魔法少女まどか☆マギカ~心を写す瞳~   作:エントランス

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すいませ~ん遅れました。…いや別に遊んでた訳じゃなくて
新キャラ(?)の設定を考えるのに苦労したもので考えるのに気付いたら二週間以上
経ってました。
あっでもそのお陰で、2日置きに更新出来そうです。

総合評価の採点の仕方が変わりました。
もしよろしければ評価をつけてみてください。
もちろん感想もお待ちしております。

長くなりましたが、それではドウゾ♪


三巡目 泥棒と広がる不信

~路地裏~

 

「それにしても貴女がこの街に戻って来てたなんて意外ね……自分から出て行ったのに」

 

そこには見滝原の魔法少女全員と一人の魔導士が集まり、襲撃者の少女──佐倉杏子を取り囲んでいる

彼女はマミと以前からの知り合いで、この見滝原に居を構えていた事もあったそうだがマミとトラブル

になり街を出ていったそうだ。

 

「……るっせぇ…アタシにもいろいろあんだよ」

 

杏子が不貞腐(ふてくさ)れてソッポを向いていると、ほむらは杏子に近寄り()

 

「そのいろいろの部分を聞きたいわね、何があったのかしら?…察しはついてるけど」

 

「暁美さんどうしたの?」

 

どうしてそんな事を聞くのか分からないマミは疑問に思いほむらを見る

 

「巴マミ、おかしいとは思わない?この街で私とクロトの写輪眼を知っている存在は限られているわ

それも瞳の能力を知ってたし…それが他の街にいた佐倉杏子の耳に入るなんてどう考えてもおかしいわよ」

 

そう、現在この見滝原でクロトとほむらの写輪眼の事を知っているのは街にいる魔法関係者だけのハズだ。

何故それだけかというとマミからの提案だった。

マミはクロトとほむらから写輪眼の能力を聞いて、ソレがグリーフシードよりも価値のあるものだと

分かっていた。

そしてその事を他の魔法少女達に知れ渡れば写輪眼を狙って、魔法少女同士で争いが起こる事も

容易に想像がつき、クロトとほむらがその争いで傷付く事をみんなが危惧した。

その為、写輪眼の事は見滝原の関係者以外には秘密だった。

 

「それは…確かに、でもどうして……」

 

ほむらが疑問に思っている事をマミに告げると、マミは指を顎に当てて腕を組んで考え込む

だがある種の直感なのかほむらはもう犯人に気付いているようだ

 

「私はこの中に写輪眼の事を他の魔法少女に話した人がいるなんて、思って無いわ。

知れば欲しがる魔法少女なんていくらでも出てくるなんて分かっているし、貴女達がそうするハズがない

……そう私は信じている───アイツを除いて」

 

「アイツ?……誰なの暁美さん」

 

マミは仲間を売るような人物に心当りがないし信じたくもない、なので自然と重い声でほむらに聞いてしまった。

しかし、ほむらはマミの質問に答えず、再度杏子に聞いた

 

「佐倉杏子」

 

「アン?なんだよ」

 

「貴女にこの写輪眼の事を話したのは、おそらく──」

 

 

 

 

 

そして次のほむらの言葉を聞いた瞬間、全員が息を飲むのを感じた。

 

 

 

 

 

 

「キュゥべえね」

 

 

「「「!!?」」」

 

「なっ!?暁美さん何を言って『何で知ってんだよ』…え?」

 

「……確かにこの情報はアイツから聞いたんだ『魔女の気配』が見える奴がここにいるって」

 

マミはほむらの言葉を否定したかった、いつでも自分といたあの相棒とでも言うべき小動物が、自分の

後輩を危険に追い込むような事を話すハズが無いと否定したかった

 

だが、それは杏子によって、更に否定された、長い付き合いだ…マミは杏子が

嘘を言っていないかどうか位は分かる──その眼は嘘を言っているようには見えなかった

 

「え?…なんでキュゥべえが…そんな事……」

 

まどかはその事実を聞きショックを受けている

 

「まどか…そうね…いいわ。私の知っているキュゥべえの事を話す。

それに……そろそろ私も言うべきだと思ってたし…ね」

 

そんなまどかを見たほむらは限界だと思ったのか、あの事を言う決意をした

 

「…アンタ何か知ってんのかい?」

 

「ええ、全て分かっているわけでは無いけど…でもここではダメ。後日、人工島の工場に

集合しましょう。もちろんキュゥべえに気付かれないように気を付けて」

 

「ほむら何でここではダメなんだ?」

 

「……アイツが何処にいるか分からないからよ」

 

ほむらは周囲を見回し、キュゥべえがいない事を確認するとクロトにそう言った

 

「ついでよ佐倉杏子、貴女も来なさい。教えてあげるから」

 

「チッ!上から目線かよ」

 

「今の姿を見て下からは言えないわね」

 

「うぐっ」

 

確かにリボンで拘束され、(はりつけ)の姿では格好はつかない

ほむらの言葉に杏子は(うな)るしかなかった

 

「……分かったよ行くよ!行けばいいんでしょ」

 

痛いところを突かれ杏子は渋々といった表情で了承した。

それを見ていたさやかは先程の戦いの事もあり、クロトとほむらが心配になり釘を指す。

 

「コラあんた!もうクロト達を襲ったりすんじゃないわよ」

 

「うっさい!ヒヨっ子は黙ってろッ!!……ハァ…言われなくても襲ったりしねぇーよ。

アタシは敗者アンタらは勝者だ。敗者は大人しく勝者に従うさ…キュゥべえの事も気になるしね」

 

どうやら彼女の中での定義は勝者が全てらしい

杏子の言葉を聞き全員が、付き合いのあるマミを見て大丈夫かアイコンタクトで確認するとマミは頷いた

「…今日の所は帰りましょう。遅くなってしまったわ……いいわね。キュゥべえには気を付けるのよ?」

 

空を見上げながらそう言うほむらに全員が頷き、みんな帰路につく。

 

 

…………

 

……

 

 

 

「ねぇほむら、アンタ銃を構えていたけど使えるの?」

 

しかし、その帰り道、路地裏を出る前にさやかはほむらにそんな事を聞いてきた。

 

「一応ね、巴マミの銃には限りがあるからそんなに頻繁には使わないけど」

 

「アレ?私、暁美さんに銃なんてあげたかしら?」

 

「なにを言っているの?そんな訳ないじゃない。コレは貴女が戦っている時、空中に出てきた奴を時間を

停めてコツコツと盗って貯めておいた物よ」

 

「そうなのっ!?」

 

ほむらから語られる衝撃の事実にマミは驚いた。まさか自分の後輩が自分から地味に窃盗を

繰り返していたとは…その時マミはハッとし、そういえばと戦っている時の事を思い出していた。

 

「おかしいと思ったわッ!確かにここ最近出てくる銃の数がやたらと少ない気がしてたのよ!」

 

「別にいいじゃない……減るものでもないし」

 

ほむらは顔をそらして図々しくも開き直り、

 

「ほむらちゃん思いっきりマミさんの魔力が減ってるよ」

 

全く悪びれもしないほむらに、まどかからツッコミが入った。

 

「で?ほむらが銃が使えるからってどうしたんだ?さやか」

 

「あー…うん実はさぁ前々から思ってたんだけど私、剣で戦っているからコイツの爆破に

何回も巻き込まれそうになってるんだけど、今日みたいに銃でなんとかならないかなぁーと思って」

 

「爆破?んー…さやかちゃんだけじゃない?私巻き込まれそうになったことなんて全然ないよ」

 

「私もよ」「俺もだ」

 

どうやら危なかったのは、さやかだけのようだ

 

「なんでよっ!?マミさんとまどかは飛び道具だから分かるとして、なんで私と同じ接近戦のクロトが

大丈夫なのよっ!!」

 

どうにも納得出来ないさやかはほむらに詰め寄る。

それに対してほむらは腕を組みこう言い切った。

 

「そんなのクロトが傷付かないように私が細心の注意を払っているからに決まっているじゃないッ!!」

 

「私はッ!? 」

 

 ファサァ

「視界にすら入らなかったわ」

 

「クロトと私の扱いの差が酷すぎる!!」

 

髪をかき上げながらそう言った。どうやら眼中にも無かったようだ。

だが、流石に憐れだと思ったクロトは助け船を出すために、ほむらにこんな提案を出した。

 

「まぁ、確かに爆弾は威力が大きいが、小部屋みたいな密室じゃ巻き込まれて危険なのは確かだな」

 

「!…それは…そうだけど」

 

開き直っていたほむらだが、クロトの正論にほむらはたじろぐ。

 

「それに、せっかく写輪眼があるのに爆弾だとあんまり意味がないからな。ここはさやかの言う通り

銃を主体にして爆弾をサブの装備にしてみろ。それならその動体視力を活かせると思うが」

 

「………そうね、クロトの言う通りよ。そうしましょう」

 

「……ソレ言ったの…さやかちゃんだと思うんだけどなぁ~」

 

まどかのその呟きは誰にも聞こえなかった

 

「でも肝心の銃はどうすれば……流石に巴マミから何時も奪うわけにはいかないし」

 

「当たり前よ!」

 

「う~ん…銃、銃…あっほむらちゃんアレ!アレ見て!」

 

「「「「え?…あ、アレは!!」」」」

 

ほむらの銃はどうするか全員が悩んでいる中、まどかはあるものを見つけ指差した。

全員がまどかの指差す方向を見ると、路地裏からちょうど見える位置にある看板が出ていた。

 

    錦○組

 

……思いっきり893の事務所だった

まぁ確かにあそこなら銃器はもちろん弾丸も日本刀もあるだろう

 

「やったね♪あそこなら誰にも迷惑を掛けずに武器を揃えられるよ♪」

 

「まどか…お前」

 

幼馴染みの過激な発想に思わずドン引きするクロト

しかしあんな所で銃の窃盗をしようものなら逆に蜂の巣にされてしまう

 

「それはそうだけど……どうやって忍び込むの?」

 

「う~ん……アンタが時間を止めちゃえばいいじゃない?」

 

「いいわねそれ!それで行きましょう。皆で行くわよ!」

 

また銃を強奪されてはかなわないのか、マミはヤル気十分だ

 

「でもマミさん、時間停止はほむらが触ってないと俺達まで止まるんだろ?どうするんだ」

 

「簡単よ。私が暁美さんにリボンを巻いておくから皆はリボンを身体の何処かに巻いておけばいいわ」

 

そう言ってマミは早速リボンを作り出し、ほむらの腰に巻き付けると端をクロト達に渡した。

 

「ヨシッ!じゃあ行きますか!!これで私が爆殺されなくなるなら893に泥棒するくらい安いもんよね♪」

 

「……さやかちゃん嬉しそうだね」

 

自分の命の危機が減ると分かってハイテンションになったさやかにまどかは苦笑いだ

そんなまどかの苦笑いを見たほむらは申し訳なさそうに謝る

 

「まどか…ゴメンねこんな事に付き合わせて」

 

「ううん、友達でしょ♪」

 

「……うん」

──……ありがとう…まどか

 

ほむらはハニカミながらそう言ってくれる友達・まどかに感謝の念を送り静かに頷いた。

そして全員がリボンを巻き終える

 

「──っと…よし!これでオッケーだな…じゃあ早速行きますか。ほむらっ!」

 

「ええ、みんな行くわよ!」

 

全員が頷くと、ほむらは左腕に装備されているギミック式の盾に手を伸ばし起動させる。

 

カシャン

 

次の瞬間、五人の姿は忽然と消えてしまった

 

それを見ていた路地裏に磔にされている少女は、現実離れした現象にボーッと見ている事しか出来なかった。

だが、しばらくしてハッと正気に戻った頃にある疑問が浮かぶ

 

「………おいマテ…コレ(リボン)は誰がといてくれるんだ?」

 

そうだった 。

実はマミはうっかり杏子を縛っているリボンを消すのを忘れていた

おまけにこのリボン、ご丁寧に能力を封じるように細工を施しており魔法も念話も使えない

その上そこは路地裏、滅多なことでは人は来ない

 

 

 

「…オイィィィィィ!!ふざけんな誰かいねぇーのかよ!?戻ってこぉぉぉぉい!!」

 

 

 

杏子はその後、一日ほど放置されており杏子を家に呼び出そうとしたマミがようやく杏子を

思い出し杏子はグッタリとした状態で救助された

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

~数日後・工場構内~

 

夕陽が海を照らし近くの工場を紅く染めパイプが(ひし)めき合い人気のなくなった場所で

少年と少女達が集まり、黒髪の少女が何かを話している

 

「これでみんな集まったようねアイツ(キュゥべえ)は?」

 

黒髪の少女──ほむらは全員に確認するように聞いた。

 

「キュゥべえなら今日は契約仲間と飲み会に行くって言ってたよ?」

 

「アラ?鹿目さんは飲み会?私は後輩の新人ホストを夜王にする為に指導してくるって」

 

「マミさんなんだよソレ!?俺は擬人化の整形手術を受けると聞いたぞ」

 

「テメェの方がなに言ってんだ!それ整形じゃなくてショッカーの改造手術じゃねぇか!!

アタシは新しい魔法少女の願いを叶えにアイドルの下着を盗んで来るって言ってたぞ」

 

「キュゥべえただのド変態じゃない!!てか願いがアイドルの下着ってどんな女の子よ!?

それに私にはワ○ピースを見付けに行くんだって言って海に旅立ったし!」

 

……何故か全員が違うことを言っている。というよりまともな解答が無い

聞いていて頭が痛くなってきたほむらは深いため息を吐く

 

「………何でそうなるのよッ!?まどかと巴マミ!姿も見えないのにどうやって飲み物注文したり、

後輩の指導したり出来るの?」

 

ほむらは二人に顔を向け呆れた顔をしている

 

「「うっ…そうでした」」

 

二人はシュンと縮こまり、次にクロトを見る

 

「クロト、キュゥべえが擬人化してどうするのよ!?いえ、それ以前に誰が喜ぶの?誰得よっ!」

 

「あー…同人誌の作者には需要があるんじゃねーの?ネタとして」

 

「────……ええ、クロトはいいわ。うん、私が悪かった。ごめんなさい」

 

「分かればよろしい♪」

何故か納得したようだ…クロトだけ基準がユルい気がする

 

「ほむらちゃん贔屓(ひいき)だよ贔屓(ひいき)!」

 

「そうよ暁美さん!!黒崎君の方が酷いじゃない」

 

だが、当然納得出来ないまどかとマミは、ブーッブーッと言ってほむらに抗議する。

 

「まどか、落ち着いて───巴マミは黙りなさいっ!良いじゃない別に何が擬人化しても!

今の時代、戦艦が擬人化する時代なのよ?今更キュゥべえごときが擬人化してもおかしくないわ」

 

「「え、ええええェェェ!?」」

 

いや、絶対おかしい

 

おそらくほむらが言っているのは艦○れの事だろう

結構無理やりな理論で二人を黙らせると、ほむらは残る二人を見下すように顔だけ向ける

 

「───佐倉杏子、美樹さやか二人は…………死ねばいいのに」

 

「「ひどくねッ!?」」

 

直球でキツい罵声を浴びせられた杏子とさやかは同時に声を上げる

だが帰ってきたのは心底バカにしたような声だった

 

「当たり前じゃない!ワ○ピース?だから貴女バカなのよ!!アイドルの下着?貴女が変態じゃないの!?」

 

「「グハァッ!!」」

 

二人は精神にダメージを受け膝から崩れ落ちた

ほむらはもう一度ハァとため息を吐き、呆れた視線を再び五人に向けて今一度確認する

 

「……もういいわ。肝心なキュゥべえはいないのね?…大丈夫なのね?」

 

五人はほむらに顔を合わせコクリと頷く。

ソレを見たほむらは真剣な顔になって本題に入る事にした。

 

「……分かった…じゃあ話すわね」

──…でも魔法少女の真実を言う訳にはいかない。あの時はクロトが私の心の支えになってくれたから

  私は絶望せずに済んだ……けど、あれを知られれば皆はきっと……

 

そんな思いを胸に秘めたまま、ほむらは眼を瞑りゆっくり語り始めた

パンデモニウムからの調査報告、ソウルジェムの真実、そして前の時間でも話した自分の事を

 

しかし、魔法少女と魔女の関係については話せなかった。

信じてくれるかも分からない…いや恐らくまどかとクロトは信じてくれるだろう。

ほむらはそれを確信ていた。

自分の中の時間ではまだ二ヶ月ちょっとだが、二人は自分の言う事をきっと無条件で信じてくれる

──そんな優しい人達だ。

 

でもソレを話してどうなるだろう……話して…それを信じた二人の中で恐怖が沸き上がってしまったら?

ほむらはそれを恐れた二人が自分のせいで魔女になってしまうのではないかと…それを恐れた。

 

───なら教える必要は無い。教えなければ二人が怖がる必要も無い。自分は大丈夫…彼が支えてくれた

だからこんな恐ろしい真実に二人を巻き込みたくはない…この恐怖と戦うのは自分だけでいい

 

そう自分に言い聞かせ、ほむらは魔女について話さないよう気を付けた。

変わりに誤魔化すようにキュゥべえについて話す。

 

 

─────いま思えば…この時のほむらの判断が、後の悲劇を生み出したのだろう

            この時、話して心構えが出来ていたなら…未来はまた変わっていただろう────

 

 

 

……………。

 

 

………。

 

 

…ほむらが話終えるまでの間、全員黙ってほむらの話を聴いていた、聞き終えた者の反応はそれぞれだ。

話を聞き自分のソウルジェムを取り出し、ソウルジェムを睨み付ける者

 

あまりの重い話にショックを受け、口に手を当てて座り込む者

 

いまだその話を信じられないといった顔をしている者

 

頭をかきながらため息を吐く者

 

そして、ほむらの話を聞き何かを考え込む者など…色々だ

そんな重い空気の中、さやかは震えた声でほむらに問い掛ける

 

「……ほむら…あんたソレ本気で言ってんの?」

 

「ええ、そうよ」

 

「だったら何でキュゥべえはそんな事をする必要があるのよ!?」

 

「それは……まだ分からない」

 

「ほらっ何の確証も無いじゃない!!だいたい未来から来たって話も───」

 

「ちょっと黙れボンクラ」

 

証拠も無くいきなりとんでもない話を聞いて少し怒り気味にほむらに問い詰めていたさやかは

杏子の威圧感を含んだ声に中断させられた

 

「な、なによ!あんたこんな突拍子のない話信じるっていうの!?」

 

「テメェこそコイツ(ほむら)の話を否定できる証拠でもあんのかよ」

 

「うっ…そ、それは…」

 

杏子の言葉に反論出来なくなったさやかは黙り込む

 

「ホラな…まぁ未来から来たかどうかは別としてアタシも今、言われておかしいとは思った

アイツはいや…アイツ等は何の得があってアタシ達の願いを叶えるのかって」

 

「それは……私達に魔女と戦って欲しくて」

 

「バカかッ!それじゃアタシ達に得ばかりでアイツ等は損しかしてねぇーじゃねぇか!」

 

杏子は声を荒げさやかを怒鳴った

杏子はある過去から、人を騙すという行為に嫌悪感を抱くようになり、そういう事に敏感だ。

そして、杏子はキュゥべえにそれと同じ様な何かを感じたようだ

 

「あのねぇこの世の中はギブアンドテイク──持ちつ持たれつで動いてんの!相手が善意だけで動く

とか絶対ありえねぇ!…その証拠にマミだって魔女を倒したらグリーフシードを必死に探す位だろ?

誰だって見返りは欲しいさ…。そりゃ確かに魔女は人にとって敵だ、だけど何で人間の問題を直接

関係無いキュゥべえが気にするんだ?……おかしいだろ」

 

「…………」

 

さやかは杏子にそう言われて何も反論出来なくなり黙り込んでしまった

それもそうだろう確かに魔女は危険な存在だが、それとキュゥべえは関係ないハズだ

しかし、キュゥべえはどんな破格の願いでも叶えるという損をしてまで魔法少女の

契約を続けている…確かにおかしい、これではキュゥべえ側にメリットは無い

 

そして、ショックを受けていたまどかは時間が経って少し落ち着き、ある疑問をほむらに聞いた

 

「………ねぇほむらちゃん、キュゥべえは何でクロ君達の秘密を杏子ちゃんに教えたのかな

……戦いになるって分かっているのに……なんで…なんで」

 

まどかの顔は不安を含んだ涙目だ。真実を知るのが悲しく、怖いのだろう

 

「………多分だけど狙いは正体不明の力を持つ私達の写輪眼──イレギュラーの調査じゃないかしら?

……以前もこの瞳の力を理解出来無かったようだし…多分、佐倉杏子を使って

能力を調べようとしていたと思うのだけど…」

 

「なっ!?アタシはダシに使われたのかよ」

 

「いままでの話が本当なら…そうなんだそうな」

 

「……チッ気に食わねぇ」

 

クロトに肯定されて杏子は舌打ちをし、今は居ないキュゥべえに苛立った

そして話すことは話したほむらは今後について話を進める

 

「どちらにしろこれ以上情報を集めようと思うならキュゥべえに直接聞くか、私の協力者

から情報を待つしかないわね…──どうするの?」

 

そう言って、ほむらは全員の顔を見てどうするかを聞いた

この場合、キュゥべえに聞いた方が確かに早いが、はぐらかされたり嘘を言うかもしれない

逆にほむらの協力者、パンデモニウムは信用出来るが、おそらくまだ時間は掛かるだろう

全員がどうするか悩み、しばらくは黙っていたが意外な事にマミから声が上がった

 

「…私は暁美さんの協力者の報告を待った方がいいと思う。

ここまで不審な行動をするキュゥべえに直接聞くなんて……危険だわ」

 

この中で一番キュゥべえとの付き合いの長いマミがこういう事を言うとは思わなかったのか

全員が眼を丸くしている

 

「いいのか…マミ」

 

「……私だって本当はこんな事、言いたくないわよ。でも、キュゥべえのせいで黒崎君と

暁美さんが危ない目にあったのは事実なんだもの…仕方ないわ」

 

マミは悲しい気持ちを抑えるように眼を()せていた

…誰も意見を言わない所をみると、どうやらみんなマミの意見に賛成のようだ

 

「……分かった。それじゃ、今後はキュゥべえに今日の話をしないように気を付けて

パンデモニウムさんから連絡があるまで、今まで通りにしましょう。

…ワルプルギスの夜の対策も忘れずに…ね」

 

 

ほむらのその言葉を最後に集会は終わりを告げた

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

───そしてあの悲劇の日

 

   ───魔法少女が…死んだ日

 

      ───真実が明らかになった───

 

 




新キャラは次回

次の更新は三月四日のこの時間です。

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