魔法少女まどか☆マギカ~心を写す瞳~   作:エントランス

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どーもーォ。
ゼ○ティリアでヒロインだと思ってた娘に、迂闊にも募金してしまい、クリア後遂に心が折れてしまったエントランスデース。 せっかく目当てのラバーストラップ当たったのにィィ!!コンチクショーォォッッ!!
…………ごめんなさい。少し取り乱しました。
まぁ何はともあれ、言い訳がましいかもしれませんが、心が挫けてモチベーションだだ下がりの中で書くのはツラかった。本当に。ToVとかで穢れを浄化してなかったら憑魔化してたかもしれない。
そのぐらいツラかった。

消えるつもりはありませんが、
次回はもう少し早く投稿出来たらいいなぁ。

……愚痴はそこそこに、それでは本編をどうぞ!


双子山

◆◇◆◇◆◇◆◇

 

その後、俺が目覚めてからしばらく経ち…。

 

 

「────でさ、今さらだけど…なんで俺、お前の病室で寝てんだ?」

 

気絶していた恭介が回復して、巡回で見回りに来たナースさんが俺を見るなり慌てて先生を呼びに行った後、周囲を見回していて俺はようやく自分の寝ていた場所を知った。知ってて当たり前だ。よく遊びに行く恭介の病室だったからな。

道理で目が覚めた時から見覚えのある場所だと思ってたよ。

 

……ただ、意識を失う前は確かに魔女の結界にいたはずなのに、何故ここにいるのか疑問が残る───が、とにかく俺は恭介の病室に一つ増えたベッドの上で、栄養補給の点滴を打たれながら寝かせられていた。

 

しかし誰が剥いてくれていたかは知らないが、目の前のテーブルに置いてあったこのウサギの林檎は美味しかった。恭介の所にもあったけど、別にいいよな。

 

「……ねぇ、その前にそれ僕の分の林檎だよね?

自分の分があっただろ。なんで人の林檎、当たり前のように食べてんの?」

 

文句ありげな顔で、此方を見てくる恭介。

器の小さい男だと思いながら林檎を頬張る俺に、俺を診断をしていた先生は頷くと。

 

「うむ、これだけ食欲があれば明日にでも退院していいだろう。

いやーやっぱり若いっていいねぇ。元気があって」もっさ もっさ

 

「上条君も負けてられないわよ。

いっぱい食べて元気モリモリにならなくちゃ」もっさ もっさ

 

「なんで元気モリモリの人達が僕のバナナを食べてるんですか?」

 

恭介の見舞い品であるバナナを、通りがかった恭介の患者友達らしき小さい女の子と一緒に食いまくっていた。

 

「ゆま、バナナ好きぃ♪ ありがとう バナナのお兄ちゃん」

 

「ゆまちゃん。

バナナのお兄ちゃんじゃなくて、お兄ちゃんのバナナだからねそれは」

 

屈託無い、眩しい笑顔で笑うゆまちゃん(推定9歳)に、

若干、犯罪者臭い事を言って苦笑いしてる恭介(ロリコン?)。

 

ったく、チビッ子相手に卑猥な。

 

「バナナバナナってうるせぇ。

発情期中に死んだチンパンジーの生まれ変わりかテメェは」

 

「そっちのバナナじゃねーよ!!

小っさい子の目の前でなんつーこと言うんだァァァ!!」

 

滅多に見せないクワッとした顔で声を荒げた恭介は大きくため息を溢し、少し疲れた様な顔で『もういいよ』とバナナの話題を切り上げて俺の最初の質問に答え始めた。

 

いやいや全然良くねェて。見ろ。向こうでゆまちゃんがナース長に、

『そっちのバナナってどこのバナナー?』って聞いちゃったよ。

これくらいの子は好奇心旺盛なんだから、言葉には気を付けないと…って、ああっ!ちょっとナース長ォォ!! ナース長も真面目に、

『ゆまちゃんのママが夜によく食べてるパパのヌルヌルバナナよ』とか生々しいこと教えなくてもいいから!? 六十過ぎのおばちゃんが言うとリアルだよ!!

え? ヌルヌルじゃなくてヌメヌメ?

 

余計生々しいわッ!

 

……話が脱線したな。

まぁ、俺が入院してる経緯を知りたいなら本当は俺の診察を終えた先生とナース長から聞きた方が早かったんだけど…。

肝心のその二人はというと、最近リニューアルした水○黄門のとあるシーン。

偶然を装ったドジで悪代官をうっかり殺ってしまう八兵衛こと、うっかり刃血(ハチ)兵衛。『へへ、こりゃうっかり』と腹黒く笑い、主人の努力を全て無駄にする脇役にあるまじきシーンが見たいと言って無駄話をした後、二人はゆまちゃんを連れて『お大事に』と言い残し、恭介の見舞い品を脇に抱えてそそくさと帰ってしまった。

 

……ごめん。やっぱ5、6個ほどツッコんでいい?

 

「えーと、どうしてここにいるのか、だっけ? 覚えてないの?」

 

「あー、病院出た辺りから少し、記憶が曖昧でな。

……色々あったんだよ」

 

心の中でそんな葛藤を繰り広げてると、恭介に何があったのかを尋ねられた。その場は、記憶のせいにして設定で適当に誤魔化しておいたが、今更ながらこの誤魔化し方は少し強引だった気がする。けどまぁ、本当は魔女に殺されかけました、なんて言えるわけない。

頭の心配されるだけだ。

 

「ふーん……って言われても、僕もよくは知らないんだよね。何時も通りリハビリを終えて部屋に帰ったらベッドが一つ増えてるし、おまけにそのベッドの上にクロトが寝てたんだ。こっちが驚いたくらいだよ」

 

「ハハッ、そりゃそうだ」

 

それが当たり前だ。

いきなり知り合いが自分の病室で入院してたら、俺でも驚くわ。

 

「まぁ聞いた話によると、ここに運び込まれた時の君は多少衰弱している程度で、身体に異常は無くて寝てるだけだった。でもクロト、全然目を覚まさなくてね。流石に心配だったから念の為に入院してたんだよ」

 

「怪我や病気でも無いのに入院してたのか? んな大袈裟な」

 

衰弱くらいなら寝てりゃ治るだろ……っていっても、もう昼過ぎぐらいか。

まぁ少し寝過ぎだとは思うけど、わざわざ入院するほどじゃ……。

 

しかし俺のその苦笑いも恭介の次の言葉を聞けば、呆然へと変わり消えていった。

 

 

 

 

 

「はぁ……大袈裟じゃないって。

四日も寝たきり(・ ・ ・ ・ ・ ・ ・)だったんだ。入院してて当たり前だろ」

 

 

 

 

 

「──────へ?」

 

……四日!? 一晩じゃなくて!?

 

「俺、四日も寝てたのか…?」

 

「はい、今朝の朝刊」

 

「…………ほんとだ」

 

恭介から投げ渡された新聞の日付を見れば、確かに見舞いに行った日から四日が経過していた。

……なるほどな。道理でさっきから身体に力が入らねェわけだわ。

四日ぶりに動かす筋肉は、寝起き直後みたいな気だるい感覚がずっと続いてるみたいで動かしにくい。まぁ右手を握ってみれば徐々に感覚も戻してくるし、動けないこともないが……先生の言う通り、元通りになるには一日くらい必要かな、こりゃ。

 

「クロト何時まで経っても目を覚まさないから、クラスの皆も心配してたしね」

 

「…みたいだな」

 

隣のテーブルを見りゃ分かるよ。

千羽鶴やら花束、果物などの見舞いの品が小山になるほど積まれてるし。

しかし千羽鶴なんて時間のかかるヤツ、この短期間でよく折れたモンだ。

 

「死んでも死ななそうなクロトが入院なんて余程の大事(おおごと)だったから、みんな気合い出してここでも折り鶴折ってたっけ…。まぁ大事無くてよかったけど……本当に、何があったんだい?」

 

「……何が、か…」

 

恭介にそう言われ、俺は何となく自分の掌を見る。その手に魔女の眼を刺した時の嫌な感触が残っているのを感じ、その手応えが夢じゃなかったことを物語っていた。

 

「────まっ、少なくとも…楽しそうな事じゃなかったよ」

 

「………そっか…」

 

手で顔を隠し、言葉を濁す俺に恭介は心中を察したのか、それ以上何も聞かなかった。

 

「まぁ、言いたくないのなら何も聞かないけど…────とりあえずクロト。今日もさやか達と一緒に暁美さんもお見舞いに来ると思うから、来たら彼女にお礼言っときなよ」

 

「お礼? 何の事だよ」

 

追及してこない恭介の心遣いに感謝し安堵してると、不意に恭介がそんな事を言ってきた。

だから最初、言ってる意味が分からなかった俺は思わずそう恭介に聞き返す。

 

「何って、キミをここまで運んで来てくれた事に対してに決まってるだろ」

 

「────っ!? あいつが、俺を…?」

 

「なんだ、それすらも覚えてないのかい? はぁ、まったく、重たいキミを必至に背負って} 此処まで運んで来てくれた恩人だっていうのに…!」

 

薄情なヤツを見るような白い眼で非難してくる恭介の視線を無視し、俺は魔女の結界での最後の記憶を思い出していた。

 

遠くで気を失っている先輩に、此方に走ってくるまどかとさやか。

鋭い牙を自分に剥き、文字通り必殺の一撃を繰り出そうとしてくる魔女───そして、血塗れで動けない自分に抱き付く、女の子特有の柔らかい感触と仄かに香った甘い匂い。

 

「そうか。やっぱり最後のあれは、あいつだったのか…」

 

あの状況下で俺が今も生きてるのはおかしいと思っていたが…ようやく合点がいった。

 

「はぁ……また、助けられたな……」

 

同じ女に何度も護られたというのは、男として情けなく思う。

いくら戦う力が無くて仕方なかったとはいえ、な。

 

手っ取り早く力が欲しいなら、キュゥべえと契約するって手もある。

実際キュゥべえからは、俺が契約さえすればどんな無茶苦茶な願いも叶うし、間違いなく魔法を使う者として最強の存在になれると太鼓判も貰ってる。

なら何故そうしないのかといえば、この理由も……ほむらなんだよなぁ。

まどかには話さなかったけど、キュゥべえが契約の話を持ちかけてくる時のほむらの目。何故会ったばかりの俺達にそんな感情を抱いてくれるのかは知らないが……あれは大切なものを必死に護ろうとしてるヤツの目だった。

俺も前に雪山でまどか達と遭難した時に見たことがある。それは寒さで倒れたアイツ等をどうにかしなきゃって必死に考えていた時、沢の水辺に映った俺の目と、一緒だった。

 

……死にかけた時に見た“目”だったから、今でもよく覚えてるよ。

そんな目をしてるからこそ、会ったばかりのアイツを信用出来た訳だし、ほむらがあそこまで契約を拒むには何か理由がある。

 

だが、ほむらに聞いても理由は話さないだろう。そういうヤツだ。

そう思った俺は、見た目通り騙されやすそうなまどかには本当の理由を言わず契約を延期するよう持ちかけ、その理由を探ろうとしたんだ。

だから、先輩が魔法少女見学の話を持ちかけて来た時は、渡りに舟だった。

 

魔法少女の秘密を探せるかもしれないし、この眼…写輪眼を使いこなす鍛練にもなったからな。おまけに、幸か不幸か…今回の事で更なる力のきっかけを手に入れた。

 

「─────万華鏡写輪眼……」

 

まどか達が襲われた時に開眼した写輪眼。

今まで感じなかった新しい感覚を、自分の中に感じる。まだ試してはないが、この調子なら何時でも自分の意思で万華鏡写輪眼に切り変えられると思う。

 

戦う力は手に入れた。

これなら足手まといにならず、契約もせずに魔女と戦える。

……後遺症が少し、怖いけどな…。

 

……だけど、不思議だ。

この写輪眼は俺の知る限り、ある条件下じゃないと開眼しないと思ってた。

────親しい人の死…────

親しい人の死によってもがき苦しみ、苦悩の極みの先に開眼すると…夢の中で誰かが言っていた気がする。確かに、まどか達が死にそうになって無力な自分を恨みはした。だがこの眼が開眼したのは、まどか達がまだ生きている時だった。条件を満たしているとは言いづらい。

 

「なら、どうして……」

 

分かってる事は、俺自身が自力で覚醒したんじゃない。

あの感覚は、まるで誰かが俺の後押しをしてくれたような───…そうだ。

開眼する前に体験した奇妙な白昼夢。

誰かに宛てたメッセージのような、あれは一体……。

 

「────…ト! おーい、クロト!」

 

「ん? 恭介…?」

 

そう考えていたら、恭介の呼ぶ声が聞こえた。

思考の渦の中に呑まれていた俺は、どうやら恭介の声で我を取り戻したようだ。

 

「やっと気付いた。……大丈夫? 急に独り言を言い出したりして…。やっぱりまだ、何処か調子が悪いんじゃ…」

 

「…いや……」

 

もう少し、考えを纏めておきかったが……仕方ない。

 

「考え事をしてただけだ。問題ない」

 

考える事なら何時でも出来る。

一先ず、俺はこの考察を保留にしておくことにした。

 

「大丈夫ならいいけど、病み上がりなんだから無理しない方がいいよ」

 

「サンキュ。……それで? 俺が寝てる間、他に何があった?」

 

「あっ、うん────」

 

その後も恭介は語る。

俺の看病に来る知久さんやまどか達の他に、暇さえあればずっと俺の傍にいたのがほむらで、恭介はその時にほむらと自己紹介を済ましていたそうだ。

 

だから恭介がアイツの名前を知ってたのか。

 

ちなみにさっき食べていたウサギの林檎も、俺がいつ目覚めても食べられる様にと、ほむらが剥いてくれていたらしい。ついでに恭介の分も。

ほんと寝てる奴にイタズラしようとする誰かと違って気も回るし、優しいヤツだ。

まぁ結局、全部俺が食ったんだけど…。

 

「あんな凄い美人の女の子にずっと看病されてたんだ。そりゃあムカついて、呑気に寝てる馬鹿にイタズラしたくなるってもんだよ ちくしょーっ!! この果報者! 」

 

涙目で男の醜い嫉妬をぶつけてくる恭介。

 

「知るか! つか朴念仁なお前だけには絶対言われたくねぇよ!!」

 

第一、お前はお前で連日さやかがお見舞いに来てくれてるじゃねぇーか!

それでさやかの気持ちに気付かないお前にどーこう言われる資格はないだろ!!

 

「朴念仁? それどういう意味?」

 

「……いや、なんかもう…いいや」

 

ダメだこりゃ。

 

「ふーん……あっ、そう言えば…」

 

「ん? どした?」

 

すると唐突に、何かを思い出した恭介が手をポンっと叩く。

 

「看病で思い出したんだけど、

暁美さん達の他にもう一人キミの看病をしてた人がいたなぁ、と思って」

 

「まだ居たのかよ。誰だそれ」

 

どんだけ個人の看病についていたのかと呆れる半面、それだけ俺を心配してくれる人が多かった事に嬉しく思いながら、俺は恭介に誰なのかと疑問をぶつけた。

 

 

そして、俺の疑問を解決するように、その人は突然現れた。

 

 

「黒崎くーーーんッッ!!!!!」

 

バガァァァァン!!

 

「「どおわあああぁぁっっ!!?」」

 

聞き覚えのある声と共に病室のドアが突然壊れる程の勢いで……てか実際ドアを蹴破って破壊し、俺と恭介の間を横切るように吹き飛ばす。

ついでに勢い余って、一瞬で鉄屑と化したドアが射線上の本棚を粉砕して───……あっ! 確かあの位置にあった動物図鑑って、恭介のエロほ───んっゴホン!

と、とにかく! 『ぼ、僕のコレクションが…』と悲痛な声で嘆く恭介を横目に、

一体誰か何事かと、かつての病室のドアのあった所を見れば、そこには────

 

「せ、先ぱ────むぎゅっ!?」

 

俺達の先輩で、魔法少女でもある巴先輩だった。

そして先輩は起きてる俺を見るなりダッシュで駆け、俺の頭に抱き付く。

頭を抱き締めるという事は当然、スタイル抜群である先輩のマシュマロみたいな感触の双山が、甘い香りと共に俺の顔を包み込んでいる。

あぁ、まどかとかでは絶対有り得ない、ありがたい感触。

ある意味役得ではあるが……。

 

「ああ、よかったぁ!

廊下で貴方の声が聞こえたらと思ったら…やっと眼が覚めたのね!!」

 

「む゛ーっ! ヴぅーーっっ!!?」

 

だがしかし、それはこの万力で締め上げるかの如くな馬鹿力がなければの話だ。

痛み自体はクッションがあるから痛くはない。

だけど密着した呼吸器官は全て塞がれてしまった。

 

気持ちいい新感覚っ! けど息が出来ないのが苦しいっ!

 

抜け出そうにもろくに力の入らない身体なのにその上、締め上げてくるこの腕力。

恐らくだが魔法で強化もされているんだろう。

びくともしねェ!

 

「まったくもう!

全然起きないから死んじゃったかと思ったじゃない!! 心配したんだから~」

 

「ムグァ~~~っっ!!!」

 

「巴センパーイ。そろそろ離さないと、クロト二度と目覚めませんよー」

 

呼吸困難で苦しむ俺と胸の凶器で殺しにかかってくる先輩を尻目に、

哀愁を漂わせた空気を纏い、粉々になって亡くなったコレクション達を泣く泣くゴミ箱に埋葬しながら、他人事の様に告げる恭介。

 

 

タ ス ケ テ

 




取り敢えず、今回はここまで。
しばらく入院編になるかと思います。

次回は、マミさん暴走!?

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