IS x W Rebirth of the White Demon   作:i-pod男

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えー、活動報告での返信を数多く頂きました。Phenomenon様、デーモン赤ペン様、レン・クリ—ク様、exajoker様、そしてピガシウニ様、沢山のアイデアをありがとうございます。

そしていよいよ明日からまた学校(じごく)が始まります。いやだ・・・・・第一志望の大学からの通知が来たってのに・・・・何故それで丸く収まらない・・・・

愚痴は兎も角、どうぞ。


Yとの決着/固める決意

午前6時。一夏が朝のトレーニングを開始してから約三十分が経過した。バーベルやダンベル等のフリーウェイトを使った運動で堅くなった筋肉を解す為に柔軟体操を始める。最後に両手足を支点にアーチ状に背中を反らした状態から逆立ちをして、再び両足を地面に付けて立ち上がった。次に懸垂を始めようと鉄棒に飛び付いたが、腰辺りに何かがぶつかって抱きつき、腕を巻き付ける感触がした。

 

「・・・・おはよう刀奈。」

 

「ん〜〜〜、久し振りの一夏君の匂い。」

 

「お前マゾだけで無く匂いフェチにも目覚めたか?」

 

「ぶぅ〜〜。だってぇ、今までずっと簪ちゃんと映画の収録でいちゃいちゃしてたんでしょ?羨ましいったらありゃしないわ。私もまた一夏君といちゃいちゃしーたーいーのー。」

 

一夏は鉄棒から飛び降りて振り向き、『欲求不満』の四文字が書かれた扇子が目に入った。ジャージ姿の楯無がそれで顔を隠している。その扇子をどけると、膨れっ面の彼女の顔が露わになる。

 

「それに帰ったら帰ったで疲れたって直ぐに寝ちゃうし。お姉さん泣いちゃうぞ?」

 

「泣かれるのは困るな。俺が父さんに殺される。」

 

「だから、しっかり可愛がって欲しいなぁ〜。」

 

その時、一夏の耳が小刻みに跳ねて不特定多数の足音を拾った。

 

「誰かこっちに来てるな。今はこれで我慢してくれ。」

 

その足音がトレーニングルームに届くギリギリまでキスを続け、開いた瞬間二人は離れて何食わぬ顔でトレーニングを続けた。

 

「お?珍しいな、全員集合だなんて。リハビリはもう良いのか?」

 

入って来たのは代表候補生の面々だった。全員が学園指定のジャージを着用している。

 

「ええ。あんな大敗を喫した後で落ち落ち寝たきりではいられませんもの。」

 

セシリアは部屋の一角でずらりと並ぶルームランナーの一つに乗ってベルトの回転スピードを調整すると走り出した。

 

「そうね。私は頑丈さが取り柄だし。それにISは整備科の皆が徹夜して直してくれたからどうにかなってるし、早い所調子戻さないと後がキツくなるのよ。何より、一夏に借りを作りっぱなしじゃ癪だから。」

 

鈴は自前のテープを拳に巻き付け、サンドバッグに踊りかかった。突きや蹴りが入る度に鋭い炸裂音が部屋に響き渡る。

 

「うむ。鈴の言う通りだ。軍人たる者、不摂生な生活習慣は避けなければならない。他の疾患にも繋がる可能性があるからな。今までの遅れを早急に取り戻してコンディションを整えなければならない。シャルロットの敵を討つ為にもな。」

 

眼帯に隠れていない赤い目が怒りと屈辱に吊り上がった。他の皆も同じ気持ちなのだろう。無言で各々のトレーニングに打ち込んでいた。

 

「敵討ちだなんて、大袈裟だよラウラ。僕は本当に大丈夫だから、ね?」

 

元気だと言う事をアピールしたいのか、アハハと笑うシャルロット。だがこの場の全員はそれが嘘だと言う事を知っている。明らかに彼女の様子は何時もと違っていた。普段は陽気で、ほんわかした春の晴天の様な雰囲気に包まれているのに今はそれが感じられない。まるでその太陽が雲に覆われてしまって隙間から申し訳程度の光しか感じられないかの様だった。

 

「・・・・・シャル、ちょっと来い。」

 

「え?」

 

「良いから。直ぐに済む。」

 

一夏は彼女をその場から連れ出した。

 

「シャルロット、大丈夫かな?」

 

「確かに。肉体の傷は時が立てば自然に治るが、心に刻み付けられた傷は永劫治らないし、その恐怖は完全に払拭出来る様な物ではないからな。またあの怪物、ドーパントといったか?それに遭遇してしまったら、恐らくシャルロットは恐怖で心が壊れてしまうだろう。見た所、当初はPTSDらしき症状を見せていたから、分かる。」

 

ラウラは懸垂をしながら簪に自分の見立てを明かした。

 

「私もルームメイトとしてどうにかしてやろうとは思うのだが・・・・」

 

ラウラは不甲斐無さに頭を掻き毟った。

 

 

 

「何、一夏?」

 

「怖いなら怖いとはっきり言え。それが普通の反応だ、何も恥じる事は無い。」

 

「な、何の事かな?」

 

一夏はデュノア社の一件以来、既にシャルロットが胸中で色んな物を溜め込んできっかけが無い限りずっとそれを溜め込んだままにする性分の人間だと言う事を看破していた。この調子が続けば今度は何がどうなるか分かった物ではない。何より、里親を快く引き受けてくれたリリィとフランクの二人に申し訳が立たなくなってしまう。

 

「俺に隠し事をしても無駄だ。表情を呼んでの感情分析は俺の十八番だって事をもう忘れたのか?ドーパントの事に決まっているだろう。あの一件以来大分ストレスが溜まってるんじゃないか?体重の減りも、目の下の隈もはっきり見える。明らかに体調を崩している証拠だ。ISが直っても、パイロットがそんなんじゃ次に奴らが来た時・・・・お前冗談抜きで死ぬぞ?」

 

だがシャルロットは何も言わずに俯き、顔を背けた。

 

「だって・・・・情け無いじゃないか。僕ばっかり何時も何時も助けてもらって!お義姉ちゃんの事も、実家の事も、今回も!代表候補生が聞いて呆れるよ・・・・僕は・・・・僕はこんなに弱いんだっ!」

 

「だからどうした?!」

 

一夏はシャルロットの襟首を掴んだ。

 

「だから労って欲しいのか?だから慰めて欲しいのか?そんな事をした所で何の解決にもならない事ぐらい考えなくても分かるだろうが!弱いのならば訓練を積んで強くなれば良い。怪我をしたのならば治療すれば良い。命を落とさない限り、人間は闘える。足掻ける。そして今、お前は自分の力で、自分の足で立っているだろう?」

 

一夏は激しく捲し立て、口角の唾を拭って更に続けた。

 

「お前はそうは思わないだろうが、お前は間違い無く強い。戦いなんて大層に聞こえるが、端的に言ってしまえばあれはただの喧嘩だ。技術は勿論必要だが、一番必要なのは勢いと勝利に対する貪欲さ、この二つ!泥仕合になろうが勝ちは勝ちだ、喧嘩はスポーツとは違うルール無用のストリートファイト!勝てば官軍だ、向こうは文句は言えない!第一、負けたからどうした?生きてる限り黒星を挽回するリベンジのチャンスは幾らでもある。人間はお前も含めてそのチャンスを掴む強さを持ってるんだ。悔しいか!?だったらその悔しさバネにして這い上がって来いや!」

 

呆然とするシャルロットの手にMP3プレイヤーを握らせた。

 

「ラウラが作って俺が編集した、オンリーワンなプレイリスト入りだ。それ聞いて運動して、むしゃくしゃを吹っ飛ばせ。これが本気でぶつけなきゃ意味が無い友の心が青臭いって書く『友情』って奴だ。トレーニング、やろうぜ?」

 

「うん。一夏、ごめん・・・・」

 

「違う。そう言う時はありがとう、だ。」

 

二人はトレーニングルームに戻った。

 

「よしとぉ!全員揃った所で、トレーニング始めるぞ。」

 

「その前に、ちょーっと一つ聞きたい事があるけど良い?一夏は誰と付き合ってるの?」

 

「「私と。」」

 

楯無と簪がそれぞれ手を挙げた。

 

「え?二人共・・・え?」

 

皆は簪と楯無を交互に見て目を白黒させていた。鈴とシャルロット以外の代表候補生達も鳩が豆鉄砲を食らったかの様な顔をしている。

 

「あー・・・・そう言えば、まだ誰にも言ってなかったな。いや、俺も最初は二人同時にってのはどうかと思ったんだけど、当事者が二人共それで構わないって。で二人の実家に報告する為に休日中に行って親に殺されそうになりながらも認めてもらえたから。」

 

「は〜、アンタならそれぐらいはやるんじゃないかとは思ってたんだけど正夢になるなんてね。まあ、頑張りなさいよ。」

 

「しかし、大丈夫なのでしょうか?重婚は日本では認められていないのでは?日本は倫理的な観点ではかなりシビアだと聞きましたが。」

 

「そんなの愛さえあれば関係無いも〜ん。ね〜?」

 

「ね〜。」

 

顔を見合わせる二人は彼氏がいる事を自慢出来てご満悦の様子である。

 

「む、これが所謂『ハーレム』と言う奴か。成る程。」

 

どこから取り出したのか、メモ帳にペンを走らせ始めるラウラ。

 

「ラウラ、それはちょっと違うわ。もし一夏が私達全員を彼女にしていたら、それが正真正銘のハーレムだから。後、誰情報よ、それ。全力の崩拳鳩尾に叩き込むわよ?」

 

冷静に彼女を止めたのは鈴だった。

 

「一応現在はIS学園で他国の法律が届かない所にいるから問題は無いけど、確かにセシリアの言う通り日本じゃ重婚は出来ない。けど、倫理なんて曖昧な物だ。倫理違反だのモラルに反するだの、実際は二人の良い女を一人の男に取られた事を妬んで嫉んで、僻んでるだけに過ぎない。第一、彼らがどう言おうと抜け道があるから、それを利用して問題を解消するつもりだ。誰だろうと、二人は渡さない。」

 

一夏は勝算ありと言う文字が顔に書かれているかの様なしたり顔を見せた。

 

 

 

 

 

「その話、本当なの?」

 

コーヒーに口をつけながら白いストールを身に付けたミーナがフィリップと無人の事務所で話していた。

 

「ああ、本当だ。曲がりなりにだが間違い無く大道克己は一つの人格として織斑一夏の意識の中で生きている。本人が君に会いたがっていたよ。過去とけじめをつけるチャンスだ。」

 

「・・・・そうね。わたしももう、後どれだけ時間があるか分からないし。」

 

コーヒーカップがミーナの指の動きに合わせ、宙を舞って動き始めた。

 

「超能力が使えるんだったかな?君に初めて会った時に一度検索してみたが、余程能力の乱発をしない限りは普通の人間と大して変わらない寿命を全う出来る。勿論、三つの能力を持っている君にも同じ原理が通用するかどうかは分からないがね。」

 

「会えるの会えないの?どっち?」

 

痺れを切らしたミーナがテーブルを叩いてコーヒーカップが揺れた。

 

「会いたいと言うのなら、渡りを付ける事は可能だ。」

 

メモを一枚デスクから取って連絡先を書き留めた。ミーナはそれを取ろうとしたが、フィリップはまた直ぐに手を引っ込める。

 

「ちょっと・・・」

 

「渡す事に別に反対はしない。さっきも言った様に本人も君に会いたがっている様だったからね。だが、一つやって欲しい事がある。このメモリのスイッチを押して大道克己に届けてくれたまえ。只それだけの簡単な事だ。」

 

フィリップはメモと一緒にシャッフルメモリをテーブルに置いてミーナの方へと押しやった。

 

「何故これを私に?」

 

「僕は思うんだよ。これから先、ミュージアムやEXE、そしてNEVERすらも凌駕する巨大な何かとの戦いが始まると。今の織斑一夏が持つ戦闘力では、少し足りないかもしれない。だから一刻も早くA to Zのメモリを少しでも多く揃えなければならない。織斑一夏や大道克己が深い関係を持った事がある人物達を当たっている。その一人が君だ。」

 

「分かったわ。私がこれを押す事が克己の助けになるのなら、彼が少しでも英雄に近づけるのなら、何でもする。」

 

ミーナの表情には一片の迷いも無かった。メモリを引っ掴み、スタートアップスイッチを押した。

 

『Shuffle!』

 

『Yesterday!』

 

「イエスタデイメモリ・・・・やはり、彼と過ごした僅かな時間が忘れられない様だね。」

 

「約束したから。絶対に忘れないって。あの島の事も、克己の事も、何もかも。今から行って来るわ。ありがとう。」

 

目に見えて元気になったミーナは事務所を飛び出した。フィリップはコーヒーを啜り、スタッグフォンを取り出して電話をかけた。

 

「もしもし?織斑千冬かい?君の弟にと言うと語弊があるが、大道克己の知り合いがしばらくしてからそちらに行くんだ。彼女が通れる様に手を回してもらえると助かるんだが、頼めるかい?」

『それは別に構わないが、あまり長居させる事は出来んぞ?』

 

「まあ、それは向こうも留意しているだろう。彼女は・・・・届け物を持っているんだ。」

 

フィリップの置いた間の意味を察したのか、フッと小さな笑い声がスピーカーから聞こえた。

 

『・・・・成る程。つまりは都合の良い運び屋(トランスポーター)と言う事か。全くお前も相変わらずの策士だな。』

 

「僕は体力面では翔太郎や君には劣るからね。そっちは(ココ)でカバーしてるんだ。では、頼むよ?」

 

『私もそれなりの見返りが欲しいのだがな。』

 

「残念ながら僕は君が欲しがる様な物は持っていない。何なら、篠ノ之束が盗撮した織斑一夏の寝顔の画像でも送ろうか?・・・・いや、それは冗談だ」

 

『貰おう。』

 

「・・・・・・段々君がどう言う人間なのかが本当の意味で分かって来た気がするよ。画像は送っておくから、少し待ちたまえ。」

 

スタッグフォンをテーブルに置いてリボルギャリーの格納庫にある束謹製のパソコンから画像を転送した。

 

「さて、これを渡すのは何時になる事やら。篠ノ之束にも他のメモリを集める様に頼んでおいたが・・・・心配だな。」

 

そう言った矢先、束からのメールが受信ボックスに届いた。

 

『フィー君へ、

 

ユニコーン、パペティアー、ジーン、ダミーの合計四本のメモリを引き当てました!p(^^)q

今からいっくんに送りまーす!早く会いたいよー!(*´ー`*)』

 

「これで A to Zまで残り僅か七本だね。」

 

フィリップはパソコンの画面を見つめてメモリを見つめた。

 

(これで本当に良いのか?エクストリームで全てのメモリが活性化されてT2レベルに上がりでもしたら・・・・)

 

 

 

 

 

 

 

 

場所は戻ってIS学園。一夏は座学の途中で職員室へ呼び出された。

 

「織斑、お前に客だ。」

 

「俺に?」

 

千冬の隣に座っていたのは白い服と肩にかかる程の長さのダークブラウンの髪の毛を持った女性だった。

 

(ミーナ・・・!織斑、替われ。あいつはお前に用は無い)

 

『身も蓋も無い言い方だな、おい。まあ、そうだろうな。初対面だし。』

 

一夏はすんなり克己に主人格のポジションを譲った。

 

「悪いが、少し場所を変えるぞ。」

 

千冬は何も言わずに頷くと再びデスクに向かって書類の整理を始めた。克己はミーナを連れて屋上に向かう。

 

「織斑一夏の意識の中に存在してるって、本当だったんだ・・・・」

 

(いや、疑ってたのかよ。フィリップさんがそんなつまらん嘘をつく筈無いだろうに)

 

克己は鬱陶しそうに一夏を意識の中から閉め出した。これから言う事はプライベートだ。彼が聞く必要は無い。

 

「ああ、この通り他人の肉体の囚人さ。久し振りだな、ミーナ。」

 

「うん。久し振り。」

 

「俺は生きてるし、覚えているぞ。お前の事や、ビレッジの事、俺が風都で何をしようとしていたかも、全て。結局あの場から救い出せたのはお前だけらしいな。兄弟(フィリップ)からお前が生きていると聞かされた時は正直信じられなかったが、これは信じるしか無いな。どうやって生き延びた?」

 

ミーナは首をフルフルと横に振った。

 

「何でか分からないけど、私だけは生き残っていた。でも、あの直後、暫くの間克己の記憶が頭から抜け落ちていて。後になってちゃんと思い出した。克己との約束も。克己は確かに酷い事をしたけど、克己は悪魔でも悪人でもない。少なくとも、私やビレッジの皆からすれば英雄よ。それを伝えたかった。私がもっと早く目を覚ましていれば・・・・・」

 

「お前が気に止む事は無い。お前を置き去りにしたのは、愚かにも俺が決めた事だ。今思えば、あの時お前を連れて行くべきだったのかもしれないな。」

 

ミーナは焼けて黒くなったハーモニカを取り出した。まだ普通の人間だった頃の克己が今は亡き母親、大道マリアから贈り物として手にした物で、彼の手から彼女に託された双方に取って思い入れのある品である。彼女はそれを口に宛てがって演奏した。いつしか克己が一度だけだが聞かせてくれた音色を奏で始める。

 

「克己はあの時私とクオークスの皆を助けてくれた。私達に明日を掴む事の意味とそのチャンスを与えてくれた。だから今度は、私が克己にもっと確実に明日を掴める様にする番。」

 

ポケットから携帯の番号を書いた紙切れ焦げ茶色のガイアメモリとを取り出した。メモリにある英文字のYのイニシャルが砂時計の様な形をしている。

 

「もし何か困った事があったら呼んで。私は生きている限り、絶対に克己を助けるから。それと、織斑一夏に伝えて。偶然でも貴方を連れ戻してくれてありがとう、って。」

 

ミーナの笑顔を見て、克己は一夏の顔で微笑を浮かべた。何時もの獰猛な笑みではなく、初めて見せる穏やかな物だ。

 

「あいつならちゃんと聞いてるさ。長生きしろよ、ミーナ?」

 

「克己もね。私より先に死んじゃ駄目よ?」

 

「俺は死なん。少なくとも、織斑がくたばるまではな。」

 

それから暫くの間取り留めの無い話を十分程続けてからミーナは帰って行った。そして脳内で克己は一夏と対話を再開する。

 

(大道、彼女に助けを求める時が来ると思うか?)

 

『いいや、駄目だ。ミーナは自由に生きなければならない。能力の片鱗でも見せれば、死の商人共は蟻の様に群がってまた彼女は元の生活に逆戻りだ。プロスペクトの様な底辺のゴミ屑などこの世界には掃いて捨ててもまだ足りない程いる。あいつがこれ以上犠牲を払う必要は無い。もう二度と彼女の運命が他人に委ねられたり、箱庭に囚われたりしてはならない。そしてあいつが自由なまま死ぬその瞬間まで、俺は生きる。生きて見届ける。』

 

(たとえお前が止めても、彼女は止まらない。お前が彼女を強くした。ハーモニカが死んでもまだ二人を繋いでいた。彼女は守られるだけでは満足しない。守られつつお前を守りたいんだよ。たとえ自分がどうなっても、だ。その覚悟を踏み躙るのか?)

 

『お前には関係無い事だ。黙れ。さっさと授業に戻った方が良いんじゃないか?』

 

一夏はそう指摘され、大慌てで教室へと飛んで行った。




ようやく今回でミーナを登場させる事が出来ました。お待たせして申し訳無いです。そしてミーナと克己が顔を合わせる時どんな会話になるか勝手な想像+独断と偏見で書きました。不自然な箇所がありましたら遠慮無く仰って頂きたいです。

その他の感想、質問、評価、お待ちしております。では次の更新まで。

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