~見滝原工場群~
鳥の魔女を撃破したクロト達は、パイプの並んだ工場に戻って来た。ベテランのマミも、流石に大技を連発したため疲労は大きいようだ。
「ふぅ、なんとか勝てたわね」
「今日の魔女、かなり強かったから仕方ないですよ」
「やっぱり?通りで強いと思ったよ。毎回あんなのが出られちゃ流石に死ねるね、俺」
「そうね、今日は危なかったわ--それにしても、あれはどこかしら?」
そう言いマミは、周辺で何かを探している
「あの、みんな…お疲れ様です」
そこにほむらがやって来た、扉に来た時の疲労は回復したようで、顔色も良くなっている。手には何か持っているようだが…
「あっほむらちゃんお疲れ様」
「おう!ほむらお疲れさん。ケガはねぇーか?」
「うん、みんなが護ってくれたから」
「ならいいや…それで?なに持ってんの?」
「これ?さっきそこで…」
ほむらの手に握られていたのは、丸い球体に下が針のように尖っている物だった。ただし、手の上でどうやってか真っ直ぐ立っている事から、これが只の物体では無いことは直ぐにわかった。
「なんだこりゃ?」
「グリーフシードほむらちゃんが持ってたんだ。マミさーん!」
「「グリーフシード?」」
まどかは知っているようだが、二人は分からず首をかしげる。そこに何かを探していたマミがやって来た。
「どうしたの?鹿目さん」
「グリーフシードありました」
そう言いほむらの手にある球体を指差した
「あぁ良かった!見つからなかったから、使い魔かと思っちゃた」
「マミさん、これなんですか?
「ふふ♪違うわよ。これはグリーフシードと言って簡単に言えば魔女の卵ね」
「魔女の卵!?ヤバイほむら捨てろ!!」
「え?う、うん」
クロトの言葉を聞いたほむらは、パイプの隙間から見える海に向かって振りかぶった。本人もさっきまで戦っていた魔女の卵と言われ、持っていたくなかったのだろう
「まっ待って!貴重な物なの捨てないで!!」
「今までの苦労が、水の泡になっちゃうから話を聞いて!!」
あまりの必死さに、流石のほむらも思い止まったようだ。
「ハァ危なかった…いい?これはさっきも言ったけどグリーフシードと言って、運が良ければ魔女がたまに持っている物なの、これを取り合って争う魔法少女もいるくらい貴重なのよ?」
「どうしてですか?」
クロト達の疑問にまどかがマミの代わりに答えた
「それはねグリーフシードは魔法少女にとって、魔法の生命線みたいなものだからだよ。クロ君ソウルジェム出してグリーフシードに近付けてみて」
「?おう」
そして、まどかとマミもほむらの持つグリーフシードに集まり、ソウルジェムに近付ける
「私達のソウルジェム昨日より少し濁ってるでしょう?でも…」
すると、三人のソウルジェムから黒い何かが飛び出し、グリーフシードに吸い込まれていって、ソウルジェムは前のように輝き出した。
「おお!綺麗になった」
「今飛び出したのが『穢れ』って言ってね、これがソウルジェムに溜まり過ぎると魔法が使えなくなっちゃうの」
「これが魔法少女が魔女を倒す事による見返りって所ね」
「へぇ~じゃあこれがあれば、魔法が使い放題ってことに…」
「そゆうわけでも無いんだよね。これ消耗品だから、吸い込み過ぎると魔女が復活しちゃうんだ」
「これも、もう限界ね」
「どうするんですか!?魔女復活しますよ!」
手に持っているほむらが焦ってマミにきくと、
『そのために僕が居るんだよ』
いつの間にか、ほむらの足元にキュウべぇがいた。キュウべぇはほむらに背を向けて、背中に描いてある赤いマークを向けている。
『そのグリーフシードを僕に投げて』
「う、うん!!」
キュウべぇは気付かなかったが、魔女が復活すると聞いてほむらはかなりテンパっていた。その為……
「せい!」
シュッ!!
サクッ
『きゅっぷい』
病弱とは思えない豪速球を投げ--針のように尖っている先端がキュウべぇの脳天に刺さっていた。
「「「「……………」」」」
場をなんとも重い空気が漂っている
「キュウべぇぇぇえええ!!?」
最初に動いたのが、長い付き合いのマミだった。キュウべぇに近付き体を揺すっている
「…ほむら…お前」「…ほむらちゃん」
「あ、あの今のはちょっと…」
そんなほむらに『お前、殺っちゃったな』とゆう視線でみつめる
だが、
『ぬ、抜いて、くれない、かい?』
なんとか生きていた
~マミ宅~
『ふう、やれやれ死ぬかと思ったよ』
「ごめんなさい」
あの後、マミの懸命な魔法で一命を取り止めたキュウべぇは、彼女の家で安静にしていた。
「もう済んだ事よ気にしないで」
『マミそれは僕のセリフなんじゃあ』
「ハイ!」
「それじゃあ『聞こえてる?』今日の反省会をします。まずは私と鹿目さんからね」
「はい、今日は気を抜いていた事と鳥の魔女のに対して貫通出来る攻撃がなかったことですかね。」
「そうね私も同じ事が言えるし、クロト君が居なかったら今回の魔女はかなり苦戦したと思うわ。相性が悪いもの」
「まどかは攻撃が届かなくて、マミさんは攻撃を避けられてましたしね。あっでもリボンで拘束すれば--」
「それも難しいでしょうね。あれだけの数の中から、魔女だけを見つけるなんて…あれはクロト君のその眼があったからこそ出来たのよ」
「そうなんですか?」
--この眼…今日でかなり助けられたな、使い魔の攻撃も見えたし、ほむらも助けられたし、魔女を探せた事もこの眼のお陰か…そういえば、あの戦い方…『写輪眼…動体視力…コピー』あの時、あの男が言ってた事が本当なら…夢の中の動きを『コピー』したのか?
クロトが思案していると、まどかと話し合っていたマミから声がかかった。
「それに、クロト君達には『ワルプルギスの夜』が来るまでには強くなってもらわないと」
「ワルプルギスの夜?なんですか?それ」
『舞台装置の魔女--ワルプルギスの夜、魔法少女の間で語られている最大最強の魔女さ!』
「そんな魔女がここに!?」
「…ちょっと待て、魔女ってそんなに動きまわるような奴じゃないだろ」
「普通はね…でもこの魔女は結界を持たないの持つ必要がないくらい強さを持っているから現実世界で現れるのよ」
『ワルプルギスは過去にも何度か現実世界で暴れていてね。その存在は見えないからスーパーセルとして、観測されているのさ』
クロトとほむらはワルプルギスの話を聞いて黙りこんでしまい、暗い雰囲気になってしまった。
「ハイ難しい話はそこまで!お茶にしましょう」
マミは手を叩いてキッチンに向かい、お茶会の準備に取りかかった。
「そういえば暁美さん髪型変えたのね似合っているわよ」
「え?何の事ですか?」
「「あ゛」」
紅茶を飲みながら雑談をしていると、マミがほむらの髪型が変わっている事に気付き、クロトとまどかはこの髪型に慣れてしまっていたので、その事をスッカリ忘れていた。
「あれ?三つ編みがほどけてる。いつの間に」
「お化粧もしてあるわね。ほんのりとだけど」
「したこと無いですけど」
「どうゆうことかしら?お昼休みには、もうそうなっていたわよ」
「「………」」ダラダラ
二人は顔に汗が流れ出した
『どうしたんだい?二人ともスゴい汗だよ』
「「すいませんでしたぁ!!」」
「え?ど、どうしたの?」
二人は朝の出来事を話始めた
「だから登校中の記憶が無くて、いきなり教室にいたんだ」
「ゴメンね、まさかあれで、気絶するとは思わなかったの」
「俺もだ」
「それにしても美人ねぇ」
マミはまどかから渡されたスマートフォンで一枚の画像を見ていた。
木にもたれ掛かり、朝日に照され眠っている黒髪の美少女が写っている
「ですよね。私はこっちの方がいいかな」
「でも…私にはまだ…その」
「ちょうどいいじゃねぇーか」
「え?なっ何が?」
「お前、自分の名前が名前負けしてるって言ってただろ?これなら誰も『ほむら』と呼んでもおかしいとは思わねぇさ。自分を変えるいいチャンスだしな」
「…そうなのかな」
--確かに自分でも、これを見たら変だとは思わないし、似合うと思うけど、私なんかが、こんな格好してもいいのかな?……チャンスかぁ
「……じゃあ髪だけ」
「そっか…まぁいいんじゃねぇの?第一歩ってことで」
それを聞いたマミは閃いた
「あっ!そうだ忘れてたわ♪クロト君の魔導士祝い、--それと、暁美さんの第一歩祝い!」
「そうですね♪二人ともお祝いしなきゃ」
「……しかたねぇな」
「じゃあ…お願いします」
「それじゃ明日の放課後ここに集合!!」バンッ!
マミはテーブルに、一枚のチラシを叩きつけた。
「「「これは」」」
~翌日鹿目家~
鹿目家では、いつも通り朝食を取っていたがクロトが、知久に言った一言で少し騒がしくなった
「知久さん今日は、弁当無くて大丈夫です。」
「どうしたんだい?午後がもたないよ?」
「あーちょっと」
その時、まどかの顔が腹黒い笑顔になった気がした
「ウェヒヒヒ♪クロ君今日は、女の子にお弁当作って貰うんだよ♪」
「ちょっ!まどか!?」
「へぇ~やるじゃないか色男♪」
「ハハハ♪それなら仕方ないね」
「いろおとこー」
「たっくんまで…」
そんな感じでからかわれながら、クロト達は登校した
~昼休み・屋上~
昼になりクロト達は屋上のベンチでお弁当を広げていた。
ほむらは手にある赤い弁当箱をクロトに差し出した
「はい、黒崎君上手く出来たか分からないけど」
「おっ!サンキュー」
「てか、クロトあんたどうやったら転校したての奴にお弁当作って貰える展開になるのよ!?ギャルゲーか!」
「知らねーよ」
「まぁまぁ、落ち着いて下さい。それより、どんなお弁当ですの?」
「ちょっと待て…おおぉ!」
そこには、彩りの鮮やかな中身だった。
「わぁ綺麗」「うわっ旨そう」「まぁお上手です」
「えっと…そうかな?」
かなりの高評価にほむらもうれしそうに笑顔になった
「うむ!この卵焼き中がふわふわでウマイぞ合格!!」
「良かったね。ほむらちゃん」
「え、えへへ」
その光景を見ていたさやかは、思い出すように言った
「あ~あ、先生もこんな風になれば上手く行くのにねぇ」
「そうですわね」
~放課後~
--学校が終わり、クラスの奴らと別れて昨日の約束通りに街で有名な洋菓子店に来た。---そう本日限定のケーキバイキングのできる店だ。甘い物は好きだが、正直かなり居心地が悪い、周りは女子ばかりだし、店内にはカップルで来た男性客もいるが……さっきから俺に嫉妬のような視線を送っている。
まぁ理由は分かってるつもりだ、単純に俺の周りが美少女ばかりだからハーレム野郎と思っているからだろう。気にしたらキリがないから無視しよう
「それじゃ新しい仲間と仲間の第一歩を祝して!!」
「「「カンパーイ」」」
チン
「今日はお祝いよ!一杯食べなさい」
そう言ったマミの皿には3ホール分のケーキの山が積まれていた。それを見た三人は信じられないといった顔をしている。
<おい、まどかこれはマミさんの冗談なのか?明らかに、この人の胃袋の大きさと合わないんだが>
<わ、分からないよ。確かにマミさんケーキをよく食べてるけどこんなの見たことない>
そんなマミを見たからなのかほむらが質問した
「マミさん…そんなに食べて…---太らないんですか?」
ド直球だった。
マミはケーキを口に入れて固まり、クロトとまどかは口を開けてほむらをみている
「ほむらお前スゲーな」
「そうだね普通聞きたくても聞けないよ」
「でもどうしても気になって」
「………たわよ」
「へ?」
マミは声を絞り出すように呟いた
「今週で4キロも太っちゃったわよ!!しょうがないじゃない甘いの大好きなんだもの!貴女に分かる!?一人で
そう心の声を叫んだマミは机の上で泣いてしまった
「おいほむら」
「…ごめんなさい」
クロトは溜め息を吐きまどかに念話でまどかに伝えた
<まどか、まどか聞こえるか?聞こえるならお前がマミさんをなんとかしろ>
<ええ!?なんで?>
<俺はダイエットの事なんて知らんし、ほむらは論外だ残りはお前しか居ない>
<う゛う゛わかったよ>
まどかは机の上で泣いているマミの肩に手を置いた
「えっと、マミさん?」
「私…ずっと…一人ぼっち」
--うわぁ面倒臭そう…大丈夫かな?
「…マミさんは一人ぼっちなんかじゃないですよ。私が居ます」
「え?もしかして…貴女も?」
「はい!私もマミさんのケーキを食べて来ましたから」
「…もう一人で断食しなくてもいいの?」
「え?私もしなきゃ<まどか!>はい!一緒にしましょう!」
--どうしてこんなことに
マミはまどかの手を取り、祈るように聞いた
「これからは一緒に
「えっとできる限りは」
一応効果はあったのかマミは泣き止み、涙を拭って微笑んだ
「ふふ、カッコ悪い所見せちゃったわね先輩なのに、さて時間制限もあるからドンドン行くわよ」
「よくやったまどか」
「鹿目さんゴメンね」
「はは、なんとかなって良かったよ」
マミはあの量を数分で片付け、新たなケーキを取りに行った
「体が軽い」※気のせいです
「こんな気持ちで
「もう
今回は危うくほむらがキュウべぇ初殺してネタバレするところでした
後二、三話くらいで次の展開にしたいと思います。ご意見のある方はドウゾ
お昼休み編入れるの忘れてました