ーマルスー
タリス城へ帰還し、僕達は顛末をタリス王に話した。その流れで今後の話となり、嬉しいことにオルドレイク殿が同盟軍へ参加してくれるという。感極まった僕は彼の手を取り礼を言った、…礼を言っただけなのに悪寒がするのは何故だろう?
…そして気付く、リンダさんとレナさんが僕を注視していることに。二人共にこやかな笑みを浮かべているのに、…目が笑っていない! それに驚いて視線をさ迷わせれば、今度はシーダ王女と目が合い………。
まさかシーダ王女までもがあれほどの眼力を持っているとは、…女性というのはとても強い存在なのだと思った。しかし何故僕はあそこまで強く視線を向けられたのだろうか? …分からない。
オルドレイク殿の部隊へシーダ王女が入ることとなり、彼女は何とも嬉しそうに微笑んでいた。同じ空を翔る者同士、通ずるものがあるのだろう。それにシーダ王女は世話になった身なれど、妹のような存在だから彼の下へ入るのは賛成だ。彼…オルドレイク殿と共にあれば、これ以上の安心はないと言える。どうかシーダ王女をよろしく頼むよ、オルドレイク殿!
…これで話すことは終わり。後は長い戦いが始まる前に英気を養って…と思っていたのだけれど、タリス王がオルドレイク殿へ投げ掛けた問いにより周囲の雰囲気が一変してしまった。問い掛けられたオルドレイク殿の様子がおかしい、心配に思った僕は声を掛けようとしたのだが、
「…お待ちを、マルス様。オルドレイク殿は今、自身の過去を振り返っております。故に邪魔を致しませぬよう…。」
ジェイガンがそう言って僕を止めた。…過去を振り返る? ニーナ様の名とアカネイアという言葉が聞こえたけど、…オルドレイク殿の過去に何が? 僕は知らない、…ジェイガンは知っているのか?
何とも言えない雰囲気の中、僕は黙ってオルドレイク殿を見詰めていた。ジェイガンが止めた理由、冷静になってみれば分かる気がする。独特な雰囲気を纏っている彼は別人のようで、もし声を掛けていたら…何も言えずにいたと思う。纏うモノを変える程の過去、それは如何なるものなのだろうか?
沈黙する彼から目を話すことが出来ずにいること暫く、遂にオルドレイク殿は口を開いた。その言葉はとても重い、ニーナ様とは縁が切れておりアカネイアは信じられない。…全てを聞き終えてから察するに、オルドレイク殿はアカネイア出身の訳あり。それを察することが出来たけど、同盟軍参加が悪手になるなどと…! 過去に何があったのかは分からないけれど、今はそれどころではないのが現実の筈。いかにドルーアを打ち倒すか、それに
ニーナ様達もそれが分かって………、
「マルス様、…それが正論であることは誰もが認めましょう。されど、この状況下でも囀ずる者はいるのです。ニーナ様が望まなくとも、周囲の者達が許さぬのです。…オルドレイク殿はアカネイアに因縁がある、それが争いの元になるが故に悪手となる。しかしながら参加を表明した身、マルス様と共に戦うと決めた以上は裏に回ってでも。自身よりもマルス様のお立場を考えての発言、勿論…リンダ殿とレナ殿のことも含まれているのでしょうが。」
ジェイガンの言葉に僕は耳を疑った。打倒ドルーアではないのか? …それだけじゃダメなのか? ニーナ様とアカネイア、そしてオルドレイク殿の間に何があったのかは知らない。因縁があるにしても、…それよりも大切なことがあるんじゃないのか?
オルドレイク殿とジェイガンの言葉、どちらの言葉にも考えさせられる。僕が思い悩む中で聞いたタリス王の決意滲む言葉、シーダ王女の想い込めた強き言葉。二人の言葉を受けたオルドレイク殿の言葉、…それにより再び場の雰囲気が変わった。それは物語の一節にあるような、導く王と心優しき王女、そして心打たれし強き騎士。この場にいる僕が…僕達が場違いなのでは? …と思う程の場面に、思い悩む僕が矮小に思えた。
…実際にこの目で見て、この耳で聞かなければ何とも言えない。…幸いにも僕達はオレルアンへ向かう、そこには檄を飛ばしたニーナ様がいる。当然その周囲にはアカネイア貴族がいることだろう、…その時に確かめようと思う。ジェイガンが言ったように
…だがそれでどうこう言うつもりはない。僕にはドルーアを倒すこと、祖国アリティアを奪還することが第一目標なのだから。悪いとは思うけど餌になって貰う、そして学ばせて貰おう。オルドレイク殿達のやり取りを焼き付けるんだ、きっとそれが僕の力となる筈だから。
オルドレイク殿が僕のこの考えを知ったら怒るだろうか? ………いや、怒ることはないだろうな。何となくだけどそう思う、…彼は小さい男ではないのだから。
新たなアンケートをば。
あくまで参考にする為のものです。
反映されなくても怒らないでね?
あの二人、ジュリアンとナバールについて。
-
ジュリアンは知らない子。ナバールは○。
-
ナバール? 誰ですか? ジュリアンは○。
-
二人共必要でしょうが!!
-
あえて二人共いらない。
-
仲間になるがホモ臭い。