日曜日
「・・・何かわかったか?・・・」
「はい、すごかったですよ」ズゴゴゴゴーーー
今大尉がいるのは学校からだいぶ離れた新宿にあるハンバーガーチェーン店でシュレディンガーと合っていたのだ。どうやら何かしらの情報を得ることができたらしい。
「あー、マッ〇シェイクって酸欠になるな・・・あ、これを見てください。」ピラッ
シュレディンガーが写真を渡しながら話す。
「・・・・・・これは・・・原子力潜水艦?バカみたいな大きさだな・・・」
「どーやらリーダーの『教授』という人物が盗んだらしいですね。さらにこいつには核弾頭も積積まれてるみたいなんですよ。」
写真には巨大な潜水艦とその内部が詳細に取られている。
様々な動物の剥製、化石が飾られている博物館のような部屋。
カラフルな鳥や様々な植物がいる植物園。
金属、宝石が置いてある標本庫。
これだけでイ・ウーがどれほどの組織なのかが伺える。
「・・・核弾頭・・・どうりで表立って捜査されないわけだ・・・これは潜水艦の中か?」
「はい、リゾートみたいで楽しかったです。もうあそこに住みます。定住ですよ。」
「・・・お前よく住めるな・・・一応敵の本拠地だぞ・・・」
・・・でもちょっと羨ましいかな・・・
「でも・・・結局口利きしてくれた人以外合わなかったんですよねー・・・あ、武偵殺しの情報のこと忘れてました。」
武偵殺しか・・・うまくいけば3件目の前に捕まえることが出来るかも・・・
「・・・大尉いったい誰の髪の毛抜いてきたんですか?もし情報が本当ならとんでもない偉人と知り合いですよ。」
「?」
「・・・リュパンです。あの世紀の大泥棒、リュパンの血液型とDNAがピッタシですよ。えーっと・・・3世が事故死してるらしいので多分4世ですね。」
「・・・・・・」
・・・じゃあ俺はリュパン4世にコートに火を付けられたり、腕時計壊されたりしたのか・・・
「でも武偵殺しだなんてなんでわかるんですか?」
シュレディンガーが不思議そうな顔で聞いてくる。
「・・・腕時計、やっぱりいじくられてた・・・」
そう言って腕時計を見せる。
「え?でも発信機は付いてませんでしたよ?」
「・・・違う、時間を微妙にずらされていた・・・」
俺もてっきり発信機か盗聴器だと思ってたが・・・ほんとにちょっとだけずらされてて気づかなかった・・・どうも俺がこの前バスに乗り遅れたのはそれが原因らしい。いや、朝飯の量にも問題はあったが。
「・・・まあ、正直アイツの事を疑うのは少し心が痛むというか・・・」
・・・俺の友達少ないからな・・・別に今まで怪しいことをしている所を見たこともないしな・・・
そんな事を話しながらのんびりしていると・・・
「ん?あれ神崎さんじゃないですか?」
「?・・・ホントだ・・・しかも私服・・・」
そこで見た神崎はワンピースを着てミュールを履いている。さらに髪型もなんとなく違うような・・・とりあえずいつもと違っておしゃれしているようだ。しかも気合十分の様子。
「まさかつけられてました?」
「・・・」フルフル
そんな事はなかったと思う。流石に気を付けてるからつけられてたらすぐに気がつくはずだ。
「何処へ向かうんでしょう?デートとか?」
「・・・この方角に何かあったか?」
「えーっと・・・ちょっと待ってくださいよ・・・」
そう言うとシュレディンガーはポケットからスマートフォンを取り出して調べる。
「う~~ん・・・この方角オフィスビルとかしかありませんよ。」
「・・・お洒落してそんなところに?・・・」
う~ん・・・女ってわからん・・・とりあえずついて行ってみるか。
そう思うと支払いを済ませて神崎の後を二人でついて行く事にした。
「・・・ほんとにここ?」
「・・・らしいな・・・」
神崎が足を止めたのは新宿警察署であった。とりあえず二人は神崎を追って警察署の前にある花壇の裏に隠れた。
そして・・・警察署から出てきた人物を見て驚く羽目になった。
「!?あれは・・・!」
「どうもお久しぶりです。金叉さん」
神崎が丁寧なお辞儀をして敬語で話す相手は・・・そう大尉のお父さん、金叉である。
もう40代後半なのにまるで衰えを感じさせない風貌と凄まじいオーラが幾多の修羅場を潜ってきた事を物語る・・・まさに大尉のお父さんである。
「久しぶりだなアリアさん、元気そうでなによりだよ。若いうちは体が資本だからね。先輩も心配していたよ。」
「・・・何か進展はありましたか?」
「ああ、どうも最近能力者を狙った誘拐事件が世界中で増えている・・・やはりイ・ウーだろうな。もう何人か攫われて行方不明だ。まったく何を考えているんだか・・・」
「そうですか・・・」
心なしか神崎の声のトーンが下がったような気がする。
「・・・すまない、なかなか情報が集まらなくてな。私も先輩の冤罪を晴らしたいんがが・・・」
金叉さんがすまなさそうに謝る。
「いえ!金叉さんに謝ってもらうことなんて!」
「いや、まだまだだよ。まだ700年以上残っているし、私と君だけでは冤罪を晴らしきることは難しい・・・ところで、そこに隠れてるのは誰だ?」
ギクッ!
「・・・バレてたか・・・」
「まあ、気付いてるとは思いましたけど・・・」
しょうがないので隠れていた花壇から出る。
「キ、キンジ!?」
「なんだキンジか。ん?その子は誰だ?」
「・・・誰ってシュレディンガーだけど?」
「どうもご無沙汰してます。」
「・・・は?父さんお前が何を言ってるのかがわからないぞ?」
そりゃあ飼い猫が人の姿してたらびっくりするわな・・・
「やだなーいつも嫌いな魚料理が出ると僕に横流ししてくるじゃないですかー」
「!?・・・なぜそれを!」
オヤジの嫌いな食べ物とその処理方法がわかった所で話をもとに戻そう・・・でも後でおばあちゃんに言いつけとこ・・・
「・・・話は全て聞かせてもらった・・・」
「そこで僕たちの出番ですよ!」
「なに?あんたらなんか知ってんの?」
神崎が怪訝な顔で聞いてくる。
「ふふふ、よくぞ聞いてくれました!実は僕は一週間前にイ・ウーに入会してきたんですよ!」
シュレディンガーが誇らしげに胸を逸らす。
「!?」
「あ、あんたら何してんのよ!イ・ウーは犯罪組織なのよ!そのイ・ウーに入会するなんて!」
「・・・そこで手に入った情報がこちら・・・」
さっ、とシュレディンガーの持ってきた写真を見せる。
「・・・・・・これは・・・!」
「イ・ウーの潜水艦の写真!・・・内部の写真も!」
ふたりが写真を見て驚愕の声をあげる。
「もう少し時間をかければもっと情報が集められます」
「・・・ふむ・・・見返りは?」
「え!?金叉さん!?」
「・・・考えてないな・・・武偵殺しについて調べるついでみたいな物だから・・・父親とチームメンバーから金を毟ろうとも思わん・・・」
「ところでなんでお前が武偵殺しの事を調べてるんだ?」
「・・・兄貴の事件に武偵殺しが関係している・・・可能性が高い・・・」
「なに?どういう事だ?」
「そこは僕が説明します」
「・・・という事なんですよ。武偵殺しの3件目の目標を見つけることができればその前か現行犯で捕まえられるはずです。」
「・・・そうか、そうだったのか・・・」
・・・ちょっと、親父、目が怖い・・・
「そうかそうか、そうなのか。ふふふふ、先輩ならず金一までも・・・よくもまあ、やってくれたもんだ」
「・・・親父?」
「・・・キンジ、お父さん手が滑って人殺ししちゃうかも知れないんだけど別にいいよな?」
「・・・手が滑ったのなら仕方がない・・・」
誰だって失敗はするからね、しょうがないよね。
「・・・そう言えば二人は何でイ・ウーの事を調べてるんだ?・・・」
どうやら”先輩”と言う人物が何か関係してそうだが・・・
すると親父が意外そうな顔で聞いてくる。
「知らなかったのか?ここにいるアリアさんのお母さんでお父さんの武偵高時代の先輩の神崎かなえさんがイ・ウーに濡れ衣を着せられて警察に捕まっているんだ。」
書いてる暇がないな・・・次の投稿はかなり遅れるかもしれません。
意見・感想お待ちしています。