ファイアーエムブレム ー俺の謎ー   作:ユキユキさん

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今日も仕事前に。


第27話 ~…僕は知る。

ーマルスー

 

現在僕達は大海の上、グルニアより奪った大型帆船に乗りガルダを目指している。アリティアからタリスへ、そして再びアリティアを目指す。…海賊を騙った凶賊襲撃を機に立ち上がり、タリス軍と共に祖国アリティアへ。

 

色々な想いが巡る中で気になるのがオルドレイク殿、知勇に優れた元アカネイアの竜騎士。彼が僕を同盟軍総大将へ推す時に言った凶状持ち、そのことが気になる。ジェイガンは知っているようだけど、僕には教えてくれない。本人の口から聞くべきだと言うけれど、彼の傍らにはリンダさん達が常にいる。…そう簡単に聞けるものではない、…どうしたものか。

 

一人甲板の上で思い悩んでいると、

 

「…おや? マルス王子ではないですか。」

 

と声を掛けてくる者が。振り向けば件の人物、オルドレイク殿が立っていた。彼は一人でここへ来た、…これは聞くチャンスじゃないのか? これを逃したらいつ聞けるか、ニーナ様へ会う前に知っておくべきだ。そう思った僕は、

 

「オルドレイク殿、…貴方に聞きたいことがあります。凶状持ちとは如何なることなのでしょうか? …ニーナ様、…アカネイアに関係があることなのですか?」

 

十中八九、アカネイアに所属していた時に何かがあったのだろう。それを知るのは本人と各国の要人のみ、僕はそう読む。何はともあれ僕は知りたい、今後の為にも…いや、彼を知ることでその助けになりたいと思っている。

 

 

 

 

 

 

………長い沈黙の後、オルドレイク殿は小さく息を吐いてから話してくれた。彼がアカネイアにいた時の話を、心に傷を負わせる程の出来事を。

 

 

 

 

 

 

話を聞き終えた僕は怒りを覚えた。国に尽くしてくれた忠臣を謀殺し、身に覚えのない罪でオルドレイク殿を捕らえたこと。彼を捕らえている間にその領地へと攻め入り、罪無き民達を虐殺し彼の大切な者達を奪ったこと。アカネイア貴族軍が脱獄したオルドレイク殿を殺さんとし、反撃を受けて全滅しそれを反逆として全てを擦り付けたこと。…そして誰一人、いやニーナ様を除いた全ての人が彼を反逆者と見ていることが許せないと思う。

 

彼が…彼等が国へ尽くしていたことを知っている癖に、それらを無かったことにして彼を悪く言うことが許せない。何より、このような国の為に出撃し討たれた父上は何だったのか? そう思わせる程の内容に、オルドレイク殿がアカネイアを信じられないと思う気持ちが理解出来た。

 

 

 

 

 

 

真実がどうであれ、何かしらの情報を得ているであろう他国も彼を疑心の目で見る。そのような人物が同盟軍の総大将をしていれば、要らぬ騒動が起きると誰もが理解しよう。だからオルドレイク殿は僕を総大将に推した、…尚のこと頑張ろうと思った。彼は僕を信用し力を貸してくれる、僕もその信頼に応えつつ彼の力になる。

 

僕が決意新たにしていると、

 

「私に同情しアカネイア憎しと思うことはお止め下さい。貴方は曇り無き目で物事を見て、自身の想いを貫いて行動して下さい。それが貴方の強み、決して人に合わせて行動せぬように…。」

 

オルドレイク殿がそう諭してくる。…勿論分かっているつもりだ、怒りを覚えたけれどそれを出すようなことはしない。父上のことを考えれば多少は思うだろうけど、いや…父上はこのことを知っていても出陣し討たれたのだ。…僕がそれを思うことはない、父上の決断を否定することになる。

 

…オルドレイク殿の過去を知り、色々と思うことがある。でも彼が言ったように、先ずはこれからを自身の目で見て決めるよう心掛ける。それが大切であると改めて自覚したから、僕は僕の考えの下で行動する。

 

 

 

 

 

 

僕はオルドレイク殿と二人、並んで甲板から夜空を見上げた。互いに話すことはなく、静かに夜空を見上げるだけ………。

 

 

 

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ーシーダー

 

…ただの偶然だった。夜風を感じたくて甲板へ、そこでマルス様とオルドレイク様を見て聞いてしまった。オルドレイク様の過去を、…あの時父様が話してくれたものとは違う真実を。たぶんあの時話してくれたものは噂話、それかアカネイアが少しの真実を混ぜた虚偽の話。…真実は違っていて酷い話、オルドレイク様が人を信じ切れないのも無理のない話。

 

 

 

 

 

 

マルス様とオルドレイク様、二人並んで夜空を見上げる様を見てから私はこの場を後にする。声を掛けられない、掛けられる筈がない。二人だけの空間を壊してはいけない、直感的にそう思ったから。

 

部屋へと戻った私は外着を脱ぎ、ベッドの中へと潜り込む。想うことはオルドレイク様のこと、私は彼に何をしてあげられるだろう? …リンダさんとレナさんはどう接しているの?

 

………私だけがオルドレイク様にしてあげられること、そんなことを考えながら眠りにつく。

まだ先だけど…、ハーディンについて。

  • ハーディンと狼騎士団は良い奴。
  • ハーディンと狼騎士団は嫌な奴。
  • ハーディンは良い奴、狼騎士団は嫌な奴。
  • ハーディンは嫌な奴、狼騎士団は良い奴。
  • 実はニーナよりもミネルバが気になる。

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