IS x W Rebirth of the White Demon   作:i-pod男

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長らくお待たせいたしました。この一週間はホント忙しくて碌に執筆する時間が取れませんでした。そして実に寒いです。氷が張るわ、寒風は寒いわ(当たり前だろ)、それでも授業はあるわで・・・・・

今回はそれなりに重要なポイントに近付いて行きます。

ではどうぞ。


進撃のM/改悪されしエヴァンジェル

「ふぃ〜〜・・・・ん・・・・?」

 

午前六時。一夏は両腕が痺れているのを感じて目を覚ました。見ると、大の字に広げた腕を枕に更識姉妹が両隣で眠っていた。

 

「俺のシャツをパジャマに使うなよ・・・・」

 

それも一夏が着ていたワイシャツと下着以外何も身に付けていないあられもない格好で。幸い千冬が使っていたであろう布団は空で、片付けられている為、問題になる事は無い。両腕を揺すって器用に二人の『拘束具』から抜け出すと、ツナギ状のISスーツに着替えた。女生徒が持っている企業製のISスーツではなく、束謹製の着心地が良いゆったりとした物で大口径の銃弾を至近距離から食らっても傷一つ付かない代物なのである。

 

「朝からテストとかきついんだよな、いくら朝飯の後だからって。」

 

「ん〜〜・・・」

 

「にゅ〜〜〜・・・・」

 

「全く。おいこら、起きろ。」

 

だが熟睡している二人は全く起きる様子が無い。寝返りを打つばかりだ。それによって色々と見えそうで見えない朝っぱらから刺激が強過ぎる光景が広がって行く。

 

「しゃーない。眠れる美女を起こすのって舞台の上だけだと思ってたんだけど。それに、俺は格式張ったキスは嫌いなんだよね。と言う訳で、頂きます♪」

 

眠る美人姉妹の唇を奪い、舌を口内に滑り込ませた。舌が根元から取れんばかりの吸引力に遂に二人は目を覚ます。

 

「ぷはっ。一夏君、モーニングコールには刺激がきつ過ぎよ?う、嬉しかったけどさ。」

 

「一夏・・・・ 舌、取れちゃう・・・・・」

 

「ほら、早く起きろ。早起きは三文の得だ。」

 

「私も簪ちゃんも低血圧だから起きたら暫くはこのままなのぉ・・・」

 

寝ぼけ眼を擦る楯無はまるで起きたばかりの猫の様だった。

 

「じゃ、完全に起きるまで色々してあげないとな。」

 

「え・・・・色々って・・・・?」

 

「 そんな格好で来るんだから、何かしら期待してたと俺は思うんだけどな。それとも、俺の思い過ごし?」

 

見事に図星を言い当てられた二人は口ごもって俯いた。

 

「やっぱりか。昨日の夜のあの質問はそう言う意味か。二人の気持ちは嬉しいけど、学生の身分でそれは色々とヤバいぞ。一人は国家代表だし。それも他国の。ロシア政府から逃げ切るのはまあ何とかなるとして、俺は本気の千冬姉と殺す気満々の天次郎さんとかぐやさんの三人を相手に人間としての原形をとどめられる自信は全く無い。」

 

「威張って言える事じゃないと思うけど。」

 

「でもお姉ちゃん、一夏も間違ってはいないと思う・・・・」

 

「まあ確かにソ連国家保安委員会(KGB)っぽく戻りつつあるロシア連邦保安庁(FSB)ってジャッカル並みにしつこいのよね。特に最近は。うわ、朝ご飯までに準備しなきゃ。私もここに来る以上はテスト稼働の手伝いとかしなきゃ行けないらしいし。」

 

「二人共まさかそのままで廊下を渡るつもりじゃないよな?」

 

「着替え持って来たから大丈夫♪」

 

愛する二人の行動力に、一夏は若干の頭痛を覚えるのだった・・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

「ではこれより各専用機持ちが所属する国から届いたオートクチュール及びパッケージのインストール及びテスト稼働を行う。一般生徒はそれぞれ班ごとに分かれてインストールの手伝いをしろ。実戦ではないが、ふざければ怪我をするぞ。各自気を引き締めろ。」

 

「「「「はい!」」」」

 

「えーと俺は別にパッケージとかないからなあ。それに『爪幻』と『吹雪』って武装二つだけだから少しばかりテストが出来れば良いんじゃないか?収納する為の領域も無いし。」

 

一夏は左手に『吹雪』、右手に『爪幻』を構えて素振りをしたりホログラムのターゲットに向かって試し撃ちをしたりして調子を確かめていた。当然ソウルメモリーズのメモリの能力も完全に再現されている。

 

「でもちゃんと使えるかどうか分からなかったら、いざと言う時大変だよ?」

 

「シャルロット、スペアで持ってる武装のスペアを持ってる奴にそれを言われたくはないぞ。それに俺二刀流をやった事はあっても2丁拳銃は結構微妙だぞ?両利きになる様に練習はしてるんだが、俺の利き手は右だ。そればっかりはどうにもならん。」

 

「ん〜〜、なら『吹雪』は牽制か零距離用で『天幻』を実際に攻撃する為に使うってのはどう?アサルトライフルとかサブマシンガンて実際だったら屋内外問わず基本的に中距離と近距離で使われるから。よいしょっと。」

 

ラピッドスイッチでゼロコンマ一秒で武装を変えて行って調子を確かめるシャルロットの両肩と前方に幾つものシールドが張られていた。

 

「なあ、シャルロット。以前お前を動く火薬庫って呼んだけど、取り消す。」

 

「ホントに!?」

 

「ああ。あれは間違いだ。お前は動く要塞だ。」

 

「上げて落とすなんて酷いよ一夏!?」

 

バタバタと両手を振り回して抗議するシャルロット

 

「だってそうだろうが、二十個以上も銃火器(チャカ)詰め込んでその上四枚のシールドだと?電撃戦(ブリッツクリーグ)でもしに行くつもりか?見てたけどお前グレネードランチャーとかカノンとか積んで何をしようとしてるんだよ?」

 

「うぅ・・・・酷いよ・・・・」

 

しょんぼりするシャルロットの背中をニヤリと眺める一夏をラウラが窘めた。

 

「おい、一夏。あまりシャルロットを虐めてやるな。火力なら私も負けていないぞ。」

 

ラウラのシュヴァルツェア・レーゲンは既にパッケージのインストールが済んでいる様で、既にテストを始めていた。

 

「パンツァー・カノニーアと言う、遠方からの攻撃用に使われるパッケージらしい。」

 

「元々ゴツい作りなのに更にゴツくなったな。まるでガン○ンクだ。でもまあ、シャルロットの言う通り武装が増えたお陰で闘い方の幅も増える。」

 

一夏が本音やその他の整備科の生徒に作って貰った左足とウィングバインダーに武装を収納し、満足そうに頷いた。

 

「ライフルの調整は完了しましたわ。後、もう少し出力を脚部のブースターに回して頂けません事?」

 

「おー、やってるなセシリア。」

 

セシリアのパッケージは腰のビットとなるフィン・アーマーをそのままスラスターとして固定する事により速度を上げ、削られた火力をスターライトmkIIIを遥かに上回る全長二メートル近くある大型ライフル『スターダストシューター』を使う『ストライク・ガンナー』と言う強襲用のパッケージをテストしていた。

 

「はい、御陰様でBT兵器の稼働率もどんどん右肩上がりになっています。近接戦もラウラさんから見ても上達していますし。今の私があるのは一夏さんのお陰ですわ。」

 

「いやいや、努力をしたのはセシリア自身だ。偏向射撃(フレキシブル)が、出来ると良いな♪も・う・す・ぐ、ビームが曲がるぞ、頑張れよ♪」

 

『蛙の歌』のリズムに合わせ、手拍子も加えてセシリアを励ました。

 

「はい!」

 

「所で、何か手伝う事無いか?俺はパッケージと言うよりは武装二つのテストだけだから結構早めに終わっちまってさ、暇なんだ。」

 

「でしたら、鈴さんのお相手をしてあげたら如何でしょうか?簪さんのお隣にいたいお気持ちはあると思いますが、幼馴染みを蔑ろにするのも考え物ですわよ?まあ、世渡り上手の一夏さんにレディーとの交流を私が説くのも烏滸がましい事ではありますが。」

 

「いやいや、その通りだよ。ちょっくら行って来る。」

 

「ん〜〜・・・・何か微妙なのよね、コレ。」

 

一方で、鈴は倍の数に増えた衝撃砲『龍咆』を何度か撃って手伝っている生徒が持っているタブレットが提示したデータを見た。そして、不服そうに顰めっ面を作りながら腕を組んだ。

 

「青龍刀の方はデザインも使い方も問題無いから良いとして、龍咆は砲身の稼働限界角度が無いのと、砲身も砲弾も見えないってのが売りなのに、何で崩山は破壊力優先でその持ち味を殺しちゃうのかね・・・?それに拡散したら衝撃『砲』じゃ無くなるし。でっかいバズーカ型のショットガンよ、ショットガン。有効射程も低くなるだけじゃなくて燃費と安定性も若干だけど危うくなるじゃない。何でもかんでもゴテゴテと増やしゃあ良いってモンじゃないのに。は〜、出来の悪い料理を吟味してるみたいだわ。あー、もう。」

 

ガシガシと頭を掻いて投影されたキーボードを操作しながらブチブチと文句を垂れ流して行く。最後の部分などもはや中年のおっさんにしか聞こえない。

 

「その様子じゃ踏んだり蹴ったりっぽいな、鈴。手伝おうか?」

 

「ん〜ん、良いわよ。その内高速機動用のパッケージが出るらしいから、それ見て整備科と話すわ。」

 

「そっか。頑張れよ。」

 

「一夏は良いわよねえ、パッケージじゃなくて武器二つだけで。それも、銃とナイフだし。」

 

「けど俺だけ何もしない訳にはいかないからな。手伝いが必要な奴って、いるか?」

 

「ん〜、いないと思うわ。愛車と同じで、しっかり面倒見てやればそれに答えてくれるって言うでしょ?専用機ってのはそれと同じよ。蔑ろにする様な罰当たりはいないわ。あ、そこのスパナ取ってくれる?」

 

一夏は工具箱の上に置かれた大きめのスパナを鈴に投げて寄越した。

 

「果てしなく暇になるな、全く。」

 

「暇なんだったら千冬さんの所に行ってたら?彼女達の事を大事にするのも良いけどたまには千冬さんにも構ってあげないと。」

 

「何だよ、彼氏も兄弟もいないからって。当て付けか?」

 

「殴るわよ?そりゃあたしだって女だし、レズじゃないから男ぐらいさっさと見つけたいわ。」

 

どうやら図星だったらしく、腹立ち紛れにドライバーを一夏に向けて投げつけたが造作も無く指の間に挟み込む様にして掴んだ。

 

「何をぼやぼやしている。世間話なら後でやれ。織斑、来い。」

 

「は〜い。じゃ、後でな。」

 

一夏は千冬と旅館内に戻り、昨夜食事をした大広間に通された。いつの間にか底には大量の機材が設置されており、教員達が書類を整理したりスクリーンを睨んだり引っ切り無しにキーボードを叩いたりと、まるで戦闘情報センター(CIC)の様だ。

 

「これは・・・・?」

 

千冬が使うスペースと思しき仕切りがある場所で彼女がタブレットを操作して一夏の目の前にスクリーンを出した。

 

「一度しか言わないから良く聞け。少し前にハワイ沖でテスト稼働を行っていたアメリカ・イスラエルが共同開発している軍用IS、『銀の福音』シルバリオ・ゴスペルがテストパイロットを乗せたまま原因不明の暴走を始めた。こちらが確認した所、今も超音速での飛行を続けているらしい。委員会からの通達で教員は海域の封鎖、お前は福音とそのテストパイロットの回収をする事になる。他の代表候補達は拠点(ここ)の守りを固めよとの事だ。」

 

目の前のスクリーンに映し出された簡易的な図柄で事の顛末を聞き、一夏は首を捻った。コキリと小気味の良い音が出る。

 

「で、この事を俺だけ(・・・)に伝えたのは、委員会が俺一人にこいつをどうにかしろって言って来た訳か。大方こんな任務で国に所属する代表候補達のISを壊したくないんだろうな。」

 

(そいつらの鼻を明かしたらどんな面をするか、楽しみだなあ)

 

克己の愉快そうな笑い声が聞こえて来たが、閉め出して話を続けた。

 

「綺麗な見た目の裏にはださい真実って、正にこの事だな。考えてる事がえげつない。表も裏も真っ黒黒助。まるで腐ったピータンだ。俺一人でどうにかなる様な事でもないだろうに。」

 

手近にあったコーヒー牛乳のパックを開いてグビグビと呷り始めた。

 

「私もそう言った。だが、向こうはお前ならどうにか出来るだろうと言い張っている。私も世界最強だなんだともて囃されているが、所詮は宮仕えの身だ。すまない。」

 

悔しそうな顔を浮かべる千冬の頭に一夏はポフンと手を乗せた。

 

「別に良いよ。この業界に来たら俺をどうこうしたいって考えてる奴は五万といる。要するに俺が馬鹿を見るか、あわよくば死ぬ様に仕向けてる訳だな。随分と見え透いた魂胆だ。」

 

(余程俺達の事が気に食わないか、随分と暇なんだろうな。聞くだけで胸糞が悪くなる。余計に痛めつけたくなって来たぜ。おい、替われ。指を一本ずつ切り落としてやる。さぞ良い声で泣くんだろうなあ)

 

嘆息する一夏に大道が委員会の粛清を嬉々として申し出た。

 

(やめろ、大道。俺達は束さんと千冬姉がいる。あからさまに俺達に手を出す様な馬鹿な真似はしないだろう。下手をすれば奴ら自身は勿論、国諸共吹き飛ぶかもしれない)

 

「これは実戦だ。万が一の事もある。もう一度掛け合う事も」

 

「良いよ。確かにこの戦い(ベット)はかなり危険だ。けど敢えてここは向こうの挑発(レイズ)を受ける《コールする》。」

 

「では、これより目標の詳細スペックデータを見せる。分かっていると思うが、これはアメリカとイスラエルの重要機密だ。情報漏洩が確認されれば査問委員会による尋問と最低でも二年間の監視が付けられる。」

 

「うっげ・・・・・分かった。見せて。」

 

一夏はデータを見てヒュウと口笛を吹いた。

 

「三十六門のシルバーベルが厄介だな。しかも俺と同じ高機動タイプだし。それにしても超音速で行くって事は偵察は不可能、一番の方法は一撃必殺。開始は?」

 

「今から一時間後。テスト稼働は大体終わっているだろうから直ぐに行動に移らせる。」

 

「了解。じゃ、浜で待機してますわ。」

 

よっこらせと言いながら立ち上がり、旅館の裏手から浜に向かった。

 

 

 

 

 

 

 

「よーし、行きましょうエム。」

 

「ああ。お前は地上から奴らを掻き乱せ。殺しても構わん。私は織斑千冬を、姉さんを捜す。」

 

「りょーかーい!」

 

『Machairodus!』

 

うなじにあるコネクターにゴールドのメモリを突き刺し、半獣半人のマカイロダス・ドーパントに姿を変え、立っていた崖から飛び降りた。マドカもISを装着して空中に躍り出た。凶悪な笑みを顔に貼り付けたまま。

 

「スコール、エムだ。アイは地上に降り立った。もうすぐ作戦行動に移る。」

 

『分かったわ。彼女はオータムと一緒に地上からの攻撃を始める。私と貴方の行動開始は今から一時間後。それまで大人しくしてて頂戴ね。網を張るのは少し時間がいるのよ。』

 

「・・・・・ちっ・・・・・了解した。」

 

 

 

 

 

『織斑、これより作戦を発動する。』

 

「了解。システム、オールグリーン。イクィップメント・オールクリア。発進まで残り、三、二、一、ゼロ。行くぞ。」

 

『Cyclone!』

 

零式のスラスターが最大出力で噴射され、サイクロンメモリの能力による速度上昇によって上空二キロメートルへ軽々と舞い上がった。純白のエターナルローブがはためく

 

『そのまま北西へ二十キロ進め。』

 

「了解。福音との接触まで後五分。」

 

ナノマシンの稼働率を百パーセントに引き上げた。これにより、生身でもドーパントなら圧倒出来る能力を発揮出来る。

 

「こっちはスペックは軍用並みだけど、向こうは本家本元の広域殲滅用だからな。パイロットさんには悪いけど手加減はしていられない。」

 

「接近中・・・・接近中・・・・来ます!」

 

『Luna Maximum Drive!』

 

新しく手に入れた吹雪と天幻で変幻自在に曲がりくねる銃弾の嵐を浴びせ、

 

『零落白夜・真 Maximum Drive!』

 

肉薄しながら居合いの要領で間髪入れず雪片・無限でマキシマムドライブを発動した零落白夜の斬撃を浴びせた。

 

「行ける。」

 

だが、光の刃は完全に当たる事は無く、肩と脇腹を掠っただけだった。

 

「あの状況で避けやがったのか?!」

 

はやる気持ちを抑えながら爪幻を雪片と連結させ、左手に吹雪を構えた。

 

「テストして間も無いけど、しっかり保ってくれよ。」

 

福音は三十六のシルバーベルで破壊のメロディーを奏で始めた。

 

「うぉおおお!?」

 

『Luna!』

 

吹雪の湾曲する銃弾が迎え撃ち、全てを撃ち落としたが弾幕は濃く、更に続いて行く。近付いても軍用ISと言うスペックに物を言わせて直ぐに引き離されてシルバーベルの制圧によって距離を稼がれてしまう。

 

「メモリチェンジが追い付かない!!せめて翔太郎さんとフィリップさんみたいに二つのメモリが同時に使えれば良いのに!!」

 

『Cyclone!』

 

再び浴びせられる銃火の中をかいくぐった。所々被弾したがエターナルローブで防いだりして実質的なダメージは受けていないが、所詮は布切れである。いくら仮面ライダーの装備品を真似た所で贋作である事に変わりは無い。

 

「ここまで密度のある攻撃を続けられたらこっちもどうにかなっちまうぜ。」

 

(だらしのない奴だ。替われ。お前は殺す気で相手をしているつもりだろうが、俺には分かる。お前は本気で殺そうとしていない。やらなければ俺も死んでしまう。替われ!)

 

「な、ちょ、おい!?」

 

一夏は意識が後方に乱暴に投げ出される感覚を覚え、克己と人格が入れ替わった。

 

「ほお、これがISと言う物か。中々使い心地が良いな。ん?これは・・・・」

 

『Eternal!』

 

「やはりそうか。」

 

克己はほくそ笑んだ。すると、黒かった零式のボディーが白に染まり、白いエターナルローブが黒に変わった。

 

「エターナル・・・・まさかISでこれを見られるとはなあ。」

 

(馬鹿野郎!変身した時に酷似しているのに目をつけられたらどうするんだ!?だから使うのをやめてたのに!!ていうか喋るな!俺の声は他の奴らには聞こえねえんだぞ!?)

 

「そんな事を一々気にしていたら、世界唯一の男性IS操縦者の名が泣くぞ?」

 

爪幻だけをもったまま主人格となった克己は零式のエターナルローブを左腕に巻き付けて楯の様に前に出した。

 

「もう少し楽しみたい所だが、お前はここで落とす。」

 

突貫して来るのを見て更に弾幕の濃度を上げる福音。だが、顔を覆うバイザーから露出する口元はニヤリと勝利を確信した笑みを浮かべていた。エターナルローブを広げて肩から上をすっぽりと覆った。

 

「さあ、地獄を楽しみな。」

 

『Heat Maximum Drive!』

 

鍛冶屋の炉に突っ込まれた鉄の様に赤ではなく白い輝きを放つナイフの刃は、二枚の翼をバターの様に切り裂いた。

 

「楽勝だな。殺さずに捕縛しようとするからあの様だ。相手は曲がりなりにも殺人兵器だ、下手な情けをかければこっちが死ぬぞ。やるならまず殺す気でやれ。」

 

だが福音が墜落した離れ小島は突如として光に包まれた。

 

「この光は・・・?」

 

(おいおいおいおい、嘘だろ!?土壇場でセカンド・シフトしやがった!?捉えたつもりが逆にこっちがカモ(フィッシュ)になってたとはな)

 

「要するに、レベルが上がったと言う事か。丁度良い。こいつでどれだけやり合えるか見せて貰うぞ。」

 

(何暢気な事言ってんだ、早くしないとパイロットも死んじまうかもしれないってのに!!)

 

 

 

 

 

 

 

「山田君、織斑の方はどうだ?」

 

「未だ福音と戦闘中です。こちらは防衛ラインの準備は終わりました。あれ?」

 

「どうした?」

 

「沖合からISの反応あり!」

 

「データベースと照合して所属国を割り出せ。」

 

「了解!データベースと一致。機体コード『サイレント・ゼフィルス』、所属国は・・・・イギリスです!」

 

「ファントム・タスクか。」

 

千冬は盛大に舌打ちをした。現在千冬を除いて一番の戦力である一夏が福音の撃墜及び回収に出張っているのを狙い澄ましたかの様なタイミングでの来襲。

 

「総員、戦闘配置につけ。私も出る。山田君、CICの方を任せるぞ。警戒を怠るな。短期で我々を迎え撃とうなどと言う事は無い。必ず何かがある。」

 

「はい!」

 

千冬はジャージの袖を捲り、右手首に巻き付いた鎖を露わにした。

 

(束・・・・礼を言う。また私は闘う決心と自信が戻った。今度こそ、私は間違えない。そして今度こそ一夏と一夏の帰る場所を守り抜く!)

 

「舞え、白桜(はくおう)!!」

 




一週間振りの投稿ですが、質問、感想、指摘があれば、どんどんお願いします。

次回は一夏 vs 福音 (セカンドシフト)、そしてファントムタスク vs IS学園です。

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