ヴェアヴォルフ~ヘルシングの大尉が転生~   作:むらやま 

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17巻出ましたねー、やっぱりリサかわいいですね。
大尉に変装させる時、どんな格好にすればいいかな・・・女装したら「そんなでっかい(ry」みたいになりますよね・・・


第31話 虎穴に入らずんば・・・ 中編

仕事は滞りなく進んだ。

資料通りに仕事をしつつ、理子から教えられた監視カメラの視界を避けて防犯装置の位置を確認したり、小夜鳴きの行動パターンを把握していく。

 

作戦開始までの準備は着々と進んで行った・・・

 

 

 

 

 

ガシャーン!ゴロゴロ・・・

 

「・・・天気悪いな・・・」

 

紅鳴館で仕事し始めて数日・・・この館は少し山奥にあるせいか常に天気が曇り空なのだが、今日はとうとう雷まで落ちてくる大雨になってしまった。

 

「・・・もうそろそろ寝るか・・・」

 

そう思い携帯を閉じようとした時だった。

 

とぅるるるるる、とぅるるるるる

 

大尉の携帯が鳴り出したのだ。

 

・・・誰だこんな時間に・・・人が寝ようって時に・・・また武藤たちか?ポーカーもブラックジャックもうやっただろうに・・・

 

と、そんな事を思いつつ表示を見て見ると"神崎"と出ていた。

 

・・・なんなんだよ・・・トバルカインのイカサマのやり方は教えないって言ったのに・・・

 

今日の7時から9時まで行われたトランプ大会、かなり色々やったが神崎がトバルカインに勝てたのはトランプタワーだけだったのだ。

 

・・・まあ、大富豪でずっと俺のターンを3回もやられたら疑うわな・・・

 

 

ピッ

 

「・・・もしもし・・・」

 

『も、もしもし?キンジ?起きてる?』

 

「・・・なんだ?・・・伊達のイカサマについては教えんぞ・・・と言うかあれはあいつの豪運もあるからであってだな・・・」

 

『ち、違うわよ!ほら、えーっと、あ、アプリで遊ぶわよっ!遊戯室に来なさい!』

 

・・・アプリで遊ぶ・・・理子と決めた暗号だったな・・・だが定時連絡まではまだかなり時間があるはずだが・・・ははーん、さては・・・

 

「・・・伊達に負けたのが悔しいから練習でもするのか?・・・やめとけ、俺でも滅多に勝てないんだ・・・」

 

『な、なに言ってんのよ!そんなわけないじゃない!』

 

そう言ったその時だった。

 

ガシャーン!!

 

大尉が言った直後、屋敷の近くに雷が落ちる。と・・・

 

『ひゃあ!?』

 

雷が落ちた瞬間、電話の向こうから間抜けな悲鳴が聞こえ来た。

 

『い、いいから来なさい!あたしが来いと言ったらすぐに来る!来ないと風穴!』

 

ガチャ!プーッ、プーッ・・・

 

「・・・切りやがった・・・自分勝手なやつだな・・・」

 

・・・まあ、暇だったしいいか・・・

 

そう言うと大尉は階段を降りてホールへと向かって行った・・・

 

 

 

 

 

「遅い!」

 

「・・・知らんがな・・・」

 

文句を言って神崎は犬歯を剥き、大尉がそれを軽く受け流す。どうやら神崎はビリヤードをしていたようだ。

 

「ま、まあいいわ、ちゃんと来たんだし。」

 

ぷるぷる・・・カコンッ

 

とりあえず大尉が来たことから安心したのか、神崎はビリヤードに戻る。が、まだ少し震えていてミスショットをやらかしている。

 

「・・・なに震えてんだ?・・・何か出たのか?・・・」

 

「ふ、震えてなんかないわよ!」(震え声)

 

「・・・それはボケと取っていいのか?・・・」

 

大尉と神崎が他愛もない話をする。その時だった・・・

 

ゴッシャーーンッ!!

 

「ひぃっ!?」

 

雷の音に驚いたのか神崎が1mくらい内股で飛び上がる。

 

「・・・うぉ・・・今のは近かったな・・・」

 

「う、うううっ・・・」

 

大尉も少し驚いたようだが特に気にしていない。が、神崎はもう既に涙目になっている。

 

ピカッ!

 

「ひゃあっ!キ、キンジ〜!」

 

だだだっ!ガシッ!

 

・・・先ほど光ったのがとどめだったのか、神崎が大尉に走って行き抱きついた。よほど怖いのか、大尉が剥がそうとしても離れる気配がない。

 

「・・・おい・・・何しがみ付いてるんだ・・・」

 

「うぅ〜!」

 

大尉が話しかけるが下を向いて目を合わせようとしない・・・恥ずかしさ満点の胸に飛び込むをやっているのにもかかわらずだ。

 

・・・はぁ、こいつ本当にどうでもいい所だけプライド高いなー・・・

 

「・・・しょうがねぇ・・・怖くなくなるまでそうしていいぞ・・・」

 

そう言うと大尉は身長差があり過ぎて腰ぐらいの位置にある神崎の頭を撫でて落ち着かせる。

ちなみに大尉の身長はこの前の身体測定から3cm伸びて189になっており、医者によればまだ伸びる見込みがあるそうだ。

 

 

「・・・なあ神崎、お前の怖い物ってなんだ?・・・」

 

大尉が神崎をなだめるような口調で話しかける。

 

「・・・か、かみなり」

 

「・・・そうか・・・俺はチョコレートが怖い・・・」

 

「・・・え?チョコレート?」

 

「・・・そう、チョコレート・・・昔あれが原因で虫歯になったんだ・・・その時の歯の治療が痛くて今でも嫌な思い出だ・・・」

 

「あんたにも、嫌いなものあるんだ・・・意外ね、あたし、あんたは怖いもの知らずだと思ってたわ」

 

「・・・ほんとに嫌だったんだ・・・それでバレンタインの時におばあちゃんから貰うチョコもおはぎにしてもらってるんだ・・・」

 

「ぷぷっ!バカね、そんなにチョコが嫌いなら貰わなきゃいいじゃない」

 

「・・・だって頼んでないのに作るんだもん・・・おっ、カミナリ、止んだな・・・」

 

「あ、ホントだ・・・星が見える・・・」

 

大尉との話のおかげか、神崎もだいぶ落ち着いてくる。

そして先程まで鳴り響いていた雷もやみ、カミナリ雲もいつの間にか遠ざかって雲の切れ目からは少しだけ星空が覗いていた・・・

 

 

 

 

深夜2時

 

あれから寝る気も起きなかったので神崎とトランプをして無理やり時間を潰すこととなった。現在はババ抜きで大尉が1枚、神崎が2枚の大詰めである。

 

・・・流石に30回もやると飽きるな・・・ババ抜き・・・単純に飽きたのもあるが・・・

 

「・・・ほら、次あんたよ」

 

「・・・これにするか・・・」

 

「・・・」(*゚▽゚*)

 

「・・・やっぱりこれにしようかな・・・」

 

「・・・」Σ(゚д゚lll)

 

・・・こいつ、ポーカーフェイスを知らないんだろうか・・・

 

「・・・これだな・・・」

 

スッ

 

「・・・揃ったな・・・俺の勝ちだ・・・」

 

「な、なんでわかったのよ!」

 

「・・・絶対教えん・・・まだこの手で30勝は硬いからな・・・」

 

「むぅー!絶対次こそ勝ってやる!もう一回よ!」

 

とぅるるるるる、とぅるるるるる

 

神崎が再戦しようとした時、大尉の携帯と神崎の携帯が鳴る。

 

「・・・理子からの連絡だ・・・また今度だな・・・」ピッ

 

「今度こそ絶対ぎゃふんと言わせてやる!」ピッ

 

神崎のぶつくさ言いつつ、携帯の通話ボタンを押す。

 

今回の作戦に連絡手段として使われてるのは3者間通話と言うかなり変わった物だ。日本の携帯電話は複雑な信号を使っていて盗聴される心配は万が一にもないとのことだった。

 

『やっほー!聞こえてるー?』

 

「・・・聞こえた、問題なし・・・」

 

「こっちもよ」

 

『よっしゃ、ダブルオッケーだね!じゃあ中間報告、アリアからどうぞ!』

 

「理子の十字架はやっぱり地下金庫にあるみたいね。小夜鳴が一度金庫に入るのを見たけど、青くてピアスの入った十字架よね?」

 

『そう!それそれ!それが理子の十字架ですよ!』

 

「・・・で?どうするんだ?・・・小夜鳴はいつも地下金庫の前に陣取ってるぞ?・・・」

 

『むっふっふっ、だから2人チームなんですよ!2人には古典的な方法だけと・・・「誘い出し」をやってもらいたいんだよ。片方が先生を地下金庫から遠ざけてもう一方が十字架をゲットするの。そうだね、具体的なステップは・・・』

 

そう言うと理子は俺と神崎の情報を元に作戦を修正して、新たな作戦を立てて俺たちに説明し始めた・・・

 

 

 

 

 

 

潜入生活10日目 夜

 

武藤、伊達の2人は紅鳴館1週間の刑を終え帰ってしまい、残されたのは大尉と神崎の2人だけとなった。

 

・・・さて、トバルカインには平賀さんに頼んで作ってもらってた銃を取りに行ってもらうのと、俺から大隊のみんなへのの指示を伝えて置いた・・・あとは十字架を奪ってワラキアの奴を見付け出すだけだな・・・

 

そんな事を思いつつ、空を見上げる。

今日は珍しく空も晴れ、満月が覗いていた。

 

・・・あー・・・体が火照ってフワフワする・・・人狼の血が騒ぐ・・・やっぱ満月の日はテンション上がるな・・・

 

「ちょっと、あんたなにしてんのよ。早く料理運ぶわよ。」

 

「・・・わかってる・・・」

 

今日の料理は山形牛の串焼き、柚子胡椒添えと言う高級レストランで出そうな料理だった。それも毎日これでいいそうだ・・・まったく、これでよく体が治るな・・・

 

 

 

「・・・今日は山形牛の串焼き、柚子胡椒添えになります・・・」

 

そう言うと大尉が料理の蓋を開けて料理を小夜鳴に見せ、赤ワインをグラスに注ぐ。と、それと同時に神崎がレコードを掛ける。

 

・・・ノクターンか・・・この夜にあったいい曲だ・・・

 

「フィーブッコロス・・・」

 

小夜鳴も外で月夜に照らされているバラを見ながらご満悦の様子だ。

 

「・・・そう言えば、小夜鳴先生はいつ頃ルーマニアへ?・・・」

 

大尉が小夜鳴に質問する。

 

・・・もしかしたらワラキアについて何か情報を引き出せるかも知れない・・・うまくいかなくても仲良くなれば作戦を成功させられるチャンスが増える・・・

 

「そうですね・・・なんと言ったらいいかな、実は直接会ったことはないんですよ。」

 

「?・・・メル友なんですか?・・・」

 

「違うんですよ。うーん、なんと言ったらいいのやら、まあ、特殊なやりとりとしか言えませんね。」

 

「・・・そうですか・・・そうだ、じゃあルーマニアの話とかを教えてくださいよ、興味があるんです・・・」

 

「おお、遠山君はルーマニアに興味があるんですか?いい心がけですね、自分の住む国だけでなく他の国の文化、思想、主義、伝統・・・そう言った物に興味を持ち、知ることはとても良い経験になります・・・まったく、素晴らしい!」

 

酒が入ってるせいか、少しテンション高めの小夜鳴はご満悦だ。どうやら海外の話が好きなようだな・・・

 

「そうですね、では私の初の海外旅行先であるフランスの話からしましょうか・・・」

 

「・・・ルーマニアじゃないんだ・・・」

 

酔っ払った小夜鳴はとても饒舌になり、色々な海外の体験などを話し、食事が終わってもその話は終わらなかった・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『理子、キンジ、不味いことになったわ。今日の掃除の時に調べたんだけど警備が強化されてるわ。物理的な鍵に磁気カードキー、指紋認証と網膜スキャンに音声認証までつけられてたわ。中にも事前調査で無かった感圧床がつけられてたわ。』

 

今日の作戦会議では、またろくでもないことが発覚した。

 

・・・あの十字架にそこまでの価値はなさそうなんだがな・・・

 

『むむっ、ここで警備強化ですかー・・・しょうがない、プランC21で行きますか!』

 

「・・・プランBはあるの?・・・」

 

『あ?ねぇよんなもん・・・で、どっちが小夜鳴と仲良くなったの?』

 

「・・・俺だな・・・話のネタもわかってるからな・・・かなりの間引きつけられると思うぞ・・・」

 

『さっすがキー君!頼りになるねー!ねえキー君、これが終わったら理子と組んでドロボーやらない?きっと世界に名だたるドロボーになれるよ!』

 

「・・・断っとくよ・・・まだカタギでいたいんだ・・・」

 

『チッ、キー君のいけずー!じゃあカタギやめてもいいと思ったら連絡してねー!』

 

「こら!あんたなに言ってるのよ!そいつはあたしのパートナーなんだから!」

 

『お?女の嫉妬ですかなー?怖い怖い、怖いから理子逃げちゃおーっと、じゃあまた明日のこの時間にねー!』

 

ブッ!

 

理子は神崎を散々煽るとそのまま電話を切ってしまった。

 

「ちょっと!待ちなさいよ!」

 

「・・・自分勝手な奴だな・・・」

 

「・・・ま、いいわ、今日は寝ましょ。明日から忙しくなるわよ。」

 

そう言うと2人も電話を切り、作戦会議を終了した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

装備科

 

「平賀さぁん、伊達でぇす、遠山の頼んだ銃とブツを取りに来ました。」

 

「はーい、たくさんのお買い上げまいどありですのだー!しかし遠山君はすごいですのだ、こんな銃を撃てる人、初めてみたのだ!」

 

そう言うと平賀さんがガラクタの山に頭を突っ込んで品を探し始め、少しするともぞもぞと這い出て来た。

 

「はい!注文された銃のM712キンジモデルですのだ!フレームは硬質カーボン!弾丸はマン・ストッピングに優れると言うには余りにも絶大な破壊力の454カスール使用!マガジンは複列弾倉をさらに大型にして装弾数は20発!そして特筆すべきこの銃の特徴は何と言ってもこの約40センチの長銃身!もうこの銃を扱えるのは世界広しと言えど遠山君だけですのだ!」

 

「なんかTV伝道師みたいだなぁ・・・」

 

そう言うとトバルカインは平賀さんからM712を2丁と予備のマガジンをもらいうける

 

「あとこっちの方も、はい、注文の品ですのだー」

 

そしてまた平賀さんがガラクタの山から大量のダンボール箱と弾薬箱を取り出して来た。弾薬箱の方は横に5.56mmと書かれているが、ダンボールには爆発物危険の表示しか書かれていない。

 

「こんなにいっぱい買ってくれるのは嬉しいけど何に使うんですの?それに"これ"は武偵法に違反してるのだ。対人用に使ったら相手が木っ端微塵になってしまうのだ。今回は手に入れるのに苦労したのだ。」

 

「・・・悪りぃな、平賀さんでも詳しく話せねぇんだわ。」

 

そう言うと、かなり分厚い封筒を平賀さんに手渡す。

中には大尉やミレニアムのメンバーが出しあった金が入っている。

 

「じゃあ平賀さん、ありがとな、助かったよ。」

 

「また来てくださいなのだ、いつでもお待ちしてますのだ!」

 

 

そう言ってトバルカインは買った物を車に詰め込むと装備科棟を後にした。

 

 




大尉の愛銃、M712が戻って来ましたねー
あと銃を魔改造しましたが、少しぐらいいいですよね?

意見、感想お待ちしております。

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