~鹿目家~
星空が見える頃、社会人が仕事を終わらせ帰宅し夕飯の時間となり各家庭からは美味しそうな
「次はこの
「あ……いいです。飲んで筋肉モリモリになりたくないので……後、なんでスプーンじゃなくて注射器?」
「へぇ~綺麗な髪じゃないか──じゃあ次はコレ♪」
「あっありがとうございます……でも、もう五十着も着て疲れたんですけど…ってそれメイド服!!」
「ほ~むほむ♪あい♪」
「タツヤ君……嬉しいけど料理一品にマヨネーズ一本はかけ過ぎよ。私、鬼のマヨラー副長じゃないよ」
「じゃあ次はこの──」「コレなんてどうだい?」「マヨネーズ♪」
「あっちょッ!?」
そこにはほむらがテーブルに座り、知久、絢子、タツヤの三人に囲まれもみくちゃにされていた。
部屋のあちこちには様々な服が散乱しており、テーブルには数多くの料理が並べられ、ほむらの料理には大量のマヨネーズがかかっているがタツヤの手によって更に投入されようとしている。
そんな光景をクロトとまどかは笑って眺めていた。
「ウェヒヒヒ♪ほむらちゃんすっかり皆と仲良しだね♪」
「仲良しというより、いいオモチャだな」
「まどか!クロト!見てないで助けて!!」
~三十分前・帰宅中~
マミを自宅まで帰らせた後、帰り道が同じだった三人は仲良く雑談をしながら歩いていた。
「それにしても先輩が中々帰してくれなかったから、大分時間をくったな。」
「そうだね、もう遅かったのに『お茶会にしましょう♪』なんて言って私達を
「……最終的にリボンで拘束されそうになった時は
あの時……クロトがまどかを抱えて私達が写輪眼でリボンの網を
今頃──リボンでグルグル巻きにされて朝まで巴さんのO☆MO☆TE☆NA☆SHIを受けてたわ……」
ガクガクガク
「よしよし、もういねぇから安心しろ………しかし、そんなに仲間に入れて貰って嬉しかったのか?」
……ほむらの顔を見る限り、相当怖かった様だ、腕を抱えて顔を青くしてブルブル震えている。
そんなほむらをクロトは頭を撫で落ち着かせ、まどかの方を向き
「あ…アハハハ……実は私が魔法少女になった時もマミさん大喜びしてね……お祝いにカラオケに行ったんだけど───放課後から翌日の朝までずっと付き合わされちゃった……」
…お祝いというよりキツい罰ゲームみたいだ
「……そういえば前にお前喋れなかった事があったな……それか?」
コク
まどかは静かに頷く
「まどか…大変だったんだね───帰って良かった」
「じゃあさっさと帰ろうぜ!大分遅くなったから知久さんや詢子さんも心配するしな」
「あっそうだ!ママとパパに連絡するの忘れちゃった……どうしよう」
「大丈夫だ、俺がしといた」
「え?いつ?クロ君今日は私達と一緒に居たのに」
「お前が髪を元に戻そうと必至になってる時」
「アレはクロ君のせいでしょ!!もう!パパとママになんて説明するの!!」
「
「さやかちゃんを勝手に変態にしないでよ!!」
ムキィーー!と怒ってくるまどかだが、クロトは右から左に聞き流している。
…ふと、クロトがほむらの方を見てみるとまどかをジッと見て少し淋しそうにしていた。
「……なぁほむら」
「──ッ!なっなにクロト」
クロトの言葉にほむらはハッとし、少し慌てている。
「お前時間大丈夫かよ…親が心配しねぇーのか?」
「…うん…私……一人暮らしだから…」
「ええぇ!?ほむらちゃんまだ中学生だよね!?ご両親は?」
「…私…病弱だったし…父と母には仕事で中々会えなかったから…少し
「「………」」
そう言ったほむらは二人の方を向いて無理に微笑んでいたが、どこか哀しさが混じっていた。
そんなほむらを見たクロトとまどかは何とも言えなかった。
──チッ…まどかが詢子さん達の話をしてた時のあの顔…やっぱりか…
ったく……あんな顔されたらほっとけねぇだろうが──ハァ──仕方ねぇな
<なぁ…まどか……頼みたい事があるんだが>
<分かってるよクロ君…よっと…ちょっと待っててね♪>
<………流石、俺の幼馴染みだな………すまねぇ…頼むわ>
<うん!任せて♪>
クロトとまどかはほむらには届かない様に念話で話し、まどかはスマートフォンを取り出した。
スマートフォンを操作しながらまどかはほむらに聞く。
「ねぇほむらちゃん今日家に帰ってから何か予定ある?」
「え?……ううん特には」
「そっか♪良かった……あっパパ?」
「?なんでまどかはあんな事を聞いたの?」
「ハハ♪気にすんな」
まどかはどうやら家に電話をしている様だ。だが、ほむらは何故まどかがそんな事を聞いたのかよく分からず
首を
しかしクロトは笑っているだけだ。
「……うん遅くなってゴメンね……うん一緒だよ。それでね今日新しくお友達が出来たの……ティヒヒ♪
とってもいい子だよ♪……それでねその子家に誰も居ないから今日家に泊めてあげたいの『ええぇ!?』
……ホント!?ありがとうパパ♪……うんじゃあね───ティヒヒ♪」
まどかはスマートフォンをしまいほむらに笑いかける。
「どう…して」
「どうせお前ん家誰も居ないんだろ?中学生の女の子が一人で過ごすなんて
それに───誰かと一緒に居るのは良いもんだぞ?」
「そうだよ──独りぼっちは…ダメだよ」
「───クロト…まどか…グスッ───ありがとう」
二人の気遣いが嬉しかったのか、ほむらは両手で顔を覆いぽろぽろと泣き始めた。
そんなほむらをまどかは抱き締め、クロトはほむらの頭をポンポンと軽く叩いて慰めていた。
「ハハ♪ったく……お前ホント泣き虫だな───未来の俺がその眼託した理由…なんとなく分かったわ」
「だね♪クロ君心配性だから───きっとほむらちゃんの事ほっとけなかったんだね♪」
──それ以外の理由もあると思うけど♪
「うっせぇ───じゃあ…行くか!いい加減腹減った」
「グスッ…うん…」
「ティヒヒ♪早く行こうパパの料理ってとっても美味しいんだよ♪」
三人は足取り軽く笑いながら鹿目邸へ歩いていった……。
「ただ……時々よくわかんねぇ料理が出てくるけどな」
「……そうだね」
「え゛?」
~鹿目家~
軽かった足取りはクロトの不安な一言で重くなり、ほむらはどんな人が出てくるか不安で仕方なかったが
程なくして、家に着いてしまい心の準備も出来ないまま、まどかの両親と対面することになった。
まどかが元気よくドアを開ける。
「ただいまー!」「こんばんわ」「お…お邪魔…し、しまーす」
「おっ!ようやく帰ったか、お帰り不良娘♪玄人も早く入んなさい───おや…」
「まどかぁ♪くろぉー♪おかぁえりぃ♪…?だぁれぇ?」
「お帰りまどか、玄人君もこんばんわ──君がまどかの友達だね♪」
まどかが玄関を開けると、そこには既に全員揃っていた。どうやらまどか達が帰ってくるのを待っていた様だ
絢子は酒の入ったグラスを持って、腕を組んで三人を迎え、ほむらを見て眼を光らせている。
弟のタツヤは天真爛漫にまどかとクロトの名前を呼び走って行きまどかに抱きつき、傍にいた見慣れない
ほむらに興味を示し首を
「はっ初めまして!!きょっ今日転校してきた、あ、暁美ほむら…です」
──…思ったよりも普通に見えるけど……
「ハハ♪初めまして♪まどかの父の知久です。今日は遠慮しなくていいからね♪」
「へぇ~♪磨きがいのありそうな子じゃないか♪よく来たね。あたしは絢子、知久の旦那さぁ♪」
「ま、まどかのお父様とお母様ですね。よっよろしくお願いします」
「お父様……新鮮だ…」
「お母様……いい…」
知久はお父様と言われ、感激したのか上を向いて満足そうにして、絢子は身体をくねらせ嬉しそうだ。
「パパ、ママ!恥ずかしいからヤメテよぉ」
「こりゃしばらく戻ってこねぇーな───ん?」グイグイ
「くろー!くろー!」
まどかが遠くに行った二人を元に戻そうとしているが効果はあまりないようだ。それを見ていたクロトは
長くなるなっと思っていると、自分の袖を引っ張るタツヤに気が付いた。
クロトはタツヤと同じ目線になるようにしゃがみ、なんだっと聞く。
「どうした?たっくん」
するとタツヤはほむらを指差し──
「ぽみゅら?」
ガクッ
ほむらはその気の抜けたような名前を聞きズッコケた
クロトは苦笑いしながら丁寧に教える
「ハハ…違う違う『ほ・む・ら』」
「ホームラン」
「字は全部入ってるけど違う!!『ほ・む・ら』」
「ボイラー」
「確かに火は使うけど違う!!『ほ・む・ら』!!」
「ボム魔」
「やめたげて!爆弾魔みたいになってる」
「……私の名前って…そんなに言いにくいかな?」
「いや…多分舌っ足らずなだけだろ」
「……ほむらより難しい事言ってた気がするけど…」
「う~ん…あっそうだ!たっくん───『ほむほむ』」
「え?」
何かいい案が無いかクロトは考えていたが思い付いた事が何故かほむらの学校でのニックネームだった。それを聞いたほむらは顔が引き吊る。
しかし、タツヤはほむらの顔を見るとニパァ♪っと笑って───
「……ほむほむ♪」
嬉しそうに言った。
「おっ!言えたな」
「ほむほむ♪ほむほむ♪」
クロトは頭を撫でるとタツヤを抱き上げ、高い高いをしている。
だが、ほむらは納得出来なかった様だ『ええぇぇ!?』っという顔をして口を開けてクロト達を見ていた。
「なんで字数が増えてるのにそっちを覚えちゃうの!?」
「子供だからなその方が覚えやすかったんだろう俺も『クロ』だし、別にいいだろ?」
「ほ~むほむ♪」
「…アハハ……うん」
元気よく自分の名前を呼ぶタツヤにほむらはどうでもよくなった。
「ホレ!たっくんほむほむに挨拶は?」
クロトはタツヤをほむらの前に下ろす。
「あい♪かなみぇたつや♪」
「フフ♪タツヤ君ね。よろしく♪」
「あい!!」
ほむらがしゃがんで名前を呼ぶと、満面の笑顔で元気よく返事をした。
そこに、ようやく遠い世界に行っていた知久と絢子が戻ってきた。
「フゥ…すまないねまどか、お父様なんて言われたから」
「まどかお母様なんて言わないからねぇ」
「当たり前だよ!普段そう言うの仁美ちゃんくらいだよ」
「ハハごめんごめん♪さて、いつまでも玄関にいないでご飯にしよう。もう出来てるからね」
「そうさ。あんた達が帰ってくるのをずっと待ってたから皆腹ペコさ」
「ティヒヒ♪ゴメンねママ──ほむらちゃーんこっちだよ」
「あっうん」
「……そうだ♪ちょっと待ってな!!」ドダッダッダッ!!
クロト達が靴を脱いでほむらが絢子の前を通ると絢子はそう言って家の奥に走って行ってしまった。
「…どうしたんだ?絢子さん」
「もしかしてアレかな?」
「?パパ知ってるの?アレってなに?」
「ああ、まどかには秘密にしてたんだけど────」
「おっまたっせぇぇぇ♪」
知久がまどかに答えようとすると丁度、絢子も到着した
──────……両手で抱えるほど大量の………多種多様な服を持って
「……ママ…なにそれ」
「コレ?コレはあたしがまどかにいつか着せようとコツコツ買っていたものさ♪いや~子供は成長が早いからねぇ今のうちに見ときたくて近いうちにプレゼントしようかと思ってたのさ♪………でもさ…あんた最近
急激に体重増えてるじゃないか…着れなくなちまたんだよ……コレ」
※毎日、マミさんのケーキを大量に食べた為です。
「なんでママがそれ知ってるの!!?」
「最近、風呂上がりに体重計に乗って絶望的な顔を毎回してるじゃない───確か最後の履歴は──」
「キャアアアアア!!言わないでェェェェ!!!!」
「甘い!!」
ヒョイ♪
「あっ…アアアアアァァァァ────」
ズザアアアァァァ──
まどかは詢子の口を止めようと飛び掛かったが、詢子は横に避けられ、まどかはそのままドップラー効果
の悲鳴を上げ、ヘッドスライディングで滑って行き廊下の奥に消えて行った。
全員が呆然としているなか、詢子は勝ち誇った笑みを浮かべ、タツヤはまどかが消えて行った方を指差して笑っている。
「娘がママに勝とうなんざ二十年は早いよ♪でね、あんたまどかと似たような体型だし、スリムで顔も
綺麗なんだからコレが似合うと思ったんだよ♪ちょっと着てみてくれない?」
「え…えーと…いいですけど…まどかが…」
何事も無かった様にする詢子にほむらは何か言いたげだが詢子は笑ってほむらに話し掛ける。
「アハハハ♪大丈夫さアレはあたしの娘だ♪あの程度じゃ怪我もしないって、ほらこっち来な着させてあげるから、知久も今日はドンドン食べさせてあげなよ♪」
「本当かい!?それなら今日は封印していた手料理を振る舞う時だね!!いや♪腕が鳴るなぁ」
「!!まさか封印指定のあのパン──を!?マジですか!?い、いや俺は普通のでお願いします!!」
「封印指定!?なんでパンが封印されてるの!?」
「「「「……………」」」」
「ちょっと!タツヤ君まで黙らないで、キャラが違うよ!!」
「まぁ…旨いのは旨いんだよ…だから…大丈夫…」グッ!
「その奥歯に何かある様な言い方はナニ!?」
いつもニコニコしているタツヤまで微妙な顔をして黙り、全然大丈夫そうに見えない顔をしてサムズアップをしているクロトを見てほむらは自分がどうなるのか心配になった。
~鹿目家・ダイニング~
その後、姿の消えていたまどかも戻ってきて、全員が席に着いて話は冒頭に戻る。
知久の料理は確かに美味しかったが、クロトの言った通り怪しい料理が時々出て命の危機になったり、
詢子はナース服や着物、パンク系の服、ワンピース、アニメのコスプレ衣装等をほむらに着せてポーズをさせて写真を撮ったり、タツヤはほむらが気に入ったのかほむらの隣で何故かマヨネーズをかけてサービス
していた……ただし、超大量に……いくつかほむらの料理は犬の餌になった。
そうしているうちに知久が蓋をしている七面鳥が入る位大きい怪しい模様の入った皿を持ってきた。
それを見た何人かは表情が変わる
「さて、今日は暁美さんが泊まりに来てくれたから張りきったよ♪」
「アハハハ、ありがとうございます。」
「……ねぇパパ……そのお皿……見た事あるんだけど……」
まどかは顔がヒクヒクと痙攣し、
「コレかい?今日はママが封印を解除してくれたから作ってみたんだよ」
「しかも今回はでかいぞ!!やべぇメチャクチャ怖い」
クロトも予想以上に大きかった事に顔を青くし、
「え?怖い!?クロトどういう事?」
「知久!!確かにいいとは言ったけどこの子の分だけじゃないの!?てかデカ!!」
詢子はほむらを指差し、その大きさに思いっきり引いている。
「私の分だけ!?」
「ハハハ♪皆平等にね♪───さて、どうだいこの大きな『パン──』」
知久はその皿をテーブルに置き、蓋に手をかけた
「総員退避ィィィィィィ!!!!」
ザンッ!!
「……え?え?………誰も居ない!?」
詢子が大声を出すとクロトとまどか、詢子と隣にいたタツヤも一瞬で消えてしまった。
取り残されたほむらは突然の事態に着いていけず混乱していた。
「おや?皆何処に行ったんだろ……まぁいいや…それじゃドウゾ♪」ガパァア
───禁断の──
「……ぁ……ぁぁ……」
────ほむらは…開いた口が……閉じられ無かった……
「コレはね僕の家庭菜園に居たんだけどびっくりしたよ、私を食べてって『話すんだよ』」
────知久が何か言っている様だが……ほむらの耳には……届かなかった…
ギロッ
「ヒッ!?」
────『ソレ』と…眼が…眼が……合った……
「それでね最初は怖かったけど、話してみると結構いい人?まぁとにかく断るのも悪いから意を決して食べてみたんだそしたら思いの外、美味しくてね♪スナックみたいだったよ」
────……並みの神経ではない
「あ、ああぁあああ……」
ガガクガガガクガクク
───ほむらの身体は……可愛そうなほど……震え泣いていた
「紹介するよ♪こちらは───」
───……ソレは巨大な芋虫の様だった……オレンジ色の胴体……長い沢山の脚……
───……大きく眼を見開き、厚い唇を大きく開け、苦悶に満ちた顔をする………人の頭だった
「こちらは家の庭に住んでいる───パン…『パンデモニウムさん』♪」
ギロッ
「や、優しく…食べてね///」
ポッ///
「~~~~ッ!!!?キャアアアアアアアアアアアアアアアア!!!!!!¥◎★☆@§#イヤアア───」
……ほむらの悲鳴は鹿目邸の外まで届いた
───その頃、四人は──
「あ~あ…やっぱりなアイツら見たらそりゃ悲鳴あげるわ」
「クロ君も最初パンデモニウムさん見たとき腰抜かして気絶してたもんね」
「当たり前だ!!あのツラの人面芋虫が話し掛けて来たんだぞ!!?ヤクザより怖えぇよ!!」
「しかし、我が旦那ながら恐ろしいねぇ………パンデモニウム………普通食うか?」
……ちゃっかり二階に避難していた
「ほむほむ♪いなぁい」
「……そうだな…ほむらには悪い事したな」
「うん……後で皆で遊んで慰めてあげようよ」
「まぁ取り合えずあたし達に今出来る事は──」
「「「(ほむら)(ほむらちゃん)(暁美ちゃん)ご愁傷さま」」」「ほむほむごしゅうさまぁ♪」
チーーーン
四人は手を合わせ合掌した
そういえばちゃんとクロトのプロフィール作った方がいいですかね?