魔法少女まどか☆マギカ~心を写す瞳~   作:エントランス

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あらすじ

今日はヴァレンタイン♪ほむらはクロトを誘い遊園地へ暗殺者(笑)はそれを追う
尾行は続きジェットコースターへ
しかし、その時、前から仲間が降ってきた!?その真相は…


番外編 ヴァレンタイン企画 遊園地デート 後半戦

────時間は発射前に(さかのぼ)る────

 

~発射一分前~

 

「クロト!私、最前列がいいわ!景色が綺麗らしいの」

 

「いやお前、景色楽しみたいならゆっくり動く奴にしろよ」

 

「──ダメ?」

 

ほむらはクロトを不安そうな顔をして、上目づかいという女特有の反則技に出た。

大抵の男はそんな事をされれば、大体の奴は堕ちるだろう。

だがまぁ、クロトはほむらを呆れた顔をして見るとため息を吐く。

 

「…ハァ…いや、お前が良いなら乗ってやるよ」

 

そう言うとクロトは最前列の席に着いてほむらを待つ。

 

「フフ♪ありがとう」

 

ほむらはそう言ってお礼を言うとクロトの隣に座り、発射までの時間をクロトと喋りながら待っている。

 

そんな様子を後ろの席から眺めている青髪の少女がいた。

 

「ううぅ……いいなぁ。私も本当は恭介とここに来るハズだったのにぃ」

 

さやかは前の席に座るクロト達の席の後ろを羨ましそうに眺めている。

来れなかった原因は彼女にあるのだが…

 

そうこうしている間にアナウンスが始まり、発射まで後もう少しのベルが鳴る。

さやかはこれから来るジェットコースター特有の恐怖に耐える為、眼を瞑っている。

 

────これからそれ以上の恐怖が来ることも知らずに……─────

 

 

 

パシュッパシュッパシュッパシュッ

 

「───へっ?」

 

<私とクロトのデートの邪魔をしようだなんていい度胸ね。美樹さやか>

 

自分の近くから何か音がして念話が聴こえたため、さやかは眼を開けると……ほむらが席の間からサイレンサー付きのベレッタを構え、此方を覗き込んでいた。おまけに銃口から煙が出ている所を見ると、既に何かを撃った後だったようだ。

 

<ほむら!?あっアンタ気付いてたの!?>

 

<当たり前じゃない。何処の世界に中学生の女子がグラサンを掛けてマスケット銃を持ち歩いてるのよ>

 

<……ですよね~>

 

そりゃそうだ。

ほむらは銃口から出ている煙をフッと口で吹くと懐に仕舞い、さやかにこう告げる。

 

<発射五秒前ね────いいのかしら?>

 

<なっなにがよ!>

 

<ベルト──>

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

<────取れてるわよ────>

 

 

 

<……え゛?>

 

さやかは降りているベルトを軽く上げてみる───すると、

 

      ガゴッ

<ギャアアアアアアアアア!!!!>

 

なんと、さやかのベルトは簡単に壊れて外れてしまった。

それを見たさやかの顔はサーッと真っ青に変わる。

 

<ほむらァァァ!!!アンタ今の銃で撃ち壊したわね!?>

 

<さぁね。生きてたらまた会いましょう>

 

<コノヤローー!!>

 

その言葉を最後に念話は切れてしまった。

 

──マテマテマテマテェェェ!!まままっま、まずい!お、降りなきゃ!!

 

───発射一秒前

 

「ヤメテェェェェェェ!!降ろしてェェェェェェ!!」

 

──だ、ダメだ!!間に合わ──

 

 

───FAIYA(ファイヤ)

 

 

 

─────こうしてさやかは風になった──────

 

 

 

~そして現在~

 

「だ、だだ誰でもいいから助けてェェェェェェ!!」

 

「さやかちゃん落ち着いて!!」

 

「おい、マミ!!早くリボンでさやかの身体を固定しろ!!」

 

「わ、分かったわ!!美樹さん掴まって!!」

 

マミは強風が叩きつける中、魔法でリボンを作り出し風に乗せてさやかに渡す。

───だが…、

 

「あわわわわわリボンリボン“金色のグルグル”のリボン」ガシッ

 

「へっ?───ッ!!?キャアアアアアァァァ!?いたっ!!いだだだだだ!!髪ッ髪がアアァァァ!!」

 

あろうことか錯乱していたさやかは、目の前をヒラヒラ(なび)いていたマミのシンボル(象徴)

 

 

─────金髪の縦ロールをしっかり握り締めていた。

 

 

「もげるゥゥゥゥッ!!!私の…私のドリルがもげるゥゥゥゥッ!!!!」

 

「わっバカ!!さやか、お前それマミのドリルじゃねぇーか!!」

 

杏子は離せと言いたかったが今、手を離すと落ちてしまうため言えない。

まどかはそんなマミの様子を見ようと顔を(のぞ)いてみると──、

 

「うわっ、マミさんの顔が凄い事になってるよ、杏子ちゃん」

 

「髪引っ張られて顔の皮膚がつり上がってんだよ!!パッツンパッツンになってんだよ!!───こわっ!?」

 

「あれ? ていうかコレ痛くて泣いてるのかな?怒ってるような笑ってるような……いまいち感情が読み取れないんだけど」

 

「笑ってねーことだけは確かだよ!!」

 

マミの顔はさやかによって髪を後ろに引っ張られ、口角と眼はつり上がり、眼からは涙が零れている。

しかし、苦難はこれからだ!!

 

「あっ!……杏子ちゃんまずいよ。前見て!!このジェットコースター名物。

───“ワルプルギス五連続ツイスター”だよ!!」

 

「あぁ!?───…ヤッベェ…」

 

まどかの指差す先はレールが上空に向かって五回転ひねりツイストしてあるコーナーだった。それはまさしく天に導く“竜巻(ツイスター)”のよう…

そうなれば髪を引っ張られているマミと空中を舞っているさやかは遠心力によって───

 

 

「「ギャアアアアアアアアアァァァァァ─────」」

 

 

当然こうなる。

この後も苦難の連続のコーナーばかりだが、書ききれないので割愛させていただく。

 

 

~ジェットコースター終了後~

 

「想像以上に迫力あったわね。海も見れて綺麗だったし」

 

「そうだな───でも、気のせいか? 発射直前に、後ろから聞き覚えのある声が聴こえた気がしたんだが」

 

「気のせいよ。その証拠に誰も居なかったじゃない」

 

「まぁ…確かに──ん?なんかお前から硝煙の匂いすんだけど…何か撃ったのか?」

 

「ええ、使い魔(美樹さやか)彷徨(うろつ)いていたから倒しておいたわ」

 

「こんな所までいるのか!?…まぁ…良くやったな」

 

クロトはほむらの頭をクシクシと撫でるとほむらはうっとりし、ほむらはさやかに心の中で礼を言う。

 

──たまには美樹さやかも役に立つわね。感謝するわ。

 

……とても突き落とした本人の言葉とは思えない。

そんな二人の後方にいる四人はというと、

 

「おい、しっかりしろよさやか」

 

「マミさん大丈夫ですか?」

 

「「…………」」

 

さやかとマミから返事はない。

 

あの後、マミのドリルに掴まることでジェットコースターから無事生還出来たさやかだが、

激しい遠心力で揺られてしまい、終わった頃には自分で立っていられないほどグッタリしている。それはさやかに髪を掴まれていたマミも同様だ。

杏子とまどかはそんな二人の腕を首に回して肩を貸してなんとか立たせている。

 

「まどか、()()えずこの役立たずどもをベンチまで運ぶぞ」

 

「う、うん!」

 

 

………。

 

……。

 

ジェットコースターの後、マミとさやかを引き摺るようにベンチまで運ぶと、杏子はクロト達を追い掛けるのを諦め、少し遠くから眺めて見守ることにした。

 

「ハァ……アタシ達、何やってんだろうな」

 

ため息を吐きながら楽しそうに遊んでいる二人を眺め、杏子はブルーな気分になった

 

(はた)からみたら、一組のカップルを追いかけ回すグラサンをかけた怪しい集団だよね」

 

「アタシを仲間に入れんなよ」

 

杏子のツッコミにもキレがない、余程疲れているみたいだ。

 

「にしても楽しそうだなアイツら───恋か…」

 

「……私は認めないわよ」

 

「マミか……起きたのか」

 

「うぅ~ほむらのやつ~何てことすんのよ」

 

杏子が二人を見て物思いに(ふけ)っていると、マミとさやかは復活した。

 

「まだそんな事を言ってんのかい?いい加減現実を見ろよ。

ありゃどう見ても仲のいいカップルじゃねぇーか」

 

「まだ早いのよ!!中学生の男の子って一度(さか)ると猿の様に手がつけられないのよ!?」

 

「テメェはアイツをなんだと思ってやがるッ!!!」

 

マミのあんまりな言い分に杏子は思わず怒鳴る。

そんなコントをしているとクロト達を見張っていたまどかから声が掛かった。

 

「あっ…マミさんマミさん! アレを見て!!」

 

「!!」

 

全員の視線がまどかの指差す方をみると、それは巨大な歯車を模した観覧車だった。

見ればクロト達もそこに向かっている。

 

「あー…アレは観覧車に行くつもりだね。間違いないよチューするつもりだよ」

 

「「エエ!?そうなの!?」」

 

マミとさやかはまどかの言葉に驚く。

 

「二人とも知らないの? 観覧車っていったらチューでしょ♪チューするために作られたんだよアレ」

 

「そうなの!?知らなかったわ!──ッハ!?弟君が危ない!!」

 

マミはバッと立ち上がりどこかに向かう。

さやかとまどかもマミに着いていくが、さやかはある疑問をまどかに聞いてみる。

 

「でも、まどか。アンタよくそんな事知ってたわね」

 

「え?だって私の初キスも観覧車だったし」

 

「……なんですと?」

 

さやかが親友が自分より先に初キスを済ませていたという驚愕の事実に、頭の中が真っ白になっているとまどかはそんなさやかをほっといて、ポケットからスマホを取り出し何処かに電話をかけた。

 

「───あっもしもし…うん私だよ…今日は空いてる?…良かった♪実は今日この前乗ってきてた“アレ”で遊園地に来て欲しいんだけど…OK?ありがとう♪…うん、じゃあまたあとでね。『ピッ』皆、こっちだよ」

 

まどかはそう言い走ってマミと呆然としているさやかの手を取り、二人を何処かに案内する。

 

 

三人を見送り残された杏子はというと、

 

「────恋…ねぇ」

 

杏子の脳裏に昔の記憶がフラッシュバックする───幼少の頃に封印してきた記憶だ。

 

 

あれは…そう、まだ自分が小さな頃の事だ。

あの頃自分の両親は周りが羨むほどおしどり夫婦として有名だった、近所の人からは──、

 

『杏子ちゃんのお父さんとお母さんって仲が良いのねぇ』

 

『へへッ♪そうでしょアタシのオヤジとお袋は世界一仲良しなんだ』

 

『ふふ、そうなの…夫婦円満の秘訣は何なのかしら?』

 

『良く分かんないけど、二人は毎晩愛し合ってるんだって♪』

 

『アラアラお熱いのね』

 

 

───ザッザザザザッ───

 

 

『うぅトイレトイレ──ん?何の音だ…オヤジの声?』

 

深夜、トイレで起きた杏子は夫婦の部屋から自分の父親の声が聞こえて来た好奇心が沸いた幼い杏子は、ドアの隙間から覗いてみた。…そこには、

 

 ビシッ ビシッ ビシッ

『うっ!オフッ!ウグァ!』

 

『ホラホラどうした!いい声で鳴きやがれ!!豚がッ!!』

 バシィン

 

『ファッフゥ!!もっとだ!!昔の君はもっと激しかった!!』

 

『こうかい!!!!』

ズバシィィィィン

 

『ヒャアァァァン!!……そう!そうだ!!』

 

 

『オヤ……ジ?……オフ…クロ?』

 

 

───ザザッザーーーーー───

 

その日から少女は恋なんて所詮、夢物語だと思うようになった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「…………クックック……恋なんて、幻想だと思ってたのによ」

 

 

 

 

~観覧車~

 

数ある観覧車の一室。

夕陽に照され、もうすぐ頂上に着き街が一望出来る頃。

 

「フゥ…今日は遊んだな、久しぶりだぜ。こんなに楽しかったのも──ありがとな」

 

「いいえ、お礼を言うのは私の方よ──ありがとう」

 

二人の少年少女が向かい合って座っている。

 

「ハハ、何の礼だよ」

 

「今日この日に私の誘いを受けてくれたお礼よ」

 

「今日?……あっもしかして」

 

「ええ」

 

ほむらは頷くと、ピンク色のバッグからラッピングされた包みを取り出す。

 

「ハイこれ───受け取って」

 

「あ、ああ……おお!」

 

クロトは包みを丁寧に開けると、そこにはクッキーや生チョコ等が入った見事な出来映えの物で、思わず感嘆の声が出る。

 

「い、一応手作りだから、おいしいか…分からないけど」

 

「いや…メチャクチャ旨そうだ。食っていいか?」

 

「───うん」

 

「じゃあ、いただきます。……うまっ!」

 

箱の中からクッキーを一つ食べると思わず本音が漏れた。

どうやら予想以上の美味しさだったらしい。

 

「旨いなコレ。お前店開けるんじゃないか?」

 

「ふふふ、そんな事ないわよ。料理って“爆弾”を作るのに(くら)べたら簡単よ」

 

ほむらの言葉にクロトは顔をヒクヒクと引き吊らせる。

 

「ははは聞かなかった事にするわ。……でも、コレ、手作りって事は、その…」

 

 

「……うん───本…命……」

 

 

「………」

 

「………」

 

─────(しば)しの間二人の間に静寂の時間が流れる。

その顔は夕陽の紅い光りに照され、二人がどんな顔色なのか(うかが)う事は出来ない。

 

「…それでね。へ、返事を……聞かせて、欲しいの」

 

「そう…だな。……あのな、前々から言おうと思ってたんだ。だが勇気が無くてな…」

 

「…うん」

 

クロトは頭をかきながら夕陽を見ている。

 

「でも、お前のチョコで勇気貰った。

───俺はな、ほむら。お前が…」

 

「お前が……なに?」

 

「俺はお前がす『バラララララ──』ア?なんだようるせーな!!」

 

ちょうどいい所で邪魔されたクロトとほむらはムカつき、音の発生源を見る。

それは直ぐ見付かった───真横だ。

 

 

「「は?なんじゃありゃああ!!」」

 

 

そう、二人の目の前に現れたのはホバリングしている────ヘリコプターだった。

 

「ク、クロトなんでヘリコプターがこんな所に!?」

 

「知らねーよ!大体、遊園地にヘリが来ていいモノなのか!?───ん?…あれは……まさか!」

 

ヘリコプターの側面に描かれているマークを見た瞬間、クロトの脳裏に嫌な予感がよぎった。それを確かめる為にクロトはスマホを取り出し、ある人物に電話をかける。

少しして、その人物は電話に出た。

 

 

 

 

 

『あら、ごきげんようクロトさん』

 

「ごきげんよう……じゃねぇーよ!!コレはどういう事だ!!───仁美!!」

 

クロトの電話の相手はどうやら友人の志筑仁美だ。

 

『どうなさいましたの?そんなに大きな声を出して』

 

「とぼけんな!!このヘリはお前の差し金だろうが!!」

 

『ヘリコプター?はてさて……なんのことやら』

 

「お前以外あり得ねぇーだろ!!ヘリ持ってる奴なんて

       その証拠にヘリに────お前ん家の“家紋”があんだよ!!」

 

そう。

クロトが見たマークとは志筑財閥の家紋で、クロトも志筑家に遊びにいった時に良く見ていたものだった。

 

『あー…バレてしまいましたね。そうです私です。実はまどかさんに頼まれまして』

 

「はぁ!?なんでアイツがそんな事を」

 

『それは───ちょっと待ってくださいな。今、風の影響でヘリがッ…よし!えーと何でも抹茶?抹殺?良く分からないのですが、それに協力して欲しいと。まぁ私もちょうどチョコを作り終えたので別にいいかなっと思いまして…』

 

「……色々ツッコミたいが、気になる事を言ってたな。……仁美、お前今どこにいる?」

 

『?目の前にいるじゃありませんか──ほら』

 

すると、目の前のヘリはコクピットが見えるように旋回した。

そこにはヘルメットを脱ぎ、手を振っている志筑仁美の姿が───、

 

「仁美ィィィィィ!!おまっ!?何でヘリ操縦できんだよ!?」

 

『免許はちゃんと持っていますわよ?ハワイに行った時にお稽古の一環で取ってきましたわ

。その気になれ攻撃用ヘリ“アパッチ”も操縦できますし』

 

「どんな稽古だよ!!そんな稽古あんのか!?」

 

『あら、コナン君だってヘリコプターを操縦してたではありませんか? あんな小さな子が出来て、私に出来ない道理はありませんわ』

 

「アレ高校生Verで取ったヤツだから! お前中学年!!それとお前は戦争にでも行く気か!!?」

 

『そうはおっしゃられても──あら?まどかさんどうしたんですの?ドアを開けろ?ハイ、了解です』

 

「まどか?おい仁美、そこにまどかもいるのか?」

 

『はい♪いらっしゃいますよ。他にもお二人ほど……皆さんグラサンを掛けて、何やら銃のような物を持っているのですが…』

 

「そんな危ない奴ら乗せたのかよ!?天然もほどほどにしとけよ!!」

 

『では開けますね♪』

 

「人の話は聞け!!お嬢様ァァァァ!!」

 

クロトの叫びが室内に響く中、ヘリコプターは再び横に旋回しドアがガラッと開く。

───そこには三人の銃を構えた魔法少女の姿があった。

 

「ま、マミ姉!?さやか!?どういう事だコレは!?説明しろまどか!!」

 

   チャカ

「クロ君は詳しく知る必要は無いんだよ」

──ウェヒヒヒ♪私の狙いはクロ君だけどね。

 

   チャカ

「クロト!アンタは離れてなよ。じゃないと撃つよ!!」

──いや…この機会にもろとも…。

 

   チャカ

「弟君は騙されてるのよ!今助けるわ!!」

──あんのメ○豚がァァァ!!

 

 

 

 

「「「殺し屋魔法少女13(サーティーン)お命頂戴する!!」」」

   ジャキキン

 

そう言うと三人は一斉に銃を構える。

 

「はぁ!?何ムチャクチャな事を…」

 

クロトは狼狽えて混乱しているが、ほむらは変身しクロトを庇うように前に躍り出た。

 

「クロト!危ないから下がってて──来なさい。私が相手になるわ!!」

 

「ほむら!?なんでいい雰囲気だったのに、いきなりバトルになってんだ!?」

 

「貴方は何も知る必要は無い。……これからも…お願いだから私に、貴方を護らせて」

 

彼女は左腕の盾を構えてシリアスな雰囲気をだしている──まるで最終決戦のようだ

 

「それ死亡フラグ!!なんで観覧車の一室でこんな事になってんだよ!?」

 

「話は後──来るわ!」

 

────両者の間で緊迫の空気が流れる────

 

 

 

 

 

 

 

 

『やめときな!無粋な真似をすんじゃないよ』

 

 

 

 

「「「「「!!?」」」」」

 

その時、両者の間に割って入るように新たな声が響く

 

「そ、その声は」

 

クロトは声の発生源───観覧車の屋根の上を見ると彼女はいた

 

「あっあれは…」

 

マミも見覚えのある姿が現れ狼狽える

 

「杏子ちゃん!!!」

 

そう、杏子だった彼女は魔法少女に変身しグラサンをかけ槍を肩に担いでいる

しかし、彼女は──

 

 

「杏子?誰だそれは」

 

 

 

 

 

彼女は腰を落とし槍を投擲する手に力を込めた。

                   

「─── アタシは恋の魔法少女アンコ13(サーティーン)

人の恋路を邪魔するバカは消え去れ──」

                

 

『飛槍!!』

 ビッ!!

 

   ズガシュッ

「あっ!!プロペラがっ…」

 

アンコ13から放たれた槍は、そのままプロペラの根元を貫いた。

 

「ダメです!舵が効かない。航行不能!!海へ不時着します!!」

 

「「「あああああああああああ!」」」

   ドボォォォォォォオオン

 

──こうして魔法少女を乗せたヘリコプターは海の藻屑へと消えた。

 

 

アンコ13はそれを見届けるとクロト達の方を向く。

 

「アタシに出来るのはここまでだ。二人でいつまでも仲良くやりな。……じゃあな」

──フン…惚れたはれたも悪かぁねぇーかもな。なぁオヤジ…お袋

 

そう言い懐からペロキャンを取り出すと口にくわえてハードボイルドに去っていった。

 

 

「……借りが出来たわね佐倉杏子…いえ、アンコ13」

 

「はぁ…何だったんだ?」

 

「気にしないでいいわ──あっ見てクロト!夕陽で街が…」

 

色々ドンパチしているうちにどうやら頂上に着いたようだ街が一望出来る

 

「ん?…あぁ、全部が真っ赤に染まって…綺麗だな」

 

「ええ…本当に…」

──でも結局…返事聞けなかったわね…ハァ

 

少し落ち込み気味のほむらを見たクロトはほむらに近付き──

 

「……なぁほむら…さっきの返事だけど」

 

「それは……もうい──ッ!?……んっ」

 

───夕陽で出来た二つの人影は一つの人影となった──

 

 

「……コレが俺の気持ちだ」

 

「……うん…嬉しい」

 

「これからもよろしくな……ほむら」

 

「これからもよろしくね……クロト」

 

 

夕陽が優しく見守る中、ここに一組の恋人が誕生した

 

 

────これはあるかも知れない…もしもの……ifの物語────

 

 

 

 




ご視聴ありがとうございました♪

突然ですが、誰かシャーマンキングと東京レイヴンズのコラボ作品作れないでしょうか?
主人公はハオで読んでみたい

追伸
二話の少し先の未来の話を少し書き足しました

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