ヴェアヴォルフ~ヘルシングの大尉が転生~   作:むらやま 

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 さあ、早速投稿です。テスト期間中なのに小説投稿とか・・・


第一話 ペットだ、俺にはそれが必要だ

  衝撃の転生から3年がたった。つまり俺は三歳になったわけだ。

  しかし、いまだにお漏らしをすることがあり、死にたくなる・・・ああ、0歳の時、ウ〇コ漏らしたときはこの世から消えたいと思ったな・・・特に0~1歳の時は羞恥心との戦いだったな。  

 

  家族はかなり変わり者ばかりだ、姉みたいな兄、超巨大な迫力満点の父、スケベだが明らかに只者ではないオーラを放つ祖父、その祖父を上回る戦闘力を持つ祖母、そして生まれてこの方一度も喋らない俺、である。異様過ぎる家族構成である。

 

  正直、人生初の兄があれなのはどうかして欲しい・・・もしかしたらこれが天罰なのかもしれない・・・

 

  あと祖父と祖母・・・とりわけ祖父の方は「おじいちゃん」と呼んで欲しいらしく、しつこく俺に「おじいちゃんですよ~、はい言ってみようね~」と言ってくる。

  俺も別に喋れないわけではなく、喋るのが苦手だから喋らないだけだ。別に喋ろうと思えば喋れる。だがお前みたいなスケベじじいは、絶対におじいちゃんなんて呼ばない。この前も本を読み聞かせするのかと思ったらエロ本読み始めやがって・・・まあ、おばあちゃんに見つかってボコボコにされてたが

 

  ああ、ミレニアムはよかったな・・・みんな俺は喋らなくてもいいように取り計らってくれたからな・・・そう言えば一度会議中「トイレに行ってもいいか?」って言ったら大騒ぎになった事もあったな・・・

 

  (今日も公園に行くか・・・)

 

  そう思い見ていたテレビを消す。船〇英一郎はすごいな、一体今まで何人の犯人を捕まえたのだろう・・・

 

  とりあえず玄関で外出の準備をしていると・・・

 

  「あら?どこか出かけるの?」

 

  ちょうど玄関の掃除をしていた祖母に声をかけられた。俺は首を縦に振って首肯する。  

 

  「そうなの・・・あっ、ちょっと待ってなさい。」

 

  そう言うと祖母は自分の部屋へ消えていく。なんだろうな・・・  

  祖母があるものを持って戻ってきた。

 

  「あなたよく外で遊んでるから、熱中症に気お付けないとね。」

 

  そう言って祖母が俺の頭に野球帽をかぶせてくれた。

 

  「ふふっ、よく似合ってるわ。それは昔あなたのお父さんがかぶっていた物よ。いじめられてすぐやめちゃったんだけどね。」

 

  あの父親がいじめられっこだと・・・信じられん。ドラ〇もんのジャイ〇ンみたいな少年時代をすごしたものとばかり思っていた。

 

  「あと・・・あなた、お兄ちゃんともちゃんと遊びなさい。寂しがっていたわよ。」  

 

  ・・・あの着せ替えごっこの事か?いやだぞ、なんで俺が女の子の格好しなくちゃならないんだ。  

  「そんなこと言っちゃダメよ?」

 

  なぜばれた。まさか読心術か?

 

  「さあ、遊びに行ってらっしゃい。遊べるのは子供のうちだけよ。」

 

  ・・・とりあえず行くか。そうだな、帽子をくれたお礼でも言ってみるか。この帽子、少しブカブカだが、頭になにかかぶってないとスースーして落ち着かなかったからな・・・

 

  「ありがとう、おばあちゃん。」

 

  その瞬間の祖母の顔は忘れないだろう。すごく驚いた顔をしたあと、すごく嬉しそうな顔をしていた。

 

  

  ちなみに兄と遊ぶと着せ替えごっこ、父と遊ぶと筋トレ、祖父は前述のとおり、唯一祖母だけは喋らない俺にも優しくしてくれる。別に他も悪気が在る訳じゃあないだろうが・・・3歳児に腕立て200回はきつい。

 

  遊びといっても懸垂を自分のペースでやったり、公園の周りをグルグル走ったりと結果的には筋トレなのだが。

 

  (今日は懸垂だな・・・)

 

  そう思い鉄棒の所へ行く。この公園はかなり遊具がありなかなか楽しい。今日も自分以外の子供が何人も来て遊んでいる。

  この公園の鉄棒は5種類で高さが一番高いのでは2mほど、俺は一番下の50cmのやつを使っている。

 

  (さて・・・)

 

  鉄棒を掴んでいざ始めようとした時だった。

 

  「おっ!?大尉じゃないですか。久しぶりですね。こちらにいらしたんですか?」

 

  「!?」

 

  突然の声に振り返るが誰もいない。だが今のは間違いなく聞き覚えのある声だった・・・

 

  「そっちじゃないですよ。下ですよ下。」

 

  声の言うまま下を向く、そこには猫が・・・それも子猫がいた。黒と白のまだら模様だ。

 

  「えへへ、やっと気付きましたね。僕ですよ、シュレディンガーですよ。」

 

  ニャオン、と猫らしい声を上げる。

 

  だが、なぜこいつは人の姿をしてないんだ?確かに以前にも猫耳ショt・・・少年だったが。

 

  「相変わらず無口ですね大尉は。せっかく生まれ変わったんだからもっと喋ればいいのに。」

 

  お前は喋りすぎだ。周りにいる子供に聞かれたらどうする。

 

  「大尉は心配性ですね。大丈夫ですよ。僕が意識した人にしか聞こえませんから。」

 

  お前も読心術使えるのか?なんで俺の考えてる事がわかるんだ。

 

  「顔に書いてありますよ。」

   

  そう言われてホントに書かれてるんじゃないかと思う。もちろん書かれてないが。

 

  「ところで大尉、能力はどうなんですか?ほら、霧になってぶわーっとなったりとか・・・」

 

  あれか・・・多分今は使えるだろう。動物が近くにいるからな。

 

  「えっ?どうゆうことですか?」

 

  どうやら俺の生まれた家の家系が関係してきてな、どうやら俺の場合、動物と遊んだ後とかは絶好調で使えるようだ。まあ、今の生活なら特に苦労する事はないだろうが・・・

 

  「おっ、ちょうどいいですね。」

 

  なにが?

 

  「実は僕、捨て猫で養ってくれる家を探してたんですよ。」

 

  ふむ。そう思って考えてみる。そうか・・・確かにこいつがいれば簡単に・・・確かヒス何とかに簡単になれるだろう・・・

 

  別にいいんじゃないか?俺から親に頼んでおくよ。

 

  「うほっーー!助かります。じゃあさっそく家に連れてってくださいよ。」

 

  バカか、こういうのはシチュエーションが大事なんだ。ちょっと待ってろ・・・

 

  そう考えて大尉は筋トレそっちのけで作戦を考え始めた・・・

 

 

  2時間後

   

  とりあえず帰宅する。ちょうどじいちゃんが玄関で倒れていた。だぶん、エロ本が見つかっておばあちゃんにボコボコにされたんだろ。

 

  「おお・・・帰ってきたか・・・随分遅かったな。」

 

  じいちゃんに首肯する。

 

  「あっ!金次遅かったね!」

 

  玄関に上がり靴を脱いだ瞬間、横から体当たりをされる。この声は・・・っ!

  

  「もうっ!心配させちゃダメなんだからね!このっ!悪い子にはお仕置きだ!」ガシガシ!

 

  やめろ!そんなに強く頭を撫で回すな!あっ、だめ・・・そこ気持ちいい・・・っ!

    

  「こら、金一。金次が嫌がっているじゃないか。やめなさい。」

 

  リビングからドスの聞いた声がする。親父もいるのか、ちょうど・・・ちょっ、そこは・・・だめえぇぇ・・・

 

  「え~っ、だって金次、一回もお兄ちゃんって呼んでくれないんだよ?ぜんぜん一緒に遊んでくれないし。」

 

  「やめてあげなさい。金次は自己主張が苦手なんだよ。」

 

  「む~~~~っ!」

  

  言われて渋々兄が引き下がる。たっ、たすかった・・・

 

  「ん?なんだその段ボール箱は?」

 

  よし、いいぞ。作戦通りだ・・・

 

  「お父さん、話が・・・」

 

  俺が父に話したその瞬間、祖母以外の全員が凍りつく。

 

  「いっ、今・・・」「信じられん・・・」

  

  兄、祖父ともにこの調子である。俺に名前を呼ばれた親父はと言うと・・・

 

  「うっ・・・ううっ・・・はっ、初めて金次がお父さんって・・・うおおっ・・・」

 

  むちゃくちゃ泣いていた。

 

  「はあっ・・・はあっ・・・なんだい金次、話って。なんでも・・・ゲホゲホッ!」

 

  呼吸困難になるくらい泣くなよ・・・申し訳なくなるだろ・・・  

  

  「捨て猫、飼いたい。」

 

  ダンボールにはマジックで”捨て猫です。拾ってください。”と書かれている。

  もちろん俺が書いた物だ。ダンボールはすぐ見つかったんだが、マジックがなかなか見つからなくて時間が掛かってしまったのだ。

 

  ニャ~~ン、ゴロニャ~ン

 

  シュレディンガーがちょうどいいタイミングで顔をだす。これも作戦通りだ。

 

  「うわあ~~かわいいっ!」

 

  よし、うまく兄を味方に付ける事ができた。これで後は何とかなるだろう。

 

  「名前はどうするんじゃ?名前がないんじゃかわいそうじゃろ。」

     

  ・・・こいつの場合はそのままでもいいだろう。

 

  「シュレディンガー・・・」

 

  「ほおっ!かっこいい名前じゃな!」

 

  じいちゃんは名前の由来を知ってか知らずか、いい名前だとほめていた。  

 

  「大尉、猫に付ける名前じゃないですよ・・・」

 

  お前が言うな。

 

  「そうか・・・じゃあ新しい家族が増えた事を祝って。」

   

  親父が厳かに宣言しコップを掲げる。

 

  それにつられて全員がそれぞれ各々のコップを掲げる。

 

  「乾杯!」

 

  「「「乾杯~~!」」」

 

  今日遠山家に新しい家族が増えた。

  

  

  おまけ

 

  「うまく行きましたね!大尉!」

 

  まあ、普段あまり喋らない俺のおかげだな。もっと俺に感謝しろ。

 

  「ぬふふ、じゃあ取って置きのサービスを・・・」

 

 

  「あら、金次ちゃん」

 

  そこへ祖母がやってきた。何か用だろうか・・・

 

  「お友達とのおしゃべりはいいけど、他の人に気付かれないようにね。大尉」

 

  !!?

 

  一体何者だ・・・おばあちゃん。と言うかどうやって会話を・・・

  

  「いつから・・・」

 

  思わず声に出す。いや、出てしまう。

 

  「生まれた時からよ。産まれてすぐわかったわ。”ああ、この子は狼だ”ってね。」

 

  「・・・・・・」

 

  「安心しなさい。バラしたりしないわ。・・・家族に危害を加えない限り。」ドッ!

 

  ・・・ッ!なんて闘気だっ!こんな闘気・・・はじめて見るっ!

 

  「そんな・・・つもりは・・・毛頭ない!」

 

  これは心からの思いであった。するとその瞬間、先程の闘気が嘘のように消えうせる。

 

  「うふふっ、冗談よ。ちょっと試しただけ・・・その言葉を聞いて安心したわ。」

 

  「・・・・・・・」

 

  「・・・これから様々な事が起こると思うわ。誰も信じられなくなる事があるかもしれない。でも・・・家族はいつもあなたの味方よ。それを忘れない事ね。」

 

  「・・・・・・・」コクッ

 

  「それじゃあ・・・精進しなさい。人狼。」

 

  そういい残すと祖母は隣の部屋へと消えていった・・・

 

  「・・・とんでもない家族ですね。」

 

  いや、お前もその一員だから。

  

 

 

 

 




 原作小説を読んで漂ってくる、只者ではないオーラのおばあちゃん。どうでした?
 感想、意見待ってま~す。
 

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