ダイの大冒険の世界を念能力で生きていく   作:七夕0707

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 ようやく風邪が治ってきたので続きを書きました。

 寝込んでいる間にネタは結構考えてたんですけど、いざ書いてみると纏まらないものですね。


14 洞窟一周目

 アポロ達と破邪の洞窟へ潜って4時間程経った。

 

 「ヒャダルコっ!」

 

 エイミの呪文はさまよう鎧を完全に凍りつかせた。

 

 「そっちも終わったようだな」

 

 「ええ。良い調子ね。これなら予定よりも早く15階まで降りれそうね」

 

 さっきまでキャットフライと戦っていたアポロは僅かに息を切らせながらエイミへ声をかける。

 

 二人は後ろに俺とマリンがいることを確認すると先へと進んでいった。

 

 俺はその後姿を無言で見つめて付いていく。

 

 「どうしたの? さっきからずっと恐い顔して」

 

 少し先を歩くマリンが振り返って心配そうな顔をした。

 

 「・・・いや。何でもないよ」

 

 一瞬迷ったが、俺はやはり何も言わずに前の二人を追った。

 

 「体調が悪いなら言ってちょうだいね」

 

 俺を気遣うマリンの声に適当に相槌を打ち、先を急いだ。

 

 

 

 

 

 洞窟での戦闘はすべて三人に任せていた。

 

 アポロ曰く、俺が戦闘へ参加しては特訓にならないからだそうだ。

 

 なら俺がいる意味ないよね。とは思いつつも口には出さない。

 

 しかし何故、アポロは俺が強いと思っているのか。長い付き合いではあるが、アポロにそう思わせるような力を見せた覚えはないのに。

 

 ってそういえば前に霊丸撃って見せたっけ。・・・でもあれだけでそこまで強くは感じないよな。

 

 まあ、実際に俺が戦闘に参加したら本当に特訓にならないだろうけど。

 

 しかし、見ているだけってのはかなり辛い。

 

 今もーー。

 

 「メラゾーマ」

 

 あばれザルを呪文でオーバーキルしながら、アポロはどんどん先へ進んでいく。

 

 破邪の洞窟はモンスターがうじゃうじゃ湧いてくるからな。モタモタしてたらあっという間にモンスターに囲まれてしまうだろう。

 

 だからそれは良い。それは良いんだ。

 

 でも、あばれザルごときにメラゾーマって何考えとんねん。

 

 しかも魔法に余裕があるから使いまくっていると言う訳では無さそうだ。みんなにはかなり疲労の色が見える。

 

 ゴンとキルアを見守っていたビスケもきっとこんな気持ちだったのだろう。

 

 すごいヤキモキする。

 

 今だって彼らは前方の敵に夢中で、背後から忍び寄るマミーにまるで気付く気配がない。

 

 案の定あっさりと背後をとったマミーはマリンに掴みかかった。

 

 「きゃあっ」

 

 マリンの悲鳴が響く。

 

 ああ、もう~~っ。

 

 「おらぁッ!」

 

 腰の木刀を抜き、オーラを込めて思いっきりマミーに叩きこんだ。

 

 「あ、あり、がとう」

 

 マミーに絞められていた首が開放され、マリンは苦しそうにしながら礼を言う。

 

 その言葉を聞き終える前に俺は駆け出していた。

 

 アポロの横を風のように走りぬけ、ミイラ男とわらいぶくろを木刀の一振りでなぎ倒す。

 

 そのままの勢いで、更に背後に控えるじごくのハサミを蹴り砕き、その死骸をヒートギズモへと思い切り投げ飛ばした。

 

 時速160キロの豪速球もかくやとばかりにじごくのハサミを投げつけられたヒートギズモは、為す術もなく霧散した。

 

 天井からぶら下がるバンパイアはその光景をみて逃げ出そうとした。

 

 「逃さないわっ。ヒャダルーー」

 

 「よせッ。ーー放っておけ」

 

 呪文でバンパイアを攻撃しようとしたエイミを留め、俺は木刀を腰のベルトへ納める。

 

 「トーヤ、君は見ているだけと約束しただろう。確かに先ほどは少し危なかったがーー」

 

 一息吐いているとアポロが小走りで近づき、俺へと軽い批難の声を浴びせた。

 

 だが、俺はそれを遮るように大声で怒鳴る。

 

 「ーーあほか~~~~っ!!」

 

 あまりの大声に皆は一瞬硬直する。

 

 「ど、どうしたの。そんなに大声出して・・・。」

 

 「どうしたもこうしたもあるかいっ! 思わず見てられなくて手ぇ出しちまったよっ」

 

 マリンの声を無視して俺は更に続けた。

 

 「あんな雑魚相手にどんだけ苦戦してんだよ」

 

 「そ、それは・・・。き、君から見たら私達は弱いかもしれないが、だからこそっ。こうして特訓しているんじゃないか」

 

 悔しそうに拳を握りながら、アポロは俯く。

 

 あっ、なんか落ち込んでるぞ。言い方が悪かったかな。

 

 「悪い悪い、お前らが弱いとかそういう話じゃないんだ。っていうか強いよ。お前たちは、うん」

 

 「気を使うな。俺と君の力の差は明白だ。実際さっきのモンスターを君は一瞬で蹴散らししまったじゃないか」

 

 「それは今まで戦ってなかったから体力が余ってただけだっての」

 

 フォローするが、まるで聞いていないようだ。面倒くさいヤツだな。

 

 「だあ~っ、もう。とにかく、一旦外に出るぞ。こっちこい」

 

 アポロの腕を掴んでマリンとエイミの傍まで行き、見えないようにスペルカードを取り出す。

 

 「リレミトっ」

 

 と言いつつ『同行』を使い洞窟の外へ出る。

 

 

 

 

 

 「ちょっとお前らそこへ座れっ」

 

 外へ出た俺は、三人を一旦落ち着かせるために座らせることにした。

 

 だというのに何故かみんな座らずにキョロキョロしている。

 

 「・・・あなたリレミトも使えたの? それにしてもおかしいわ。破邪の洞窟ではモンスター達の放つ邪気のせいでリレミトは使えないはずなのに」

 

 やっべ、忘れてた。

 

 「良いから座れってのっ」

 

 深く考えだす前にマリンの肩に手を掛け強引にその場へ座らせた。・・・もう遅いかもしれないが。

 

 マリンが座ったことで、アポロとエイミもようやく腰を下ろす。

 

 三人の視線を受け止め、咳払いをして彼らに向き合う。

 

 「これから戦闘時における呪文の使い方について講義を行います。終わったら一人ずつ洞窟へ入ってもらうので、しっかり聞くように」

 

 勢いで誤魔化そう。

 

 未だかつてない程、俺は熱く戦闘の何たるかを彼らに語るのだった。

 




 スペルカードは念能力と同じ扱いなので、邪気の効果は受けない模様。

 今回あんまり動きないですね。意外に字数が増えてしまったので、仕方なく途中で切って投稿す。

 次回はオリ主による戦闘講義になる予定です。

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