「聞いたかドク、転校生が大尉にゾッコンって話。」
「聞きましたよ。彼女、私のとこにも来て大尉のことについて聞かれていきましたよ。」
今二人は仕事を受けるために教務科に向かっている途中だ。
「いいなぁ、やっぱクールな方がモテるのかなぁ・・・」
「我々が言っても詮無きこと。それより仕事見つけましょう。」
教務課に行く途中に体育館の横を通る。
『ファイトー!』
『サーブ行くよー!』
元気な掛け声が体育館から聞こえてくる。
「ちょうどバレー部が部活してるみたいですね・・・ん?」
「どうしたんだドク?」
「あそこでバレーしてる娘・・・ゾーリンに似てるような気が。」
ドクが指を指すその先には金髪に短髪の男顔負けのガタイをした女がバレーをやっていた。
『岸原ぁ!行くぞ!』
バシン!
『ハイッ!』
どうやらキャプテンらしいゾーリンっぽい女が部員に向けて鋭いサーブを繰り出す。
「「・・・」」
(青春真っ盛りじゃねえか。絶対違うと思うぞぉ。)
トバルカインはドクにアイコンタクトをする。
(・・・気のせいでしょうか・・・)
ドクが自信をなくしかけたその時だった。ゾーリン似の女がこちらに気付く・・・すると。
『・・・ちょっと抜ける。あとは任せた』
『えっ?ちょっ、ぶちょー!』
近くにいた子と交代すると女がこちらに近づいてくる。
((いやまさかそんなはずありえない))
「・・・」ジ~~~
「「・・・」」
「あんた・・・もしかしてドクか?」
やっぱり当たってたか!と、ドクが小さくガッツポーズする。
「やはりゾーリンでしたか。あなたも転生していらしたんですか。」
「ああ、セラス・ヴィクトリアにもみじおろ・・・そっちはトバルカインか?」
もみじおろしと言いかけたゾーリンの顔が少し青くなる。
「覚えてくれてたのか・・・俺ら以外にも大尉とシュレディンガー、第十三課の高木由美江がこの世界に来てる。」
「大尉がいるのか・・・もしかして2ーAのキンジか?あいつ無口で帽子かぶっててコート着ててそれっぽいからチャンスがあれば聞いてみようかと思ってたんだが・・・」
「大当たりですよ。ところで今の名前は?」
「上原俊美、よくありふれた名前だろ?ちなみに尋問科。これでも期待のエースだ。」
相変わらず喋り方が男勝り・・・
『部長ー!そろそろ戻ってくださ~い!』
体育館の中から部員の子がゾーリンを呼ぶ。
「おっと、そろそろか・・・じゃあケー番だけ交換してくれ。」
そう言うと3人は素早くケー番を交換する。
「よし。あっ、そうだ、転生した奴探してるなら文芸部に一人いるよ。」
「えっ?だれだ?」
いや、後残ってるのは少佐とリップヴァーンか・・・どちらも文芸部にいそうな感じだ・・・どっちだ・・・
「狙撃科2年のリップヴァーン」
ーーーーーーーーーー
40分後 大尉サイド
「・・・・・・」
クラスメイトの質問攻めをいなし、今日は仕事をする気も起きずいつもより早めに家に帰ってきていた。正直だるい。なんで俺が朝からジョンマクレーン顔負けの生活を送らなきゃならいんだ・・・
シュレディンガーは押し入れでいびきをかいている・・・ちょっといたずらで鍵かけておこう・・・
ガチャガチャ
よし、これで完璧。暇だしスマブラの修行でもするか・・・
ピンポーン
ん?こんな時間に誰だろう。仕事の依頼か?スマブラやってて手が離せないから居留守使おう。
ピンポンピンポーン
むう・・・うまくクッパのコンボが決まらん・・・やはりファルコンを・・・
ピポピポピポピポピピピピピピピピピピンポーン!ピポピポピンポーン!
・・・やはりカービィかピーチ姫にして空中に逃げて潰しあった後に襲うやり方にしようかな・・・
ガンガンガンガンガンガン!ガッガッガッガッ!
「うるさいな~、だれ(ガチャガチャ)あれ!?扉が開かない!誰か!誰か!」
ドアの音でシュレディンガーが起きたらしい。しかし、ちょっと音がやばいな・・・まさか、武偵殺しか?殺しそこねたからもう一度・・・
・・・いや、大丈夫だろう。この前トバルカインとシュレディンガーが酔っ払ってドアを壊したから、それに耐えれるようにドアを7cmの装甲板に変えたのだ。重機関銃でもない限りは・・・
「ああっ!ドアに!ドアに!・・・鍵が!」バンバン!
・・・誰か早く来てくれ・・・トバルカイン、ドク、誰か・・・俺はそれまでスマブラやってるから。
”う・・・うええええええぇぇぇぇぇぇん!”
あ・・・泣き出した・・・少しイタズラがすぎたか・・・てか神崎だったのか・・・
しょうがない・・・。そう思い大尉が玄関の鍵を開ける。
ガチャ
神崎は玄関の前でうずくまって泣いている。
「・・・すまん、やりすぎた・・・」
「・・・ふっふっふっ・・・」
「・・・?」
なんだ?急に笑い出し・・・
「騙されたわね!」スクッ
顔を上げると満面の笑みを見せながら立ち上がる。
・・・嘘泣きかよ・・・
「いくらなんでも遅いわよ!あたしがチャイムを鳴らしたら5秒以内に開けなさい!」
「修行忙しいから居留守使おうかと・・・」
「修行?いい心がけね。」
そう言うと神崎は傍らに置いてあるトランクを掴み部屋にずかずかと入ってくる。
「・・・おい、入っていいとは一言も・・・」
「トランクを中に運んどきなさい!ねぇ、トイレどこ?」
「・・・」
・・・少しでも同情した俺が馬鹿だった・・・トランクだと?こいつここに居座る気か?ここ男子寮だぞ?
そんな事は意にもかえさず神崎はリビングを見渡し窓の前で足を止める。
・・・話を聞け、聞いてくれ・・・
そして俺の方へクルッと向き直り・・・
「----キンジ。あんた、あたしの奴隷になりなさい!」
「・・・だが断る。」
「僕の存在が忘れられてる件について。」シクシク
ーーーーーーー
ドク・トバルカイン サイド 文芸部
「いや~、お久しぶりですねお二方。」
「おめぇも元気そうでなによりだぜぇ、リップヴァーン。あと名前を呼ぶときは周りに俺ら以外の人がいないか確認しろよ。」
「あとは少佐だけですか・・・まあミレニアムのメンバーが集まればとりあえず問題は無いでしょう。しかし・・・死んだ時あれだけ喘ぎ声・・・」
「うっ、うああああああぁぁぁっ!?いっちゃらめぇぇぇぇ!」
リップヴァーンは他の転生者に漏れず背格好や顔が前世にそっくり。アホ毛もそばかすもメガネも標準装備。
「まあいいじゃねぇ?それじゃあいっちょ、俺んちでパーっとパーティーでもするかぁ。」
「いいですね。じゃあゾーリンさんの部活が終わったら誘いましょう。あたしアドレス知ってるんでメールしときます。」
「じゃあ俺は大尉に連絡するぜ。」
「鍋でいいですか?じゃあ私が食材を買ってきます。欲しい具材は?」
「鶏がらダシに肉団子、あと豆腐。」
「白菜にもやし、ウインナーがあるといいですね!」
「わかりました。それじゃあトバルカインは電話したあとリップヴァーンを案内してあげてください。」
「ヘーイ」
ドクに言われて二手に別れる。
「さーて、大尉のアドレスは・・・」
そう言うとトバルカインがケータイから大尉のアドレスを開きメールする。
『大尉!リップヴァーンとゾーリンを見つけました!』
5分ほどして大尉から返信が帰ってくる。
『乙でーす!でも今部屋に神崎が押し入ってきて大変なんだわヽ(・∀・)ノ!マジどーしようΣ(゚д゚;)!』
「思った以上に大尉のメールが軽いです・・・」
「いいじゃん、あの人そんなにはっちゃけてないし。このぐらいは大目に見てあげようぜ。」
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大尉サイド
そうか・・・あの二人も来ていたか・・・戦力的にはこれで安心だな・・・さて、後は
「・・・さっきも言ったがパーティー組む奴ら決めてるんだ。君のパーティーに入る気はない。強襲科に戻る気もない。」
「ダメよ!あんたはあたしのパーティーに入るの!」
こいつだ・・・この通り平行線である。
「あんたの事しっかり調べたんだから!あんた最初は強襲科でSランク武偵だったんでしょ!」
「・・・仕事サボりすぎて先生に無理やり転科させられたんだがな。」
「その時教官の一人と戦って勝ってる!」
「・・・向こうが勝ちにしてくれただけ・・・俺は気絶した・・・」
「違うわ!あたしの直感に狂いはないわ!あんたは本当の実力を知ってて隠してる!」
さっきからこいつの直感が当たりすぎてる・・・目星か?それとも心理学か?どんなロールしてやがる・・・
「・・・知らんな・・・実力?落とし物と迷子を探すのなら誰にも負けないけど・・・」
「・・・っ!とにかく!あたしのパーティーに入ればいいのよ!」
アカン・・・このままじゃいつまでたっても終わらん・・・早くしないとみんなが帰って来てしまう・・・何か・・・何か策を・・・
ポクポクポクポク・・・・・・・・・チーン!
閃いた・・・!
「・・・お前がこっちのパーティーに入ればいい。そうすれば丸く収まる。」
「!?」
神崎の顔が驚愕で見開かれる。
「そ、そんな事・・・」
ガチャ ドヤドヤ
「うい~ス。ただいま~」
「大尉、結構な量ですが食べれますよね?・・・あっ、神崎さんもいたんで?」
「お久しぶりでーす。あーお腹すいたー。」
「おろ?誰かと思えば神崎さんがいるじゃん。」
ちょうどいいタイミングで帰ってきたな。さっそく今思いついた事をつたえる。
「こいつパーティーに入れていいか?」
「「「「おk」」」」
よし、全員の同意はとれたな・・・
「・・・どうだ?全員了承したが・・・」
「そ、そんな・・・」
神崎の顔には狼狽の色が浮かんでいる・・・何をそんなに驚いてるんだ?
「あたしはあんたをパーティーに入れたいだけなんだけど・・・それに大人数のパーティーに入るなんて・・・あたしについてこれないわ。」
「・・・大丈夫だ。ここにいる奴らは全員、お前の経歴が霞むくらいの奴ばかりだ・・・」
うん、考え直してみたが全然大丈夫。こいつに付いて来れないなんてことは起こらないだろう。
俺の考えを知ってか知らずか、神崎は2分ほど考え込んだあと・・・
「・・・わかったわ・・・あんたのパーティーに入ってあげるわ。」
承諾してくれたようだ。
「・・・よし、みんなも聞いたな?」
その場にいる全員を見渡す。みんなも文句なしの様だ。
「よっしゃ、じゃあ今日は派手に騒ぎますかぁ!」
「じゃあまずは誰が鍋奉行やるかスマブラで決めましょうか。」
「ちょっとあたしやり方知らないわよ!」
「・・・俺が教えてやる・・・」
その日の騒ぎは夜遅くまで続いたのであった。
「・・・えっ?僕忘れられたまま?」
キャラ設定
上原 俊美(ゾーリン・ブリッツ)
言わずと知れた死因がもみじおろしの人。現在東京武偵高のバレー部部長。後輩からの憧れの視線が熱い。
金髪短髪の筋肉質で格闘はかなり強い。
本屋で少女漫画を買っている姿を目撃されている。
もみじおろしを見ると発狂する。
尋問科のエースで幻術を使いどんな奴でも自白させると有名。
運動神経 A
知識 B
パワー B
魔力 C
超能力 S
危機察知能力 B
使用火器 44オートマグナム 鎖鎌
装備 フツーに女子の制服を着ている。スパッツ着用。
能力 『幻術』
地面にやると広範囲に、相手に触った状態でやると個別にかけられる。
化物や電子装備にも有効で、ミサイル、HDDでも攪乱可能。
森宮 千尋(リップヴァーン・ウィンクル)
言わずと知れた喘ぎ声で有名な人。もちろん狙撃科。
狙撃するときの決め台詞は「有象無象の区別なく、あたしの弾頭は許しはしない」
レキと仲がいいらしく、一緒にごはんを食べているのを目撃されている。
Sランクの才能はあるが文芸部に入り浸っていて仕事をしてないためA止まり。
運動能力 C
知識 A
パワー C
魔力 C
超能力 S
使用火器 L96
装備 長スカート以外フツー
能力 『魔弾の射手』
どこまで逃げても延々追いかけてくる玉を撃つ能力。
マスケットでもいいのだが手に入らなかった。能力に問題なし。
自分の視覚にいる敵に対して有効、建物の中にいても狙撃できるが、それは相手が一キロ圏内にいる場合のみ。ただし、目視で捉えられれば3キロ先でも4キロ先でも当てることができる。
こんなもんでどうでしょう?
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