IS x W Rebirth of the White Demon   作:i-pod男

33 / 76
嫌ダーーーー、学校がまた始まるううううう!しかもその所為で今回は文字数が少ないいいいいいい!!!せめて四千まで行きたかったのにいいいいいいいいいい!!!!!


Eの過去/悪魔と呼ばれた英雄

その夜、ゆっくり休養する事にした一夏は夢を見ていた。それも鮮明でとてもリアルな夢、明晰夢だ。まるでスクリーンに映し出されている映画を見るかの様に五感全てが周りに反応している。背中には楯の中心で剣に貫かれ、四匹の蛇に囲まれた銀色の林檎のマーク、そして所々に赤いラインが入った黒い革の上下を身に付け、青いメッシュを一筋髪に入れた男を筆頭にそれぞれアサルトライフル、身の丈を越す巨大な鉄棒、そして革製の鞭を銘々携えた三人の男と拳銃やナイフなどの基本的な装備以外は何も持っていない一人の女、合計五人が巨大な軍用輸送機から降り立った。だがしばらくすると、その情景はブツリと廃墟に変わった。

 

『撃て、撃て撃てぇえええええええ!!!!』

 

『うわああああああ!!!』

 

『じゅ、銃が効かないだと?!』

 

それは正に阿鼻叫喚の地獄絵図だった。軍隊の装備や迷彩服を身に付けた黒頭巾の兵士達が次々に刺されたり撃たれり殴られたり斬られたりと、その五人にありとあらゆる方法で殺されて行く。

 

「ゲームスタート。」

 

炸薬により連続で引き起こされる凄まじい撃発音が辺りに響き渡る。表情を全く変えずにH&K G36Cと言うコンパクトなアサルトライフルを状況によってシングル、バースト、そしてフルオート射撃へと瞬時に切り替えながら兵士をバタバタと薙ぎ倒して行く。近付いた兵士達はライフルのストックで殴られるか蹴りで吹き飛ばされるか、もしくは至近距離からハンドガンの銃撃を浴びせられた。硝煙を吹き消すと、最後にこう呟いた。

 

「ゲームクリア。」

 

『ヘッヘッヘ、楽勝楽勝!これでまた結構な報酬が入るぜ。ウォオオラアアアアア!!』

 

頭にバンダナを巻いて鉄棒で兵士達を殴殺していた筋骨隆々の男がそう言った時、一夏は気付いた。彼らは金で動く戦闘集団、つまりは傭兵。それも既存の兵器の攻撃を受けても平然としており、顔色一つ変えずに殺戮を続けられる異質な存在。

 

(彼らは・・・・・NEVER?!そうかつまりこれはNEVERの記憶、なのか・・・)

 

一夏は必死で記憶の底からフィリップや翔太郎から聞かされたNEVERの事を引き出した。

 

(さっきのライフルを持っていたのが芦原賢。T2トリガーメモリと引き合った無表情なスナイパー。ていうか何だ、あの異常な格好良さ?!突撃スナイパーですか、そうですか!・・・・・・で、あのマッチョマンは、堂本剛三。T2メタルメモリを使ったがむしゃらなパワーファイター。翔太郎さんが言った通りの暑苦しい男だな。あれ位のパワーは確かに欲しいけど)

 

『結局は金か。ハッ、ハァッ!!』

 

短パンを履いて赤いタンクトップをジャケットの下に身に付けているNEVERの紅一点は華麗な足技で兵士達の急所を狙い、一撃で葬って行く。時にはオリンピック選手の身体能力ですら軽く凌駕する様な凄まじい動きで。だが、一段落ついた所で、突如後ろから肉付きの良い彼女の尻を掴む男の手があった。

 

『へ?』

 

振り向いて自分の尻を鷲掴みにした手を払い除けた。その手の持ち主は、リップグロスを塗りたくり、鞭を持った短髪の男だった。彼の後ろには首や肩、膝などの関節部分がまるで針金細工の様に絶対に曲がってはいけない方向に曲げられた屍や首に索条痕が付いた屍が幾つもあった。

 

『ちょっと、何すんのよ!?』

 

女はその男を睨み付けてそう怒鳴った。

 

『素人はお黙り!』

 

男はくねくねと軟体動物の様に体を動かしながら、怯まずに女性の言葉遣いで反撃した。

 

『アンタなんかに、克己ちゃんの崇高な目的は分からないわ!』

 

両肩を全く動かさずに首だけを左右に動かし、更にそう言い返す。

 

『ハナっからそんな事分かる訳無いでしょ、変なオッサン!』

 

『そう変なおっs・・・言ったわね!?アンタ、レディーに対して最大の侮辱を!!!』

 

甲高くムッキー、と叫んだ直後に走り出したが、見事にこけた。

 

『アンッ!痛い!痛いわっ!!』

 

最早漫才にしか見えない二人のやり取りに、一夏はこめかみを抑えた。

 

(随分とシュールな夢だなあ、傭兵が戦場で漫才やるとか。しかもオカマが出て来るなんて。えーっと、確かあの女の方が羽原レイカでT2ヒートメモリを使った男勝りなスピードファイター。んでオカマが泉京水。鞭とプロレス技が得意なT2ルナメモリを使ったテクニシャン。いやー、この二人からは色々と学びたかったな。絶対今後の戦闘の参考になると思うのに。)

 

蹴っ躓いた京水を更に罵倒したお陰で口論は更にヒートアップして行く。

 

(にしても、この二人まるで水と油だな。面白いけど。良いぞ、もっとやれ)

 

だが再び情景が別の物に変わった。風都では地獄で生まれた悪魔とすら揶揄された不死身のテロリスト、大道克己が兵士達を蹂躙しているシーンだ。

 

(コレが、大道克己の戦い方。ヤバい目してるが、凄い。派手に見えて実は無駄も隙も無い。ラウラが見たら卒倒するだろうな)

 

左手に持ったで脳味噌を吹っ飛ばしたり、ギラリと刃が光る凶悪なナイフで動脈や致命傷となる内蔵を貫いたりしていた。彼の瞳には全く慈悲も哀れみも無い。寧ろ、戦闘の渦中に身を置く事、人を殺す事その物に愉悦を見出だしているかの様に見えた。その証拠に、背後から兵士に脇腹をナイフで貫かれても、両口角を吊り上げて振り向き様に肘をこめかみに叩き込んで男の側頭部をぐちゃりと潰した。その衝撃で灰色の脳味噌の欠片が飛び散った。

 

『ハッハッハッハッハ!歯応えが無さ過ぎるぞ!さっさと掛かって来い!』

 

あまりに鮮明でグロテスクなその状況に、夢とは言え一夏は吐き気を覚えた。が、幸い本当に嘔吐をしてしまう前に再び景色が変わった。克己とレイカが、浮浪者の様なボロボロの服装に身を包んだ老若男女多数を前に何かを喋っていた。

 

『過去が消えて行くなら、俺はせめて明日が欲しい。だから足掻き続けてるんだよ。生きてるんだろ!?お前らは。生きているのに、死人の俺の方が明日を求めているのは、一体どう言う事だ?』

 

その言葉は、一夏の心に深々と突き刺さった。

 

(そうか・・・・・・そうだ・・・・・彼らは死人なんだ。でも、懸命に死人なりの生き方を見つけようとしている)

 

そして再び切り替わる景色。次に見えたのは、額に何かの模様が描かれた浮浪者達が次々と倒れて行く。京水は慌てて何人かを揺すったり脈の有無を確認したが、死亡を確認すると立ち上がった。

 

『私の許可無く立ち去る者は、死ぬ事になる。君達の英雄的行動の結果がコレだ。やはり死人は知能が弱まる様だね。』

 

戸惑いの表情を浮かべていた克己は、やがて抱腹絶倒し始めた。その狂った様な笑い声に一夏は凄まじい悪寒を感じた。悟ったのだ。コレが大道克己が悪魔と呼ばれる様になった理由を。

 

『負けたよ、ドクター・プロスペクト。良くこんな残酷な仕打ちを考えついたもんだ。俺とした事が、一瞬忘れちまってたらしい。人は皆、悪魔だと言う事を。』

 

残り四人のNEVER達は克己を中心に横一列に並び、臨戦態勢に入った。

 

『死人如きがよくも私の箱庭を破壊してくれたな。君には相応しい罰を、二度目の死を与えなければね。』

 

「Eyes!」

 

スーツを着た男が不愉快極まると言った表情を浮かべ、首筋にガイアメモリを挿入した。それを見た克己は、ロストドライバーを腰に巻き付け、メモリを取り出した。

 

『Eternal!』

 

衝撃波と共に、山型の角、二十六個のマキシマムスロットを備えたコンバットベルト、そして漆黒のエターナルローブ。仮面ライダーエターナルが、降臨した。

 

(俺と同じメモリ。彼が、初代仮面ライダーエターナルなのか。)

 

それからの戦いは圧倒的としか形容出来ない物だった。エターナルがまず殴り、蹴り、エターナルエッジでアイズ・ドーパントにダメージを与え、フィンガースナップを皮切りに順番に賢、レイカ、剛三、そして京水とそれぞれ得意の戦法で更に追い詰めて行く。

 

『お前のビレッジより面白い所なんざ、もう本当の地獄位しかあるまい。先に逝って、遊んで来い!!』

 

『Eternal Maximum Drive!』

 

エターナルエッジにメモリを差し込むと、アイズ・ドーパントの姿が歪み、先程のドクター・プロスペクトに戻ったりまたドーパントの姿に戻ったりを繰り返した。エターナルは走り出し、錐揉み回転をしながら右足に溜まったエネルギーでの強烈な飛び蹴りを叩き込んだ。

 

『さあ、地獄を楽しみな!!』

 

(うわぁ、エグい・・・・・・エターナルのマキシマムでメモリを無力化してまた本人にマキシマム級のダメージ。殺す気満々の攻撃じゃねえか。てか剛三さんのあの最後の鉄棒アタック何だ?アレか、ダイナミック・ハエ叩きか?しかもドーパントに効く様な銃弾て何?賢さん何をどう改造したんだ?!)

 

凄まじい威力の蹴りを食らったドクター・プロスペクトは首筋の生体コネクターからメモリを排出した。

 

『馬鹿な・・・・!!私が死体如きに・・・・!?』

 

『たった今から、お前も死体の仲間入りだ。』

 

そこで一夏は目を覚ました。右腕には修理に出されていた零式が嵌っている。千冬が気を利かせて修理が終了した直後に持って来てくれたのだろう。

 

(後で翔太郎さん達にメール送らないとな。この事報告しとかなきゃ。)


▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。