……にしても、コードギアスも書かなきゃって思っているんだけどね。
ーオルドレイクー
おかしい、…この一言に尽きる。俺達はデビルマウンテンを目指している、凶賊集団として悪名高いサムシアンの支配地だ。既にその麓、奴等の支配する場所へ足を踏み入れている。…襲撃を受けてもいい筈、なのに一度もそれがないのだ。…おかしすぎる、そう思った俺は天馬隊へ指示を出す。周囲を警戒、調査せよ…と。
続けて近くにいた兵を伝令とし、マルス王子にもこのことを知らせる。…何かあってからでは遅い、こういう時は先を読んで行動すべき。何かしらがあったら急報を走らせるが故、マルス王子達は予定通りの進路を進むべし…という伝令をな。俺の勘と言いますか、…このデビルマウンテンには何かある。…何だったか、…レナさんが関係していたような? ………う~む。
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ージュリアンー
………………っ!? …やばい、寝ちまった! 焦った俺は直ぐに周囲を見回し、子供達の姿を確認して安堵した。子供達は寄り添って、…まだ寝ている。あどけない寝顔、それを見て心が温かくなるのと同時に悲しくなる。本来であればここに後…数人、院長もいた筈なのだから。
………罪滅ぼし、これはそれに当たるだろう。自身が積み重ねてきた悪事、サムシアンに属していたことへの懺悔。例えそれが偽善と思われても、後に恨まれたとしても俺は、…この子供達を無事にガルダへと連れ出す。それが俺のやらなければならないこと、そう改めて自身のやるべきことを再確認する。
…木々の隙間から淡い光が見え隠れする、…夜明けが近いか。…陽が昇る前に歩を少しでも進めよう、涼しい時間帯で距離を稼ぐことは負担が少なくていいからな。…さて、子供達を起こすか!
子供達を起こして歩を進める。…今日中にガルダへ着くかどうか、…着くことは難しいかもな。そんなことを考えながら先導していると、遠くから何かの気配を感じた。直ぐ様子供達を木の根元に伏せさせ、俺は神経を研ぎ澄ましてその気配を探る。
………………風切り音? ………空か? …空からの気配だとすれば。不審に思った俺は気配を消して木を登り、身を潜めながら空を探ってみれば見付けた。…天馬騎士? …何故に天馬騎士がデビルマウンテンへ? 疑問に思ったが直ぐに察することが出来た。あの天馬騎士こそが同盟軍なのではないか…と。
ここ等で天馬騎士と言えば二カ国、マケドニアとタリスだ。マケドニアの天馬騎士ではないのは確実、奴等は基本…三騎一組だからだ。それにこんな所を飛ぶ筈がない、サムシアンの支配地へお高いマケドニアが侵入するとか絶対にない。…となるとタリス以外にないわけで、噂じゃアリティアの王子を匿ったと聞いている。グルニアがちょっかいを出した筈だがここにいるってことは…だ、奴等を破って立ち上がったってことだろう。そしてガルダへ渡りデビルマウンテンを越えるルートを取った、…そう考えられる。
マケドニアはおっかないがタリスのいる同盟軍なら、…ナバールもその情報を得てガルダへ向かえと言ったのだろう。…で天馬騎士が飛んでいるとなれば、ガルダへ着く前に接触が出来るかもしれない。そう思った俺は直ぐ様地上へ降り、天馬騎士が飛んできた方向へ進路を取る。同盟軍はあの街道を進んでいる、そう確信を持って子供達を先導する。
…同盟軍がいるであろう街道を目指し、子供達と共に森を進む。…やはり、違和感があるな。ここまで来たのにサムシアン、…元仲間であった凶賊の姿がない。それに天馬騎士、…無事に空を舞うこと等本来は不可能な筈だ。…至る所に弓を得意とする奴が陣取っているからだ、天馬騎士なんて極上の獲物だぞ? それが舞っていたんだからおかしい、…本当に誰もいないんじゃあ。
………こんなこと、三ヶ月に一回の集会がある時にしか…っ!? …集会、………今日がその日じゃあ!!
なら誰もいないってーのに説明がつく。その集会へ参加する為に二、三日前からアジトへ移動する。それぞれの持ち場で貯め込んだお宝を運ぶ為に、余裕を持って行動するんだ。
………そこまで思い出して胸騒ぎの理由に思い至る。アジトには多くのサムシアンが集まっている、…そんな所へナバールは! …ナバールが危ない!!
…あの時、いつもだったらナバールは護衛を言わずともしてくれた。だが今回はそれをせずにガルダへ行けと、そして単身でアジトに。集会があると知っていて、…今なら脅威もなく子供達を連れ出せると分かっていて!
…くそっ! 俺は何て間抜けなんだ、…そんなことを忘れちまって!! …ナバール、………頼むから無茶はしないでいてくれよ!!