ヴェアヴォルフ~ヘルシングの大尉が転生~   作:むらやま 

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作者のプライベートが忙しいと話がごちゃごちゃになる病・・・特に最近スカイリムやったりして忙しくて小説書いてる暇がない(涙


第35話 大尉は二指真空把を覚えた!

数日後、事態が進展し始めたのはとりあえず捕まえたブラドの狼(2匹)を宗宮つぐみに譲り、辟易する位お礼を言われた後、昼飯のカツ丼を食べていた時の事だった。

 

「・・・は?兄貴が美人と一緒にいた?」

 

『は、はい、教授が教えてくれたんですけど、パトラって言うエジプトの王朝の末裔らしいんですよ。その子と金一さんは今一緒に行動しているみたいなんですよ。』

 

突然のシュレディンガーからの電話に出たらこの寝耳に水な話・・・ふーん、"あの"兄貴がねぇ・・・

 

「・・・2人は付き合ってるのか?・・・」

 

『金一さんにその気があるかわかりませんが、パトラさんは結構ほの字らしいですよ。』

 

「・・・ふむ、そのパトラって子と接触できるか?・・・」

 

『いや、イ・ウーで悪さしたらしくて退学にされたらしいです。』

 

・・・あのイ・ウーで退学ね、相当のやっかい者みたいだな・・・いや、あんな兄に婿の貰い手が出来ただけ良しとするか・・・

 

「・・・もし運良く連絡取れたら伝えてくれ、出来る限りの支援はさせて貰うとな・・・」

 

『わかりました・・・あっ、そうだ、言い忘れてた事がありました。』

 

「・・・まだ何かあるのか?・・・」

 

『実は「キーくぅーん!」』

 

シュレディンガーが何かを言おうとした瞬間、理子がこちらに向かって恥ずかしくなる位大きな声で名前を呼びながら走って来たのだ。

 

「・・・うわ、何か来たよ・・・ちょっと一旦切るわ・・・」

 

『わかりました、それじゃ』プッ

 

 

「キー君!何か奢って!」

 

「いやだ」

 

電話を切るとそのタイミングで理子が大尉の向かいの席に座る。

 

「な、なんの迷いもなく断られた」

 

「・・・お前知ってるだろ、この前買ったミニガンが高かったのにさらに弾代も合わさってとんでもない額だ・・・お前も少し払ってくれたら助かるんだが・・・」

 

そう、今大尉の頭を悩ませているのは金。

平賀さんにはしっかり払ったがあの金額は高校生の懐には痛い。今日も一番安くて量のあるカツ丼を食べているのがその証拠だ。

 

「ミ、ミニガン?遠山先輩ヤベェな・・・」

 

「ああ、しかもその代金を理子先輩に払わせようとしてるな・・・」

 

「ファンクラブが黙ってないぞ・・・」

 

少し離れた席で後輩達がヒソヒソと話しているが無視する。あんなの気にしてたらきりが無いからだ。

 

 

 

「その位自分で払ってよ。それよりキー君、あたしプリンアラモードが食べたーい」

 

「・・・受け取ったら即座にお前の顔面にスパーキンしてやる・・・」

 

「もう!キー君せっかくイケメンなのにそう言う所で損してるよ!もっと女の子に優しくしなきゃ!」

 

「・・・ふん、そんな気遣いしなきゃならんのなら一生独身でもいいわ、面倒臭い・・・」

 

大尉はそう言って理子を適当にあしらう。と・・・

 

「あっ、そうだった、理子、キー君に会いたいって言ってた人の事忘れてた。」

 

「・・・何?・・・」

 

「なんか仕事の依頼らしくて〜、もしやってくれるなら成否問わず報酬を支払うってさ。金額は・・万だったかな。」

 

「どこだ場所は?時間は?何時までにどこに行けばいい?どんな依頼だ?」ズイッ

 

「く、食いついて来たね・・・」

 

「・・・当たり前だ、こちとら金欠で喘いでるんだ。金の話なら何でも乗るぞ・・・やっぱり世の中金だからな・・・」

 

・・・伊達に前世でナチスの隠し財産コンプしたわけじゃないぞ、それこそアン◯ャーテッドとかトゥーム◯イダー張りの大冒険だってあったんだからな・・・

 

「キ、キー君って以外とがめいつ・・・えっーと場所は学園島の風力発電の所、時間は今日の夕方ならいつでもいいって。」

 

「・・・よし、今日の夕方だな・・・よし、これはお礼だ・・・」

 

そう言うと机の上にプリンアラモードの代金を置く。

 

「・・・またこういう事があったら教えてくれ・・・」

 

「オッケー!理子にお任せあれ!」

 

そう言うと大尉は理子と一旦別れた・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

夕方

 

・・・さて、落し物とペット探しだけじゃ生活する為のお金が足りないからな・・・一体どんな依頼なのやら・・・

 

そんな事を考えつつ指定された風力発電機の下まで来る。

 

「・・・なんだ、誰もいないじゃないか・・・」

 

・・・まさか理子におちょくられたのか?・・・いや、流石にそんな事はないと思うが・・・

 

「キンジ」

 

「・・・?・・・」

 

突然呼ばれ、その声のした方を向く。

大尉のいた風力発電機のプロペラの上・・・夕日で赤く染まったそのプロペラに人間が座っていたのだ。

 

 

・・・ロングのワンピースに編んだ長い髪・・・そしてこのオーラ、間違いない、兄貴だ・・・理子変装などでは決して違う・・・

 

「久しぶり、キンジ。ごめんね、イ・ウーは遠かったわ」

 

「・・・久しぶりに会ったのはいいが意味がわからん・・・」

 

・・・何故か知らないが俺の知り合いは頼み事をする時、隠すか主語を話さない癖があるらしい・・・悪い癖だ、国語の先生に直せって言われなかったのか?

 

「キンジはアリアと仲良しなの?」

 

・・・しかも聞いちゃいねぇ・・・

 

「・・・まあ、パートナーだからな・・・それなりに仲はいいよ・・・」

 

「好きなの?」

 

「それはない」

 

即答である。

 

・・・俺は、誰に、なんと言われ様と、もっとふくよかな女性が好みなんだ・・・あいつはまな板にしかならん・・・そして成長の見込みもない・・・

 

「そう・・・でも、仲間としては見ているのね、じゃあわたし1人でやらなきゃね」

 

そう言うとゆっくり瞬きをして口を開く。

 

「わたしは、これからアリアを殺すわ」

 

 

 

 

 

 

 

「・・・それは俺らに宣戦布告するって事か?・・・」

 

そう言うと大尉は腰のモーゼルに手をかける。

 

「キンジがアリアを守ろうとするのなら、そうなるわね」

 

「・・・あいつを殺して兄貴に・・・いや、カナに何の得がある・・・優秀な武偵だぞ、あいつは・・・」

 

それもイ・ウーに敵対する筆頭だ、正義の塊みたいだった兄貴が殺す理由が見当たらない・・・まさか・・・

 

「・・・"教授"に頼まれたか?・・・あいつを殺せって・・・それならうまく利用されてるだけだ・・・あいつを成長させるためにな・・・」

 

「そう、彼とあったのね・・・・・・もし、キンジが私が裏切ってイ・ウーについたと思っているのなら間違いよ。アリア、あの少女は巨凶の因由。巨悪を討つのは義に生きる遠山家の天命・・・」

 

・・・どうやら本気らしいな、兄貴は・・・あのセリフを言って兄貴が目的を成し遂げたなかった事はない・・・が、こっちは友人の命がかかってる、そうホイホイ引き下がれん。

 

「・・・カナ、武偵法を知らないのか・・・殺人は武偵法、法律に違反してる・・・いかなる理由があろうとな・・・」

 

「アリアはパートナーがいなければきっと簡単に仕留められるわ、ついて来なさい、キンジ」

 

「・・・ふん、俺の意見なんて聞いてないってか・・・」

 

「お願い、キンジ。あなたがついてくれれば必ず勝てる。今は私の言うことを聞いて。」

 

カナが優しく囁くように告げて来る。が・・・

 

 

「・・・なあ兄貴、今の世の中どう思う・・・」

 

カナの頼みを遮る様に大尉が話し始める。

 

「?」

 

「・・・俺は、今とても楽しい・・・仲間も増えた、仕事も順調・・・そして何よりも・・・今、俺たちは世界規模の犯罪組織と戦ってる・・・前までの、一年生の時や小中学校の頃とは違う・・・戦いが、戦場が、ここが、俺の魂の居場所だ・・・」

 

「・・・」

 

「・・・俺は兄貴の言いたい事がわからない・・・何でこんなに楽しい事をそんなすぐに終わらせようとするんだ?・・・」

 

「!・・・キンジ・・・あなたは」

 

「・・・俺はな、カナ、この地獄の底でどれだけ踊れるか、それにしか興味がないんだよ・・・」

 

「・・・そう、わかったわ。キンジは自分で決めた道が、もうあるのね・・・」

 

そう言うと、目を少し瞬かせて大尉を見据える。

 

「・・・なら、今から私とは敵ね」

 

「・・・そう言う事だな・・・」

 

「・・・」

 

「・・・」

 

その瞬間、2人が途轍もないほどの殺気を放つ。

そして・・・

 

 

 

バァン!ヒュン!

 

 

カナが撃った不可視の弾丸を大尉が動体視力と人差し指と中指全力で使って挟み、高速で手を回転させて速度を維持させてカナに向かって返す!

 

「ふふっ、キンジも成長したわね。あんな技見たことないわ」

 

「・・・二指真空把だ・・・北斗の○だよ・・・」

 

弾丸はカナの顔の少し横をそれて夕日に向かって飛んでいく。が、本人達はそんな事気にしてすらいない様に会話する。

 

 

「・・・今日は気が乗らん。一時停戦だな・・・」

 

「ええ、そうしましょう。キンジがどの位成長したかも見れた事だし。」

 

 

そう言うと大尉は風力発電機に背を向け、歩き出す。

と、言い忘れた事を思い出し後ろを振り返る。

 

 

「・・・今度負けたら実家に行けよ・・・親父泣いてたぞ・・・」

 

 

 

 

 

 

プロペラの上には、もうカナはいなかった。

 

 

 

 

 




今回は誤字脱字があるかもしれません。その場合は教えてください。

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