待ってくださった読者の皆様、お待たせしました!
・・・実はここ数年まともに投稿してないのには理由があって、会社の上司にこの小説をまともに読まれてしまって・・・以来何故か投稿するのが恥ずかしく思う様になってしまったのです。ヘタレですね。
他の作者の皆さん、こう言う経験ってありますか?
バシュウウウウウウッ!!!
緋色の光の奔流が、先程まで暗かった廊下を照明弾か閃光手榴弾の様な強烈過ぎる光で照らし出す。
(こんなのは初めて見たぞ・・・一体何が・・・!)
大尉の人狼としての超人的な力が今回は仇となった。暗い廊下に目が慣れてしまったのもあって視界はまるで閃光手榴弾を使われた様に真っ白に塗り潰され、強烈な音で耳も全く聴こえなくなってしまったのだ。
そしてほんの少し、その光の中で微かな影が見えた。
(・・・神崎・・・か・・・?)
その影がゆっくりとした動作で光に対して手を翳す。すると、その手の先も緋色に光り・・・その瞬間、あれ程眩く光っていた光は何事も無かった様に消え去った。
(・・・一体全体何なんだ・・・)
そして視力が戻り始めると、その全容が大尉の目に飛び込んで来た。
まるでくり抜かれたかのようにゴッソリ無くなった天井・・・いや、天井だけじゃない・・・上にあったピラミッドの残骸も丸々無くなり、周りにあった像も建材も崩れて行く。
(・・・これは一体・・・何をどうやったらこんな風になるんだ・・・)
ゾワッ、と言う寒気が大尉を貫いた。それはあのアーカードやアンデルセン神父と面と向かった時にすら感じ得なかったものであった。
そしてその神崎は力を使い果たしたのか、砂の床に倒れこんだ。
「・・・神崎!・・・神崎しっかりしろ!・・・」
大尉はまだぼんやりとした視界の中でアリアに歩み寄る。
神崎はグッタリしていたが、命に別状は無いようだ。
だが、辺りには先程の衝撃で船の部品が落下し、余りにも危険だと判断した大尉は人狼の力を使うと、カナと神崎を担いで全力で上の階まで疾っていった。
大尉が船の上部に出る頃には、船体はすでに収集がつかない程傾き始めていた。
大尉は2人を寝かそうと安定していそうな舳先に向かうと、既にトバルカインと由美江、ガタガタ揺れる棺桶とそれに座るシュレディンガーがいた。由美江は骨が折れたらしく、脇腹を痛そうに押さえていた。
「あっ!大尉、その姿は・・・」
「ほ、本気出したんですか!?」
トバルカインとシュレディンガーは、大尉の人狼状態を見て驚愕していた。過去にも、数えるほどしか人狼状態になった事がない為、この姿になっているのが珍しいのだろう。一先ず人狼状態を解除する。
「・・・久しぶりに、な・・・」
カナと神崎を床に寝かしながら大尉が答える。
「・・・それにしてもシュレディンガー、お前やっぱりまだ不死身か・・・」
「そうですね〜、これで人生終了って言うのも悪くありませんでしたけどね。女の子を庇って死ぬなんて中々ないですから。」
当のシュレディンガーは死んだ事すら何とも思っていないらしく、飄々とした様子で答える。しかし、この数年間を過ごした身体を喪ったとあって顔には若干の陰りが見えた。
「ま、出来れば今後も大事に扱ってくれれば良いんですよ。」
「・・・キ、キンジ・・・」
「おぉ、眠り姫が起きた様だな。無事で何よりだ。」
神崎の声に。その場にいた全員の視線が神崎に集中する。
「・・・神崎、起きろ・・・」
「ううっ・・・・・・はっ!?キンジ!?何で生きてるの!?あっ!あんたもあ、頭が・・・!?」
大尉の呼び掛けで神崎は一気に飛び起きる。そして驚愕に次ぐ驚愕で顔を百面相の様にコロコロと面白いくらい変えて行く。
「あんた、お兄さんに撃たれんじゃ・・・あれ?アタシまさか気絶したの?」
「・・・何も覚えてないのか?・・・あれお前がやったんだぞ?・・・」
「俺は外から見てたがスゲー光と音でよ、パッと光ったと思ったらこれだよ。」
そう言って大尉とトバルカインが船体にぽっかり空いた穴を指差す。しかし、神崎は何の事かわからないと言った様子で首を傾げていた。
「あんな穴、人1人で開けられるわけないじゃ無い。」
・・・それどころか、とても常識的な返答をして来た。
「・・・いや、そうだけど・・・」
(・・・どうやらカナが撃たれた辺りから意識がフッ飛んだらしいな・・・これじゃ何も覚えてないな・・・)
「・・・まあいい、何処にもケガはないし、カナはそこでノビてる・・・由美江が骨を折ったが、命に別状はない・・・」
「ねえ、それよりあそこの、シュレディンガーよね?あんた頭を撃たれて死んだ筈じゃ・・・」
そう言って神崎はシュレディンガーを指差す。神崎はシュレディンガーが頭を撃ち抜かれるのを見ていた為、目の前の無事なシュレディンガーを見て驚愕していた。
「正真正銘、シュレディンガーですよ。死んでる様に見えます?」
「昔、死体を自在に操ってアリバイ作りをした犯罪者を逮捕した事があるわ。」
「言い切られても困りますよ・・・」
「そんな事より!なんで生きてるの!?あの時確かに・・・ごめんなさい・・・あの時、アタシの所為で死んじゃったのかと・・・」
「・・・これが終わったら、僕の体についてちょっとだけ話してあげます。知っておいて欲しいのは、僕は死んだぐらいじゃ根に持たないって事です。気にしないで。」
酷く落ち込む神崎に対して、シュレディンガーはいつもの様に笑顔で許し応える。
(・・・そろそろ、全てを話す時かも知れないな・・・)
その光景を見て大尉の胸中にもある考えが浮かび始める。
(・・・神崎も、俺も、お互い完全に腹を割って話さないといけない所まで来てしまっている・・・あの光も含めて・・・)
大尉の中にも引っかかる点がいくつもあった。兄の言っていた緋緋神、先程の光、イ・ウー・・・その全てが、アリアを中心に動いている。
そして、その全てに関してアリアが関知していない所で進んでいると言う事・・・
(全てを整理する為に、一度しっかり話し合った方がいいだろう・・・)
そして大尉は新たな決意を胸に決めたのであった。
「しかし、早く武藤達来ないなかぁ。これじゃ船が先に沈んで・・・」
ーーっ!!
その時、全員が同じ方向を向いた。大尉も、トバルカインも、シュレディンガーも、神崎も、由美江も・・・
「キンジ・・・!!」
いつの間に目を覚ましたのか、金一が目を覚ます。
「・・・兄貴か・・・?起きたのか・・・水とか飲む?・・・」
「悠長に話してる場合じゃない!逃げろ!!」
いつになく動揺した兄の姿に少し大尉が少し困惑する。
もちろん、大尉の人狼としての本能が海の向こうから感じる気配に胸騒ぎを抑えられずにいた。
しかし、ほぼ全員が片道切符の様な状態で来た為、兄の言う逃げる手段は無いも同然であった。
「な、何だぁ!?」
舳先に立っていたトバルカインが何かに気が付いた。そしてそれに呼応するかの様に船が大きく揺れる。
違う、海が揺れているのだ。巨大な何かが海を海を持ち上げる、津波を起こしながら浮上してくる。
「デケぇ、デカすぎる・・・!」
「・・・イ・ウー・・・本命のお出ましかよ・・・」
海を割って現れたのは原子力潜水艦・・・写真で何度も見た、イ・ウーのボストーク級原子力潜水艦だった。
思っていたどころでは無い、あのデウスエクスマキナに匹敵する巨体・・・それがゆっくりとこちらに、『伊・U』の文字を見せ付ける様に横切って行く。
「由美江!?捕まって!」
「お、落ちる・・・!」
波が更にアンベリール号を木の葉の様に揺らし、怪我で動きの遅れた由美江が危うく船体から落ちかける。それを神崎がキャッチして助ける。
「キンジはもう知ってるだろ、あれがイ・ウーだ。ボストークは、盗まれたんだ。『教授』に・・・!」
「ゴメンそれ知ってる。」
「・・・こういう時だけ即答するな。」
「・・・でも、あいつと戦うのか・・・会った事はあるが、あの優男があそこまで・・・」
大尉は海の向こう、潜水艦から感じる気配に大尉は恐れに近いものを感じていた。以前会った時には感じなかったが、巧く隠していたと言う事か・・・
後ろを振り返り、仲間達を見る。
トバルカインは脂汗を川の様に流し、由美江は怪我をしているのにも関わらず、武者震いと言ってガタガタと脚を小刻みに揺らす。2人共、既に過去に死を経験している、当たり前と言えば当たり前の反応だろう。
しかし、その中でシュレディンガーはとうとう来たか、と言う表情を取ると覚悟を決めたのか眼前の海を睨み、兄貴も歯をきつく噛むと手摺につかまりながら立ち上がる。そして・・・
「・・・神崎?・・・」
「あっ・・・」
神崎は、潜水艦の一角を凝視していた。アンベリール号に横付けしたボストークの艦橋・・・そこにあの男が立っている。
痩せた身体、鷲鼻に角張った顎。右手にパイプ、左手にステッキをついている。以前見てから変わっていない。
「曾おじいさま・・・!?」
「シャーロック・ホームズ・・・」
特に書く事ないので思い付いた緋弾のアリアAA二次案
ライカがバットマンっぽい奴の娘らしいので、バットマンのヴィランズの子孫達が第2のゴッサムを作ろうと東京に現れる。
ライカを倒そうとする者、護ろうとする者、無関心な者・・・東京の一角で悪役達が蠢き回る。
と言うストーリーをスーサイドスクワッドを見たおかげで思いつきました。キャラクターの案はちょっとしか決まってないけど・・・
ジョーカーの娘とか、キラークロックの息子とか・・・