誤字脱字があったら教えてください。
「・・・シュレディンガー、頼みがある・・・」
「何ですか?」
「・・・これを、十字架のあった所に置いて欲しい・・・」
そう言う大尉の手にはシュレディンガーがこの前盗んだ十字架が握られていた。
「え?いいんですか、返しちゃって?」
「・・・本物のわけないだろ・・・偽物だよ、平賀さんに作ってもらった奴で重さも同じだ・・・見た目も完璧だ・・・このまま作戦をやったら十字架がないからとんでもないことになる・・・」
「そう言うことですか。わかりました、じゃあ戻して来ます。」
そう言うとシュレディンガーの姿は大尉の前から消えた。
翌日
「・・・遅い、行ったい何してるのかしら、私達を呼び出しといて。」
「・・・もう慣れたよ・・・」
そんな事を神崎とぶつくさ話しつつ、理子が来るのを待つ。
・・・今日は紅鳴館への潜入作戦の当日・・・こっちは無理矢理嘘ついて学校休んだって言うのに、呼んだ本人が遅刻しているのだ。
と、その時、目の前に見知った顔が現れる。
「久しぶりだな・・・キンジ」
「・・・え、兄貴?」
・・・神崎と理子との待ち合わせ場所に姿を現したのはなんと探していた兄、金一だったのだ。
・・・が、大尉もこんな事にほいほい引っかかるほどバカでは無い。
・・・一瞬、本当に兄貴かと思ったが匂いが違う、理子が変装してるんだろう・・・見た目、声は完璧だったんだがな・・・
「・・・理子、流石にそれは無いだろ・・・俺の本気パンチ食らいたいなら別だが・・・」
「あり?バレちゃった?キー君が喜びそうな事したんだけどな〜?」
・・・この野郎・・・マジで顔面ぶん殴りたい・・・
「ちょ、ちょっと・・・この理子が変装してる美人は誰なのよ・・・ねえ、答えなさいよ!」
「キンジの兄貴だよぉー」
「へぇーそうなんだ、結構美人なのね・・・って、男!?」
「うわ、男かよ!騙された〜!てか中身理子かよ!」
・・・まったくだ、こんなに美人が兄だなんてな・・・ヘルシング卿とは逆の性別間違えた人の1人だろう・・・・・・・・・んん!?
「・・・え!?な、なんで伊達と武藤がいるのよ!」
神崎をも気がついたらしく後ろを振り向く。そこにはトバルカインと武藤の2人が大きめのカバンを持って立っていたのだ。
「キンジの兄貴を見つけたから追いかけてたんだぜぇ」
「いや〜、この前の覗きの件で教務科から紅鳴館の清掃を頼まれたんだよ。まあ、美人の尻を追いかけてたのは事実だけどな。騙されたよ。」
・・・つまり普通に女だと思って追いかけてたと・・・いや、確かに今は中身理子だから女だけど、変装元は男なんだぞ・・・
「・・・はあ、本当に兄貴で苦労するよ・・・」
「こ、こんな兄がいたら気苦労もするわよね・・・」
大尉がヘコんでいると横に立っていた神崎が優しい言葉を掛けて肩を叩いてくれた。
「・・・わかってくれるのか、神崎・・・」
「あんたも家族で苦労してるんでしょ?わかるわよ、あたしも家族で苦労してるんだから・・・」
・・・この時、少し神崎への好感度が上がった・・・
横浜の紅鳴館への道はとても賑やかだった。
理子が「暇だー!」と言って暴れ出して、トバルカインがトランプを能力で出して、武藤がポーカーをやろうと提案して、神崎が鴨られて「イカサマだ〜!」と拳銃を出して暴れまわる。そしてそれに便乗して負けをうやむやにしてノーカンにする俺。
・・・とても敵地に乗り込みに行く様には見えない、楽しい時間だった・・・それに・・・
と、横でトバルカインのイカサマを見抜こうと必死になっている理子を見る。とても楽しそうで、ついこの前俺と神崎を殺そうとした奴とは思えない。
・・・やっぱり、虐待されてたなんて思えないな・・・それに、いつもニコニコしてるこいつと、凶悪な怪盗の時の顔が合わさらない・・・
「おーかーしーいー!絶対イカサマしてるー!」
「バレなきゃイカサマとは言わないんだよ」(キリッ)
「悔しい!何が悔しいってイカサマを見破れないのが悔しい!」
・・・トバルカインの能力はトランプに関してなら誰にも負けない・・・無限にトランプを出したり、カードを別のカードに変えたりととてもえげつないんだ・・・
・・・まあ、こいつの場合は能力なんか使わなくても十分強いし、理子もイカサマしてる様だからどっちもどっちなのだが・・・
と、そんな考察をしていると前の席に座っていた武藤が声を掛けてくる。
「おい、そろそろ着くぞ。門が見えてきた。」
よく見ると道の向こうにはすでに館の大きな門が・・・さらにその奥には巨大な館が見えて来ていた。まるでホラー映画に出てきそうな不気味なたたずまいだ。
「ぶ、不気味な所ね・・・」
「バイオ◯ザードの洋館みたいだなぁ・・・」
「なんか地下研究室ありそうだな。」
「かゆうまだね!ねえキー君!仕事終わったらバイオ◯ザードごっこしよーよ!」
「・・・それじゃあ某生物災害ゲームみたいになるだろうが・・・そんな事してみろ、エンディングの洋館みたいに木っ端微塵にしてやるからな・・・」
無駄口を叩きつつ洋館の門をくぐり抜け、館の前まで行く。と、中から人が出てくる。
「どうも、ハウスキーパーの方ですね。どうぞ中へ・・・あれ?遠山君に神崎さん・・・あとの2人は話を聞いてますけど・・・まさか君たちもハウスキーパーをやるのかい?」
なんと中から出て来たのは、武偵高臨時教師の小夜鳴だったのだ。腕にはこの前の狼に襲われた傷が治ってないのかギプスがはめられている。
「・・・あ、あはは・・・そうみたいですね・・・」
そう言う理子もよく見れば冷や汗をかいて苦笑いしている。トバルカインと武藤は知っていたのか特に動揺した様子はない。
「・・・まさか小夜鳴先生がこんな館に住んでるなんて知りませんでした・・・」
「いやぁ、本当は私の家じゃないんですよ。ここにある研究施設や設備を借りてたらいつの間にやらここの管理人のような立場になってしまったんですよ。」
「じゃあその持ち主は一体どこに?」
「とても遠い所にいるんですよ、だからしばらくは帰って来ません。ただ私は研究に没頭する癖があって、その間に不審者に入られては困るのでハウスキーパーが武偵なのは好都合ですね。それにこの館はかなり広いので人数が多い方がいいでしょう。」
・・・人数が増えたことを好意的にとってくれたな、これはありがたい・・・仕事がしやすくなる・・・
俺たちを無線で指揮する為に理子が帰ると、小夜鳴が館を一通り案内してくれた。
中の様子は外からみたのと同じで不気味な内装があり、それを見るたんびに神崎が怖がってしがみついて来た。
・・・本当によく武偵になれたな・・・この前は雷も怖がってたし・・・
そんなことを思いつつ館の内装を見ていると大尉はある物を見つけた。それはホールの壁に貼られていた紋章の書かれた旗だった。
・・・この紋章・・・下の方にルーマニア語が書かれているな・・・
大尉はそう思うと、字を読もうと試みた。
大尉は大戦中にルーマニアに行った事があり、日常会話程度ならぺらぺらなのである。本人が無口な為ほとんど喋らないが・・・
ちなみに大尉が喋れる言語はドイツ語、日本語、英語、ルーマニア語、ロシア語、フランス語、その他欧州の言葉は一通り話せて・・・実は割と色々な国の言葉を喋れるのだ。
「何しているんだい?遠山君。」
突然後ろから小夜鳴に声をかけられ、大尉の心臓が大きく跳ねる。
「!?・・・い、いえ、この旗に字が書いてあったから読めるかなと・・・かなり古いものですよね?・・・それもルーマニアの物・・・」
「ほほう!いい所に気がつきましたね。これはこの館の持ち主の物なんですが、遠山君の言う通りこれはルーマニアの旗です。よく気がつきましたね、フィーブッコロス!」
「・・・フィーブッコロス・・・ルーマニア語で素晴らしい、みたいな感じの言葉でしたよね?・・・小夜鳴先生はルーマニア語が話せるんですか?・・・」
「おおっ、遠山君も話せるんですか?」
「・・・まあ、少しだけですが・・・」
「いえいえ、少し話せるだけでも中々のものですよ?実はここの持ち主がルーマニア出身でして、私達はルーマニア語でやりとりするんですよ。これはいい事を知りましたねぇ」
・・・ふむ、今のでここの洋館の持ち主がワラキアなのは大体確定したな・・・ここにいないのは残念だが、必ず見つけ出してやる・・・
と、前を歩いていた小夜鳴が立ち止まりこちらに振り返る。
「そろそろ部屋に着きますね・・・皆さん、これからここで仕事をする時のルールを説明しますからよく聞いてくださいね。」
と言って、一同を一番近い部屋に招き入れる。
部屋にはタンス、ベッド、ソファ、机など普段の生活に必要な物が一通り揃っている。
「ここの伝統と言うか何と言うか・・・ハウスキーパーさんは男女共に制服を着ることになっているんです。タンスの中に制服が入っていてサイズもたくさんあるので選んで着てください。あと、ホールにビリヤード台があるので暇な時はそれで遊んでて構いませんよ・・・あ、私は研究で忙しいのであまり皆さんと遊ぶ暇はないので・・・本当、すみません」
・・・長い説明ご苦労さま・・・なんで謝ってきたのかよくわからんが、まあ仕事はそんなに難しくなさそうだな・・・
「それでは夕食の時間になったら教えてください。失礼します。」
そう言って小夜鳴は螺旋階段を降りて、研究室に行ってしまった。
「・・・それじゃ、働くか・・・」
「・・・そ、そうね」
「よっしゃ、仕事さっさと終わらせてビリヤードやろうぜ!」
「伝説のハスラーショットを見せてやるぜぇ・・・!」
とりあえずそれぞれ自分の割り振られた部屋に行き、着替える運びとなった。
「・・・ふむ、自分で言うのも何だが似合ってるな・・・」
・・・懐かしいな・・・あの頃はドクがいない時は俺が少佐の身の回りのことやってたんだよな・・・
タンスに入っていたのは古めかしい燕尾服で、簡単に言えば執事とかが着ている服だ。そして服を着ているとき、ある人物のことを思い出した。
・・・そう言えば、バトラー・・・あの少年ははどうなったんだろうな・・・ドクを殺した後、多分だが脱出できなかった・・・
・・・いや、あの少年の事だ、きっとしなかったんだろうな・・・そうだ、もしかしたらあいつもこの世界に来ているかも知れないんだよな・・・
「・・・もし、会うことが出来たなら・・・決着を付けてやるか・・・」
・・・あいつとの勝負はいつも途中で邪魔が入って決着がつかなかった・・・初めてあった時はアーカードに邪魔されたんだったな・・・今度こそ・・・
そんな事思い出して、少し笑みを浮かべていると・・・
「おーい、キンジ、着替えたか?」
ドアの外から武藤が声をかけてくる。
「・・・ああ、もうすぐ行く・・・」
「早くしてくれよ、俺と伊達は着替え終わったぞ。」
「・・・神崎は?・・・」
「アリアなら今伊達が様子を見に行って・・・」
『風穴地獄ーー!!』
ドガンッ!!
『ぎゃああああああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!?』
衝撃と轟音、そしてトバルカインの悲鳴が館を揺らした・・・
・・・大尉カスタムのモーゼル、出すだけ出そうかな・・・かっこいいし、USPでは威力不足は否めない・・・
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