ファイアーエムブレム ー俺の謎ー   作:ユキユキさん

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予定通り更新。

ここでは久々っすね!


第32話 ~デビルマウンテンへ。《その4》

ーマルスー

 

オレルアンへ行く為にデビルマウンテンを行軍中、一人の男が僕に話したいことがあるとのことで面会を求めてきたらしい。女の子中心の子供達を連れてきたとのこと故、…悪い男ではないと思うけれどこの地が問題だ。サムシアンの支配地に子供達と共に現れた、十分に怪しいと言える。…が会ってみないことには判断しにくい、………会ってみるしかないかな? 子供達を見捨てるわけにはいかないと思うし。

 

ジェイガンと軽く相談し、その場へオルドレイク殿を呼ぶことに。彼は誰よりも強い為、万が一…その男が刺客か何かだとしても何とかしてくれる。それに竜騎士故に身軽だ、彼が飛べば空にて待機している天馬騎士も動く。全軍へ速やかに連絡を届けることが出来る、うん…会っても問題無いかな?

 

 

 

 

 

 

オルドレイク殿と共にシーダ王女もこの場に来た。…二人が合流した後、子供達を連れてきた男と面会した。彼を見た印象、…見た目は優男で悪い者には見えない。彼は一体何者なんだ? と考える僕を余所に、赤髪の彼はオルドレイク殿を見て仰け反っていた。…オルドレイク殿のことを知っているのか?

 

この時点で普通の民とは違う、僕はこの優男を少しだけ警戒した。普通の民はオルドレイク殿のことを知らない筈、特にこの地方の民達は。知っているのは国の中心に近しい者か軍関係者、…そしてアカネイアの民達と裏に関わる者達。そう考えればこの男、…裏に関わる者と見るべきだ。…この地で言うならば、…サムシアンとかね。

 

 

 

 

 

 

…僕の考えは当たっていた。この男、ジュリアンはサムシアンの一員だったのだ。しかし噂に聞くサムシアンとは毛色が違うようで、所属してから一度も無力な民を殺したことはないと言う。盗み一筋、盗んだ物も孤児院へ寄付をしていたらしい。

 

…嘘は吐いていないようだ、その目を見る限り。それに子供達は彼を信頼し切っていた、…何とも不思議な男だと思う。…そんな彼は相棒のナバールを助けたいと言う、…突然すぎる大物の名前。紅の剣士ナバールの名は僕でも知っている、一振りの剣で戦場を渡る最凶の剣士。ジュリアンは紅の剣士の相棒、そのことに僕は驚いた。

 

更に詳しく話を聞いてみれば、サムシアンに孤児院が襲われて多くの子供達が殺された。その仇を討つ為にナバールは単身アジトへ、…紅の剣士が仇討ち? 何とも信じがたいことだけど嘘と決め付けるには……。

 

一刻も早くオレルアンへと行きたい、…だけど彼の頼みも聞いてあげたいと考えてしまう。上手くいけば紅の剣士を引き入れることが出来るかも、…そういう打算が頭をよぎる。どうすべきかと考える僕に、オルドレイク殿がこう言った。

 

「…助けるべきでしょう。」

 

…と。

 

 

 

────────────────────

 

 

 

ーオルドレイクー

 

ジュリアンの頼み、単身アジトへと仇討ちに行ったナバールの救出。それをどうするかと悩むマルス王子に俺は言った、

 

「…助けるべきでしょう。」

 

…と。その言葉を聞いたマルス王子は俺を見る、こちらもマルス王子と視線を合わせて、

 

「ナバールと言えば世に名の知られた凄腕の剣士、こちらへ引き入れれば最高の戦力となりましょう。悪名もありますがそれは些細なこと、彼の救出と共に凶賊サムシアンを討ち取れば感謝はされど非難はされぬかと。」

 

そう言い切る俺に対しマルス王子は、

 

「…確かにオルドレイク殿の言う通り…か。うん…仇討ちをするからには彼は人だ、優しさのある者を見捨てることは出来ない。それにオルドレイク殿の言うようにサムシアンを滅するチャンスでもある、これを機にデビルマウンテン…サムスーフ山を解放しよう! 後顧の憂いを断つ、そして…オレルアンへ!!」

 

力強い言葉を発した。マルス王子の宣言にジュリアンは目を見開き、

 

「…ありがとうございます!!」

 

深々と頭を下げて礼を言ってきた。

 

…俺とジェイガンはマルス王子の言葉に満足、直ぐ様そのように考え発言したその姿を頼もしく思う。ナバールの救出をサムシアン殲滅の機とし、同時にオレルアン進軍の懸念であった凶賊達を滅することで後顧の憂いを断つ考え。…素晴らしいと言える、…やはりマルス王子は盟主に相応しい。彼の更なる成長を期待しつつ、ナバール救出の準備を進めようか。

 

 

 

 

 

 

慌ただしく準備に追われる同盟軍。マルス王子率いる同盟軍の主力は、サムシアンの頭領ハイマンが居を構えるサムスーフ城へ進路を取る。その主力にタリス軍のほぼ全軍を預け、その統括をレナさんに一任する。リンダと違ってレナさんは切れ者だし駄々を捏ねないからな、…本当に助かる。

 

ナバール救出の為の部隊を率いるは俺、ジュリアンを案内人とした少数精鋭で向かう予定だ。シーダ王女と数騎の天馬騎士、それに相乗る形でオグマとバーツを筆頭とした戦士隊…とリンダ。弓兵が配置されていないようだからね、空からの制圧を狙うのさ。…神速を以て救出させて貰う、時間は掛けられんからな!


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