を通り越して呆れが沸く。

話を無視して攻撃したせいか、睨まれる。

少し怯むが、敵意には慣れている。

気にはなるが、無視できるレベルだ。

次は剣を突きの状態に構え、ブリッツムーブで距離を縮める。

 

「っ!?」

「せいっ!!」

 

そして眼球目掛けて突き出した。

本当にあてるつもりはない。

これはフェイントで、本命はさらに背後に回ってからのバインドだ。

寸止めと言うまでもなく、すぐに剣を引くつもりだった。

仮に当てたとしてもバリアジャケットが展開する魔力防壁に阻まれていただろうが。

響の考えでは怯ませるためだった。

眼前に迫ってくる切っ先は玄人でも多少なりとも反応、もしくは硬直する効果的な一撃。

9歳児であり、戦闘経験の少ない彼女ならば確実に大きな隙を作るはず。

だが、またもや響は驚くべきものを目にする。

 

 

「ちぃっ!?」

 

全く怯まずに健在のディバインシューターでこちらを打ち抜こうとしたのだ。

それだけではない。

向こうからこっちへ敢えて突っ込んできた。

それもひきつけて避けつつーーーだ。

「ひきつけ」。

これは戦闘において最も重要且つ、基本でありながらももっとも難易度の高い技術といえる。

敵の攻撃を早くに避けても狙いを修正される。

逆に遅ければ攻撃が直撃する。

これはショート、ミドル、ロングという全距離において基本となる技術。

なぜ難易度が高いかと言うと、大抵の攻撃は初見である。

それでいながら、その攻撃のスピード、威力、範囲、連射性などを瞬時に判断し引き付けるというのは素人目にも難しいこと。

ゆえに難易度が高い。

それを臆せずやりのける目の前の少女に戦慄と共に驚愕する響。

当然、響には不可能である。

この子誰か憑依してんじゃねっ!?と思ったのも無理はない。

9歳児に出来る芸当ではないはずなのだからして。

が、それをやってのける才能。

それこそがアイシテルの危惧してる部分だ。

 

「ディバイーン・・・バスタァアアアアアアッ!!」

 

そしてゼロ距離からの砲撃魔法。

響の体がピンクの渦に包まれ、吹き飛ばされた。

 

 

「話を聞いてくれないなら・・・力ずくで聞いてもらうからっ!!」

「・・・なんという悪魔か。」

 

力ずくで自分の用件を通す。悪魔だ。

フェイトの一件といい、なのはちゃんはどうも力に頼る傾向がある。

突如手に入った強大な力に飲まれ、調子に乗っている真っ只中だと言えよう。

誰か説教してやれよと思わずには居られない。

ならば俺がしてやろう!と思っては見たものの、そんなことを言えるような人生を送っている響ではない。

ゆえにやっぱりいいや。となった。

いずれ過信は大きなツケとなって我が身に跳ね返るだろうし。

そもそも今は敵なのだ。

悪は倒されるもの。という昔の特撮ヒーローばりの価値観しかないであろう9歳児が悪である敵の説教なんかを真面目に聞くとは思えない。

 

 

「アイシテル、ブリッツフォーム。」

『スピードでかく乱?』

「そんなとこだ。」

 

鎧が剥げ、ヒラヒラっとしたファンタジー色の濃いバリアジャケットが展開された。

この状態のときはブリッツムーブというフェイトが使うソニックムーヴの上位互換的な魔法を連続で使うことが出来る。

山田君には通用しなかったが、目の前の少女には通用するはず。

空気を裂く音と同時になのはの背後に回りこむ。

そしてバインドがーーー通った。

 

「バインドっ!?」

「これで君は動けない。」

 

響はそのままなのはに背を向けてフェイトとアルフ、クロノとやりあっているシグナム達の援護に入ろうとした。

クロノは先ほどまで出ていなかったが、どうやら苦戦する皆を見て加勢することに決めたようだ。

そんなことをのんびり考えつつ。

まずは手の内が分かっているクロノから捕まえようとしたところ。

 

「こ、こんなもの・・・・やぁっ!!」

「は?」

『わお。』

 

力づくでバインドを引きちぎられる。

え?

怪力少女?

力強すぎませんか?

思わず目が点になった。

そしてなのははレイジングハートを構えて、叫んだ。

 

「受けてみて、ディバインバスターのバリエーション!!」

 

ピンクの光がなのはに集まっていく。

響はフリーズしていた。

どうやってバインドを抜け出したの?と。

はっきり言おう。

バインドとは日本で言うところの手錠のようなもの。

元来、力づくでどうこうできるような代物ではない。早々簡単に魔力とか腕力とか、力づくで壊せるようなちんけなものではない。断じてない。

そんなものが魔法として子々孫々と受け継がれるはずがないのだ。

きっちり当たった以上、捕まえきれたはず。なのにも関わらず三秒ほどでバインドを外す。

ばかなの?あほなの?死ぬの?俺が。

ピンクの光が響の脳裏に死への片道切符売り場へいざなう。

もちろん絶対ではない。

バインドが決まったからといって、必ず捕まえきれるわけではない。

並みの術師でもそのまま放っておけば一日もあれば解除できるし、魔力ランクが高かったり技術が高い魔導師ならばより短い時間で解除できる。

ゆえにバインドの上からさらに拘束魔法をかける、もしくはデバイスを奪って武装解除させるのが普通である。

それをしなかったため。と言えば納得できるようだが、納得できまい。

ソレ単体でも少なくとも10分、20分は余裕で捕まえきれたはずなのだ。

いくら彼女でもそれくらいはという見積だった。

事実、優秀な魔導師であり研究者でもあるプレシアは今現在もエロイ体を依然バインドに縛られたままである。

 

それを5秒て。

5秒くらいで拘束を解くなんて、どんだけチートなんだろうか?

アイシテル曰く魔力の侵食と計算がうんぬん。非常に難しいけれど出来ないことはないという。

が、それはまさしく人間国宝認定されてもいいほどの高難度技術。

少なくとも響には出来ない。ユニゾンした今ならばともかく地力では一生かけても無理そうだ。そういう一線を隔したものなのだ。

それをいとも簡単にやってのける。

主人公補正か、それとも本当に誰かが憑依でもしてるのか?

響はまだ後者であってくれ。と願った。

 

前者は才能という一言で片付けるには理不尽すぎる。

 

『響っ!!』

「っとっ!しまったっ!?」

 

あまりの理不尽さに色々と思考することに没頭してしまった響。

逆に大きな隙が出来てしまった。

ピンクの一閃がこちらへ向かって、絶対的な暴力を振るおうとする。

なのはのスターライトブレイカー。

こうして喰らうのは初めてで、見るのはフェイトの時以来。

避けようとしたら、体が動かないことに気づく。

 

「ば、バインドっ!?」

 

遠隔バインドなどという高等技術も併せて使ってきた。

響はあせる。

これは魔力ダメージでノックダウンされかねない。

 

「アイシテル、急いでーーー」

『分かってるっ!ていうかぼーっとしすぎでしょっ!!プロテクション!!』

 

体の前面に防御魔法のプロテクションが張られる。

続いて爆音。

 

「や、やった?」

『手ごたえはありました。』

 

なのはとレイジングハートがスターライトブレイカーを当てたことで勝ちを半ば確信する。

が、それは悪手だ。

 

「やったはやってない時のフラグになる。やめといた方がいいよ。」

「っ!?」

 

背後に回る響。

瞬時に体を反転。ラウンドシールドを展開するという、もうバカらしいほどの超反応を示すなのはだが響は構わずにカートリッジを使ったバインドで強く締め上げる。

ラウンドシールドの周りに巻きつくバインド。

なのはがその力に苦悶の表情を浮かべる。

そこにさらに二重三重四重五重とバインドを重ねていく。

あまりの力にラウンドシールドの維持が困難になり、ラウンドシールドが消える。と、同時。

なのはの体に勢い良く食い込むバインドの数々。

もちろん消えた瞬間にバインドの力を弱めるように制御して今は程よい力でなのはを拘束していた。

さらに二重三重と合計8回分のバインドを使ってなのはを封殺する響であった。

 

☆ ☆ ☆

 

「危なかった。」

『油断はダメだよ。』

「ああ、すまん。」

 

響はなのはのように計算だとか魔力ではなく。魔法で自身の腕力を強化し、それで力づくで引きちぎったのだ。カートリッジを使ってでないととてもじゃないけど解けないほどに強固なバインドで、こんなところでも彼女の才能が垣間見える。

力づくのせいか手首や足首を痛めた。というかヒビが入っていたのですぐさまおっぱいチートで治しました。

 

しばらく様子を見て、ほどけないことを確認した響は今度こそシグナムたちの援護へ回る。

 

ちなみにであるが、山田君がここにいないのは原作どおりシグナムたちに蒐集させる為。

山田君がここにいては勝てる戦いも勝てなくなる。

そうなると響が相手をするしかなく、そんな2人を除けば最強のプレシアに才能溢れる二人の少女。クロノ、アルフ・・・と確実にシグナムたちは捕まってしまう。

そのために山田君は管理局職員であり、ここ地球が出身世界であることから今回の件に関する援護要請が執拗に来るものの、それをのらりくらりと何かと理由をつけて逃げ続けていた。

実際は隠れて様子を伺っており、グレアム勢を闇の書の覚醒と同時に捕まえるつもりでもある。

 

彼はオリ主らしく、「犠牲なんて出さない」派であるがゆえに。

はやてを助けるべく動いている。いや、動くというよりも何もしない方がいいのだが。

しかしそうも行かない。自分の助けたプレシア親子がこうして原作を代えるキーとなりえる以上はその責任は全て彼にある。

今回、響がシグナムたちの味方をしなければ山田君は変身魔法を使ってでも原作組みを倒していたところだった。

響の考えていることが何にせよ、感謝する山田君である。

 

 

「くっ!」

「悪いが・・・君のリンカーコアも貰っていく。」

 

響はフェイトへと切りかかる。

そこへシグナムが踊りかかり、リンカーコアを取ろうと手を伸ばす。

騎士であるシグナムとしては現状は不満たらたらだろうが、はやてのためにも負けるわけには行かない。さらには自分は一度敗退し、この身を捕虜へとやつしている。そんな未熟極まりない自分が何を言える筈もなく。一瞬顔を顰めたがそれだけで思考を切り替える。

 

ソニックムーブで逃げ出そうとするフェイト。

が、ブリッツムーブで回り込まれた。逃げられない。

 

「バルディッシュ!!」

『ロードカートリッジ。フォトンランサー。』

 

光の筋が響を穿とうと迫るがそれを全て切り伏せ、再度切りかかった。

2対1。この状況ならば特に何も考えずに手数で攻め立てて相手を疲弊させる方が良いとした。

 

「ふぇいとっ!?

くっ!邪魔だぁっ!!」

「いかせん。」

 

アルフはザフィーラが。

 

「くそっ!フェイトッ!今援護に・・・ぐっ!?」

「いかせると思うのかよ。てめぇも蒐集対象だ。」

「ヴィータちゃん!準備は出来たわ。」

「はっ!んじゃいくぜ!!グラーフアイゼン!!」

『ロードカートリッジ。』

 

クロノはヴィータとシャマルが抑えている。

 

これならなんとかいけそうだ。

そう判し、響は本腰を入れてフェイトを弱らせることにした。

そう、響をハメた相手であるフェイトに。

響は確かにすでに恨みを持っていない。

いや、持っているが過去のことであり、『ああ、そういえばあの時は腹立ったなぁ』と懐古する程度である。

響の誤解がそのまま真であるならば響はもっと怒り狂ってもいいはずなのだが、こういう点を見ると多少なりの長点はあるかもしれない。

なんて話はさておき。

 

「ディザスターシューター!」

『まるで悪者ね。』

「・・・言うな。」

 

そんなことは百も承知である。

2対1でいたいけな少女を痛めつけている。

そら悪者である。

良心が痛むも響は容赦をしない。

恨みもあるし、何よりも今の行為ははやてのためという面が大きい。

それがすべての免罪符になると思っているわけではないものの、少なくとも女の子を2対1でフルボッコにすることに対する抵抗は様々な理由から少なかった。

 

真っ黒な弾丸×10がフェイトに迫る。

障壁でガードするが、そこへシグナムが再度斬りかかった。

砂漠へ叩きつけられるフェイト。

叩きつけられながらも反撃の魔法を放ってくるが、それを間に入った響が斬り飛ばす。

 

「それにしてもユニゾンするだけでこうまで違うとはね。」

『ええ。でも勘違いしないでよね。これは響の地力じゃないからね?』

「分かってるって。」

 

本来ならばバリアジャケットの変形体にすぎない響のロングソードもとっくに2、3回は折れていただろう。

ブリッツムーブのキレも違う。

 

着陸し、向き合うフェイトとシグナム、さらには響。

フェイトは冷や汗を垂らしつつもどうするかを考えていた。

 

何せシグナムだけでも厄介なのに、それを越える強者まで現れたのだ。

念のため、あくまでも魔力ランクが低いシグナムの状態での話なのは言っておく。

 

そして、なのはと母親であるプレシアもいるにも関わらず、ここへ来たという事は彼女?は2人に連戦して勝つことが可能なほどの腕前であるということ。

特に心優しい彼女としては、なのは達が心配で気が気でないというのもあり、戦闘に集中できずそれもまた彼女の劣勢に拍車をかけていた。

さらにはアルフとクロノの様子も激しい戦闘の最中に置いて確認はしている。

 

不利。

 

その一言で片付けるには簡単すぎるほどに不利な状況に陥ってしまった。

シグナムと彼女が来た途端に優勢だった自分たちの状況が一気に反転してしまった。

手に汗を握りつつもバルディッシュを構え直す。

普段であればバルディッシュを握りなおすだけで自分は1人ではない。そう思え、心が強く慣れる気がするのだが、今やそれも無く。

ただただ焦燥感がつのるばかり。

 

なのはとプレシアはどうしただろうか?

それだけが気がかりで彼女に撤退の道を選ばせない。

その辺にいるのは分かっているのだが、彼女たちを助けるまで自分が倒れるわけには行かない。

その思いだけが彼女を戦場で立たせる唯一の要因だった。

 

「すまんな、テスタロッサ。このような形の決着は望むところではなかったのだが。それも私の未熟さが成す不徳ゆえ。どうか許して欲しい。」

 

シグナムがレヴァンティンを構え、魔力を高める。

必殺技で決めるつもりだ。

 

「いえ・・・別に。分かる気がしますから。」

 

フェイトは薄っすらと彼女たちがなんらかの私利私欲で動いているわけではないことに気づいていた。

昔の自分、譲れない何かのために戦っていた自分となぜか姿が重なる。

だからこそ2対1と卑怯とされる行為であっても責める気にはなれなかった。

自分もあの時、それが母さんのためというならば迷わず卑怯な手段も講じていただろう。

自身の譲れないもののために自分を穢す事を厭わない。

その姿にフェイトは畏敬の念すら抱く。

 

「そうか。」

 

シグナムもそんなフェイトの心境の端を感じ取ったのか、特に何も言わなかった。

そして響は戸惑う。

 

「あれ?なんか一騎打ちな空気になったんですけど・・・ここは空気を読んで引っ込んでるべき?」

『・・・どうなんだろう?』

 

なんかすっごい一騎打ちな、これがラストだ!みたいな空気に居たたまれなくなる響。

もちろん話しながらも大技を使うような挙動は見せていたので、彼女たちの会話を聞く前は参加する気満々であった。

卑怯と言われようと響の性格的に安全パイを取るのは当然。万が一にでも負けがあるかもしれない以上―――というか、魔力ランク的にシグナムの方が不利である以上は傍観の選択は無い。

ゆえに今も万が一にでも負けは無いよう、カートリッジを装填してまで大技の準備をしていた。

体から魔力が迸っているわけだが、響はどうしようかすっごい迷っていた。

会話を聞き終えると、まぁ入りづらい感じである。

ここで手を入れるべきか、否か。

ここで手を出したらKYだろう?

しかしこれはバラエティとかではない。至極真面目な戦闘中。しかもはやての身だってかかっている。

ここは念を押して圧倒的でも負けは無いように動くべきである。にも関わらず。

さて、どうしよう?と場違いなことを考える響。

生粋の平和な国出身の人間である彼、それも空気を読むことには定評のある日本人である彼には

極端に入りづらい空気が出ていたのだ。

何よりも今までの行いで彼も反省している。

空気を読まない行いによってなのはやアリサ、すずかなどと今は喧嘩別れをし、そのまま今に来たのである。

ここで手を出したらシグナムに逆に斬りかかられるのではないか?という恐怖も手伝って、ぴくりとも動けていなかった。

もちろんありえないのだが。

 

「・・・とりあえず傍観?」

『ここで敢えてKYなことをするという選択肢も面白そうだけど。』

 

傍観することに決めた。

アイシテルの言ったことは無視することにした。

するべきだろう。

 

だが、一分ほど待っても二人は動かない。

 

「・・・これが噂に聞く膠着状態というやつか・・・・ごくり。」

 

俗に言う先に動いたら負け。というやつである。

二人の緊張感がこちらに伝わってくるような気がして、響自身までもが緊張し始め、生唾を飲み込むほど。

フェイト、シグナム、その双方に渦巻く魔力がその激しさを物語っているような気がした。

ちなみに響の周りにも使われなかった魔力が渦巻いている。

パッと見では三すくみ状態なのだが、全然そんなことはなかった。

 

しかしてその膠着状態は切れた。

フェイトから動いたのだ。

 

「あの・・・まだですか?」

 

とね。

 

「は?」

 

どうやらフェイトは響に話しかけただけのようだ。

 

「えと、何が?」

「いえ、ですから、その・・・大技・・・を使うんですよね?」

「えと・・・いや・・・まぁ使うつもりだったけど・・・それが・・・?」

「・・・その、あの・・・準備できてるんですか?」

「・・・何の?」

 

・・・ここまで話してて気づく響。

まさか?

膠着状態とかじゃなくて、待ってて貰っていた・・・とか?

そう思ってシグナムの方を見ると「空気嫁」と言わんばかりの眼光で睨まれる。

 

えええええええええええっ!?

いや、空気読んだ結果がこれというかね!?

むしろ俺は良くやりましたよねっ!?

 

響はどうやら勘違いしてしまったようである。

というか敵なのに待ってもらうとはなんと親切な女の子だろうか。

ちょっとずれてる気がしないでもないが、というか確実にクールな見た目に反してアホくさいと思いつつも急いで準備をする響。

 

『これが噂にきく膠着状態というやつか・・・ごくり』

「ま、マネすんなバカアイシテル!!」

 

 

そういえばそんなことを恥ずかしくも言っていた気がする。

これが噂に聞く膠着状態というやつか・・・ごくり。

厨二と言っていいだろう。

失笑物だ。

顔を真っ赤にしながら準備をする。

 

 

そしてディザスターブレイカーの準備をし終える響。

 

「あ、もう大丈夫です。」

「そうですか。では。」

「ああ。このような形であるが、決着をつけよう、テスタロッサ。」

 

 

フェイトのプラズマスマッシャーと響のディザスターブレイカー、シグナムの飛竜一閃がぶつかり合った。

 

余談であるがちょっとだけ、ちょっとだけであるがフェイトが良い娘なのかもしれないと思った響である。




あとからフェイトに関するちょいとした修正を忘れていた。
ので、中途半端な時間帯更新。
次の更新はまた明日のこのくらいの時間になると思いまする。

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