「うちは八神はやて言います。ひらがな三文字では・や・てや。変な名前やろ?」
「言われて見れば変だな。」
「ああん?」
「いや、冗談です。睨まないで。」
正直な気持ちを言ったというのに、いつぞやの赤い少女に睨まれる響。
自分で言ってるから気にしてないのかな?とか思ったゆえだが、年頃の女の子が気にしてないはずも無く。少なからずはやてからの好感度が下がった響だった。
はやてなりのジョークであり、実際はそんなことないよと言って欲しいーーーいわゆる押すな押すな・・・いや、押せよ!というフリである。
関西人は皆こうなのかな?とかどうでもいいことを思ったアイシテルの心境はさておき。
『どうも魔法を知らないみたいなんだけど・・・どういうこと?いや、知ってはいるけど触り程度って感じだな?それと男の娘だったようだ。』
『・・・秘密にしてるとか?・・それと普通に見た通りでいいでしょ、女の子だよ。』
『なんで?
こんなに可愛い子が女の子のはずがないよ!!』
『・・・言ってみたかっただけ?』
『・・・よく分かったな。多分、女の子であろうことは分かった。そうじゃなくてだな。とりあえず話した感じ人に迷惑をかけるようなことをする風には見えないんだけど・・・人は見かけによらないってこと?』
『うーん?
単純にこっそりやってるとか?』
『え?
守護騎士が独断で?
仮にも騎士なのに?
仕える主君―――にあたる人間の意向を無視して勝手に動くわけ?』
『・・・分からないわね。単刀直入に聞いてみたら?』
この間、響を睨み続ける守護騎士達。
その目線はどこか「何も言うな」と語っている気がする。
が、響は無視した。というか気づかなかった。
「あのさ・・・単刀直入に聞くけど、人をおそーーーがはぁっ!?げふっ!?」
シグナムが響を殴り、ヴィータがタックル。
ザフィーラが犬形態でさりげなく響とはやての間に入り、シャマルはドジッたフリをしてはやてに覆いかぶさる。いや、シャマルだけはあまり理解してない様子なので素でドジったのだろう。
「いたたた、ごめんなさい、はやてちゃん。転んでしまいました。大丈夫ですか?」「え、ええよ。それより皆、ど、どうしたん?」というやり取りが微笑ましい。
「いや、おまっ!?
はやてとやら、オマエは守護騎士にどういう教育をーーーげぶふるっ!?」
ヴィータが抱きつきつつもはやてから見えない角度で響にブローを加える。
シグナムはそんな響に対して耳打ちした。
それを聞いた響が怖い的な意味でドキっとしたのは秘密だ。
「そのまま何も言うな。主にバラした場合、我が剣に誓って貴様を殺す。地の果てまででも追いかけてな。」
さらにはボソッとそんなことを耳元で言われたのだから尚更である。
「どうしたん?シグナム、ヴィータ・・・そんなに近づいて・・・ヴィータに至っては抱きついて?」
「いや、これはだな、はやて・・・えーっと・・・」
「ヴィ、ヴィータはこの少年と友達なのです!!」
「そ、それだ!シグナム。そう、あたしはこいつと友達になったんだよっ!!なっ!?そうだよなっ!?
そうじゃないと・・・」
ヴィータの手の中には待機状態のグラーフアイゼンが鈍く輝いた。
響は冷や汗を掻きつつも首を勢い良く振る。
「・・・なんか変やで?」
「まさかぁっ!!ほら、オメエもなんかはやてに言ってやってくれよ!!」
「えーっと・・・健全なお付き合いをさせてもらってます?」
「・・・付きおうとるんか?・・・まぁええけど。隠し事は悲しいで。」
「いや、はやて、あのな・・・」
このとき、響に名案がひらめいた。
ここではやてを誤魔化すことで恩を売ればこいつらに要求を通し易くなるのではないか?と。
姑息でみみっちい思考だが、彼という人間はそんなもんである。どうか親しみを持って接してあげてほしい。
むしろ「いや、俺がしたいからしただけ。お前達が気にすることじゃない」的な主人公らしき臭いセリフを聞いて「・・・オリヌシですね、わかります。」という程度には自分が小物であることを理解してるだけ、好印象というものだ。
「ええ!ヴィータさんとは結婚を前提としたぶふるっ!?」
「な、なななな何言ってんだてめぇっ!!」
ヴィータが顔を赤らめて響を殴る。
照れてはいるが別にフラグが立ったわけではないと一応言っておく。
「な、何をする!?
人がせっかく誤魔化すのに協力しようとしてやってるのにっ!!」
「だからってアホいってんじゃねぇっ!!てめぇなんかと誰が結婚すっかっ!!
てめぇと結婚するくらいならザフィーラと結婚するわッ!!」
「どういう意味だそれは。」
ザフィーラが苦虫を噛み潰したような顔で呟く。
もちろん犬と結婚するわ・・・的な意味である。
「あははははっ」
それを見てはやてがやたらと笑う。
なんでやねん。そうツッコミを入れたのだが、響のそのツッコミはスルーされた。
響としては殴られる人間を見て、笑う。
すなわちコイツ性格悪いなどと考え、響からはやてに対する好感度が少し下がった。
が、下がろうが上がろうが彼女が響に対して本気になることはまず無いだろうから問題ないだろう。
残念なことに。
「ど、どうしたんだ?はやて。」
「いや、な。最近、シグナムもヴィータもザフィーラもシャマルも。なんかどこか気を張り詰めてたやんか。ちょっと前に私の体をシャマルの魔ほ・・・じゃなくて、み、見てもらった・・・そのあたりからや。
やっぱり私の病気で心配かけてんのかなぁとか・・・ちょっとアレやったんやけど、こうして馬鹿みたいにしてるヴィータを見るとな・・・そんなん幻に見えてきて・・・」
「はやて・・・」
「ええか、ヴィータ。皆が私を気にして心配してくれるのは嬉しい。最近遅く帰ってくるのもなんかやってきてるってのはわかっとる。きっと皆は優しいから私のためになんかしてくれてるんやろ?
図書館いったり、病院回ったりとかそんな感じやろか?」
「主・・・」
「疲れてるのも隠してるみたいだから気づかんフリしとったけど・・・やっぱりうち、こういう空気の方が好きや。こっちのほうが好き。せやからどこか行く位なら一緒に居て欲しい。みんなの優しさを無視する様で・・・悪いとは思うんけどな?
わがまま・・・やろか?
別に死ぬわけでもないしな。」
「はやてちゃん・・・」
「ヴィータだって最近はどこか笑顔に元気なかったやんか。久しぶりにみたで。ヴィータの笑顔。」
「え、笑顔だったか?」
響はもちろん、いきなりのハートフルな空気に居たたまれない感じになった。
空気読んで帰るべきだろうか?
きっとここで声をかけたらまた殴られるだろうな。とか思ったのでこっそり部屋を抜け出すことにした。
玄関まで来て響は呟く。
「・・・俺、何しに来たんだろう・・・」
『まぁあんな空気だされちゃねぇ。』
「・・・殴られに来ただけっていう。うん、まぁ慣れっこだけどね。こういうなんかアホらしい目に遭うの。」
『・・・元気出して。』
「日を改めるとしよう。」
こうして響はちょっと会話して殴られて、タックルされて帰ったのである。
枕を濡らしたのは言うまでも無い。
☆ ☆ ☆
次の日。八神家へ。
インターホンを押す。
『なんや、またアンタか。』
「・・・ええと、昨日は勝手に帰って悪かったな。」
一応、自分からたずねておいて勝手に帰ったことを詫びる響。
内心納得などいってないが、ここはもう仕方ない。本当に納得いってないのだが、もう謝るしかないのだ。不器用な彼にとっては。
『全く・・・とりあえず入って。』
「・・・?
いいの?」
『寒空の下話すのは嫌なんやろ?』
「・・・。」
『なぜ泣く?』
「いや、久々に人の優しさに触れた・・・というか人に優しくしてもらったというかね?」
『・・・まぁ詳しくはきかへんよ』
響の中ではやてに対する好感度が急上昇した。が、重ねて言うが響からはやてへの好感度が上がったところではやてが本気になることは恐らく無い。ゆえに全く意味の無いことである。
「八神はやてや。」
「それは昨日、聞いたけど?」
「八神はやてや。」
「いや、だから・・・」
「こっちが自己紹介しとるのに、そっちはないん?」
「・・・。」
「なぜ泣く。」
「いや、ちょっと優しさに・・・」
「この普通のやりとりで泣くってどういうことやねん。」
「いや、すまん。てっきりまた何かのハプニングが生まれるものかと思っていて。」
「はぁ?」
「なんでもない、こっちの話。俺は相馬 響。よろしく・・・してくれなくてもいいかな。」
「・・・偉い後ろ向きな挨拶やな。正直、卑屈君は悪印象しか与えへんで?
謙虚と卑屈は違うもんや。」
原作組みのキャラクターと仲良くなれば、それだけ後からくる別れも寂しくなる。
なぜなら昔の自分を知るなのはや山田君とお友達になるだろうからだ。そこから「あいつ、アレだから気をつけなよ!」的なことを言われると分かっている響としてはあまり積極的に仲良くなろうとはしない。
「・・・ごめんなさい。」
「いや、謝って欲しいわけやのうて・・・まぁええか。そういや今は昼やけど学校はどないしたん?」
「今日は休み。」
サボっただけである。
「ふぅん。うそ臭いけど、それもまたええ。」
「で、早速本題に入ってとっとと帰りたいんだけども・・・睨んでくる赤い少女が怖いので。」
また来ると察していたのか、守護騎士は全員揃っている。
「それなんやけど、響君・・・えと、名前でええか?ええな?まぁ気にせんといて。で、響君はヴィータたちに話があるらしいってきいたんやけど・・・そうなん?」
「ええっと・・・まぁそうかな。」
実際は主のはやてに聞きたいのだが、どうも彼女は闇の書についてどころか魔法についても良くは知らないみたいである。
そして勝手に名前で呼ぶことを決定してしまった。女の子から下の名前で呼ばれることにトキメく響。
これこれ!こういうのが欲しかったんだっ!!
とか思ったけど、再度いずれ自分の過去がばれることになることを考えると素直に喜べなかった。
ばれた頃にはきっと「キモ太郎」とかそんな感じの名前で呼ばれるに違いない。いや、違うが。太郎とかどこから来たのだろう。
全国の太郎さんに謝るべきである。
話を戻すが、蒐集のことも知らないし、何よりも下手に喋ったらボイン騎士に斬られかねない。冗談ではなく。
ゆえに全ての事情を知ってるであろう彼女達と話すのは望むところであった。
☆ ☆ ☆
「主はやての病を治すために我らは蒐集を行っている。」
シグナムのそのセリフから、とつとつと語るのを聞くに響は八神はやてが病を患っていることを聞く。
おっぱいチートで治す事を考えたのだが、揉ませてくれるはずもあるまい。いや、治るとなれば揉ませてくれるだろうが、治ったとしても一時的なもので根本の闇の書との契約を解かない限りはやてに安息の日々は訪れない。
病は本によって引き起こされる魔法的な何かのようである。となれば本自体をどうにかすれば良いのだが、そんな術が都合よくあるはずもなく、本におっぱいがあるわけでもなく。
本におっぱいさえあればどうにか出来たとは響の談。
今の手持ちの手段ではどうにもできないことがわかる。
響としては原作組みがどうせどうにかするだろうから、助けれたらついでに助ける程度でしか無くあまり深刻には考えていない。
山田君の世界がどうのと言っていた件もある下手に手を出すのは良い選択では無いだろう。
それよりもアイシテルの人化の件だ。
事情を説明し、本を見せてほしいというと「本はさすがに無理だが、私の体ならば幾らでも貸そう。私の体でも十分に用を成せるはずだ」という許可を頂いた。
状況が状況ならばちょっとアレなーーーえろいセリフである。
「それにしてもヤケに素直っすね・・・こうまですんなり行くとなんかの罠かと思うんだが、どうおもう?アイシテル。」
『・・・うーん、まぁそういうタイプに見えないし、大丈夫じゃない?
ただ剣を振るうしかない愚直な剣士って感じだよ?他の三人も謀には向いてないでしょ。仮にも騎士を名乗るわけだし。』
「そういう相談は二人きりの時にやって欲しいものだが・・・剣を振るうしかない・・・か。
概ねその通りだが、それしか能が無いと思われるのも心外だ。一手交えるか?」
「いや、遠慮します。」
「そうか・・・」
しょぼーんとするシグナム。
あ、可愛いと思ったのは心の内の秘密。
「素直に身を任せるのは恩があるためだ。」
「恩?」
「主はやての悩みにーーー気づかせてくれたのはお前だ。ベルカの騎士たるもの受けた恩は必ず返す。騎士の誇りにかけてな。」
「・・・ええと、それならお言葉に甘えて。」
頭で思い描いた形とは異なったが、結果オーライ。
いつのまにか恩を売れていたようである。
相手が勝手にすすんだ事柄に対して勝手に恩を感じてくれているならばそこを利用しない手はない。
『・・・心が狭いよ。』
「う、うるさいな。確かに俺もここで“いや、そんなに気にしなくてもいい”とかそんな感じのセリフを吐きたいのだが・・・これを逃したらいつまたチャンスが来るか・・・」
『まぁそれもそうだよね。』
「さっそくサーチャーにかけさせてもらうけど・・・準備は大丈夫?」
「ああ、構わない。」
「それじゃよろしく、アイシテル。」
『あいあいさー。』
そしてサーチ。
解析。
組み立て。
『これならすぐにでも作れるよ。』
「まじかっ!?早速お願いっ!!」
『ええと・・・こうして・・・こうして・・・』
魔法陣が展開。
魔法陣に描かれた紋様がめまぐるしく変わりつつ、魔力が徐々に徐々に人の姿を模っていく。
「見事なものだな。お前達は研究者の類か?」
「いや、ただの魔導師。」
「ただの魔導師が闇の書を求めはしまい。」
「さっきから何度も聞くけど、闇の書って何?
夜天の書が正式名称じゃないの?シグナムさんまで俗称で呼んじゃってさ。」
「は?」
「え?」
シグナムと響がお互いの認識の齟齬に疑問符を浮かべてる間に、アイシテルの体が完成。
黒髪がたなびき、両サイドで纏まっている。すなわちツインテールで見た目は14歳ほど。発展途上の胸がたゆむ。
そして、そのまま宙に浮いている。
まぶたがゆっくりと開かれた。
「これが人の体か・・・予想以上に重いなぁ。」
自分の体を見回すアイシテル。
服は着ていない。すっぽんぽんのままだ。
手で覆いながらも隙間からじろじろ見る響。
それに気づいたアイシテルが殴る。
「ぐぶっ!?」
「別にデバイスだし羞恥心は無いけど、そうじろじろ見られるのは不愉快よ。ていうか、視線がエロいバカ!!」
「いや、エロいのは男なら仕方が無いわけで・・・とりあえず服を着てくれませんかね?」
「そうね。えーっとバリアジャケットを展開しちゃえば良いか。」
ブリッツフォーム時の服装を展開するアイシテル。
「何はともあれこれでアイシテルと友達になれるね!!!まずはアイシテルの体作成のお祝いがてらのハグをぉぉぉぉぉおおおおっ!!」
叫びながらアイシテルに抱きつきにいく響。
もちろん、下心満載である。
しかし足が翻り、響にクリーンヒットした。
「人様の前でそういう方面ではしゃぐんじゃない。みっともないでしょ。
仮にも私のマスターなんだから、もっとシャンとしなさい。」
呆れながらもそう言うアイシテル。
しかし、響は気絶しているために聞いていない。というか聞こえない。
「・・・仮にもオマエの主だろう?足蹴にしていいのか?」
「別にいいの。響だし。」
「・・・そうか。」
シグナムはあまり深く突っ込まなかった。
当然だなと内心で思っていたからである。
☆ ☆ ☆
響が目を覚ますと良い臭いがしてくる。
そして何かを煮込むような音と、談笑が聞こえた。
「んぬ・・・ここは・・・というかいつから寝てたっけ?」
「あ、起きたんだ?」
「ああ、なんか良い夢を見ていた気がする。
・・・誰?」
響が声のした方向をみると見知らぬツインテールの黒髪美少女がいた。
もちろんアイシテルである。
「寝ぼけてんの?」
「いや、至って正常だと思うが・・・あれか?
日々彼女を欲しがっていたがために現れた俺の脳内彼女?」
「・・・殴るよ?」
「いや、なぜ殴られるのかが分からない。アイシテル、状況説明プリーズ。」
「見たまんまでしょうが。」
「俺はアイシテルに聞いたんだ。どこぞの好みのタイプ・・・もといアイシテルの人化姿がこんな感じだったら惚れ直すであろう美少女である貴様には聞いてない。で、アイシテル、早く応えろ。なぜ無視するの?」
「いや、だから私が・・・」
「ちょっと、うるさい。今俺はアイシテルと話してるんだ。よく分からんがここにいるということは魔法関係者だろう?アイシテルとの蜜月の時を邪魔するんじゃない。」
「・・・はぁ、まあいいか。すぐ気づくでしょう。そして、私は響と一度もそんな時間を過ごした覚えはない。」
「アイシテル?アイシテル?
おい、どうした?
なぜさっきから無視し続けるの?え、まさか愛想尽かしたとかそういうことじゃないですよね?
俺、オマエから見捨てられたらもう誰も頼れる人がいないんだけど・・・ちょっと、うんとかすんとかでいいからそれだけでも応えて・・・」
響は人化したアイシテルに気づかない。ゆえにかなり瞳を潤ませている。
そして体が振るえ、今にも号泣しそうだ。
それもそうであろう。
今となってはどんな時でも一緒に居てくれたアイシテルこそが響にとっての最愛の人?だ。
そのアイシテルに愛想を尽かれたとなった響の心境は想像を絶する。
殺されかけるような誤解を受けることがあってもアイシテルという友がいたからこそ耐えられた。
そんなアイシテルがいなくなれば響は首を吊って死ぬか引きこもるかの二択しかない。いやさすがにそこまで絞られはしない・・・と思われ。
「うんとかすん。」
「だからオマエがそれを言ってどうするっ!?
俺をからかってるのかっ!?
・・・くそうっ!!皆して俺を・・・俺をバカに・・・して・・・アイシテルまで・・・うぐ・・・ぐず・・・どうしてだよぉ・・・アイシテル・・・アイシテル・・・あいしてるぅ・・・ぐず・・・」
目に涙を溜めて、もう泣いているといってもいい響。
アイシテルはため息を吐いて、響を抱きしめた。
「ここに居るでしょ、ばかちん。」
「・・・あい、してる?」
「そうよ、他に響なんかを慰めてやるような物好きは居ないでしょ。わかりなさいよ。」
「あ、あいしてるぅぅぅうううううっ!!」
そのまま抱きしめ返す響。
「ちょっ!?そんな強く抱きしめないでっ!?ひんっ!?
ちょっっとどこ触ってるのよっ!!」
「うわぁああああん。」
「うわっ!?鼻水っ!?
鼻水がすごいっ!!ちょ、あんた達も助けてよっ!!」
「いや、邪魔をしたら悪いと思ってな。」
「なんつーか、これもまたあったけぇよな。」
「私は響君の過去が気になるわ。」
「うううう・・・」
「おい、シャマル、泣くな。」
もちろんずーっと見られていたのは言うまでもない。