IS x W Rebirth of the White Demon   作:i-pod男

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お待たせしました。SAOの執筆作業があったので、そちらに気を取られていました。原作ではトーナメントなどの行事はもう邪魔されっぱなしですね。だから原作の一夏は弱いんじゃないだろうか、と思います。実際に自分の腕を試せる機会が悉く潰されて行くんですから・・・・・まあ、兎に角、投下します。どうぞ。

注意:知っている人は知っているネタがあります。


N、乱入/トーナメントの行方

「あ〜〜〜・・・・・・」

 

あれから幾日か経過したトーナメント当日、一夏は項垂れていた。そして途方に暮れていた。一夏の口からタッグ戦は自分が一人で出なければならない事を伝えると、簪はその時を境に終始不機嫌そうにつんけんしていた。好きな人に嫌われるのはここまで苦しい物なのかと、改めて思い知った。お陰で試合に100%の集中が出来ない。

 

「う〜が〜・・・・・・俺はどうすれば良いんだ〜〜〜〜〜〜!!!!」

 

人は恋に落ちるとその奴隷となる。一夏は正にそれを体現していた。

 

「あ〜〜、どうしよ。」

 

試合が始まるまではまだ時間がある。そんな時にロッカーに入れたワイバーフォンに電話がかかって来た。

 

「もしもし?」

 

『織斑一夏、マズい事が分かった。ドーパントが君を狙いに来る。』

 

「はい?」

 

数秒経過してから一夏はそう返した。突然の事に思考が追い付かず、思わず普段からは想像もつかない様な間の抜けた返事が口をついて出て来たのだ。

 

『何も言わず、黙って今から言う事を頭に入れてくれたまえ。今現在、質問は一切受け付けない。正確にはナスカ・ドーパント、それもレベル4と言う今まで君が相手取って来たドーパントよりも桁外れに強い。変身者は織斑マドカと言う、君と織斑千冬のDNAで作られたクローンだ。更に言えば、その織斑マドカはモンド・グロッソで君を拉致しようとしたISを使うテロ組織、ファントム・タスクに所属している。君のドライバーとガイアメモリは今どこに?』

 

「ドライバーとエターナルメモリだけなら、ロッカーにいれてある鞄に入ってますけど。いざとなったら俺が対応しますよ。」

 

一夏は鞄の中に入っているメモリとドライバーが入っているのを確認して答えた。

 

『最悪の場合そうなるだろう。だが、女性利権団体やIS委員会は幾ら二つの『後ろ盾』があるとは言え隙あらば君の事を排除しようと試みるだろう。ある意味僕らはガイアメモリを違法所持している。それをISに流用する様な事が起これば、第三、第四の世界大戦が起こる可能性が圧倒的に高くなる。君が今後一番気をつけなければならないのは信用している人間の前以外で変身をする瞬間や、解除する瞬間を絶対に見られてはならない事だ。出来るかい?』

 

「最大限努力します。でも、もし他のメモリが必要になる時はどうすれば・・・・?」

 

『それなら問題無い。もうすぐそっちに到着する筈だ。』

 

フィリップの言葉の意味が理解出来ず、何が到着するのかと頻りに辺りを見回したが、突如頭の上に何かが落ちて来た。

 

「いてっ。ん・・・・?これは・・・・?」

 

拾い上げると、それはZが描かれたメモリだった。

 

『どうやらゾーンメモリは無事に着いたみたいだね。そのメモリのマキシマムは君が今所持しているA to Zのメモリを任意で呼び出す事が出来る他、君自身を瞬間移動させてくれる。』

 

SF小説で出て来る典型的な現象、瞬間移動。それを可能とする者が今現在手の中にある。掌サイズのそのメモリは一夏の手の中では妙に重く感じられた。

 

「これ、どうやって?』

 

『実は少し前に篠ノ之束に頼んだのさ。メモリを押す様に。やはり神出鬼没な性格と、大事な人を守る為ならば世界の裏側にも駆けつけると言う心構えがこれを引かせてくれたのだろうと思う。大事にしたまえ。彼女の依頼を果たす為にも。そして妹との絆を取り戻させる為にも。』

 

「はい。じゃ、そろそろ時間なんで俺行きますね?」

 

『幸運を祈る。』

 

一夏はワイバーフォンをロッカーに放り込み、部屋着のシャツやズボンとそう変わらないISスーツの中にドライバーと二本のメモリを忍ばせた。

 

「織斑マドカ・・・・・何者なんだ?しかもどこでメモリを・・・・?いや、今は考えても拉致も無しだな。まずは、全勝すべし。」

 

勢い良く手を叩き合わせてピットへと急いだ。

 

 

 

 

 

「む〜〜〜・・・・・」

 

「あ、あはは・・・・」

 

「あの・・・・かんちゃん?(怖い!かんちゃん、めっちゃんこ怖いよ!?)」

 

「絶対、勝つ・・・・!!」

 

簪のパートナーのシャルルはラファール・リヴァイブ・カスタムIIを装着して出場準備は整っていた。が、隣で不機嫌そうな表情をしている簪を見て、苦笑いするしか無かった。幼馴染みにして従者の本音も微妙に怖がっていた。

 

八つ当たりである事は分かっていた。不可抗力である事も百も承知だ。だが怒らずにはいられない。一夏とタッグを組んで優勝するのを心待ちにしていた矢先、いきなり彼は一人で出場しなければならないと言う連絡事項を本人の口から聞いた。問い詰めても自分は与り知らないの一点張りで、

 

『一夏の、馬鹿・・・・』

 

そう言ったきり、昨日の夜から一夏とは全く喋らなかった。後になって何であの様なことを言ってしまったのだろうと自己嫌悪に陥ってしまったが、言ってしまった物はもう取り返しがつかない。

 

(一夏と当たった時に謝ろう・・・・もう、私の馬鹿、大馬鹿!!)

 

短絡的な自分の言動を呪い、自分に罵声を浴びせた。試合開始の時間になり、打鉄弐式を纏った簪とラファール・リヴァイブを纏った本音はカタパルトによってアリーナの上空に送り出された。

 

 

既にそこでは一夏が待機していた。

 

「あ、い、いいいい一夏・・・・?!」

 

「ああ、簪か・・・・・」

 

それも落ち込みの度合いが地中海よりも深く、ダークな雰囲気が漂っている。ある意味別の意味で最凶の二代目エターナルが誕生していた。プライベートチャネルで簪と会話を始める。

 

「まだ俺の事嫌いだよな仕方無いよな。でも俺だってタッグ組みたかったんだよ本当なんだよ信じてくれよでもやっぱ駄目だよなそうだよな。笑え、この俺を笑えよ・・・・・」

 

虚ろな目で抑揚の無い声でそう繰り返す一夏。端から見れば精神に異常を来したサイコな仮面ライダーにしか見えない。色んな意味で恐ろし過ぎる。

 

「あ、あの、一夏・・・・・ごめんなさい。一夏の所為じゃないのに、あんな事言っちゃって。た、大会終わったらその・・・」

 

大声で言うのは恥ずかしいので顔を真っ赤にしてどもりながらもボソボソと呟いたが、それを聞いていた一夏は見る見る内に元気になり、にっこりと笑った。

 

「分かった。俺も、アリーナでの模擬戦出来なかったお詫びしなきゃならないからな。ありがと、簪。益々負ける訳には行かなくなった。勝ったら絶対やって貰うからな。」

 

そして、ブザーが鳴り響き、試合が始まった。

 

「シャルル、次にお前は」

 

「「今回は絶対勝つよ、一夏!!」」

 

「と言う!!」

 

「え?!」

 

見事に思考を読まれたシャルルは一瞬驚いた。

 

「(勝った。思い通り、思い通り、思い通り!!)隙ありだ。」

 

『Luna!』

 

天幻の湾曲する追尾弾が放たれ、ワンテンポ遅れてシャルルもアサルトライフルを二丁構えて追尾弾を弾幕で撃ち落とした。更に接近し、ゼロコンマ一秒と言う凄まじいスピードで武器を入れ替えながら更に銃撃を浴びせる。前回の決着がつかなった模擬戦で学んだ事を生かして、一夏に威力が高いアサルトカノンや重機関銃『デザートフォックス』などの大口径・高火力の武器ばかりを使っている。

 

「アラモの砦みたいだな。んだぁ〜が、しかぁし!!」

 

『Accel!』

 

「俺も新しい手札を用意しておいたんだよ!さあ、振り切るぜ!!」

 

零式の黒かった体が真っ赤に染まり、白いマントと右手の雪片・無限も相俟って本物の騎士に見える。エターナルローブで銃弾を防ぎ切りながら特攻し、すんでの所でメモリチェンジを行った。

 

『零落白夜・真!』

 

「デュノア君!」

 

だが零落白夜の刃が当たる前に簪の薙刀『夢現』がそれを防ぎ、荷電粒子砲が一夏に直撃した。

 

「チッ。流石に代表候補二人が相手じゃダメージはそう簡単には通らねえよなあ。」

 

しかし一夏も生身での戦闘も加えISバトルでもそう簡単に右に出られる物はいない。代表候補二人の打倒に成功したのだから。粒子砲が当たる直前に再びスカルへとメモリチェンジを行い、エターナルローブでガードしたのだ。その証拠に赤かったボディーがまた黒に戻っている。

 

 

 

 

「教官・・・・・彼は、強いですね。教官が仰った通り・・・・」

 

ようやく筋肉痛が回復して歩ける様になったラウラは、千冬の計らいで一夏の試合を管制室から観戦していた。

 

「そう言っているだろう?お前を加えたら、あいつが生身ないしISで打ち負かした代表候補はこれで三人目だ。一対一であいつに勝てる様な人間は早々簡単には見つからん。」

 

コーヒーを飲みながらスクリーンを見る千冬はフッと小さく笑いながら呟いた。

 

「しかし、あそこまで能力が多技に渡る様なワンオフ・アビリティーなんて見た事が無い。それも正確に使い分けている。(やはり兄様と呼ぶべきなのだろうか?)にいs、いえ、織斑一夏はどこであの様な技を身に付けたのですか?」

 

「色々あってな。いずれ本人が教えてくれる。今のあいつはカンフーの他にムエタイ、クラヴ・マガ、今ではレスリングや絞め技、寝技の初歩をネットで検索しながら木人相手にやっていたぞ。銃の扱いも最近覚え始めた。」

 

姉弟揃って規格外だ、とは口が裂けても言えない。ラウラはそう思った矢先だったが、千冬に思い切り出席簿で殴られた。

 

「貴様何か失礼な事を考えていただろう?」

 

どうやら読心術は健在の様だ。

 

 

 

 

「一夏・・・・・そのマント、ずるい・・・」

 

「ずるくな〜い!二対一だから。ヒーハー!!依然問題は無し!!」

 

試合開始直前に比べてテンションが百八十度変わっている。これもこれでかなり気色悪い。

 

『Skull Maximum Drive!』

 

ガキンと天幻の撃鉄を起こす一夏。

 

「簪、悪いけど『ご褒美』の為にも勝ちたいからちと堪えてくれな?スカル・コンカッション!」

 

銃口から紫色の巨大な髑髏の形をしたエネルギー弾が放たれ、簪に当たりそうになったが、今度はシャルルが楯を前に出して防御した。

 

「うぐぅ・・・・・・こ、のぉ・・・・!!(なんて威力・・・・実体シールドじゃ全然耐えられない!!!)」

 

だが流石にガイアメモリのマキシマムドライブに耐え切る程の強度は無いのか、楯は砕け散ってシャルルは後方に吹き飛ばされた。

 

「まだまだ!」

 

『Fang』

 

「ショルダー。」

 

『Shoulder Fang!』

 

右肩に生えた刃が外れ、一夏はそれを投げた。ブーメランとなったショルダーファングはまるで意志を持つ獣の牙の様にシャルルに追い討ちをかける。

 

(撃ち落としたいけど、あれじゃ当たっちゃう・・・・!!こうなったら、奥の手!)

 

簪の機体の所々が開き、弾頭が露わになった。

 

「ゲッ、ソレ何!?」

 

「山嵐、発射!」

 

銃声よりも凄まじい音と共に一夏にロックオンした二十四発のミサイルが襲いかかる。幾ら一夏でもエターナルローブであれを全て防ぎ切る事は出来ない。暫くは逃げようとしたが、当然ロックオンから振り切る事が出来る筈もなく、その上残った逃げ場を封じようと簪やシャルルが躍起になって撃ちまくって来る。

 

『Luna Maximum Drive!』

 

「マグナム・イリュージョン。」

 

最初にはなった時よりも遥かに多い弾が全てミサイルへ向かって行って破壊した。

 

「まだまだあんなんがあると考えるとこえーな。」

 

『Cyclone Maximum Drive!』

 

「決めるぜ。」

 

イグニッション・ブーストで上空から急降下でシャルルに接近し、再び零落白夜を発動した所でエネルギーを完全に削った。

 

「いたたた・・・・もうちょっと優しくしてくれない、かな・・・?」

 

「多少やり過ぎたかもしれないのは謝るが、シナリオが違ったら今の確実にアウトな台詞だぞ?」

 

そう言った直後、アリーナ上空を覆うシールドバリアーが大爆発を起こして穴が開いた。上を見上げると、バイザーの奥で一夏は目を細めた。

 

「来やがったか。黒ナスカ。」

 

翼を背中に生やして剣を右手に持ったMナスカは、シールドバリアー付近の客席に向かってエネルギー弾を放った。着弾と共にそれは爆発し、深く地面を抉った。

 

『私の目的は織斑一夏、唯一人。邪魔をしなければよし、邪魔をすれば・・・・殺す。』

 

ドーパントの姿でいながらISのオープンチャネルを使っているらしく、声は一夏やシャルル、そして簪にも聞こえた。

 

「よう、織斑マドカ。」

 

「織斑、一夏・・・・死ね!」

 

ISでは到底出せないスピードでMナスカは一夏に接近し、拳を腹に叩き込もうとしたが、解除して即座に拳を受け止めた。ナノマシンで膂力を最大レベルに上げて腕を捩じ上げたが、今度はもう一方の手に握られた剣で腕を叩き斬られそうになり、即座に手を離して距離を取った。

 

「黒いナスカ・・・・なる程。ヤバそうな雰囲気だ。」

 

観客が逃げ惑い、簪とシャルルは恐怖で足がすくんで動けない。だがMナスカと一夏はその音が全く耳に入らなかった。互いの存在だけに意識の全てを集中しているのだ。

 

「お前の次の台詞は、」

 

「「私は貴様を、叩き潰す!!」」

 

「だっ!!」

 

その言葉を皮切りに、二人は弾丸の様に進行方向へ只真っ直ぐに互いを見据えながら走り出した。




SAOの方もお暇でしたら是非覗いて見て下さい。出来れば伸び悩んでいる感想も短くても結構なので書いて頂ければ・・・・

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