絆の軌跡   作:悪役

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特科クラスⅦ組

そして俺達はガイウスの言う出口近くの所の回復装置が見える場所でばったりとリィン達の集団に出会った。

何時の間にか向こうにはユーシスと銀髪の少女がいたが、そんな些事はどうでもよかった。

見ると向こうもかなりやつれていて、汚れている。

お互いがお互いの姿を見て、何も言わずにお互いの事情を察し、代表して、俺、リィン、エリオット、ガイウスが皆より前に出て

 

「……!」

 

熱い抱擁を交わした。

 

 

 

 

 

 

男同士の熱い友情を終え(ユーシスとマキアスを除く)、女子同士も互いに挨拶を酌み交わし、回復装置があったからとりあえず今までのEPを回復して、全員で広場についた。

 

「……おお! 日差しが……日差しがあるぞ……!」

 

「うむ……太陽の日差しとはこれ程心地よいものなのだな……肉体はおろか精神の鍛練。見事果たせたな」

 

「ああ……今回の特別オリエンテーリング……俺達にとってかなり過酷なものだったがチームとしての一致団結が俺達を救ってくれたな……」

 

「というよりしなきゃ助からなかったという方が僕的には正しいんじゃないかなと思う……」

 

どうやらリィン班もかなり酷い目にあったらしい。

あのユーシスも無言で肯定しているところを見るとかなりの内容だったに違いない。

それにしても、さっき自己紹介でフィーと教えてもらった銀髪の少女は一人だけ余裕のというよりも初めから無表情の面倒だなという表情を浮かべたまま。

姿も汚れているように見えていないところ、あれらのトラップを平然と潜り抜けたということなのだろうか。

俺達の中で一番腕が立つのはラウラだと思っていたが、そこまで簡単なものではないのだろうと改めて認識する。

とりあえず、もう出れるとなると全員のテンションが無意味に上がるもの。

ははは、とテンションを上げて全く名残惜しくない旧校舎の最後の部屋を見回す。

 

「おいおい、見ろよあの石像。かなり凝っているなぁ」

 

「ふん……あの程度の造りで凝っているなどと己の価値観の低さを露見しているぞ。あんな物、美術館行けば下の下だ」

 

「……ふふ。別にいいじゃありませんかユーシスさん。もう終わりと思えば何故か何もかもが綺麗に思えません?」

 

「……エマ。それ末期症状だと思うよ」

 

「シッ。フィー……静かにしておきなさい……エマは、その……疲れているのよ……」

 

「はは……」

 

全員のテンションがおかしいなぁと冷静にテンションを上げながらそう思う。

もう、本当に何もかもが煌めいて見えるというのはこの事だろう。

 

「それにしてもあそこまで凝っているんだから動けばいいのになぁ……動かない石像なんて二流だぜ」

 

「そうなのか……帝都の一流の石像は動くのか……」

 

「おい、レイ。ガイウスに嘘を教えるなよ」

 

「そうだよ……信じられたらこれから石像がある場所をガイウスが歩けなくなるじゃないか」

 

「ははは、悪い悪い。それにしても本当に凝っているなぁ……ほら見ろよ。今なんかあの石像、目が光っているぜ?」

 

「……え?」

 

俺の最後の疑問に全員がピタリと動きを止める。

その一致団結さに気付かずに、俺は尚も石像批評を始める。

 

「うぉっ、すっげぇ! 今、一瞬だが手足がぴくりと震えやがったぜ……地震か……こんな地下で生き埋めになったら洒落にならないな……というかさっきは冗談で動けって言ったけどやっぱり石像なんだからそのまま時が止まった不変でいるのが礼儀だろうに、なぁ? ……なぁ、お前ら。どうしてそんなに離れているんだ?」

 

「───それは石像じゃなくて魔獣だ!?」

 

全員のハモッた声にはぁ? と遂に脳がイカレたかと思い、おいおいと思う。

 

「確かにそういう種類の魔獣も存在するかもしれないけど、こんな出口にラスボスよろしくで鎮座するなんて幾ら陰険なトラップばっかりあっても流石に魔獣の出現場所までトラップに出来……な……」

 

最後ら辺に言葉に自信が無くなっていくのはさっきまでちゃんと石をしていた石像があら不思議で色をつけてまるで生きているかのようにこちらを睨んでくるからである。

自分の笑顔が凍っていくのを自覚し、暫し沈黙が流れる。

ゴクリと唾を飲む音がその沈黙を破り───魔獣がこちらに向かって飛んできた。

 

 

 

 

 

「のぅわーーーーー!!」

 

レイとやらがこちらに向かって必死の形相で走ってくるのに対して、全員がうわーー! と叫びながらそれから逃げる。

思わず舌打ちをかまして逃げてくる奴に告げる。

 

「おい貴様! 何でもいいからこっちに来るな! 囮になれ!!」

 

「待てやコラァ! さっき一人で出るときに言った大層な貴族の責務(ノブレスオブリージュ)というのはどうした! 今こそ果たす時じゃないのか!?」

 

「ああ、弱い人間に対してはな───だが、ここにいる者共のメンバーは結構頭がやばい人間が多いと分かったからな! 俺の貴族の義務もそれは力無き民に対してのみだ!」

 

「屁理屈だ……!」

 

知るか馬鹿。

そう思うなら、もう少ししおらしい態度を取ってみろ。逃げる足が全く恐怖に捕らわれていないくらい武術を嗜んだものならば全員理解できている。

故に囮をさせた。

 

「ファイアボルト!」

 

「アクアブリード!」

 

アリサとエリオットのアーツが発動する。

レイが囮をしている間にリィン、ラウラが二人にアーツの駆動を促し、発動させたのだ。

結果、炎と水が魔獣の顔面に狙い打たれ、レイにしか興味がなかった魔獣は避けることも出来ずに諸に命中し、羽に意識を割くことが出来ないのか、地面に落ちていく。

 

「おお……!」

 

するとレイが反転し、ARCUSが光を放つ。

大分昔の戦術オーブメントでもあるCP。攻撃、防御時の使用者のテンションなどで貯められるもので使えば一時的にせよ、使用者の身体、アーツのレベルを一つ上げるというもの。

奴の適正的に言うと身体の方を上げたのだろう。

一瞬で空に浮かんでいた石像の龍……ガーゴイルと言うべきか。

それよりも上に飛び、三回転くらいクルクル回りながら

 

戦技(クラフト)烈震……!」

 

強烈な踵落としを魔獣の頭に落とした。

 

「……!」

 

激震。

衝撃と音が空間を揺るがしながら、魔獣の頭に該当する部分が罅割れながら地面に激突する。

地面に激突する瞬間にようやく痛覚を自覚したのか苦鳴を発するがそれ故にこちらの動きを全く視認できていない。

 

「───四の型、紅葉切り」

 

抜刀から続く連続斬撃による攻撃。

斬鉄の極みを目指した斬撃はいとも簡単に石のような硬さの魔獣の肌を切り刻む。

苦鳴は永続化され、纏わりつく蠅を払うかのように体を振り回そうとするが

 

「───もらい」

 

何時の間にか背中に乗ったフィーがその手に不釣り合いなガンソードを二つ握り、躊躇いなく引き金を引く。

一発、二発、三発、四発。そこからも弾丸の抉る音は響きに響き、一つの楽曲となって魔獣の背中を穿ち続き

 

「えいや」

 

冗談のような声で刃をクロスに振り、背中を蹴って脱出。

身のこなしの軽さはまるで猫のようだなとユーシスは思い

 

「───ゴルトスフィア!」

 

アーツを発動させる。

空属性のオーブは魔獣の周りを回ったかと思うと、そのまま魔獣に向かって激突を望む。

中心点の魔獣はたまったものじゃないという感じに首をもたげ、暴れまわるがその瞳はこちらへの怒りに濡れている。

許さぬ、認めぬ、食い殺してやるという殺意がそのままアーツの陣に成るのを見て、周りの者どもは俺を含めて───焦らない。

 

「させるか!」

 

「させません……!」

 

 

マキアスとやらが構えるショットガンの銃口に光が宿る。

エマという少女は魔導杖を振るうと導力で作られた光の剣が幾つも浮かぶ。

オーブメントもCPの消費に震えるように光り、そして音速突破の弾丸と光の剣がアーツの駆動を妨害する。

余程の一撃だったのか、遂に顔面に罅割れが走る。

悔しいがその威力と狙いの良さにちっ、と舌打ちしてしまう。

むかつくが役に立つから仕方がない。

そしてガーゴイルは罅割れを嫌がるように首を振りながら、後ろに下がろうとし、その前に罅割れに槍が迫る。

 

「逃がさん……!」

 

ガイウスという男がその狙い外さず罅割れに直撃するように槍を放ち、そしてものの見事に槍が罅を更に穿ち───そこから下に新しい皮膚? があった。

 

「嫌がらせかーーー!」

 

先を予見した馬鹿がツッコんでるが、内容に非常に共感したメンバーが結構多数いるので意地でも同意しなかった。

魔獣が急に光り出し、目を焼き暫く視界を失いそうになるが直前に目を閉じていたお蔭で何とか視界を維持でき、光が消えた辺りで目を開けると魔獣は大変化していた。

さっきまでは滑空みたいに飛んでいて自由に飛んではいなかったのだが、今度はどちらかというと竜というよりは悪魔みたいな感じなビジュアルになっており羽根で飛んでいる。

 

「………帝都の石像は空を飛ぶこともできるのか……」

 

「し、信じちゃ駄目だよ! ガイウス! それはレイの法螺話だからね!?」

 

「俺も法螺話のつもりだったが実は意外と真実なのかもしれないと思い始めてきた……」

 

「それは現実逃避よ!」

 

ナイスツッコミだアリサとやら。

ともあれ、不味い事態であるのは確かだ。

あれでは近接組の武器が届かない。

今は、マキアス・レーグニッツ、フィー、アリサがそれぞれの武器で攻撃しているが武器の攻撃不足は否めない。

三人ともそれを解ってか、それとも武器の特徴か。

全員、導力による弾で攻撃して、幾つかは当たってはいるのだがそこまで効果は効いていない。

やはり、攻撃というなら俺達そしてその中で一番高いであろうラウラの攻撃が一番効く。

策を考えようとするが

 

「来るぞ……!」

 

そうしている間に空中でターンをしてこちらに攻めてきた。

慌てて全員が軌道から避けようとする中、一人だけ動かない者がいた。

 

「ラウラ!?」

 

リィンが慌てて彼女に警告の意味で声を発するが彼女は眼を閉じ精神集中しているせいか、ガーゴイルが迫ってきても微塵も動かない。

 

「正気か!?」

 

どう考えても重量は人の手では余るクラスの重さである事は確かだ。

そんなのが空中で加速してぶつかってくるのだ。

当然、まともにぶつかったら肉も残らない。

それなのにそんな事を(・・・・・)をする事に正気か、と疑ってしまう。

だが、彼女は不動を保ちながら剣を顔の前で一旦、構え、精神集中。

瞳すら閉じた集中はわずか1秒。その1秒に全てを燃やすかのような瞳の輝きに不覚にも目が留まる。

 

「───我がアルゼイド流、鉄砕刃。本来ならば飛び上がって重力も含めた斬撃によるものだが……」

 

構えを変える。

剣の構えは下段。

それも、腰を普通よりも更に捻った明らかな魔獣相手のカウンター狙いの構え。

 

「今回ばかりは迎撃の為に技を改良しよう。アルゼイド流、昇竜斬とでも名づけるか?」

 

接敵まで残り四秒といったところ。

最早、引くこと不可能。

迎撃を選ぶしかない。

だが、もしもカウンターで弾き返すこと自体は可能だと仮定してもタイミングを誤ればやはり力があっても死しかない。

ヘルプも当然、間に合わない。

 

一秒

 

魔獣の方向がいやでも耳に響く。

周りのメンバーが何かを叫んでいるが、それすらも耳に響きやしない。自分の声ですら耳に届かないのだから。

 

二秒

 

心音がうるさい。

何時もの毅然とした態度を維持しろと言い聞かすのだが心音だけはその縛りなど効かぬと言わんばかりに暴れだし、二秒後の結末を予想しようとする。

 

三秒

 

もう、目と鼻の先に迫る死を目前とした騎士の家系はすぅっと息を吸い

 

四───

 

「せいやぁぁぁぁあああああああああーー!!」

 

閃光のように思える一閃が、魔獣を文字通り吹っ飛ばした(・・・・・・)

 

「……」

 

「……」

 

マキアスとエリオットが開いた口が塞がらないという感じで口をパクパクし、現実をちゃんと認識していないのが目に見えて理解できたし、正直同意できる事実であった。

だが、やはり負担は大きかったのか。

ラウラは汗を大量に流し、膝をつくのを剣で支えて我慢しており一撃に全てを賭けたと言っても過言ではない様子であの様子だとどこか多少は痛めたかもしれないな、と思い、そこまで思考している間に魔獣が地面に激突し───黒髪の二人の少年が左右から疾走した。

 

「合わせろよ! リィン! それとも合わせてやろうか!?」

 

「そっちこそ! 遅れるなよ!」

 

互いの速度はほぼ同じ。

リィンは左から、レイは右から回り。互いの視線と敵意が魔獣の首に向けられておりリィンは納刀し、レイは右拳を固める。

そして

 

「………何?」

 

気のせいだろうか。一瞬、二人のオーブメントが光った様な気がした。

いや、気のせいではない。

間違いなくその光は彼ら二人を繋げるかのように光り、そして拳と刀。その両方が同時に動く。

結果は魔獣の首が空に飛ぶ姿。

最後には首はおろか肉体も灰になって消えた。

その事実にようやく肩の力を抜くことができた。

 

 

 

 

 

 

 

「な、何とか勝てたな……」

 

リィンはそう言い、思わず地面に座り込みたかった。

実際、周りのメンバーで恐らくそこまで戦闘を本分にしていなかったメンバーは全員座り込んでいる。

全員、息絶え絶え。

真面に立って行動できているのはラウラを除いた戦闘訓練をちゃんと受けたと思わしきメンバーだけであった。

 

「ラウラ。大丈夫か?」

 

「……うむ。肉も骨も異常はないようだ。流石にあれだけの巨体の魔獣を飛ばしたことはなかったが上手くいった」

 

「いやいや。流石にあれは無理し過ぎだぞ。返せなかったらどうするつもりだったんだ?」

 

「うん。その時はその時………と言いたいところだが負ける気がしなかったのでな。勝利しか考えていなかったんだ。だが、確かに無謀ではあったな。迷惑をかけた」

 

「……いや。とにかく無事で良かったよ。今度から無茶はよしてくれ」

 

じゃなきゃ周りの心臓にも悪い。

彼女も流石に悪いと思ったのか、うむと頷き立ち上がる。

どうやら、あれだけの一撃を放ったのに本当にそこまで負傷をしていないらしい。

凄い練度だと思い、周りを見回す。

 

「灰になったなぁ……魔獣らしいといえば魔獣らしいけど……お。落ちているセピス発見。フィー、お前もいるか?」

 

「ん。貰う。サンクス、レイ」

 

「なぁに、全員の報酬だろ、これは。それにしてもフィーも凄まじい戦闘能力持ってるな………ま、詮索はしないが」

 

「……レイこそ。この中で結構、別格クラスだよね。どういった事情かは大体予測できるけど」

 

「お互いさまって奴だな。ま、楽しめたらいいかっていう事でお互い納得って事で」

 

「ん」

 

何やらかなり怪しい会話をしている二人もいたが、今は気にしないでおこうと思う。

他のメンバーも立ち上がりつつあるので皆に声をかけて先に進もうと思ったところに、いきなり拍手が耳に響く。

 

「いやぁ~~。最後は友情で終わってくれてお姉さん。皆の青春を見れて嬉しいわ~~。うーーん、眩しい! 眩しいわね~~」

 

ふざけた様に語る声に階段から降りてくる姿を改めて確認して名を呼ぶ。

 

「サラ教官……」

 

「ま、無事なようで何よりだわ。じゃあ、これにて入学式の特別オリエンテーリングはお終い。こっからは文句でも何でも意見を受け付けるわよ」

 

その言葉に対して全員が視線を合わせて頷いた。

ならば、言いたいことは一つだ。

全員で全く同時に口を開いてその思いを形にした。

 

「なら、あの罠は最悪でしたよ!!?」

 

 

 

 

 

 

 

というわけで全員で特科クラスⅦ組とその選ばれた理由───ARCUSについて聞かされることになった。

通りで何故かお互いの動きが何となく読めるわけだ。

プロの軍人や遊撃士でもかなりの訓練を積まなければ出来ないことをARCUSは簡単に再現してしまうということなのだろうとレイは思う。

どういった技術でそんな事が出来るのかは知らないが、どうせ語られても理解できないだろう。

そして後はⅦ組はハードなカリキュラムで授業を組むこと。

やる気がない人間は本来所属していたクラスに編入させられる事になるいうことだ。

そこまで聞き、ふむふむと頷く。

 

「別に強制はしないわ。今回はまぁ、不意打ちみたいな試験になったけどだからと言って試験をしたから入るようにとは言わないわ。やるかやらないかの自由意思はあんた達のもの。で、どうする?」

 

「あ、じゃあ俺入ります」

 

脊髄反射レベルで俺がまず手を挙げて前に出る。

周りのメンバーが揃って驚きの表情でこっちを見るが、気にすることではない。

 

「即断即決過ぎるわねぇ~。一応聞いとくけど理由は?」

 

「冗談風に言うならまぁ、普通のカリキュラムより面白そうだし、退屈しないで済みそうっていうのが理由ですかね? 鍛錬にもなりそうですし、やるならどうせ楽しいほうがいいですし」

 

理由を言うと物凄く呆れた様な表情を浮かべられた。

見れば周りのメンバーも似たような表情を浮かべているし、俺は少数派なのかと思わず内心で考えるが

 

「────なら、リィン・シュバルツァー。Ⅶ組に参加したいと思います」

 

お、と思い俺と一緒で前に出てきた少年に視線を向ける。

 

「何だ、リィン。若い身空で人生をもう投げ捨てたか。人生が大暴落したら骨くらいは拾ってやる」

 

「全部無視させてもらうが俺は俺で自分を高められるというなら願ってもない申し出です」

 

真面目な奴だなぁと思うが、俺達の参加を機に参加者は続々と出て一応、クラスとしての人数は足りてきたが、最後にやはり問題の二人が残った。

 

「さて。君達二人はどうする?」

 

「………」

 

「………」

 

マキアスとユーシスだ。

二人とも隣同士な癖に頑なに視線を合わせない。

これだけ見ると意見が合わないというよりは性格が合わないという感じだ。

今はまだ嫌悪する仲ではあるが、こいつら和解したら喧嘩するほど仲がいいって感じになりそうだなぁ~とどうでもいい事を考えながらどうなるやらと思う。

 

「二人はどうする? 別にさっきも言ったように無理にとは言わないわ。嫌々やってもらってもこっちは迷惑だからね」

 

「……いや、ならば話は簡単だ───ユーシス・アルバレア。特科クラスⅦ組に参加させて貰おう」

 

「んなっ!?」

 

心底信じられないという顔でマキアスはユーシスにツッコミ、それをユーシスが挑発なのか天然なのかはわからない態度で有体に言えばお前は辞退すればと要求している。

 

「(ユーシスもあれはわざとみたいだが……四大名門の坊ちゃんも喧嘩っ早いなぁ……)」

 

「(お、おい。レイ……お前順応早くないか?)」

 

「(そ、そうだよっ。ゆ、ユーシス様は四大名門の御子息だよ?)」

 

性格と育て方の違いだろう。

基本、最低限の敬意しかどうでもいい貴族には俺は払っていないし、偉いだの何だのはそりゃ凄いと思うが、士官学院に持ってくる要素ではないだろう。

それにユーシス本人も確証はないが四大名門の貴族様扱いはそこまで好いていない気がする。

貴族としての誇りはあるが敬われるだけの案山子にはなりたくないという感じか。

そうこうしている間に対抗する形でマキアスも参加の表明。それらの一連のいざこざを見て全員で溜息を漏らす。

 

「やれやれ……これは暫く一悶着がありそうだな」

 

「……めんどくさいね」

 

「あ、あはは……」

 

「はぁ……大丈夫かしらこのクラス」

 

色々と周りは心配しかないというコメントしか発していないが別に俺は気にせず頭の後ろで手を組み目を瞑って口笛でも吹いとく。

ただ、自分は常に自分に祈るだけ。

この瞬間を生きているという事にただ真摯に感謝し続けるのが自分の生き方なのだから。

 

 

 

 

 




最後ら辺はかなり端折った感がありますが更新です。
とりあえず、ようやくⅦ組設立。
これ以降はとりあえず多少のオリジナルの小話を幾つかしたらまたメインストーリーという感じを維持できればと思います。
感想、よろしくお願いします。

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