ダイの大冒険の世界を念能力で生きていく   作:七夕0707

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15 講義その1

 「ーーって感じで、一人で戦う場合とパーティー組んで戦う場合じゃ力の配分が重要なんだよ。わかった?」

 

 黒板にチョークで呪文の種類を羅列しながらペース配分の重要性を語る。

 

 ちなみに黒板はさっき一人で『同行』で家に帰り取ってきた。

 

 他にも必要そうなものをリュックへ入れて大量に持ってきたので特訓の準備は万端だ。

 

 俺は先程の洞窟探索での彼らの呪文の使い方について指摘していた。

 

 「私もそれくらいは考えている。しかし、多少ムリをしてでも早く進まなければモンスターに囲まれてしまうじゃないか」

 

 「じゃあ聞くけど。魔法力がフルの状態でメラゾーマ何発使えるんだよ」

 

 俺の質問にアポロは目を閉じ思案する。

 

 「そうだな、大体12,3発だろうか」

 

 「私もそれくらいかしら」

 

 「私は10発はいかないわね」

 

 そんなに使えるのか。こいつら魔法力多いな。

 

 ゲームで言えばレベル30くらいか? でも関係ないか、マンガでもレベルの低いポップがメラゾーマ覚えてたりしたしな。

 

 他のステータスが低くても魔法力だけ多いってこともありえるよな。

 

 「で、だ。お前たちは洞窟でどれだけのモンスターと戦うと思ってるんだよ。雑魚相手にメラゾーマ使ってたら15階に到達するまでに魔法力空になっちまうぞ」

 

 「そ、それは。魔法の聖水や祈りの指輪で回復してーー」

 

 「んなもん使うくらいならもっと効率のいい戦い方覚えろ」

 

 「言うのは簡単だが、どうすれば良い。敵がどの程度の攻撃で倒れるかなんて分からないだろう」

 

 「コントロールさえ上手くできれば、初級の呪文でも十分に戦えるぞ。工夫だよ工夫」

 

 言いながら右の手でメラを発動させる。

 

 ロウソクの火のように小さな炎だ。手を頭上に掲げ皆に声を掛ける。

 

 「良いか、良く見てろよ」

 

 小さなメラは直径1センチ程度から徐々に大きくなり、直径3メートルを超える大きさとなった。

 

 「す、凄いわ。これ本当にメラなの。メラゾーマとほとんど変わらないわ」

 

 マリンが感嘆の声を上げ、頭上のメラを見る。

 

 「ふう、ざっとこんな感じだ。っていうかやろうと思えばお前たちも普通にできると思うぜ」

 

 メラを消して椅子に座る。ちなみにこの椅子も家から持ってきた。

 

 みんなは地面に直接座っているけど、先生と生徒だから当然と言えよう。

 

 「じゃあ、ここで問題です。メラをこのように威力を調整してメラゾーマのようにする利点はなんでしょうか」

 

 質問をすると、地面に座ったアポロが手を上げた。

 

 学校じゃないんだからそこまで律儀にやらなくてもいいのに。

 

 「はい、アポロくん。どうぞ」

 

 「メラゾーマよりも少ない魔力で放つことができる」

 

 「ぶっぶ~、違います。むしろ使う魔力は多くなります」

 

 「はい」

 

 続いてマリンが手を上げる。

 

 「マリンくん、どうぞ」

 

 「呪文の発動時間が短くなる」

 

 「おお、いいところに気がつくね。でも今回はバツ。メラの場合は威力を上げるのにかなり集中力がいるから、慣れてないと時間が掛かります」

 

 「もぅ。早く答えを教えなさいよ」

 

 エイミが焦れて急かしてきた。

 

 「おーけー。では答えを言おう。メラをメラゾーマ並にする利点。それはーー」

 

 一旦区切り、タメを作る。そして続く言葉をみんなに言い放つ。

 

 「ないの。全然。これっぽっちも。まったく利点はない」

 

 答えを聞いて、みんなはマンガのようにずっこける。・・・マジでずっこけるヤツいるんだな。

 

 「お、おい。君は私達をからかっているのか。なら今見せたのはまったく無駄じゃないか」

 

 起き上がったアポロが訴えた。

 

 「まあ、まあ。待ちなって。今のはメラを強くした場合の話」

 

 「どういうことだ?」

 

 「逆ならどうだ。メラゾーマをメラ並に弱く放った場合、その場合でも同じようなことが言えるか?」

 

 その質問に彼らは口を閉ざし、真剣に考え始めた。

 

 「そうかっ。そういうことなのね」

 

 何かに気づいたマリンが声を上げる。どうやら答えに一番早く気がついたのは彼女ようだ。

 

 「どういうことなの?」

 

 エイミが答えを聞こうとマリンに問いかける。

 

 「トーヤ。もう一度今のメラを見せて頂戴」

 

 言われた通りにさっきと同じメラを唱え、頭上に掲げた。それを見たマリンは合点がいったとばかりの表情をする。

 

 「やっぱり。思った通りだわ」

 

 「教えてくれ、マリン」

 

 「アポロもエイミもよく見てみて。トーヤのあのメラだけど、少し変だわ。確かにメラゾーマ並に巨大な炎だけど、それほどの熱量を感じない。こんなに近くで燃えているのに」

 

 言われて気づいた二人は俺のメラを凝視する。

 

 「ほ、本当だわ。こんなに近いのに、それほど熱くない」

 

 「トーヤのメラは威力自体は変わらない。大きさだけ変えただけだってことよ」

 

 俺はニヤリと笑い、マリンを見る。

 

 「ご名答。良くわかったな、大したもんだ。ちなみに熱量を上げることだって出来ないわけじゃないぜ。っほらよッ」

 

 メラに魔力を送ると熱量が跳ね上がった。一気に周辺の温度があがり陽炎のように空気が歪み始める。

 

 「もっとも、更に魔力の消費は大きくなるけどな」

 

 暑くなってきたのでメラを消し、再び椅子に座る。

 

 「やっぱり魔力の消費が大きくなるのね。でもメラゾーマを小さくした場合は消費が少なくなるのよね?」

 

 「そういうこと。そこからの説明は俺がしよう」

 

 先生のお株を奪われる前に、黒板を使って説明を始めた。

 

 

 

 

 

 ある日、メラを練習している時のことだった。

 

 指先に小さく灯る炎に思いっきり魔力を注いで見た。

 

 すると炎は巨大化し、まるで部屋に暖炉でもあるかの様に凄い熱気を出し始めたのだ。

 

 その後、俺はメラの炎の熱量を変えずに大きくしたり、更に小さくして熱量を上げてみたりと、思いつくことは全部試した。

 

 そしたらある疑問が浮かんできた。どうして同じメラ系なのに呪文が複数あるのかと。

 

 メラの威力が強められるのならメラミもメラゾーマも要らないんじゃないかって。

 

 だってそうだろう? メラの威力を強めればメラゾーマと同じことが出来るんだから。

 

 もちろん無駄な呪文が生まれないかと言われればそんなことはないだろう。しかし、無駄があることと受け継がれていくことは別である。

 

 もし本当に無駄なだけの呪文なら廃れて消えていくはずだからだ。

 

 それがないということは、何かしらの利点があるということになる。

 

 その利点とは、ずばり消費魔力だ。

 

 メラ、メラミ、メラゾーマの呪文はその熱量と範囲が段階ごとに強力になっていく。

 

 メラは直径50センチ、1,000度。メラミは1,5メートル、2,000度。メラゾーマは直径4メートル、3,500度。

 

 昔見たドラクエの考察サイトの情報だ。

 

 各呪文はそれぞれの熱量や範囲で放つ場合、最適な魔力消費で放つことが出来る。という推論を立てた。

 

 俺はメラしか使えないから実証は出来ないが。

 

 メラの場合。直径50センチ、1,000度というのは消費魔力に対してもっとも自然な状態だ。

 

 熱量やサイズは元の状態から小さくした場合、消費魔力を抑えることが出来る。

 

 変換する魔力を使わずに済むのだから、それは当然と言えるだろう。

 

 熱量のみを下げたようとした場合は比例してサイズも小さくなるのだが、浮いた魔力をサイズに変換すれば補填が効くことは実験済みだ。

 

 逆にサイズのみ小さくしても、総合的な熱量は下がるが、単位あたりの熱量は変わらない。

 

 この場合は浮いた魔力を熱量に変換すると熱の性質上サイズが大きくなってしまう。

 

 同系統の呪文であるメラミやメラゾーマでも、同じことが起こることは想像に難くない。

 

 

 

 

 

 「という訳で、熱の低いメラゾーマなら、めっちゃでかいの放てるから。やってみ」

 

 「それだけ理屈こねくり回して結論それだけ?」

 

 エイミが呆れた表情でため息を吐く。

 

 1時間近くも懇切丁寧に説明してやったというのに、なんて失礼な。

 




 呪文のサイズを小さくした場合、熱量だけを上げる技術はオリ主にはありません。

 オリ主のはあくまでサイズを変えただけで、ポップが作中でやった収束ギラとは別の技術になります。

 収束ギラは密度の問題なのでサイズが単純なサイズ変更とは別物と考えたからです。

 ポップVSシグマ戦のときのメドローアに似せたベギラマと同じようなものだと考えて下さい。


 色々と設定を考えていますが、分かりにくければご質問下さい。
 ややこしいことを考えているせいで、もしかしたら私自身、もの凄い勘違いをしている可能性があります。

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