結城リトの受難   作:monmo

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第十四話

 一ヶ月以上あった夏休みもあっという間に終わりを迎えてしまい、俺とララは久しぶりにもなる学校へと集まっていた。

 始業式を終え、教室に戻る。後ろからついて来るララをいつもの様にほったらかし、自分の席に座った。

 

 「夏休みも終わっちゃったね〜」

 

 「そうだな……」

 

 どこか懐かしむ様な視線で窓際の俺の席から、外を眺めるララ。どうやら、彼女はまだまだ休みが欲しかったらしい。ただ、彼女の視線はどこか新鮮みを帯びた雰囲気が表れていた。

 周りを見渡せば、この夏の間にすっかり雰囲気が変わってしまったような奴が男女問わずちらほら見える。俺もララも少し日焼けしただろうか。周りと比べればそれ程でもないのだが、変わったという認識はある。

 

 そう、変わったのだ。

 

 あの日、俺が『俺』との決別をした帰り。夕焼けの後に広がった夜空は満天の星を見せるどころか、暗雲の上から土砂降りの大雨を降らした。

 そのときの俺は、自分自身との別れを実感した悲しみに引き裂かれそうな身を捉える様、地面を歩み続けるばかりで、そんな事には気にも触れなかった。どこかでビニール傘を買うという思考も働く事なく、俺は轟々と降り注ぐ雨粒に体を打たれながら、帰るべき場所へと戻っていったのだ。

 自分の姿が随分とみすぼらしい姿になっている事に気がついたのは、家に辿り着いてからの事だった。乗り物を使っているとは言え、かなりの距離を歩き続けた俺の足は既に限界を迎えていた。疲労が溜まりきっていた俺は、汗と雨水でベタベタの手で玄関のドアを開け、俺の帰りを待っていただろう美柑の声に、ロクな返事も出せないまま、びちょびちょのシューズを脱ぎ捨て、自分の部屋へと戻ろうとした。

 その時だった。

 

 「リト〜♪ って、うわぁ!!」

 

 居間のドアから勢い良く飛び出し、そのまま俺の所へ飛びかかろうとした彼女。しかし、俺を見た瞬間、今度はそこまで向けていた笑顔を仰天の表情に変える彼女。

 

 「ラ、ラ……?」

 

 幻覚でも見たのかと思った。本当に幻覚でも見たのかと思った。なぜなら、俺の頭の中では本来ここにいる筈のない人が、俺の帰りを待っていたからだ。

 

 そう、俺に飛びかかろうとしていたのは、ララだったのだ。

 

 うまく状況が理解できない俺は、大きなリアクションもおこす事ができず、目を見開いたまま、彼女に「なんでここにいるのか」と理由を尋ねていた。

 ララは俺の質問に戸惑う事なく「家族には会う事ができたから戻ってきただけ」と言っていた。

 だが、まさか今日中で帰ってくるとは思わなかったのが俺の思惑だ。俺は彼女の勢いに呆気に取られてしまい、そのあとに話してくる内容などは、まるで耳を通らなかった。

 その後、あとから美柑がやってきたのだが、呆けたままの俺の姿を見るなり、大慌てで大量のバスタオルを俺とララに投げ渡してきた。そして、俺の事をガミガミ怒りながら、毛根からなにまでびしょ濡れになっている俺の髪の毛をかき回してきたのだ。

 

 「どーして傘を買わなかったのよ!」

 

 「……ゴメン……」

 

 「もうっ!」

 

 

 

 ・・・♡・・・♡・・・

 

 

 

 「リト? リ〜ト〜?」

 

 気がつくと、俺の目の前でララが手を振っていた。

 また考え込んでしまったようだ。

 俺は彼女に謝ると、丁度そこでHRの鐘が鳴った。彼女は「またあとでね」と、手の平をヒラヒラ揺り動かしながら自分の席へと戻っていく。

 その間に、教室のドアがガラガラと音を立てて開いた。

 

 「はい、みんな席についてぇ」

 

 お年寄り特有の緩い口調と共に、骨川先生が教室に入ってくる。俺は顔を上げて教卓の方を見た。そして、いつもの様にビシッとした挨拶をして俺達が席に着くと、教卓の前に立っている先生は話を始めた。

 

 「えー、2学期になっていきなりですがぁ、転校生を紹介しまふ」

 

 そのあまりにも突然な内容に、クラスにざわめきが広がる。思えば、ララが入学してからまだ一学期しか時間は経っていない。だから、こんな連続に転校生が入って来る事など、珍しすぎるのだ。周りのやつ等が、変だと思う事に無理はない。

 そんなざわめきが少しおさまったところを見計らったのだろう。先生は廊下で待たせている転校生を中に招き入れた。

 

 「え〜、レン・エルシ・ジュエリア君です。みんな、仲良くするよーに」

 

 先生の声と共に教室に入ってきたのは、一言で言うなら美男子だった。

 真っ白な髪の毛、赤ワインの様な濃い色合いをした瞳、一瞬では外国人だと判断しかねない顔立ち。白馬に乗った王子様とはまさに彼を指すであろう。その素顔は、どこをとってもカッコイイとしか言い様がなかった。

 そんな彼が教壇の前に立って、それを見たクラスメイト達の中から真っ先に起こった反応は、女子からの黄色い悲鳴だった。

 絶対にやかましくなるであろう未来を先回りして耳を塞いでいた俺は、視線をララの方へと移した。

 彼女の反応は周りの女子とは違う。いつも通りの、新しい興味を発見した様な表情をしていた。やはり、彼の事は完全に忘れているらしい。悲しいかな…………そうでもないな。

 

 結城リトとは数段違いのイケメン面をした美男子は、女子の悲鳴に少し驚いている様子だったが、俺がくだらない事を考えていた真っ最中。彼女の姿を見つけたレンの行動は素早かった。

 

 「はれ?」

 

 先生の気の抜けた声に教壇に顔を戻すと、教卓に立っていた筈のレンが消えていた。心底驚いた俺がララの方に視線を動かすと、そこにはまたたく間にララのもとへと移動した彼が、彼女の手を握っていた。その姿こそ、どこかの国の王子様の様に。

 

 「やっと見つけたよララちゃん…………ボクの花嫁……」

 

 彼女に優しく囁きかける様に話すレンの言葉を聞いた周りの連中は、突然の事についていけず、いったい何が起こったのか、彼とララの関係はなんなのかとざわつき始めた。

 一方、そのララの様子はというと、口を半開きにしてキョトンとしたままレンの顔を眺めていた。どうやら彼女もついていけてない様子だった。

 俺の中で呆れを超えて笑いが込み上がっている中、真剣無垢なレンの顔を目の前にして、彼女はゆっくりと口を開いた。

 

 「えーと……あなた誰?」

 

 その一言が余程ショックだったのか、レンは隕石でも頭にぶつかった様なリアクションを起こし、地面にガクリと崩れ落ちた。きっと今彼の頭の中では、フーガニ短調がエンドレスで流れているのだろう。

 気の毒な彼を見詰めたまま溜め息を吐き出した俺に、隣りの席に座っていた籾岡が、俺の肩をつっついてきた。

 

 「ちょっとどゆ事コレ? 結城ぃ、わかるぅ?」

 

 「知らん。俺の記憶にあんなナルシストはいない」

 

 俺が籾岡の方に顔を向けていると、彼女の前に座っている沢田も、こちらに体を向けてきた。

 

 「ひょっとしてララちぃの昔の男なんじゃないの?」

 

 「でも、本人忘れてんぞ……」

 

 自分の考えは外れていると実感した沢田は「あぁ……」と気の抜けた様な声を漏らした。

 レンの方向から、ララの大きな驚いた声が聞こえたので、俺達はララの方向に顔を戻した。

 

 「あーーー思い出した! 泣き虫レンちゃんか〜!」

 

 その一声に、崩れ落ちていた体は瞬時に立ち上がり、絶望に染まっていた目は輝きを取り戻した。頼りない上、精神的に脆弱な小僧は元の白馬の王子様へと舞い戻った。

 その王子様が第一にとった行動は、彼女の手をそっと優しく包み込み、カッコつけた。台無しの様な言い草だが、その立振舞いはしっかり似合っている。

 

 「フッ、思い出してくれたんだね、ララちゃん」

 

 「おひさしぶりだね〜。でもどうしてこの学校に来たの?」

 

 ララの言葉を聞いたレンは、自分の白髪を指先で優しく掻き上げてみせると、今度はその手の平を彼女の前にゆっくりと広げてみせた。その目は、彼女の瞳をしっかりと見つめている。

 

 「そんなこと、決まっているじゃないか! ララちゃん! キミを迎えにきたのさ!! ボクの婚約者もとい、花嫁として!」

 

 「ええぇ〜〜〜!!!?」

 

 『エエェ〜〜〜……』

 

 ララがびっくり仰天している大声と、ようやく状況を理解してきたギャラリーの驚きの声が合わさり、凄まじい大音量が教室に響き渡る。

 しかし、それにどさくさ紛れて、ペケのやるせない様な声が俺の耳に入った。

 

 今の声はおかしかった。何でそんな声を出したのか、考えようとしたが、周りがやかましすぎて頭が回らない。

 

 ざわつく周りの声を無視して、レンはさらに言葉を続けた。今、彼の目にはララしか映っていないのだろう。この状況の中でも、彼は冷静だった。

 

 「ララちゃん、覚えているかい?キミとボクがまだ6歳ぐらいのころの話だ。ボクがいつか男らしくなったら結婚してくれる? って告白したとき、ララちゃんは約束してくれたじゃないか!」

 

 「………………」

 

 ララは無言のまま、目線を斜め上に向けて、口元に手をあてがった。頭にくっついているペケは、疑問の視線を彼女に向けている。

 当前、ララはその約束を覚えてはいないハズだ。いや、そんなアホらしい6歳の頃の約束なんか、律儀に覚えている方が可笑しな話か。

 レンは彼女の答えも待たず、目の前に広げていた手の平を今度はララの手に合わせ、優しく握りしめた。ララは驚いていたが、彼の真剣な瞳を見るなり、口を半開きにしたまま、呆気に取られてしまった。

 

 「ララちゃん! その約束、今こそ晴らせてもらいたい……!!」

 

 きっと、これが彼の精一杯の告白なのだろう。ギャラリーも「おおおおお」と声を揃えて、期待を膨らませた。

 しかし、ララは大きく広げた口を手で押さえて、

 

 「えぇーー!? でも……私は……」

 

 今度は、困った様に小さくしゃべり始めたのだが、その言葉は言い終える事なく、

 

 「あぁ!! そういえばそうだったねララちゃん。聞いたよ、キミを騙している悪いヤツがいる事を!」

 

 レンに遮られてしまったのだ。

 

 「そう! キミの事だよ!! 結城リト!!」

 

 レンは俺の方へと指差した。

 だがこのとき、俺の中でちょっとしたイタズラ心が芽生えてしまったのは、それと同時だった。

 

 「えっ、俺? 違うけど?」

 

 「アレっ!? じゃ、じゃあ誰がいったい結城リt……?

 

 何の動揺もない俺の返答にまんまと騙されたレンは、慌てふためきながら周りを見渡して、目の前にいる『結城リト』を探し始めたのだ。

 どのくらいで気が付くかと俺がほくそ笑んでいる中、俺を知っているギャラリーはジト目で俺を睨んでいるし、後ろからは籾岡の『バカ……』と呟く声が聞こえた。ついでに言えば、沢田の小さな笑い声も聞こえた。

 さて、周りの視線が痛くなってきたので、そろそろ教えてやろうかと思ったところで、空気を読んで笑いをこらえていたララが俺の方を見てきて、そこでようやくその笑顔を漏らした。

 

 「クスクス♪ ダメだよリト〜、イジワルしたら〜」

 

 笑声混じりで話すその言葉に、ハッとして振り返ったレンは、

 

 「なっ!? やっぱりキミが結城リトじゃないか!! ボクを騙したな!!」

 

 腹を立たせながら俺に罵詈雑言を浴びせてきたのだ。

 そんな悪口を耳を塞いで無視していると、悔しそうに歯を軋ませたレンは、ララの方へと振り返った。

 

 「ララちゃん! キミの婚約の話はキミのお父様から聞いている。すぐにとは言わない。これからはあんなヤツよりも、クラスメイトとして男らしく成長したボクの姿を見てほしい……」

 

 彼がそう言い切ったところで、

 

 「あ、あのう……そろそろ授業始めたいんじゃが……」

 

 という、置いてけぼりだった骨川先生の、のほほんとした温厚な声で転入生の喜劇は幕を閉じたのだ。

 

 

 

 ・・・♡・・・♡・・・

 

 

 

 それからすぐ、完全に俺へ敵対心を向けたレンは、事あるごとに俺に向かって突っかかってくる様になった。

 それは大きな事から些細な事まで、何かあれば俺と競い合ってくるのだ。それも、その勇姿と言わんばかりの奇行を、ララに見せつけるかの様に。周りの奴等は驚いたり、引いたりしている。

 焦っているのだろう。無理もない。彼もデビルーク王直々の推薦を受けているであろうララの婚約者候補だ。それが今はどこの誰かもわからない地球人一人に最愛の人を奪われそうになっているのだから、焦らない方がおかしいだろう。

 しかし、この最高に鬱陶しい彼をそのまま放っておける程、俺は温厚な人間ではない。俺はレンに奇行を止める様に言った。だが、この程度の言葉で止まる彼ではなかった。

 仕方がないので、俺は張り合ってやる事にしたのだ。

 

 

 

 『数学』

 

 「え〜、この問題がわかる人〜」

 

 「ハイッ! 結城くんより先に答えます!! 答えはX=√2+3!!!」

 

 「せ……正解です」

 

 「「「おぉ〜」」」

 

 「フッ」

 

 

 

 『国語』

 

 「え〜〜52ページの3行目ぇ……、このコは父親に何を伝えようとしているのか、わかるひとは〜」

 

 「……父親の気まぐれで頭バリカンで刈られるのが嫌なんだから、自分で刈るの決めたいんじゃないの?」

 

 「そのとぉり、結城くん正解」

 

 「リトすご〜い!」

 

 「ぐぬぬ………わからなかっ、た……」

 

 「ハァ……」

 

 

 

 『体育』(100走)

 

 「うおおおおおおおおお!!」

 

 「………」

 

 「結城リト、タイム13秒68。レン、タイム15秒07」

 

 「チクショおおおおおぉぉぉ!!!」

 

 「…………………」

 

 

 

 そんなかんじで午前中は過ぎていったのだが、午後になった後、突如レンは俺を学校の校舎の裏、日陰の覆い尽くす目立たない敷地へと引きずってきた。そして、話そうとした俺に向かってこう叫んだ。

 

 「結城リト! こうなったら男と男の真剣勝負だ! ボクとタイマンしろ!」

 

 どうしようかと俺は思った。彼はデビルーク星人みたいなバケモノじみたパワーは持ってはいなかったと思うが、本当に彼と戦っていいのかと俺は悩んでいた。

 

 「やっ、やってもいいが、俺力加減できないぞ? 怪我しても責任は取らないからな……」

 

 「上等だ! 十秒で片付けてやる!!」

 

 真っ直ぐに俺を指差したレンは、へっぴり腰の構えをした瞬間、俺に向かって殴りかかってきた。俺は棒立ちだった。

 

 「うおおお! くらえ必殺!! サイクロン・グレネt、

 

 

 

 ・・・☆・・・☆・・・

 

 

 

 数秒後、そこには頭から煙を出して地面にぶっ倒れたレンと、彼を殴った拳を前に突き出したままその様子を眺める俺がいた。先程と同じ、棒立ちのままで。

 やはり、レンは弱かった。本気で拳を振るった自分が、何だか大人気無く思えた。

 予想以上の呆気なさに言葉の詰まった俺だったが、しばらくしてレンはうめき声を上げながら立ち上がろうとしたので、俺は腰を上げようとした彼に手を伸ばした。

 

 「おい、大丈夫かよ……」

 

 だが、レンは俺の手をはたき飛ばして立ち上がると、制服に付いた砂埃も払わずにその手を握りしめ、俺の方を睨んできた。

 

 「クソッ、いっ、今のはちょっと油断していただけだ! 次は、

 

 「もういい、やめろ……! こんな事して何になる……」

 

 前に振りかざしてきたレンの腕を掴み、俺は彼を落ち着かせようとする。しかし、彼はその腕も振り払い、声を張り上げた。

 

 「ボクは……ボクはララちゃんを振り向かせたい! そのためにはまず結城リト! キミを超えなくてはならないんだ! キミが上にいる限り、ララちゃんはボクの方には振り向いてはくれない! なら、キミを超えるしかないだろう!!」

 

 そう叫ぶレンの目には涙が溜まっていた。俺は振り払われた腕を静かに下ろし、自分を睨み続ける彼の目を見た。

 

 「……そんな事しなくったって……お前はとっくに俺を超えてr、

 

 「違う! いくらキミがボクを認めたところで、それがララちゃんに伝わらなければ意味がない!!」

 

 俺の話す言葉を遮るレンは、まるで必死に何かを追い求める様な、小さなガキに見えた。

 

 「………………」

 

 「意味がないんだ……」

 

 今度は顔をうつむけ、小さく呟く様に、もう一度同じ言葉を吐いた。

 俺は自分の立場を理解はしているつもりだ。『結城リト』ではない俺は、目の前にいるヤツが来るまでララの事を守り続ける、と言うのが『俺』の目的であり、彼女が一番幸せになれる運命でもある筈だった。

 しかし、今はその目的が揺らいでいるのを俺は感じていた。本当にこれで正しいのか。ララは幸せになれるのか。そもそもコイツにララを任せて大丈夫なのかと、別の不安が募り始めている。

 

 理想と現実。頭の中ですべてを振り分けた俺は、レンの方を見た。

 

 不安が募るなら、レンにはいっそ爽快にララを奪い去ってほしい。俺の頭のモヤモヤを全て吹き飛ばして、笑わせてくれる程の愛を見せてほしい。彼にならできる筈だ。

 

 「今更こんな事聞くのもアレだが……お前は本当にララの事が好きなんだな……?」

 

 彼はしばらく黙り続けていたが、やがてゆっくりと口を開いた。

 

 「当たり前だ。ボクはララちゃんと思い出を共有する幼なじみだったんだぞ!? ララちゃんには完全に忘れられてしまったが……ボクがララちゃんと一緒に過ごしてきた日々はキミよりも全然長い。そんなボクのララちゃんへの思いが、どこの馬の骨とも知らないキミなんかに負けてたまるかっ!!」

 

 時間が経って少し落ち着けたのか、レンの涙声は先程よりも整って聞こえた。涙目も治まって、真剣な表情だった。

 

 「俺は、お前の思いなんか知ったこっちゃない」

 

 「なんだとぉ!!」

 

 怒る彼を落ち着かせ、俺は更に言葉を続けた。

 

 「だから、ララには俺の事なんか忘れて幸せになってほしいんだ」

 

 「なっ……!?」

 

 「俺は……こんな性格だからさ……アイツを幸せにしてやる事なんざできやしない。だが、俺はララが幸せになってほしい事を望んでる。お前がララを幸せにしてくれるなら、俺はアイツの事を忘れてしまっても構わない」

 

 レンは驚いていたが、俺は無情にでもなった様に言葉を続け、彼に自分の事情を伝えた。本当は正式な婚約者候補ではない事、そして、ララを幸せにできる人物を捜していた事を。

 彼が驚きっぱなしの中、俺は唐突に表情も声色も変え、真剣そのものの眼差しで彼を見遣った。そして、ゆっくりと呟いてみせた。

 

 「お前はララを愛せるか?」

 

 俺の迫力なのか、それともこの言葉の重さを感じ取ったのかわからないが、レンはほんの少しだけ身をたじろいだ。しかし、彼はずらした足下を戻し、はっきりとこう言った。

 

 「……あぁ、当たり前だ!!」

 

 その姿を見て、気持ちの安らぐ満足感を得た俺は、顔も声も元に戻し、いつもの気楽な声で彼の名を呼んだ。

 

 「……わかった。じゃっ、お前に協力してやる。実はもう、ある程度考えてる事だってあるんだ」

 

 レンは急に変わった態度の俺に驚いていたが、俺の話す内容にすぐ頭を切り替え、相づちをうってくれた。

 俺の話している内容とは、ありのままの言ってしまえば、レンとララをデートさせる作戦である。簡単に上手く成功するとは思っていないが、お互い久しぶりに再会する間柄である。ゆっくり落ち着いて話ができる様な雰囲気を持ち込めば、自然とそういう関係になっていくであろう。レンの性格を考えれば尚更だ。

 

 「それは本当かい!?」

 

 レンは声を上げて、もっと深い詳細を求めた。しかし俺は彼に背を向け、校舎の方へ歩き出す。

 

 「その前に……」

 

 「どっ、どこへ行く!?」

 

 俺の肩を掴むレンの腕を振り払い、俺は答えた。

 

 「いちいちデカい声出すんじゃねぇ、ただのトイレだ」

 

 そう言って、また歩き出そうとすると、

 

 「ま、待て! ……ボクも行く……」

 

 俺の右隣に並んで歩き出した。顔は下を向いて何やらブツブツ呟いていたが、「ララ」とか「デート」などの単語が聞こえたので、俺は何も言わなかった。

 

 校舎に戻ると、周りのヤツらの視線が俺達二人に集中している事に気づいた。少し前までララと二人で歩いている時にも感じた視線だった。

 彼等は俺とララとレンの三角関係を知っているのだろう。先程まで争っていた二人が横に並んで大人しく歩いているのだから、変な光景に見えてもおかしくはない。

 俺は視線を無視して、男子トイレに入る。レンは視線に気づかず、考え事をしたまま俺について来る。周りの奴らは興味が薄れたのか、ついて来る事はなかった。

 トイレに入った俺は、小便器で用を足そうとしたが、隣りの便器に立ったレンは、急に目線だけで俺の小便器を覗き込んできた。遠目で見ていた俺は条件反射で肘鉄を叩き込もうとしたが、自分の肘が動く前に彼は視線を戻した。そして深く落ち込み始めた。

 

 「……ま、負けた……」

 

 肩を落とした彼から、そんな呟きが聞こえてきた。俺は鼻で笑い、そして『結城リト』を褒めた。よかったなリト。男の象徴はお前の方が上だったらしいぞ。

 そんなふざけた事を思いながら、俺は素直に喜べない満足感を持ちながら用を足していたのだが、用を足し終えた直後、俺は大変重大な事を思い出した。その瞬間、俺は条件反射でレンのケツを思いっきり蹴っ飛ばしていた。

 

 「っ!!? なっ、なにをする!」

 

 既に様は足し終え、ベルトを締め直そうとしていた所をレンは蹴飛ばされた。バランスを崩されるも転ぶ事はなかった彼は、跳ね回って痛みを抑えながら俺を罵倒してきたが、俺は無視して彼をトイレから押し出そうとした。

 

 「出ていけ! 今すぐここから出ていけ! バカ!!」

 

 レンを男子トイレから押し出し、俺はベルトを締め直した。そして真っ白な洗面所の蛇口をひねり、銀色の管から勢い良く出てきた水で手を洗う。レンもそのままの手は嫌だったようで、俺の横の洗面所に並んだ。

 

 「まったく、突然なにをするんだ!!」

 

 水道で手を洗いながら、怒りの治まっていない彼は俺を罵倒し続けてきたが、俺がその問いに答える事はなかった。

 

 「自分の胸に手ぇ当てて聞け。それよりデートの作戦を練るぞ。まず……

 

 

 

 ・・・♡・・・♡・・・

 

 

 

 (ララ視点)

 

 

 

 私はペケのお願いで、今は学校の屋上にいる。なにか重要なお話があるんだって。

 夏休みが終わって、暑い日も少し治まってきたのかな。今日は少し肌寒いかも。

 

 「ペケ? お話ってなぁに?」

 

 私は屋上の手すりによっかかって、ペケに話しかけた。

 

 『……レン殿は、どうやらララ様を振り向かせるまで、地球に居着くおつもりのようですね……』

 

 「そうだね〜」

 

 『……ララ様は、レン殿の事をどうなさるおつもりで?』

 

 「えーっ!? ……でも、私はリトが好きだもん……」

 

 私は思ってる事をそのままペケに伝えた。でも、ペケはなんだか嬉しくないみたい……。

 どうしたのって私が聞くと、ペケは隠し事を打ち明けてくるみたいに、私にしゃべってきた。

 

 『……リト殿がおっしゃってました……。ララ様には色んな物事を知って、自分の決めた本当の幸せを掴んでほしい、と……』

 

 その言葉を聞いた私は、真っ先にリトの事を思い出す。

 リトがそんな事言ってたなんて……。……私の中でリトがまた大きく感じはじめた。

 

 『リト殿は素晴らしいお方です。ですが、このままリト殿一直線に決めてしまうのは、リト殿の意志に反してしまうのではないのかと思います。ここは一度、レン殿と真剣にお話ししてみるのも良いのではないのでしょうか?』

 

 私は、ペケの言葉に耳を疑った。だって、今の……。

 

 「えっ!? でっ、でもっ! もしそれで私がレンの事を好きになっちゃったら、リトはどうなるのっ!?」

 

 そうだよ! 過程も結果も極論だけど、そういう事になっちゃうよね!? 私はリトの事が大好きなのに……

 私はとっても困惑したけど、ペケはずいぶん落ちついていた。

 

 『ララ様……リト殿の幸せは……ララ様の幸せでございます。例えそのような未来になったとしても、リト殿は怒る様な方ではございませんよ……。………………ございませんけど……』

 

 ペケの喋り方で気づいた。ペケも私と同じ、困惑してるんだ。

 だってそうでしょ? 『幸せ』って自分で実感して始めて得られるものだよね? でも……これって、リトなんにも残らないよ……。こんなのがリトの『幸せ』なの?

 

 あっ、今私がそうやって思っている事って…………私にはまだわからないって事なのかなぁ…………。

 

 考えても答えは出てこない。でもきっと、リトには意味があるんだよね……? なら、私はリトを信じるよ? 今までそうだったもん。デビルーク星に帰ろうかどうか悩んだ時、リトに後押しされて帰ったら、本当に楽しい思い出ができた。帰って良かった、って思ったんだよ。

 

 だから、今度も私はリトを信じる。信じられる。

 

 「……うん、そうだね……。……私……レンとお話ししてみる……」

 

 私はゆっくりと、ペケに呟いた。ペケは安心した様な、それでもまだ不安が残っている様な声で、私を励ましてくれた。

 嬉しかったよ? でも、私にはひとつだけ気になった事があった。

 

 「ペケ?」

 

 『ハイ?』

 

 「……ペケって私よりリトとお話ししてる?」

 

 『ギクッ……!』

 

 ペケは驚いて、ちょっと慌ててた。

 

 

 

 ・・・♡・・・♡・・・

 

 

 

 (レン視点)

 

 

 

 学校が終わり、ボクは自分の家へと帰った。と言っても実際は家ではなく、地球にやって来た時に使った宇宙船だ。ボクはアパートの借り方なんてわからないし、何よりこの船は居心地が良いから、わざわざ借りる必要もないと思ってるんだ。

 自分の寝室に入り、服を着替え、ベッドに座ったボクは、今日あった事を考えようとした。あの男……結城リトから告げられた言葉を、そしてララちゃんとのデートの内容を。

 

 けれど、今のボクにはその前にやるべき事があった。

 

 「なぁ、ゴメン……ルン。悪かったって……」

 

 (もうっ、ジョーダンじゃないわよ! アンタのせいでとんでもないモノ見ちゃったじゃない!!)

 

 ボクが喋ると、頭の中からカンカンに腹を立てた声が響き渡ってくる。

 そう、ボクのやるべき事は、もう一人の自分である存在。妹の『ルン』の機嫌を取らなくっちゃならないんだ。

 

 ボクら『メルモゼ星人』は男女の性別を入れ替える事ができる特質を持っている。心も体も、人格もね。僕たちの星は環境がとても厳しくて、その中で生きているから、生存本能が発達しちゃってこうなったらしいけど……。

 

 (はっ……始めて見ちゃったのよ……! かっ、家族以外の男の子の……っ!!)

 

 「だからゴメンって謝ってるじゃないか。……あのときは考え事しちゃってて、ルンまで気が回らなかったんだよ……」

 

 やれやれ……正直大変だよ、この体は。五感のほとんどを共有してるから、ルンとはいつも一緒なんだ。

 彼女が怒ってる理由はもうわかるね? ララちゃんの事を考えながら結城リトについて行ってしまったボクは、ルンの事を考えずにトイレに入ってしまい、そしてふと思ってしまったのだ。結城リトと自分の、男の象徴はどっちが大きいのか、って。

 さりげなく覗いてしまった結果、自分のは結城リトより小さかったし、どうやらその光景をルンも見てしまった様なのだ。おかげで、今ボクはルンに怒られている。仕方がないか。うるさい妹だけど、女の子だもんな。

 

 「……ゴメン」

 

 (まったくもうっ!)

 

 それからしばらくルンの説教を受け止め続け、精神をすり減らしたボクはこれからの事を考えた。ルンも気になるのか、ボクと一緒になって考えてくれた。

 

 (でっ、どうするのよ? これから)

 

 「どうするも何も……、今はアイツの言葉を信用するしかないだろ? 協力してやるって言ってるんだから……」

 

 ボクの答えにルンは少し驚いていた様だったが、すぐに落ち着きを取り戻した。なんだかジト目で見られている様な視線を感じた。

 

 (ふ〜ん……以外とアイツの言う事信じてるのね)

 

 「あぁ……。でも、正直言って不安なんだ……」

 

 (えっ?)

 

 ルンは目を丸くして驚いているみたいだ。ボクの言い方が少しわかりずらかったかな。訂正しよう。

 

 「いや、アイツの作戦に文句はないよ。……それを、自分がちゃんとできるのかどうか……、それが不安でたまらないんだ……」

 

 ボクがそう答えると、ルンは理解したのか、気の抜けた様な声を出した。

 

 (あぁ〜、そう言えば名前すら忘れられてたんだっけ?)

 

 ボクは、コクンと首を頷かせた。

 

 本当にショックだった。子供の頃、ララちゃんと遊んだ思い出を、ボクは一日たりとも思い出さなかった日はなかった。あの頃は友達と言える友達なんかララちゃんしかいなかったし、メルモゼ星の王子として生まれたボクは勉強やらお稽古やらで遊べる時間も少なかった。ボクの記憶の中の楽しい思い出は、ほとんどがララちゃんと二人っきりでの時間だった。

 

 そんな思い出が積み重なっていく内に、ボクはララちゃんを友達としてではなく、一人の女性として好きになっていたんだっけ。でも、その気持ちが確かなるものになる前に、ララちゃんはデビルーク星の事情によって、会えなくなっちゃったんだ。

 

 だけどボクは諦めてなんかいなかった。別れる前に約束した、結婚の誓いを叶えるために、ボクはそれまで嫌いだった勉強も稽古も必死に頑張ったんだ。デビルーク星の跡継ぎとして、ララちゃんの婚約者が募集された後なんかは尚更で、とにかく自分の道を走り続けていた。

 

 しかし、その後すぐにララちゃんがデビルーク星から家出をしたって話を聞いて、ボクはとってもショックだった。探しに行きたかったけれど、父さんから許可が下りず、ボクは不安な毎日を過ごすしかなかったんだ。そのあと、ララちゃんが『地球』って言う辺境にある星で生活しているって話を聞いて、ボクはホッとひと安心したんだけれども、ララちゃんがその星に住んでいる男の事が好きになって、その男がララちゃんの婚約者の最有力候補になっている、って事をデビルーク星から聞いたとき、ボクは猛烈に焦ったね。

 

 父さんに無理矢理にでも許可を下ろさせ、ボクは地球へと宇宙を渡った。ララちゃんと再会できる事に、胸を弾ませながら。

 

 そして、ボクはようやくララちゃんと再会できたんだ。子供の頃の幼い姿しか記憶にないけれども、学校の教室に入った瞬間、ひと目で分かった。ピンク色に輝く髪、エメラルドグリーンの様な美しさを持つ瞳。その姿はボクが想像していた通りの、麗しい美貌を持ったララちゃんだったんだ。

 ボクはすぐさまララちゃんと再会を喜び合おうとした。けれども、ララちゃんはもうボクの顔すら覚えていなかったんだよなぁ……。ショックだったけど、後で思い出してくれたときは本当に嬉しかったよ。

 

 ここで愛しのララちゃんと、子供の頃の約束を果たしてハッピーエンドといきたい所だったんだけれども、残念ながらそういうワケにもいかない。すっかり忘れる所だった。地球人、ララちゃんの婚約者最有力候補、『結城リト』という男を倒さなければならない試練が、ボクに待ち構えてあったのだ。

 

 始めて見た彼の印象は、嫌なヤツだった。見た目は平凡、言動からして面倒くさがりやでいいかげん、学力は……まぁ普通。正直言って、何でこんなヤツが最有力候補になっているのか、デビルーク星の人選を疑ったよ。

 おまけに何よりも許せなかったのが、アイツの目。寝不足のくまが目元にうっすらと染み付いている彼の目は、まるですべてを理解している様な目、あるいはボクの事を哀れとでも思っているかの様な目だった。

 

 そんなヤツに向いて、楽しそうに笑うララちゃんを見て、ボクはこの男に凄まじい嫉妬を覚えた。何としてもこの男を蹴り落として、ララちゃんを振り向かせなければならないと思ったんだ。

 でも、いざ彼と競い合ってみると…………勝てないんだ。数学や経済ならボクが圧勝だけど、文学や生物、そして体育がまるで敵わない。拳と拳のぶつけ合いも、完敗。後々になって知る事だけど、ケンカはどうやら彼の方が実戦経験が豊富らしい。勝てるはずがなかったんだ。

 

 競い合いに負け続けたボクは焦り始めていた。このままでは、ララちゃんはコイツと結婚してしまう。そう焦り始めたとき、彼は同情でもしているかの様に、ボクを慰め始めた。

 それに腹の立ったボクは、自分の激情に任せ、言いたい放題叫んでしまった。彼の言葉も振り払い、自分のララちゃんへの思い、そしてキミを超えなくてはならない使命。言えるだけ言い切ってしまった。後に残ったのは空虚な感覚だった。

 

 彼はボクを馬鹿にした。怒ろうとするボクを静止した彼は突然、ボクにララちゃんを委ねてきたんだ。

 会話の急展に頭が混乱していた中、彼は戸惑う事なくボクにこう言い切った。

 

 

 

 お前はララを愛せるか?

 

 

 

 今まで……『好き』とか……そんな言葉で気持ちを表し続けていたボクに取って、その言葉はとても大きく、重たく感じた。いや、本当は知っている言葉なのに、言葉にする恥ずかしさがどうしても振り払えなくて、今まで言えなかったのだと思う。

 ボクが言えない言葉を、こうも当たり前の様に言い切った彼の目は、人を哀れんだ様に見る目から一瞬だけ、魂の宿った視線に変わっていた。その迫力に、思わずボクは視線を背けてしまい、戻した時には元の目に戻っていた。

 

 このときわかった様な気がしたんだ。ララちゃんが何でこんな男に惚れているのかって。

 

 「愛せるか、か……」

 

 (愛せるか、ねー……)

 

 ボクの呟きに答えるかの様に、ルンも呟いた。ルンにとってもこの言葉は大きなものみたいだ。

 

 果たしてボクはララちゃんを振り向かせる事ができるのだろうか。いや、やるしかないんだ。結城リトもそれを望んでいるって言っていた。彼の真意はハッキリとわからないが、ボクがララちゃんを取り戻すために、このチャンスを使わないわけにはいかない!

 

 「正直、ボクにできるかどうかはわからない。でも、ボクはやってみせる! ララちゃんを取り戻して、バラ色の人生を歩むんだ!」

 

 ボクが握りこぶしを前に出して決心すると、ルンが応援してくれた。

 

 (がんばれ〜。フラれちゃったら、ドンマイ♪)

 

 「う、うるさいッ!!」

 

 そんな事でケンカをしていると、ボクの腹から音が鳴った。そう言えばまだご飯を食べていなかったな……。

 ボクは座っていたベッドから立ち上がった。

 

 「そろそろ晩ご飯にするか!」

 

 (じゃっ、食事の支度お願いね〜♪)

 

 その返事を聞いて、ボクは腹を立てる。

 

 「なっ!? 学校生活はボクが仕切っているんだ! 家事ぐらいやってくれよ!」

 

 (しょうがないでしょ! いつもならこう……パパッと入れ替わる事ができるハズなのに、地球に来てから急に替われなくなっちゃったんだから!!)

 

 そう、この地球に来てから、ボクとルンは困った事に、体を入れ替える事ができなくなっていた。原因は、おそらく地球の環境による影響か何かと思うんだけれど……。

 

 「なにか方法がある筈だよ。それを探さな、は……ハッ……

 

 そう言おうとした時、鼻に埃でも入ったのか、ボクはむず痒さに任せて思いっきりクシャミをした。

 

 「ハックション!!」

 

 その瞬間、五感の感覚が緩やかになり、気がつくとそこはルンに体を預けている時の精神の世界にいた。

 

 「(あ、替わった……)」

 

 気の抜けたボクとルンの声が重なった。


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