いや、まぁすでにこっそり一話だけ更新してあるんですけれども。
一時期、ネタに詰まってそのままやる気が沸かず、あれよあれよとなっていたんですけどね。
ちょっと前にティンと来てこの展開を思いつきました。
久しぶりにやったのに感想が二件も来るとは思わなんだ。
それだけ楽しみしてもらってるってことでしょうかね。
極力、頑張りますよ。
As’編は大幅には変わらない予定なので、そこに入るとそこそこにはサクサクいくんではないかと思っております。
アイシテルが提案した作戦。
それを聞いて、嫌そうにする響。
「いやいや、それはちょっと・・・俺、一般人ですのよ?
いささか以上に抵抗がね。あるんですよ。」
『で、どうするの?
このまま捕まるか殺されるかするしかないと思うけど?
別にしたくないっていうならイイけど・・・いや、響に使われる私としては全然良くないんだけど・・・分かってるそこのとこ?
私も路頭に迷うんだよ?』
「ぐ、それを言われると辛い。」
響が死ねば当然、アイシテルは何もできない。
ミッドチルダにて、実体化する糸口を掴んでいるものの、今はただのデバイスなのだ。
洗脳されたとしても、その時は物言わぬ、かは分からないもののプレシアの命令に唯々諾々と従うしかない文字通りの肉人形の、もとい道具の道具になるという悲惨な末路である。
それを思えば響の良心の呵責などゴミにもならない。
「・・・わかったよ。やるさ。やればいいんだろ。」
『無理やりやらせて不服ですよーって顔してるけど、ここに来るって判断したのは結局のところ響だからね?
私はあくまでも力を貸してあげてるだけで、協力してあげているっていうのをちゃんと理解して。』
「はいはい、してますしてます。してますってばよ。」
『もっと誠意を込めて謝って!心を込めて謝って!平身低頭で一心不乱に謝って!!』
「や、やかましいわっ!!
いくぞっ!いくからなっ!!」
『・・・当たる瞬間に魔力の流れを妨害してやる。』
「おいっ!
それはやめろっ!
まじで洒落にならないのでやめてくださいっ!!」
という響とアイシテルの会話は終わり、響はプレシアに向き直る。
「あら、もう鬼ごっこは終わりかしら?」
プレシアは内心ようやく逃げるのをやめてくれたかと思いつつも、余裕をもって笑みを浮かべる。
『ジャケットパージッ。
ブリッツムーブッ!!』
「どっせいあっ!!」
甲冑が脱げ、速度特化のフォルムに変わった響はその姿をプレシアに見せる間もなく、次の瞬間プレシアにアルフを投げ飛ばす。
「なっ!?」
魔法込みの筋力によって思いっきり投げ飛ばしたアルフはちょっとした砲弾かつ目くらましとなる。
まさか今までかばっていた仲間であろうアルフを投げ飛ばすなんていうことをすると思わなかったプレセアは、つい動きが一瞬止まった。
その一瞬の間に高速機動魔法を使ってプレシアの背後に回り込み、双剣の内、右手に持ってる小振りな方のタガーを振り抜く。
プレシアはすぐさま振り返ろうとするも致命的なまでに遅い。
響の持つタガーがプレシアに当たる瞬間にさらなる魔法が発動する。
『ディザスターブレードッ!』
「ぐぅぅぅっ!?あぐっ!?」
「うおっ!?」
黒い魔力の本流が湧き上がり、力強さを増したナイフはプレシアの張る防御魔法ごと、プレシアの背中を袈裟掛けに斬り抜いた。
血が吹き出る。
覚悟していたものの、意外に多かったその血に驚きながら響はそのままアルフを回収して逃げようとした。ところで‐‐‐
『響っ!?』
「よしうまくいっだああああああああああああっ!?」
バルディッシュを片手に突っ込んきたフェイトの一撃をまともに喰らう。
なんとかアイシテルの一言で直撃は避けれたものの、今度は響の背中に一文字が入る。
「かあさんを・・・かあさんを・・・よくもっ、よくもよくもよくもぉぉぉおおおおおっ!!」
倒れふすプレシアを抱えつつ、泣きながらに叫ぶ闖入者。
もといジュエルシードの入手状況を定期報告しようとしたフェイトである。
「まてまてまて、鎌少女よ。
君は重大な勘違いをしている。
きっと大変な勘違いをしてると思うんだ・・・というかすごい痛い。
背中がすごい痛いです。」
ボロボロと涙を流しながら痛みをこらえる。
『響、ここは逃げたほうが・・・』
「いや、でも可笑しくない!?
そらさ。虐待していたからってその相手を袈裟斬りにしたのは悪かったと思うよっ!?
やりすぎだよ!
俺だって思ったよっ!!
仮にも女性の体にバッサリとした傷を付けるのは抵抗があったよっ!?
責められるかもな~とちょっとだけ覚悟したよ!?」
でもでもっ!と言葉を続けようとするが背中の痛みで押し黙ってしまう響。
確かに行き過ぎな気がしたけど、よりにも寄って何故に虐待されていたはずの娘さんが母親を庇うのか。
そして殺されそうだから、洗脳されそうだから一歩間違えば殺しちゃうかも~という怖さを押しのけて、足先から頭のてっぺんまで一般人の響は、アイシテルの言うとおりに非殺傷設定を解き、プレシアにそれなりの負傷を負わせて、それでひるんでる間にアルフと一緒に逃げようと思ったのだ。
アイシテルの作戦とはつまり油断してる今のうちに今だ見せてない魔法で一気に手傷を負わせて、ひるんでる間に逃げちゃおう作戦である。
作戦はうまくいった。
うまくいったはずだったのだが、ここでフェイトが帰ってきてしまったのが困ったところ。
「・・・はっ。」
ここで得心がいったとばかりに頷く、つもりだったが背が引きつってうまく頷けない響は気づいた。
「は、はじめから俺を殺すつもりだったんだなっ!?」
ででーんっ!
そんな効果音が鳴ったような気がする。
響はこう考えたのだ。
児童虐待を受けた子供が、それも10歳にも満たないであろう子供が虐待してる母親をかばうわけがないっ!と。
ゆえにこれは始めからアルフも込みの八百長バトル。
もとい、響に対して肉体的、精神的ともに多大なダメージを与えようという山田君の作戦に違いないとっ!!
おそらく既に山田君は原作メンバーでハーレムを作っており、その中にアルフやフェイト、最悪あのプレシアも入っているのでは?と考えた。
もちろんのこと実際は違う。
フェイトにはプレシアが優しかった頃のアリシアの記憶が埋め込まれている。
昔は優しかった。
今は変わってしまったけれど、ジュエルシード集めやそれに伴う研究で疲れているからだ。
そうフェイトは思っているのだ。
始めから虐待していたならばとっくにフェイトは逃げていた。
なまじ優しかったあの頃のキヲクを知っているがために『きっとこれが終われば』、『いい子にしてればいつかは』、『ジュエルシードを集めさえすれば』という希望が持てる。いや、”持ててしまう”。
ゆえにフェイトは母親を見限れない。
情が深いのもあって、母親を切れないのだ。
が、そんな複雑な事情、響にとってはしったこっちゃない。
いくら魔法が使えるといえども10歳児以下の子供がそこまで情にあついわけがない。
中身一般人であるがゆえに一般人的な考えのもとそう判断したのだ。
確かに多少の矛盾はある。
その割にはアルフは本気でボコられていたとか、そんな回りくどいやり方が必要かなど。
腑に落ちない点は多い。が、『10歳児が虐待してくる親をかばう』という行為に比べれば些事である。と判断したのだ。
それは原作知識を持たないアイシテルも同じである。
アイシテルはもちろんそういったアルフの行動などに疑問を抱えてるが、上記のフェイトがプレシアを庇ったという奇妙な行為よりも、それらの方がまだ何かの事情があると考えやすい。
結果。
「・・・覚えてろよ・・・ぜったいに・・・ぜったいに、絶対に仕返ししてやるんだかなぁあああああああああっ!!」
響は負け犬の遠吠えよろしく、泣き叫びながら逃げていくのだった。