時間を進めようとしたらこうなっちゃいました。
~鹿目家・リビング~
まどかがほむらに選手交代した後、ほむらはスネークを選んで参戦する。このキャラは攻撃力も高く、攻撃
速度も速いというパワー系だが、その反面、移動速度が遅く空中戦が苦手な面もあり、操作性も難しい。
そんな上級者向けのキャラだが、戦況はもうほむらのワンサイドゲームだった…
「うおおおぉぉぉ!!ヤバい!ダメージが300%越えた!」
「クッ…暁美さんやるじゃないか、まさかこの僕がここまで追い詰められるなんて…あっ!」
ドゴーーン
「フッまだまだですね。後、タツヤ君、クロトそこ危ないわよ」
「え?───ゲッ!?C4だ!!……死んだ」
「やられたぁ」
タツヤとクロトは固まった所を足元のC4爆弾で吹っ飛ばされ、W場外でノックアウト!
そのあまりの上手さにまどかは眼を丸くする。
「……ほむらちゃん…強い」
「それはそうよ。私、三対一でコンピューターの激ムズを無傷で倒した事があるのよ?─ハイ手榴弾」
「マジか!?クソ!!通りで上手い訳だ──あっスマッシュボール…チャンス!」
クロトはメタナイトの近くに来たスマッシュボールをジャンプ斬りで一撃を与え、もう一撃でボールを取ろうとした。
「もらったぁ!!」
「そうはさせないわ!!」
だがメタナイトが着地した瞬間、横からミサイルが飛んで来てボールを破壊し、かっさらう。
「なに!?リモコンミサイルだと!?ほむら貴様!俺がボールに攻撃した後を狙ったな!!」
「ボールを取るなら誰かが攻撃した後を狙うのが定石よ?覚えておきなさい──さあフィニッシュよ!!」
『ショウタイムだ!!』
ほむらは最後の切り札『グレネードランチャー』を発動させる。
「だがコイツは狙わないと当たら“ドゴッ!ドゴッ!ドゴッ!”なんだと!?空中で正確に当てやがった!」
「しかも暁美さん、さっきから一発も外さないんだけど!?」
「…ほむらちゃん、
「………経験の賜物よ」
「その間はなにッ!?」
──それに…なんだかパパ達の動きを先読みしているような…って……ああッ!!
まどかは違和感を感じ、ほむらが何処を見ているのか気になり、ゲーム中のほむらの顔を見てみたそこには…
<クロ君!!クロ君!!大変だよ>
<うおっ!?なんだよまどか、今ヤバいんだけど>
念話で慌てた様に話すまどかに、知久達を犠牲にしながら必死でほむらの爆撃から逃げているクロトは驚き、逃げながら返事を返す。
<今なにかおかしいなぁって思ってほむらちゃんの顔を見てみたら…>
<見てみたら…なんだ?>
<ほむらちゃん───写輪眼になってパパ達の動きを先読みして狙ってるよ!!>
<え゛え゛え゛え゛ぇ!?この眼その為にあるんじゃ無いんだけど!!てかズルくね!?>
そう、なんとほむらは写輪眼の動体視力でキャラが何処に逃げるかを読んで撃つという写輪眼でしか出来ない
反則技を繰り出す。
堂々と写輪眼を使い、次々と吹っ飛ばしドンドン残基が減っていく。
<う~ん…自分の能力だから……いいのかなぁ?>
<……それなら俺も写輪眼で逃げ切ってやる>──スゥ──
<クロ君も!?ちょっと待って!これゲームだよ!?大人げないよ!!>
<俺は子供だあッ!>
<自分で言ってて恥ずかしく無いの!?>
意地になって写輪眼になったクロトは、まどかの制止の念話も無視してゲームに集中する。
その頃になると、知久とタツヤはほむらにやられてしまい、残るはクロトのメタナイトだけになっていた。
クロトはテレビを見ながら
「来い!ほむらぁ!!」
「クロト…貴方は私の眼からは逃れられない」
「ほむらちゃん…言ってる事は格好いいけど、やってる事はカッコ悪いよ」
まどかの言ってる事はもっともだった。
~時間は流れバスルーム~
あの後、勝者は結局ほむらだった。クロトはなんとかほむらの爆撃から逃げ切れたが、その直後に
ドラグーンの最後のパーツを揃えたほむらにトドメをさされ、メタナイトは残基0になってしまった。
逃げ切った!と思った所をやられてしまったクロトは、ショックを受け、ソファーで燃え尽きた様に
真っ白になってしまい、あしたのジョーの様に再起不能の状態だ。
クロトが再起不能になった事でゲーム大会は終了し、そろそろいい時間だったので、まどかはほむらと
一緒にお風呂に入る事になった。
「ティヒヒ♪それにしても、ほむらちゃん容赦無かったね。最後のトドメを刺す直前にクロ君が命乞い
してるのに、ほむらちゃん『その必要はないわ♪』て言って笑顔でドラグーン発射するんだもん♪ 」
「戦場では常に冷静な者が勝者なのよ。クロトはあそこで命乞いをする前に逃げるべきだったわ」
「……ほむらちゃんはどこの戦場の兵士なの?」
髪を洗いながらそんな事を言うほむらにまどかは頬をピクピクッと引きつらせている。
──ふと、まどかが浴槽からシャワーで泡を落とすほむらを見ると、彼女の胸に光る三日月のペンダントが
眼に入った。
それは、彼女の長い黒髪と白い肌とよく合い、ほむらの身体の一部の様に綺麗に輝く。
そのペンダントを見て、今日の事を思い出し、まどかはほむらに興味本意で聞いてみる。
「ねぇ…ほむらちゃん」
「なに?」
「そのペンダントって話を聞いた限りだとクロ君からプレゼントされたんだよね?」
「……そうね…クロトがお店でこのペンダントを見つけて、裏に術式を刻み込んで、私が何処に居ても助けに来れるようにしてくれたの…。私の……大切な御守りよ」
ほむらはペンダントを手に乗せ、微笑んだ
「へぇ~いいなぁ…クロ君形のある物、買ってくれた事無いからほむらちゃんに宝石をプレゼントするなんて
意外だよ」
「フフ…確かにね」
「“
「は、恥ずかしいからやめて///もう///」チャプッ
まどかはほむらを、からかうように笑いながら言い、ほむらは顔を少し紅潮させ、誤魔化すようにまどかと
一緒に浴槽に入った。
だが、横にいるまどかから視線を感じたほむらはまどかを見ると、視線はペンダントに向けられ、
少し羨ましそうにいていた。それを見たほむらは以前から思っていた事をまどかに聞いてみる。
「……ねぇ…まどか…貴女クロトの事……どう思ってるの?」
「え?……どう思うって……急にどうしたの?ほむらちゃん」
「……以前から時々、あなた達は幼馴染み以上に分かり合ってると思う時があったの…言葉にしなくても
お互いがどう考えてるか分かってるとか……そうね……簡単に言うわ」
ほむらは一呼吸置いて、真っ直ぐ真剣にまどかの眼を見つめる。
「まどか………クロトの事────好きなの?」
ほむらのその言葉にまどかは目をパチクリさせ、ボーっとしていたが、ほむらの言っている意味が分かると、
まどかは顔を少し紅潮させ、クスクスと笑い始めた。
「アハハ♪そっか……ほむらちゃん知らなかったんだ」
「え?…なにを」
「クスッ♪あのね、さっきの答えだけど───好きだよ?」
「!!じゃあ─」
「ううん……正確には好きだった……かな…確かに今も好きだけど…意味が違うの」
「………どういう事?……」
まどかは顔を紅くしながら、ほむらに笑いかけ───言う
「…私達────半年前付き合ってたの、もう別れちゃったけどね」
「───…え」
……ほむらはまどかの言っている意味が分からず、一瞬頭の中が真っ白になり自分が何処に居るのか
分からない様なフワフワした感覚になった。
…少しして意識が戻ってきたほむらだが、そこでほむらの中で色々な疑問が生まれ混乱している。
──クロトと…まどかが……付き合ってた!?確かに、まどかはいい子だからクロトと付き合っても不思議
じゃあない……でも…別れた?──なぜ!?──それに今まで二人を見て来たけど…とても仲が良くて、
ケンカして別れた様には見えなかった──好きの意味が違う?どうゆう事!?────
まどかの言葉がそれほど衝撃的だったのだろう…ほむらはかなり困惑しており、目を回しそうなほど
眼があちこち行ったり来たりして忙しい。
そんなほむらを見ていたまどかは予想通りの反応にクスリと笑う
「ティヒヒ♪……クロ君と付き合い始めたのは、小学六年だったかな、私ね。その頃にちょっと
危なかった事があったの」
「……それって雪山の遭難?」
「知ってたんだ」
「今日……貴女のお母様に…ね」
「…そっか…え~と…あっ!それでね、クロ君が病院である程度回復して、面会出来る様になった時、
二人っきりの時に私から告白したの、クロ君しばらくボーっとしてたけど、顔紅くしながら苦笑いして
私にね?『お前、それ…好きと思って勘違いしてねぇか?』って言われたの」
「?どうゆう事?」
「知ってると思うけど、クロ君…自分の服を私達に着せて助けてくれたでしょ?私その話を聞いて、
ドキドキしてたの、自分でも何を考えてるか分からない位にね
『私のせいでクロ君が』とか
『身を
『この気持ちはなに?』とか
…そんな色んな考えがごちゃ混ぜになっちゃって、それで、病院で面会して
クロ君に会えたと思ったら……気付いたら告白してた……多分クロ君には分かってたんだね。
私が責任を感じて落ち込んでいる所に、男の子に助けて貰った嬉しさを恋愛だと勘違いしてないかって
…私よく分かんないって言ったら……クロ君
『お前がそれを分かるまで付き合ってやるよ…よろしくな』て言って、私達付き合う事になったの」
「……聞いたことの無い告白の返事ね」
「ティヒヒ、本当にね♪まぁそんな感じで私達付き合う事になったんだけど、時間が経って、クロ君と
ショッピングや映画、遊園地とかにデートしたりして…そのお陰か分かんないけど私の気持ちも落ち着いて
きて恋人と言うより、“本当の本当に大切な幼馴染み”って……そう思える様になったんだ」
「まどか……」
自分の胸に手を当てて、満足そうに笑顔でそう言うまどかに嘘は無いと確信したほむらは次の言葉を待つ。
「それをクロ君に言ったらクロ君笑顔で『そうか……じゃあこれからもよろしくな“幼馴染み”♪』
…そう言って私達、握手して別れたんだよ♪」
「……そう…だからあなた達、今も仲が良いままなのね」
「まぁね♪──だからほむらちゃんがクロ君からペンダント貰ったって聞いた時は、少し羨ましかったんだ
恋人だった私には食べ物ばっかりだったのに、ほむらちゃんには高級ペンダントってどうゆう事!?って
……だから安心して……今の私のクロ君に対する気持ちは───
“好きな人”の好きじゃなくて“大切な幼馴染み”としての好きなの♪」
そう言って自分に微笑みかけるまどかを見てほむらは何も言えなくなった。
……まどかは浴槽に背を預けると、天井を見上げる。
「……クロ君の事………よろしくね」
「……うん…」
静かになった空間で……ポチャンっと水の落ちる音がした気がした。
~深夜・まどかの部屋~
まどか達がお風呂から上がると、クロトは二人を待っており、自分はもう帰るからまた明日と言って
隣の自分の家に帰って行き、ほむらはまどかのベッドで一緒に寝させて貰い、眼を
今日を振り返る。
──……今日の戦いは反省ね…。あんな使い魔にやられそうになってたらこの先、魔女と戦えそうに無いし、
いくらクロトから体術を教わっても、魔女には勝てない…どうすれば…それにこの時間停止…私が使い魔を
攻撃した時、動き出した……多分私が接触している物は効かなくなってしまうわね。となると、近接戦より
遠距離戦を想定した方がいいけど……
ほむらは、憂鬱な気分を吐き出すように“ハアァァァ”と大きくため息を吐き、気分を入れ換える様に明るい事を考える
──…まぁそれは後で考えるとして……フフ♪それにしても何年振りかしら、誰かが
最後の方に余計な事を思い出したほむらは、まるで悪夢を見ているかのように顔をしかめ、あの顔を思い出さない様に顔を振り、記憶から消そうとした、だが逆効果のようだ、ほむらの頭の中であの声が
──ああぁぁ声が…『早く…早く喰ってくれぇぇ!』『痛い…痛いぃぃ!!』『殺せ…殺してくれぇぇ』
って声が…声がァァァ!?───※しばらくお待ちください───………嫌なモノを思い出したわ…
余計な事を思い出したため、ほむらはすっかり目が覚めてしまい眼を開け隣で寝ているまどかを見て
詢子との会話を思い出す。
『玄人を……お願いね…』『クロ君の事……よろしくね』
──まさか同じお願いされるとは思わなかった……。やっぱり親子ね…そっくり……師匠とまどか…二人共
クロ トの事が心配なのね…。約束、護らないと…その為にはこの写輪眼…クロトの眼を使いこなさなきゃ
…でも、分からない事も出来たわ
ほむらは手で眼を押さえ、今日の放課後のクロトの事が頭をよぎる。
──なぜクロトの写輪眼はこんなに早く覚醒したのかしら…それも私の眼…クロトが死の寸前でやっと
変化した瞳なのに最初から三つ巴なんて…この眼は一体──「ほむらちゃん」─?
ほむらが写輪眼について考えていると、寝ていたと思っていたまどかから声が掛かる
「まどか?ごめんなさい、起こしちゃったわ」
「ううん眠れなかっただけ、ほむらちゃんはどうしたの?」
「私?私は──」
ほむらはさっきまで悩んでいた事を話始める、今日の戦い、自分の能力、パンデモ…は無しにして、写輪眼
の事などだ。
それを聞いたまどかは寝たまま腕を組んで唸っている。
「う~ん写輪眼の事は私じゃあ分からないけど、ほむらちゃんの能力って遠距離の方が安全なんだよね?」
「ええ、私が触った物は能力が解除されるから体術は緊急用にして、何かを投げる方が良いかもしれない」
「ええと、投げる…投げる…投げる…あっ!そうだ!ちょうどいいのがあったよ」
「え?……なにかしら?」
「ほら!今日のゲームでやってたでしょ?スネークの爆弾投げとか!あれならほむらちゃんでも……
でも爆弾……どうすれば…」
まどかは良い案だと思ったのだが、肝心の爆弾が無いことに気付き、また悩む…だがほむらは──
「!!!!そうよ!その手があったわッ!私にピッタリじゃない!!」
「いやだから爆弾は…」
「言い忘れたけど私の趣味は爆弾精製よ?自前で作れば問題ないわ」
「えええぇぇぇ!!?本当に!?どんな趣味なの!?というか中学生がそんな事していいの!?」
「バレなければ問題は無いわ!!それに嘘か本当かはクロトが知っているハズよ」
「問題しか無い気がするけど…ちょっと待ってて」
<クロくーーん!!返事してーーー!!>
まどかは寝ているであろうクロトに大声で念話をする、返事は直ぐに返って来たが、眠そうな声で届く。
<……う゛ぅ…なんだよ、俺…今寝てたんだけど…フアァ>
<それは謝るから教えて欲しいんだけど、ほむらちゃんが爆弾精製が趣味って本当なの!?>
<んんー…あーそういや朝の自己紹介の時…くぁ…プロフィールにそんな事書いてあったけ?>
<なんで言わなかったの!!>
<本当だと思わないだろ、それにお前の魔法少女騒ぎで自己紹介があやふやになっちまったんだから>
<ああ!!そうだった>
<……もういいか?…寝る…>
<あっちょっとクロ君!!>
しかしクロトから返事は無い、どうやら念話を切って寝たようだ。
「ありがとうまどか…お陰で私の攻撃力不足もなんとかなりそうよ。早速、明日の放課後材料を揃えて
作っておくわ!…ここから私の魔女爆殺遊戯の幕が開けるのよ!!」
「…私…余計な事を言っちゃったかな…」
自分が何気なく言った事でほむらが変なテンションになってしまった事を、まどかは少し後悔する。
「さぁもう寝ましょう、明日も早いわ」
「あーー…もういいや、ツッコミがめんどくさいよ…ハァ…お休みほむらちゃん」
「ええ、お休みまどか」
『お休みなさい♪暁美さん♪鹿目さん♪』
「「お休みなさ……───────ん?」」
……まどかとほむらは異変に気付く…
「…ほむらちゃん…今…なんか変じゃなかった?」
「…変よ…私、貴女の事を“鹿目さん”だなんてもう呼ばないもの…」
「…奇遇だね…私もほむらちゃんの事“暁美さん”って呼ばないよ…」
「「………………」」
二人は無言となり、汗をかき始める。
「……それになによりおかしいのは…」
「「返事の数が一人多い!!」」バサッ
そして二人は跳び上がり、背中を合わせて部屋の周囲を探る…見えないが……ナニかいる。
「まどか一つ聞くけど……この部屋…“出る”の?」
「怖い事言わないでよッ!?この家で一番怖いのはパンデモニウムさん位だよッ!!」
「……いい勝負だと思うけど…」
「……それにさっきの声……とっっっても聞いた事…あるんだけど…」
「……私もよ…それも今日私を撃ってくれた声によく似ていたわ」
「ほぼ確定じゃない!!でも何処に…あっ!そうだほむらちゃん写輪眼だよ!!」
「え?」
「言ってたでしょ?その写輪眼には魔力も見えるってだから、リボンで擬態してても、魔力までは
隠せないハズ」
「なるほど…お手柄よ、まどか」─スゥ─
ほむらは写輪眼になり、部屋を見渡す。しかし…
「!?どういう事?何も見えない!?」
「ええ!?」
「……まさか……“生き霊”?」
「やめてよ!怖いよ!!」
「でも……どうすれば………あっ……まどか…ゴメンね………私は逃げる!!」
「ああ!ほむらちゃん、待って!!何処にいくの!!?」
だんだん恐くなってきたほむらは何かを思い付き、ベッドから降りてまどかを残し、ドアの方に向かう。
そんなほむらをまどかは腕を掴んで引き止めるが、ほむらは引き摺りながらドアノブに手を伸ばす。
「ク、クロトの家よ!あそこなら彼女の魔の手も届かないでしょ?」
「じゃあ私も行くよ!!一人にしないでよ!!」
「ダメよ!!彼女まで憑いてくr…じゃなかった。女が夜遅く男の家に行くのは非常識よ!!」
「それを言うならほむらちゃんもでしょ!!おまけに今『憑いてくる』って言いかけたよね?
流石、弟子!そゆう所ママによく似てるよ!!」
ギャーギャー騒ぐ二人だが、ほむらの耳に、なにやらシュルシュルと布が擦れる音が……
「!?……時間が無い!このままだと巻き込まれる…仕方ないわ…まどか、行くわよ!!」
「?…うん!じゃあ行“バシッ”こ…う?」
そう言ってほむらがドアノブを回そうとすると、まどかの足に…見覚えのある黄色いリボンが巻き付く
『二人共♪何処にいくの?寝なきゃダメじゃない♪』
「遅かった……巴マミ!…何処…何処に…あっベッドの下からリボンが──」
ほむらが写輪眼でまどかの足に巻き付くリボンを追っていくと、確かにリボンはベッドの下から出ており、
何故マミを見つけられなかったのかほむらは理解した。真下に居たからだ、そして今マミはまどかを引き摺り込もうとリボンを引っ張っている。
それを見たほむらにはまるで、ベッドの下の暗闇が魔女の結界の入口の様に見えた。
「きゃああああッ!!なんでそんな所に !?私、マミさんを呼んだ覚え無いですよ!?」
まどかがマミの名前を呼ぶと、顔だけが暗闇から浮かぶ
「あなた達に逃げられた後、キュゥべえに探して貰って、話を聞いたらお友達の家にお泊まりなんて…
ズルいじゃない」
「だからって夜な夜な後輩のベッドの下にお泊まりしないでくださいッ!!後、離してェェェ!!!」
だが、まどかの説得も虚しく、マミはリボンを緩めようとしない。
「まどかはもうダメね…私だけでも…」
「まっ待って!!」ガシッ
捕まったまどかを置いて、自分だけクロトの家に逃げようとするほむらをまどかは腰に抱き付き、ほむらは
ドアノブに掴まり、耐えている。
「まっまどか!?離して、離しなさい!!このままでは私達、共倒れよ!?」
「友達を見捨てて逃げないでよぉ( ;∀;)」
「でも──」
「ウフフフフ♪楽しそうね♪さぁ此方に来てお話…しましょう♪」グイィィィィ
マミのリボンが引く力を増す。
「「いっいやああーーーーー!!!!」」
────そうして、鹿目家の夜は過ぎていった────
~翌朝・鹿目家~
何時もの時間に朝食を食べに鹿目家にやって来たクロトがリビングで見慣れないものを見た。
「………なんでキュゥべえと先輩が居るんだ?」
「「あっ……アハハ」」
そこには、キュゥべえをマフラーの様に巻き付け、頭にタンコブの出来たマミがソファーの上で気絶していた
苦笑いをしているまどかとほむらは、詢子達が居るので、念話で簡単に昨日の夜の事をクロトに伝えている。
<──それでマミさんに引き摺り込まれようとしたら、ほむらちゃんがね…>
<私がキュゥべえを呼ぶようにまどかに頼んだの、出て来た時“魔法少女になってよ♪”って誰かと契約の
真っ最中だったみたいだけど無視して、手の空いている私がキュゥべえの尻尾を掴んで、巴マミに投げて
気絶させたのよ>
<あれは災難だったよ、せっかく魔法少女になってくれる子を見つけたのに、いきなりまどかの部屋に居て
訳の分からないまま、ほむらに投擲されたからね>
<新しい使い道が出来て良かったじゃねぇーか>
<やめてくれ>
<その後が大変だったわ。気絶した巴マミをまどかと協力してここまで運ぶのは>
<何回か落として頭をぶつけたからね…大丈夫かな>
<それでマトモになればいいがな>
<<<………ハァ…>>>
全員が念話でため息を吐く中、詢子はマミを見ながらクロト達に疑惑の目を向け、
「で?この胸のデカイ金髪ドリル娘は誰だい?」
マミの身体的特長を言いながら問い詰める。
「あーーこの胸のデカイ人は巴マミと言って俺達の学校の先輩です。」
「そうなの!この特に胸の大きい先輩はね。友達いないから…」
「そうです師匠!この無駄に胸のデカイ先輩は寂しさのあまり、まどかの家に泊まりに来たんです。」
三人とも胸の事しか言っていない。
特にほむらとまどかは怨みの籠った目をしながらマミの胸を見ている。
それを見ていたクロトは苦笑いだ。
「フ~ン……まっ…いっか…それより早く食べちゃいな!時間あんまり無いだろ?」
「「はい!」」「うん!」
「三人共、御飯出来てるよ♪」
知久に料理を持ってきて貰った三人は時間を見ると少し遅れ気味だったので、急いで食べ通学の準備を
して、詢子達はクロト達を見送りに、玄関に集まっていた。マミはまだ気絶したままだが…
「それじゃクロト、アンタは巴ちゃんを背負って行きなさいよ!」
「分かってますよ。詢子さん……よっと…“フニャン”……oh…///」
「ちょっとクロ君!!なにマミさんおんぶして顔紅くしてるの!?胸?胸なの!?」
「う、うるせーな!!仕方ねぇーだろ///……ったく…それよりほむらはまだか?」
「暁美さんは鞄を忘れたってまどかの部屋に取りに行ってるよ」
「ふう…待たせたわね」
そこにちょうどほむらもやって来た。
クロトとまどかは玄関のドアを開けてほむらを待っている。
「ほら、行くぞ!」
「ほむらちゃん早く♪」
「…ええ♪」
ほむらは待ってくれている二人を見て、何だか温かい気持ちになり、笑いながら二人の所に歩いて行く。
そして、詢子達から声が掛かる
「「いってらっしゃーい♪」」「いってらっさーい♪」
「「「いってきます!!」」」
三人は元気よく返事を返し、学校に向かって話ながら歩いて行く。
…………そんな三人の姿を微笑んで見守っている姿が空中に居た。
──フッ……元気そうにやってんじゃねぇーか……頑張れよ──────…ほむら…
…そう…言うと……その姿を…消した……
「?……え?」
──……今………誰かに呼ばれた……ような……
「どうした?」
「……いいえ…なんでもないわ…行きましょう」
…ほむらは一瞬空を見上げ、再び歩き出した。その胸に少し…懐かしさを残したまま……
時間は流れ、三十日後、再び天災がやって来た。
次回で二巡目は終了です。
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