今回はかなり急いで書いたのでかなり粗いと思います。すみません。
パンパン!バウン!ガシャ!バウン!パパパパン!
機内にいくつもの銃声がこだまする。先程まで3人がいたバーはすでに見るも無残な状態になっていた。壁には9mm、12ゲージ散弾が食い込み穴だらけ、椅子は中のクッションの中身が飛び散っている。
「・・・ダメだ、決定打がないな・・・」
ピンチではないのだが今は俺がバーカウンターの裏側、神崎と理子はそれぞれ向かい側に陣取っており、神崎と理子が撃ち合っているのを俺が援護しているのだが二人とも理子から距離があり捕まえるとが出来ないでいるのだ。
どうやらあいつはバカのフリをしていただけで2丁拳銃も出来るらしい・・・まあ、俺も出来るんだけど。
カウンターから少し見える理子の顔を伺う。どうやら何か予想外のことが起きて焦っているようだ。
「・・・理子、何をそんなに焦ってるんだ?忘れ物でもしたか?」
「うっさい!死ね!」パンパン!
理子の持つワルサーが火を吹く・・・が、近くの酒瓶が割れただけで見当違いもいいところだ。
「・・・どこを撃ってる・・・!そんな腕でよく兄貴を殺せたな・・・!」
「・・・なんだキー君なら知ってると思ってたんだけど」
「?・・・どういうことだ?」
銃声が少し止む。
「キー君のお兄さんは生きてるんだよ?」
・・・
・・・・・・
・・・・・・・・・
「・・・ちょっともう一度言ってくれ、理解出来なかった。」
「だ〜か〜ら〜!キー君のお兄さんは生きてるって言ったの!」
「・・・信じられん、兄貴が?・・・だが兄貴はお前が殺したんじゃ・・・」
「殺したんじゃなくて、イ・ウーに引き入れたんだよ?キー君もどう?イ・ウーはいいところだよ?」
・・・兄貴生きてたのか?じゃあわざわざ敵討ちする必要ないじゃん。しかしなんでもどってこなかったんだ?・・・でもそもそも理子情報だからな・・・
「・・・もらった!」
俺が理子とはなしているおかげで理子に隙ができる。神崎はその一瞬の隙を突いて、理子に突撃する。どうやら格闘戦に持ち込む気らしい。
「・・・っ!このぉ!」
・・・格闘の技術はほぼ互角・・・いや、神崎が少し上だ・・・後は神崎のガバメントの弾数と・・・俺のショットガン、ハンドガンの弾数で決まる・・・
互いに手足を使い、相手の銃口をそらしその流れで相手に弾を、拳を撃ち込む。が、防弾制服のせいで勝負が決まらない。だからこうなったらよほど格闘技が強い方か、弾数が多い方が勝つのだ。
その時だった、大尉が理子に違和感を・・・一瞬だが理子が・・・笑ったのだ。
・・・まずい、あいつは何か隠している・・・!
「オルメス!お前のカドラは本物じゃない!」
理子が叫ぶ、そしてその次の瞬間だった。
・・・なんだ?あれは・・・髪が、動いている・・・!
理子の髪が、まるで意思を持っているかのよう動いているのだ。そしてその髪が何処かに隠していたらしいナイフを神崎の頭に向けて振り上げる。
・・・やらせるか・・・!
その瞬間の大尉の行動はまさに電光石火だった。素早くカウンターを飛び越えると神崎と理子の間に入り、神崎を突き飛ばす。
「きゃっ!?」
神崎は悲鳴をあげて、少し後ろに吹き飛ばされる。
・・・よし、あいつの安全は確保した。
その時だった、頭に硬いものが当たり、それと同時に先程まで振り下ろしかけていたナイフが首筋に突き付けられる。
「アリアを倒してからにしようと思ってたけど・・・そんなに死にたいんなら先に逝かせてあげる。」
理子がまるで執行官のように冷淡な口調で語りかけてくる。
「・・・散らせるもんなら散らしてみろよ」
パァン!
発射された9mm弾が大尉の頭を撃ち抜く。撃たれた大尉はそのまま膝から崩れ落ちる。
「キンジ!・・・そんな・・・いやぁ・・・」
「さあ、アリア次はお前の番だよ」
そう言うと倒れた大尉を尻目に目の前の事態についていけず、うなだれている神崎に近づいていく。
「これで最後・・・これであたしはあたしになれる・・・!」
アリアの頭に照準を向け・・・ワルサーの引き金を引く・・・が、その瞬間、横から出てきた手が銃口を上に逸らし、弾丸はアリアの頭ではなく天井に穴を開ける。
「なっ!」「えっ?」
腕は・・・先ほど撃たれた大尉のものだった。
「は、はあ!?」
そのまま理子から素早く銃を取り上げると腕をホールドし、動けなくして取り押さえる。
峰理子は理解することができなかった、目の前で起きた出来事が。
そんなバカな、あり得ない!確かに、確かに頭を撃ち抜いたはず・・・!・・・なのに、なんでこいつは傷一つつかずピンピンしてるんだ・・・!?
理子の放った弾丸は確かに大尉の頭を貫通した・・・体を霧状態にした大尉の頭をである。
・・・あ〜あ、できる限り使わないようにしてたんだが・・・まあ、土壇場でうまくいってよかったかな・・・技名付けるならそうだな・・・ミストボディかな?・・・そのまんますぎるか・・・
「なによ、なんなの!?・・・キンジ!お前一体何をした!?」
理子は目の前で起きたことが信じられないのかかなり狼狽しているようだ。
「・・・残念だったな・・・トリックだよ」
そしてそのまま理子の腰に手まわすと大尉は体を後ろに大きく逸らす。
多分プロレスを知っている人ならみんな知っている技だろう・・・和名は「原爆投げ」「人間橋」、アメリカのレスラー、カール・ゴッチが発案した技・・・ジャーマンスープレックスである。
大尉の高身長から繰り出されるジャーマンスープレックスはとても綺麗なブリッジを描きながら・・・武偵殺しの頭を叩き割るくらいの勢いで床に叩きつける。
ゴシャ!
「うぎゃ!?」
流石にかなりの大ダメージだったのか、理子はそのまま動かなくなった。
・・・なんか、割とあっさり終わったな・・・
「・・・これ死んでないわよね?」
「・・・大丈夫、生きてる・・・多分」
その頃・・・
大尉の指示を受けたシュレディンガーはコックピットに到着した。が、待っていたのは最悪の状況だった。
撃たれて昏倒しているパイロット2人、ぐしゃぐしゃに破壊された自動操縦装置、あとすでに壊したが武偵殺しがつけたらしい遠隔装置、そして何よりも・・・
「飛行機なんてゲームの中でしか操縦したことないのに・・・」
そう、シュレディンガー本人が操縦出来ない事だ。
ど、どうしよう・・・飛行機の操縦の仕方なんてわかんないし・・・下手に運転してあっち(大尉達)に迷惑かけられないし。
シュレディンガーがコックピットで手をこまねいていると・・・
『こちら羽田コントロール、ANA600便応答せよ。繰り返す、こちら・・・』
突然、無線がなる。どうやら定時連絡がなかったため管制塔が連絡してきたらしかった。
シュレディンガーは無線のマイクをオンにして通信する。
「ANA600便です!ハイジャックされてパイロット2人がやられました!今乗り合わせた武偵がハイジャック犯1人と戦ってます!」
無線の向こうから驚愕した声が上がる。
『君は誰だね?操縦は出来るか?自動操縦装置は?』
「し、知り合いの武偵について来た者です。操縦はできません。自動操縦装置は壊されました・・・」
『・・・よし、わかった。こちらからどうすればいいか指示するからその通りにやって欲しい。』
少しの間をおいて、管制官が指示を出してくる。
「わ、わかりました」
『まずレーダーを確認してくれ、空港の位置はわかるか?』
「レーダーですね、わかります。」
大尉やみんなとやったエースコンバットのおかげでレーダーの見方ぐらいわか・・・んん?なんだこれ・・・
・・・レーダーにはこの機と、あと後ろからすごい勢いで近づいてくるエースコンバットでよく見た物が2つ映っていた。
「・・・ミサイルじゃん」
「・・・さて、じゃあさっさと捕まえて帰りますか・・・」
そう言って理子の腕に手錠をかけようとする・・・その瞬間だった。
「・・・ぶぁ〜〜か!」
先程まで倒れてピクリともしなかった理子がこちらに凶暴な笑みを向ける。
カチッ!
バゴオオオオォォォォン!
突如、機体の胴体に大穴が開く。どうやら、先に爆弾・・・機体そのものを吹き飛ばすものではなく、ドアなどを破壊するための特殊な爆弾を仕掛けられていたらしく、それを髪の中に隠して起爆したらしい・・・それと同時に先程まで倒れていた理子がものすごいスピードで立ち上がり穴に向かって駆け出す・・・
「バイバイ、キー君、アリア、また会おうね~!」
そして言い終えると彼女は吸い出されるように外へ飛んでいった。
「しまった・・・!」
彼女を追いかけるようにして機内に散らばっていた破片が次々と穴に飲み込まれていく。
しかしすぐにスプリンクラーと穴を塞ぐ装置からシリコンシートが出てきて穴を塞ぎ流出が収まる。
・・・どうやら理子の奴、パラシュートを持ってきていたらしいな。窓からなにか開くのが見えた・・・しぶとい奴だな・・・ん?
そして理子と入れ違いになるようにして雲の間から・・・ミサイルが2つ飛んでくるのが見えたのだ。
「!?神崎!ふせろ!」
「へっ?」
その瞬間、凄まじい衝撃と爆音が機を襲った。
『ANA600便どうした!?なにが起こった!』
ミサイルが直撃した直後、羽田コントロールから連絡が入る。
「ミサイルです!どっかの馬鹿がミサイルを撃ち込んできました!え、エンジン損傷、左右内側を持ってかれました!」
・・・信じられない!ここ日本だよね?なんでミサイル何かが・・・
そこで自分が入った組織が保有する、超巨大原子力潜水艦の事を思い出す。
・・・あれか!あいつが犯人か!まさか対空ミサイルも装備しているとは・・・!ちきしょう!いつか目にもの見せてやるからな!
『内側は燃料タンクの流出を防ぐ門も役割もあるんだ!急がないと燃料切れで墜落するぞ!急いで羽田へ向かってくれ!』
「わ、わかりました」
これはいよいよ覚悟しなくちゃならなくなってきましたね・・・
シュレディンガーにこの機に乗る乗客の命がかかっていると言うプレッシャーがずっしりと重くのしかかる。
・・・ダメだダメだ!なに弱気になってるんだ僕!
自分を励まし、平常心を保ちながら操縦する・・・
・・・そんな時だった。
『ANA便600、聞こえるか?応答しろ。』
無線から先程の羽田コントロール管制官とは違う何か野太い・・・ドスの効いた声が聞こえてくる。
「?はい、こちらANA便600です。羽田コントロールですか?」
『違う、防衛省航空管制局の者だ。すまないが羽田空港の使用は許可しない。』
ファッ!?
「そんな!じゃあどうするんですか!?」
『もうすぐ航空自衛隊のFー15が来る。後は彼らがエスコートするのでその通りに飛んでくれ。』
男の言う通りすぐさま機の前と後ろにイーグルが着く。が・・・
おかしい、普通は2機とも前に出て来るはず・・・それに、何でエスコートなのにミサイルを装備してるんだ・・・
前世で培った経験が頭の中で警鐘を鳴らす。
罠だ、これは罠だ・・・!理由はわからないけど間違いなく罠だ!でもどうする?後ろは取られたしこの機じゃあ逃げ切れない!
シュレディンガーがこの状況を打開する策をひねっていた時だった。
「・・・シュレディンガー、無事か?」
「大尉!?大丈夫でしたか?奴は捕まえましたか?」
「・・・逃げられたよ、ルパン家の面目躍如って所だな。神崎には他に機内に爆弾や怪しい物がないかチェックしてもらってる・・・」
少し疲れた様子の大尉が肩を竦める。よく見れば大尉のお気に入りの帽子に穴が空いているのがわかるだろう。
「・・・それより状況は?・・・ん?あれは・・・イーグルか?」
「・・・はい、実は・・・」
シュレディンガーは大尉に今自分たちの置かれている状況を説明した。
「・・・ふむ、多分嘘だな・・・おおよそ、安全なところとか言って海上に連れて行って撃墜する気だ。」
「・・・ヤバイですね、僕はいいけど大尉や神崎さん、それに他のお客さんはこれが墜落したら死にますよ。」
「・・・・・・・・・!」
何か策を考えていた大尉が閃く。
「・・・シュレディンガー、お前の能力でこいつを滑走路まで飛ばせないか?そこまで行けばお前の能力で着陸させるなりなんなり出来るんだが・・・」
「・・・出来ない事は、ないですけど・・・」
正直に言うと自分でも自分の能力がどれだけの力を持っているのかがわからないのだ。だが大尉を運んだ時とはわけが違う。上手くい保証はどこにもないのだ。
「・・・で、出来れば滑走路が見える位置まで行くことが出来たらより確実なんですけど・・・」
だがそのためには後ろはについている戦闘機をどうにかしないと、能力を使って別のところに飛んでもこの足の速さではすぐ捕捉されて撃墜されてしまう。
「戦闘機もいます、あれをどうにかしない限りは・・・」
「・・・大丈夫だ、考えがある」
そう言って大尉はおもむろに携帯を取り出し、ある人物を呼び出すため電話をかける。
「誰を呼び出すんですか?」
「・・・魔弾の射手だよ・・・」
今回はかなり長く書いてしまったな。その割りに大尉が戦って無いとか言うなよ?作者は戦闘を書くのが苦手なのだ。
大尉はよほどの状況にならない限りあまり能力を使わない方向で行きます。