魔法少女まどか☆マギカ~心を写す瞳~   作:エントランス

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前に文章が見にくいって苦情があったので、見直してみたんですけど……。

スッゴい読みにくかったです。
改めて見てみると酷いもんですねぇ。

自分の文才の無さが恥ずかしい(*/□\*)

なので、ボチボチ加筆や修正等をしていこうかなっと書き直しを始めています。
稚拙な文を載せてしまいスイマセンでした。

長文で長々と書いてしまいましたが、それではドウゾ♪



夜の会談と魔女の卵

~とある公園・クロト達帰宅後~

 

「はぁ~…夢の中で、死んだ両親があの世でもイチャイチャしている光景を見たわ」

 

「良かったわね、生きてて。死んだら貴女、その両親の間で空気よ」

 

「……私はあの世でもぼっちなの?」

 

クロト達が帰宅した後、さっきまで公園のベンチでほむらの治療を受けてやっと回復したマミ。

変な走馬灯が見えて気分が滅入っている所に、あの世でもぼっちなのかと思うと思わずため息が漏れた。

 

「───それで?私が噛まれている時、わざわざ接触型の秘匿念話でキュゥべえを遠ざけて、私と貴女の二人で話し合いたいって言ってきたけど、何の用?暁美さん」

 

あの時、定春に噛まれてクロトと一緒にマミを救助する際、ほむらは対象に直接接触して誰にも念話を傍受されない特殊な念話を使いマミに話し掛けていたのだ。

この場合ほむらが警戒していたのは念話の中継も出来るキュゥべえだろう。

中継が出来るという事は、当然、傍受も出来るということだからだ。

 

改めて周囲を確認すると、ほむらは静かに語り出す。

 

「単刀直入に言うわ。……もうこれ以上クロト達を戦いの場に連れ出すのは、やめて欲しい」

 

「どういうこと?」

 

いままで彼女が着いてくる限り魔女退治の見学については何も言わなかったのに、何故急にそんな事を言うのか分からないマミは少し目を細めてほむらを見る。

 

「確かに危険かもしれないけど、そんなのこれからも私達があの子達を護っていけば…」

 

「そういうことじゃないッ!」

 

『護っていけばいい』と言いかけるマミに、ほむらは少しキツい口調で違うと言い放った。

言った後、ハッとしたほむらは深くため息を吐き、気を落ち着ける。

 

「……ちょうどいいから貴女に私がこの街に来た理由を幾つか話す」

 

「…ただ転校してきたわけではないのね?」

 

マミの問いに、ほむらは頷いて話を続ける。

 

「第一にキュゥべえによるクロトとまどかの契約の阻止」

 

「それは分かるわ。ここ数日一緒にいたけど、貴女キュゥべえが契約の話を持ってこようとしたら、毎回邪魔してたものね。……一緒に帰らせて良かったの?」

 

「問題ない。まどかの家には、あの子──定春が見張ってくれてるから。変な事をしようとしたら()()()使()で止めてくれるらしいわ」

 

実力行使と聞いてマミは頭を押さえて顔を青ざめさせる。

どうやら、先程の噛み付きがトラウマになってしまったようだ。

 

「そして第二、これがこの話の一番の理由だけど、クロトの写輪眼の覚醒を阻止する事」

 

「? それがどうしていけないの? あの未来さえ見通すような圧倒的な動体視力。身を守るにはもってこいだと思うけど」

 

マミが思い出すのは、魔女の結界内で紅玉のような輝きを放つ瞳を持つ少年が、攻撃してくる使い魔の間をすり抜けて斬り裂く光景だ。

キュゥべえと契約もせずに、ほぼ戦えない二人をフォローしながら戦う少年…あれほどの逸材はいない。

 

そう思っていると、ほむらは瞳を写輪眼に切り換える。

 

「この瞳の力はそんな動体視力なんて生易しいモノじゃない。

この状態でさえ、辺りにある魔力の流れを見切って魔女の結界を特定したり、対象と視線を合わせるだけで強力な催眠、幻術の行使が可能なのよ」

 

「っ!?そんな事が!?……そう…それで貴女はあんなに簡単に魔女を…」

 

以前から気になっていた、ほむらの魔女探索能力の高さの理由をマミは理解した。

彼女にしてみれば魔女の結界など、ナビのガイドラインが丸見えしている様なものだ。

 

「……理由は分からない。けど、同じ写輪眼を持つ私だから分かる。最近、あの人の写輪眼は日に日に力を増している。このままいけば恐らく、クロトの瞳は…───“万華鏡写輪眼”に…」

 

「万華鏡…写輪眼?」

 

聞き慣れない単語に首を傾げるマミ。

ほむらは正直、()()キュゥべえを信用しているマミに眼のことを話すべきか迷ったが、理解を得るためには仕方がないと割り切った。

 

「写輪眼の上位眼。……本来は、ある特定の条件を満たした者が開眼する特殊な写輪眼の事。開眼後にはそれまでには無かった力が付加されるの」

 

「あの時、貴女が見せた力、か……ますますデタラメな瞳ね。それ…」

 

『あの時』とは薔薇園の魔女の時に巨大ソファーに大穴を空けて消し飛ばした“神威”の事だろう。

アレを見れば、写輪眼を知らないマミでも万華鏡が如何に強力な能力を持っているのかが伺えた。

しかし、ほむらは首を横に振り気落ちした声で追加補足を入れる。

 

「…いくらデタラメな力を持っていても、大きな力にはそれだけ危険(リスク)も大きい。

使用すれば使用者の身体に大きな負担と、使えば使うだけ視力の低下を引き起こす」

 

「…まぁそれだけ強力な能力なんですもの。

それぐらいのリスク当然よ…ね───!?ちょっと待って!…もしかして貴女が危惧している事って…」

 

「…そう、私が恐れているのは、クロトが万華鏡写輪眼に覚醒した後。

自分の身体の負担を省みずに、万華鏡写輪眼を乱発して……最悪─────死に至ること」

 

自分の想定(イメージ)が頭を過り、マミから顔を背けてギリッと強く手を握り締める。

…暫く二人の間でグッと息の詰まる様な沈黙が流れながらも、マミは声を震わせ重々しく口を開いた。

 

あの子(クロト)が、そんな、ことをする、と…?」

 

「…するわ、絶対ッ!……彼は、優しすぎる。それだけで自分の死もいとわない程に…。

その優しすぎる心が私達を戦わせまいと、護ろうと、彼を戦いへと導いて彼を破滅の道に向かわせる」

「………黒崎君の事、よく知っているのね」

 

「………………」

 

クロトの本質を見抜いている様な言動にマミは気になって少し探りを入れるが、ほむらは沈黙してしまった。

その様子を見て、どうやら言い難い事だろうと判断したマミは、軽くため息を漏らす。

 

「ハァ、分かったわ。明日からもう魔女退治の見学は無しだって、私から伝えておくから」

 

「…いいの?」

 

自分の一方的な言い分を信じてくれたマミに、ほむらは呆けた表情で顔を上げて再度確認をとる。

 

「貴女から言い出したことなんだから、今さら遠慮しないの!後輩なんだからもっと先輩を頼りなさい。

 ───それに……大事なんでしょ?彼のこと」

 

「……ええ」

 

「フフ♪なら、気にしない気にしない♪

……私だって後輩がそんな末路を辿るなんて、ごめんだわ。命より大切なモノなんて、無いんだもの…」

 

軽く微笑んだ後、契約した時の自分の過去を思い出したマミは一転、哀しげな笑顔と少し憂い気を含んだ声になりそう言った。

ほむらはそれに『ありがとう』と短くも、何処かホッとした顔で礼を返した。

 

「出来るなら誰も契約しないようにも頼みたいけど、…まだ、諦めていないのね?」

 

「当然よ、あの子達はキュゥべえに選ばれたんですもの。それに、彼にその眼が無くても、あれだけ才能ある子を放ておけない。

……貴女も諦めていないんでしょう?」

 

「ええ。契約させる気も、戦わせる気もない」

 

「なら、お互い様。私達はお互いの行動に文句は言わない様にしましょう。

前にも言ったけど、結局ところ最後に決めるのはあの子達なんだから」

 

二人はお互いで妥協点を求め、魔法少女同士の無益な争いに発展しないようそう取り決めた。

 

「なら、最後に第三の理由だけど…」

 

「まだあるの!?」

 

「むしろコレが私の最終目的──」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

───ワルプルギスの夜の討伐──

 

 

 

「───っ!? ワルプ、ルギス……天災の、魔女…」

 

「この街に来るわ。…協力……してくれるわね」

 

ソレの名前を聞いただけで眼を見開き、動揺しながらもそう呟くマミ。

その後も二人は何度も話し合い終わった頃には、ほむらは何時も通り無表情で、マミはほむらから手渡された蒼いドレスを着た歯車仕掛けの人形の絵が描かれている古文書を片手に、二人は別れてそれぞれの場所に帰依するのあった。

 

 

────時間は流れ、翌日……。

 

───────

 

─────

 

───

 

 

~見滝原私立病院~

 

本日の学業も終了したクロトとまどか、さやかの三人組は上条恭介のいる病院に来ていた。

さやかは昨日、あまり長く居なかった為、二人を残して一人でお見舞いに行き、

クロトとまどか、着いてきていたキュゥべえは待ち合い室でノンビリしている。

 

因みに、今日は散歩と称して定春も来ているが、今は身体が大きいから病院に入れず駐輪場でお昼寝中だ。

 

「さやかちゃん遅いね」

 

「かれこれ三十分は経ってるんだが……。なにやってんだアイツ?」

 

『気になるなら念話で聞いてみればいいじゃないか。

遠くとか地下なら兎も角、病院内なら余裕で圏内だよ?』

 

「……念話って、そんな携帯みたいな弱点があったんだ…」

 

「イマイチ便利だか不便なんだか分かんねぇ能力だな」

 

『まぁそこは仕方ないね。契約すればそんな弊害は関係なくなるんだけど…──あっ来たよ』

 

キュゥべえがエレベーターの方を見ると、確かにさやかが降りて来ていた…が、なんかフラフラ身体を揺らしながら此方に近付いてくる。

 

「さ…さやか、ちゃん?」

 

「────まどか、クロト…」ドサッ

 

クロト達の目の前まで来たさやかは、急に膝から崩れ落ち、OTL状態で落ち込んでいる

どうしたのだろうか…?

 

「おっ、オイ大丈夫かよ。お前」

 

「どうしたの!?上条君に会えなかったの?」

 

「……会えた…けど…」

 

さやかは崩れ落ちたまま手に持っていた色紙を二人に見せる。

既にスラスラと、何か書かれているが…

 

「何コレ。サインの練習?」

 

「神浄 狂助、亞岐路 劉矢、明智 恭太郎?? 誰だよコレ…」

「………アイツの、漫画家(・・・)としての、ハンドルネーム…」

 

「「───は?」」

 

変な事を言うさやかに、頭に大量の疑問符を浮かべるクロトとまどか。

 

──ヴァイオリニストじゃなくて漫画家!?何故に!?

 

二人がそう思うのも無理はないだろう。

 

「ま、マテマテ。どういう事だ!?」

 

「上条君ヴァイオリンを弾く為にリハビリを頑張ってたんじゃないの!?何で漫画家に…」

 

「……クロト。昨日、あんた“無限の可能性”があるんだ的な事を言ったでしょ?」

 

「あ…ああ」

 

「そしたらさぁ恭介、何に影響されたか知らないけど、万年筆片手に

『今の時代は漫画家だ!』とかいって、どのハンドルネームがいいか決めてくれって、こんなん渡されちゃった……」

 

『君の幼馴染みは大丈夫かい?

どうして音楽家の道から、全く関係ない漫画家の道に路線変更するんだ。…ホント訳が分からないよ』

 

「アタシだって訳が分かんないわよっ! つーか、ムカつくことに無駄に画力高ぇーし!!」

 

涙目で、見てよコレ!と突き出された原稿用紙の見開きページには、

デフォルメされて爪先立ちでポーズを決めている、活発そうな女の子の絵が…

 

「うわぁ~……上手い」

 

「昨日の今日で、もう一話分描いたのかよっ?! スゲーなアイツ!!」

 

「……なんか、もう露○先生みたいにインク手裏剣とか使って、あっという間に仕上げちゃった……。

読んで感想を聞かせてくれってさ…───もう私、アイツが何を目指してんのか分かんなくなった…」

 

『ふーん。何々…』

 

キュゥべえは落ち込んでいるさやかを無視して原稿用紙を、耳手を使い器用にページを捲っていく。

 

『───フムフム……どうやらコレは、片想いの少女が怪我をした想い人に献身的に付き添うが、鈍感な想い人は気付かない。なかなか少女が報われない物語のようだね』

 

「グハッ!!?!?」

 

────さやかの精神的急所にクリティカルヒットッ!!!!

 

「………なんか、スッゴく身近で聞いたことのあるようなストーリーだね」

 

「ソレをコイツに読ませて感想を聞こうとするとか────鬼かアイツは」

 

「あんまりこんな事言いたくないけど読めば読むほど、さやかちゃんにとって嫌がらせみたいな漫画だよ」

 

「報われないって所がエグいし───天然って怖ぇな」

 

 

二人は恭介のあまりの空気の読めなさに、苦笑いを浮かべる事しか出来ず、

再びOTL状態になってしまったさやかが倒れ()し、待ち合い室がちょっとした騒ぎになってきた。

そんな感じで目立ってきたし、もう此処に用のなくなった二人は、さやかに肩を貸して病院を出ていく。

 

 

 

 

 

 

「ハァ、これからコレを読まなきゃなんないかと思うと、憂鬱だわ~…」

 

「あ、アハハ…」

 

強烈な精神攻撃のダメージから幾らか回復したさやかだが、足取りは遅く、顔色は少し悪い。

そうして定春のいる駐輪場まで、定春を迎えに行っていると…

 

「ギャンギャンッ!!」

 

「? 定春どうしたの?」

 

定春は駐輪場近くの柱の壁に向かって吠えている。

 

「なんか、知らない奴がまどかん家に来た時みてぇに吠えてんな」

 

「落ち着いて定春!壁がどうし…て、ああッ!!」

 

「何が───ッ!! おいおい、コイツは…」

 

吠える定春を宥めて定春が怒っている原因を見てみると、柱の壁には鋭い棘の付いた球体が…

 

『グリーフシードッ?! 大変だ。孵化しかかってる!!』

 

「嘘!?…何でこんな、よりによって病院に…」

 

「病院だからだろ。ここには呪いの影響で()いやすい、魔女のエサ(生命力)が山ほど居るからな」

 

頬に汗を流して苦い顔をするクロトだが、そうしている間に孵化直前のグリーフシードは点滅を繰り返し、時間の無いことが伺える。

『マズいよ、早く逃げないと!もうすぐ結界が出来上がる!』

 

「またあの迷路が!?どうすれば……二人とも、マミさんかほむらの奴の携帯、聞いてる?」

 

「え?ううん」

 

「そもそも持ってんのか? 二人がスマホ操作してるの、俺は見たことないぞ」

 

「あっ……アタシも見たことない。まずったなぁ…」

 

電話による連絡も絶望的、念話で呼び出そうにもキュゥべえの話だと、距離が開きすぎて念話が届かない。

そう考えたさやかは…

 

「二人とも、先行ってマミさんを呼んで来て。あたしはこいつを見張ってる」

 

「はぁ!?」

 

「そんな!!」

 

『無茶だよ!中の魔女が出てくるまでにはまだ時間があるけど、結界が閉じたら、君は外に出られなくなる。彼女達の助けが間に合うかどうか……』

 

「キュゥべえの言う通りだ。やめとけ! 俺たちは二人が行きそうな場所なんて知らねぇんだぞ? 手懸かりも無しじゃ、捜し出すのも時間が掛かりすぎる」

 

「うぅ……だけど…」

 

「わん」

 

「え?───うおわっ!? な、なによコイツ」

 

「定春?」

 

さやかが自分の案の甘さに嘆いていると、後ろにいた定春がさやかが肩に架けていた鞄を口に(くわ)えて奪い、まどかの前に置いて前足で鞄をカリカリとつつく。

 

『……開けろってことじゃないかな?』

 

「───なんだろ…さやかちゃん。開けていい?」

 

「う、うん」

 

許可を取って鞄のファスナーを開けると、定春は開いた鞄に口を突っ込んで何かを探している。

三人はそれを見守り、少しすると鞄の中から…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「「ブラジャー?」」

 

『ブラジャーだね』

 

「あっ…ヤバッ」

 

女性用下着───きわどい紫色のブラジャーを取り出し、咥えていた。

 

ソレを見たクロトは、サッとすぐさま顔を逸らす。

おそらく、友達の物であろう下着をじっくり見るわけにはいかないと思ったのだろう。

 

しかし、まどかは ふと気付いた。

 

「あれ?このブラジャー……さやかちゃんのにしては────かなりサイズが大きいような……」

 

「誰がちっパイじゃァァァーーーー!!!!」

誰も“小さい”なんて言ってない。

だが『そんな小さな事は気にしねぇ!』

とでも言わんばかりに、さやかは拳を握って振りかぶり全力で振り抜いた。

 

 

 ───メキッ───

「ブフォッ───何で……俺…?」

 

 

クロトに…

 

「アタシがまどかを殴れるわけないじゃん」

 

理由があきらかに理不尽だ。

 

「コレ、マミさんのだよ。ほら、この前 私たちがマミさん家を漁った時、

エロい下着だったから猿飛先輩に売ろうかなぁ、なんて思って鞄の底に仕舞ってたの忘れてた」

 

「お前、あれ冗談じゃなかったのか!?」

 

「おまけに猿飛先輩って、仁美ちゃんに欲情してた危ない先輩だよね?

 それを使って、影でムラムラ解消されてるマミさんが可哀(かわい)そすぎるんだけど……」

 

「あ、アハハ~。……でっでも、そのブラがどうしたんだろ?」

 

まどかの掌に置かれた下着を三人…いや二人が見詰めていると、定春は下着に顔を近付けてスンスンと匂いを嗅ぐ。すると…

 

「ワンワン」

 

『乗れ』とでも言う様に、舌を出して伏せの状態で待ち、まどかの顔をジーッと見ていた。

 

「────…もしかして定春、コレでマミさんの匂い追えるの?」

 

「ワン」

 

まどかの言葉に、定春は肯定するように軽く吠える。

 

「決まりだな。まどか、お前はこのまま定春に乗って先輩を探せ」

 

「クロ君は?」

 

「俺はさやかの護衛だ。使い魔くらいなら俺でも何とかなるだろうし、魔女が産まれても、逃げ回って誰かが来る時間くらいは稼いでやるさ」

 

『……危険だよ?』

 

「承知の上だ」

 

キュゥべえの最終警告にもクロトの意思は変わらず、キュゥべえは仕方ないとばかりにため息が漏れ…

 

『分かった、そこまで言うなら僕も着いて行こう。結界内なら彼女たちがここまで来れば、テレパシーで僕の位置が分かる。 ここで二人と一緒にグリーフシードを見張っていれば、最短距離で結界を抜けられるよう、誘導できるから』

 

「ホント?……ありがとう。キュゥべえ」

 

「まぁそういう事だ。此方は何とかなるから救援、頼んだぞ。まどか」

 

「任せて! よいしょっ、と…行こう定春!!」

 

「ワン」

 

マミの所在を掴む為、ブラジャー片手にまどかは定春に跨がって、匂いを便りに街へ駆けていった。

 

 

……まどかの後ろ姿が見えなくなると、クロトの隣にいたさやかはポツリと…

 

「───……悪いね。こんな事に付き合わせて…」

 

「気にすんな。ダチの居るこの病院を、放っておけなかっただけだ。……お前もだろ?」

 

「アハハ……まぁね。怪我してる幼馴染みがいるんだもん。私が護んなきゃ…」

 

「……無理すんなよ」

 

「あんたこそ」

 

クロトは鞄からクナイを取り出してベルトに挟み、念のため瞳を写輪眼に切り替えると

笑いながら、さやかと拳と拳をぶつけ合う。

そうしているとグリーフシード の輝きが増し、周囲を呑み込むほどの光が放たれる。

 

『───…来るよ』

 

 

 

 

────光が放たれた後、其所には学生の物と思われる鞄が三つ

駐輪場の道に転がっているのが、確認された……。

 

 




次回はお菓子の魔女編です。

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