おっ、落ち着け、奢ってはいけない・・・今まで通り堅実に投稿していこう・・・
翌日
大尉は装備科の棟を訪れていた。
「ちょっと、ここで何するのよ。」
神崎を連れて。
「・・・」コンコン ガラッ
「答えなさいよ!」ゲシッ
蹴るな・・・まさか裏門で捕まるとは・・・油断していた。
仕事を受けて久しぶりに買い食いでもしながら帰ろうと思ったらこの有様。今日も厄日だ、シュレディンガーのことを忘れてて、拗ねたあいつに飯奢る約束したし・・・
「いらっしゃいですのだ!注文された品はできてるのだ!」
入った部屋の主・・・平賀さんが出てくる。
・・・相変わらず汚い部屋だな・・・片付ければもっと作業しやすいだろうに・・・
予想通り見つからないらしくゴミ山みたいなところに頭を突っ込んで探している。
「・・・あったのだ!」
頭にネジとかいろいろ引っ付けつつ平賀さんが引っ張り出したそれは・・・
「なにこれ?メリケンサック?」
「・・・」コクッ
前回の戦闘中での事・・・弾丸を防ぐのにマチェットナイフを使った所・・・最後の最後で真ん中から折れた。
メリケンは以前から注文していたのでちょうどいいといえばちょうどいいのだが・・・やはり名残惜しいところはあるな・・・
「重さは考えなくていいと言われたのでかなり重くなってしまったですのだ~。でもおかげで強度は折り紙つきで20mmまでならうまくいけば、はじき飛ばせますのだ~」
メリケンは少し丸みのあるデザインで、相手に当たるあたりはデコボコに波打っている。
「・・・」グッ
早速はめてみたがぴったりだ、そのままシャドーをやってみたが・・・文句なし。さすが平賀さんだ・・・
俺は蹴り技はいいのだが殴ったりするのはあまり得意ではないからな・・・こうやって道具で弱点を補わないと・・・
「・・・代金・・・」
ポッケからメリケンサックの代金を出し、渡す。
「・・・代金ぴったり!いただきましたのだ!」
「・・・次は・・・を・・・な感じに・・・」
「ふむふむ、わかりましたのだ。じゃあまた出来たら連絡するですのだ。」
そして次の武器の予定を入れ、装備科を後にするのであった・・・
「バカキンジ、あんた普段どんな仕事受けてるのよ。」
仕事の道すがら神崎が聞いてきた。
「・・・落とし物と迷子、ペット探し・・・それでも単位は大丈夫・・・」
毎日行ってるのは0.1や0.2の仕事が1~3件、それ以外はボランティアでやってるのがほとんどだ・・・でも塵も積もれば山となる、おかげであんまり単位であせくせした覚えはない。
「・・・強襲科のクエストは?まさか受けてないの?」
あんな仕事はナカトミビルから飛び降りる不幸な刑事とか、元コマンド部隊の筋肉ムキムキの人がやる仕事だ・・・正義も大事だが、死んでは元も子もない。せっかく生まれ変わったんだ、もっと平穏に生きてもいいがな・・・まあ、戦いたいからここにいるんだが、限度があるって事だ・・・
「もったいないわねえ、もっと困ってる人の役に立とうと思わないの?」
「・・・それは考え方の違いだ・・・」
ふーん、とか言いながら神崎は後ろにつて離れない
「・・・なんだ、いつまで付いてくるんだ・・・」
「いいじゃない、あんたがどんな仕事してるか知りたいの」
「・・・勝手にしろ・・・」
そう言うと受けたクエストを見せる。
「今日はどれをやるの?」
「・・・そこのやつ全部・・・まずは落し物・・・最後に猫探し・・・」
そう言って大尉は頼まれた落し物を探すためポケットからあるものを取り出した。
「・・・あんた何ハンカチ嗅いでんのよ」
落とし物探す時、ペットを探す時はクライアントから持ち物もしくはペットに使っていた道具をを借りる。これは自分の嗅覚を使って探すためだ。
「・・・」クンクン
「ちょ、ちょっと!あんた何してんのよ!ヘンタイ!」
・・・うるさい!別に俺だって嗅ぎたくて嗅いでるわけじゃないんだぞ!・・・あ、これ谷口さんのだ・・・ちょっとシャンプーのいい香りが・・・
「いつまで嗅いでるのよ!ヘンタイキンジ!」ゲシッ!
後頭部に神崎のドロップキックが炸裂した!60のダメージ!
落し物はすぐ見つかった・・・なにか嗅ぐたびに神崎に蹴られたが。
「ねえ、お腹すいた。なんがおごって。」
そして最後のペット探しに行こうというところでアリアがわがまま言い出した。
今日はシュレディンガーにも奢るからな・・・
「・・・お前・・・自分の金持ってるだろ・・・」
「なによ!ドレイのくせに逆らう気!」
「・・・」
奴隷になった覚えはない・・・
「・・・じゃあ、近くに行きつけのラーメン屋がある・・・そこに行こう・・・」
近くにはジャンクフードの店もあるが俺は個人経営の店の方が好きなのだ。
特にラーメンや定食、デザートは自営の店がいい感じだ。
「ラーメン?・・・まあいいわ、じゃあそこに連れて行きなさい!」
「・・・はいはい・・・」
「ふーー、食べた食べた。」
ごはんを食べて満足そうな神崎・・・
「・・・・・・」
財布がスリムになり大ピンチな俺・・・
まさかラーメンを2杯にチャーハンと餃子をひと皿ずつ平らげるとは・・・大出費になってしまった・・・体が小さいからそんなに食べないと思ってた・・・
「・・・もうお前には二度と奢らん・・・」(T_T)
「?なんか言った?」
少しして、猫を見つけることができた。
「・・・よーしよし・・・」
うむ、間違いないな。依頼で探していた猫だ。
「あんたよく見つけられたわね。これだけ広いところを総当りじゃなくて一発で見つけるなんて。どうやったの?」
「・・・人より少し感覚がいいだけだ・・・」
何十万倍もな。
一旦教務課に報告すると言って何とか無理矢理神崎と別れ、シュレディンガーのケータイに連絡を入れる。
”仕事オワタ\(^o^)/。どこで飯食べる?どこでもいいのよ?|д゚)チラッ”
そんなメールをおくってから3分ほどしてメールが返ってくる
”わかりました、じゃあ〇〇のサイゼに来てください。”
・・・なんだ、随分真面目なメールだな。いつも顔文字入れてくるくせに・・・しかも指定されたサイゼここから10キロぐらいあるぞ・・・
・・・なんだかやな予感がする・・・シュレディンガーが真面目になるという事はそれほどの事があったという事だ・・・
そんなやな予感を抱きつつ大尉は指定された店へと向かって行った・・・
30分後
指定された店舗に到着し、シュレディンガーを探す。店内には夕飯時とあってかなりのお客さんが入っている。
「大尉、こっちです・・・とりあえず座ってください」
シュレディンガーに呼ばれて彼のいる席に向かい合って座る。
どうしたんだ・・・そんなキャラ変えるようなことがあったのか?いつもニコニコしてる奴が急に真面目になるとなんか怖い・・・
「・・・どうしたんだ・・・何かあったのか?」
「これ見てください・・・」
スッ、とシュレディンガーが傍らに置いていたリュックから書類を取り出して渡して来た
「?・・・・・・これは・・・武偵殺しの資料?どうやって・・・」
「僕はどこにでもいてどこにもいない。警視庁のコンピューターに入ったんですよ。」
「・・・お前・・・二次元の世界に行ってきたのか?・・・」
人のこと言えた義理じゃないがこいつの能力チートだな・・・
資料には自分の前に起きた武偵殺しの事件・・・バイクジャックとカージャックの事件の詳細が書かれている。
「・・・で、これを。」
リュックから別の資料を取り出して渡される。それに書かれていた事件は・・・
「・・・これは・・・」
「そうです、キンイチさんの・・・大尉のお兄さんの行方不明になった事件です。」
どういうことだ・・・あれは事故のはずだ・・・
「・・・昨日、大尉に閉じ込められてから暇だったので武偵殺しについて調べたんですよ。で、調べてたら、この事件が関係してるかもしれない可能性が出てきたんですよ。ほら、時期もぴったりです。」
「・・・この事件は確か親父も調べたはず・・・」
親父は武偵局でも指折りの優秀な武装検事だ、事件の証拠が見つけられないなんて・・・
「この事件現場である豪華客船は沈んで行方不明、証拠があっても調べられません。」
・・・そんな事言ったら武偵殺しは兄貴並みの・・・もしくはそれ以上の戦闘能力を持っている事になる・・・
「いいですか、武偵殺しにはあるパターンがあります。最初に自転車などの小さめの乗り物から車など、大きくしていき3度目で本命を襲います。」
「・・・そのパターンを当てはめると・・・」
「そうです、奴のカウントダウンが始まりました。ただ誰を狙っているのか、なんでキンイチさんを狙ったのかがわかりません・・・」
いや・・・ちょっとの接点だけでここまで調べられたのなら褒められる事はあっても叱る理由はないだろう・・・しかし武偵殺しか・・・これは本格的に調べなきゃいけなくなるな・・・
そんな事を考えていると・・・
「そうだそうだ、あと武偵殺しに関係してるかもしれないワードがあって・・・イ・ウーってワードに心当たりありませんか?」
「・・・イ・ウー?・・・」
「はい、なんか武偵殺しがその組織の一員なんじゃないかって・・・」
「・・・その情報信頼できるのか?・・・」
「警視庁のコンピューターの最高レベルの所にあった情報です。どうもお兄さんの事件はそいつらに邪魔されて捜査が終わったような形跡がありました・・・」
・・・じゃあその組織は国にかなり深く入り込んでいるらしいな・・・
しかし・・・イ・ウーか・・・なんだったっけ・・・どこかで聞いたような・・・転生してからか?・・・いや、前世でも聞いたような・・・・・・あっ
「・・・暗号だ・・・」
「暗号?なんの暗号ですか?」
「・・・潜水艦のだ・・・第三帝国と大日本帝国の頃の潜水艦のコードネーム・・・日本が伊・・・ドイツがUだ・・・それを繋げてイ・ウー・・・」
確かデウスエクスマキナに積まれていた潜水艦に書かれていた・・・伊の方は映画で見た・・・
「潜水艦!そうだそうだ忘れてた!やっとわかりました!あ~~すっきりした!」
シュレディンガーも合点したら。
・・・だがこのコードネームを使うと言う事は大戦から何か関係があるのか・・・どうもとんでもない厄介事に首を突っ込んだみたいだな・・・
「前世にやった事のバチでも当たったんですかね?」
「・・・シュレディンガー・・・頼みたい事がある・・・」
「?なんですか?」
「・・・明日ある人物・・・俺が一番武偵殺しだと思ってる奴のDNAサンプルを渡す・・・そいつの親族を調べてくれ・・・」
「もう目星つけてんですか?」
一応な、と答える。
「・・・しかしなんでこんな事に・・・せっかく平和を謳歌してたのに・・・」
「嘆いててもしょーがないですよ!ちゃっちゃと武偵殺しを捕まえてお兄さんの仇を取りましょうよ!元々僕らはこっち向きなんですから!」
・・・そうだ・・・兄の仇を取るのは弟の仕事だ・・・あんな男か女かわからない兄だったけど・・・俺の・・・初めての・・・一人だけの兄貴だ・・・!
「・・・よし、今後の方針が決まったな・・・仇をとるぞ・・・!・・・手伝ってくれるな?シュレディンガー・・・!」
「当たり前じゃないですか!イ・ウーだかなんだか知らないけど僕たちに喧嘩売って来た事、後悔させてやりましょうよ!」
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「っくしょん!」
「どうしたのじゃトオヤマキンイチ、風邪か?」
「う~~ん・・・なんか今完全に死んだことにされたような気が・・・」
どうでしたか?ご意見・感想お待ちしています。
さーて、いつになったら一巻の話が終わることやら・・・
ヒロインどーしよ・・・今のところリサと蘭豹は考えてるけど・・・