今回はオリ主がいるのに視点変更。ちょっと短めです。
読者の皆様誤字報告ありがとうございます。この場を借りてお礼申し上げます。また、厚かましいかとは存じますが感想なども戴けると嬉しいです。
トーヤとフレイザードの戦闘は、一方的な様相を呈していた。
「っ、ーーぐうッ!」
呻き声と共に地面に転がっては即座に体勢を立て直す。直後、間断なく放たれる呪文も誰もいない地を焼き払うのみ。
延々と繰り返される攻防。
しかしそれも時間の問題。付け焼刃に放たれる呪文ではまるで反撃にならない。
戦闘が開始されてからの攻撃回数は優に100を超えている。しかしフレイザードの攻撃は只の一度も当たっていない。
霞むようなスピードで地を駆けるトーヤをフレイザードはまるで捉えることができない。
「ーーそこかァッ!!」
トーヤが方向転換する瞬間。一瞬の停滞を狙って呪文を打ち込むもうとするがーー。
「っ!?」
魔性の勢いで迫り来る爆弾岩を辛うじてフレイザードは回避する。
トーヤの膂力により投擲され、必殺の一撃と化した爆弾岩。これがフレイザードを先程から苦しめている攻撃だった。
禁呪法で生み出した生物は、その生命の源となる核を破壊されなければ死ぬことはない。
急所を敵に悟られずに戦うことができるフレイザードは、人間との戦いに絶対的な優位を感じていた。
しかしその優位は完全に消し去られた。何故なら、トーヤはフレイザードの核などではなく身体全体を叩き潰すよう攻撃してくるのだから。
これでは如何に巧妙に核を隠しても意味が無い。
何とか爆弾岩を回避したフレイザードは狙いもつけずに呪文を全方位へ乱発する。そのうちの一発が偶然にも正確にトーヤへと向かっていく。
「はあッ!!」
トーヤは即座に手近にいる爆弾岩を投げつける。その巨岩は呪文を簡単に霧散させ、まるで速度を緩めずにフレイザードへと突き進む。
フレイザードにとって何より厄介なのが呪文や火炎、吹雪。そのすべてを爆弾岩の投擲により弾かれてしまうことだった。
元々氷炎の呪文は物理的破壊力は高くない。巨大な岩石そのものである爆弾岩を即座に粉々にすることなど不可能だった。
「ーーづッ」
直撃を免れるも右腕を砕かれたフレイザードは片膝をついて呻く。
攻撃は動きが速すぎて当たらない。無差別に呪文を放っても爆弾岩により弾かれてしまう。フレイザードは未だかつてない程に追い詰められていた。
「クッソォォォッ!!」
失った腕を瞬時に再生させると、フレイザードは立ち上がり両手を広げて力を溜める。
「氷炎爆花散ッ!!!!」
激情と共に放たれた岩の雨。
それは先程の全方位攻撃の比ではなく、逃げ場も躱す隙も一切存在しない。更にはその飛来速度は如何にトーヤのスピードを以ってしても反撃や回避を許すものではなかったーーはずなのに。
必中を確信する一撃を放ったフレイザードは、自らの放った岩の雨の先にそれを見た。
『円』により周囲への感知能力が激的に向上しているトーヤには飛来するすべての岩が見えていた。
すべての配置を把握したトーヤにとってそこから活路を見出すことは簡単だった。まるでビリヤードの様に弾いた岩を別に岩へぶつけて弾く。
生じた隙間へ身を動かしては同じことを繰り返す。
神業のような悪魔の所業。
それは自らの身を守るだけでなく、意図せずフレイザードの戦意まで大きく削ることとなる。
斯くして無傷で岩の雨を抜けたトーヤは、追い打ちをかけるかのように大きく跳躍する。ちょうどフレイザードの頭上へと差し掛かる頃、トーヤの人差し指が輝き出した。
その光を見た直後に反応したフレイザードは流石というべきか。
即座に氷を吐き、空中に無数の氷の粒を生み出した。その氷は光を乱反射させトーヤの狙いを妨げる。
思わず舌打ちしながらも構わず人差し指から霊丸を放つ。しかしそれはフレイザードを捉えることはなく、地面に底の見えない程の深い穴を空けるのみとなった。
着地したトーヤは、自身の渾身の一撃が外れたにも関わらず何故かまるで気にした様子はない。
そして防戦一方なうえ、今この瞬間に殺されても可怪しくないフレイザードも何故か不敵な笑みを浮かべている。
自身の置かれた状況に不釣合いな様子の二人。相互に奇妙なものを感じつつも戦闘は仕切り直しとなって再開される。
岩を投擲しては回避されての繰り返し。
都合何度目か分からない程に繰り返される戦闘に暇はまるで存在しない。
いつまでも続くかと思われるその攻防は、しかしある者達の声により唐突に終わりを告げた。
ーーメガンテーー
死の宣告の様な低い声がそこかしこから響き渡る。
大地を揺する轟音と大気を焦がす程の熱量、そして白い光が二人の戦士を覆い尽くす。
最後に見たのはニヤリと笑う敵の姿だった。
オリ主くんの俺TUEEEでした。
オリ主は長年修行したので許してください。最終目標もバーンなので多少前座相手に無双するのも許してください。