IS x W Rebirth of the White Demon   作:i-pod男

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一日遅くなりましたが、新年あけましておめでとうございます。11/21/13から書き始めましたが、良くここまで続けられたなと思います。これも偏に感想並びに評価を寄せて下さる読者の皆様のお陰です。これからも何卒よろしくお願いいたします。


Mの追跡/烙印の持ち主達

コードネーム:エム。身長153cm、髪の色黒、瞳の色ダークブラウン、年齢不詳、そして出生すらも詳細は不明である。

 

 

〜回想〜

 

『おはよう、織斑マドカ。』

 

薄暗い施設の一室で培養液のタンクから転がり出た全裸のマドカを、露出度が高いドレスを身に付けたスコールが見下ろしていた。

 

『マド、カ・・・・?』

 

舌っ足らずな口調で虚ろな瞳にスコールを写しながら

 

『そう。マドカ。でも、エムの方が響きが良いわね。』

 

膝をつくと、黒い外套を彼女に包んで裸身を隠させた。

 

『私は、一体・・・・・』

 

『貴方は織斑千冬の出来損ないにして織斑一夏のコピー。』

 

その言葉はエムの、織斑マドカの心に深く突き刺さった棘だった。だがそんな彼女をまるで我が子の様にスコールは彼女を優しく胸にかき抱いた。

 

『 私に協力してくれれば貴方にチャンスをあげる。貴方を捨てて、何不自由無く今ものうのうと生きている織斑千冬と織斑一夏に復讐するチャンスをね。貴方が貴方でいる為に。』

 

マドカの表情がみるみる険しくなって行くのを肌で感じ取ったスコールは美女が作る事を忌避すべき醜く冷たい悪魔の様な笑みを浮かべた。

 

『さあ、行きましょう。』

 

冷たい雨が降りしきる中、スコールはエムを連れて姿を消した。

 

〜回想終了〜

 

 

 

 

「織斑一夏。私が私である為に、お前には死んでもらう。そして織斑千冬・・・・・姉さんにもな。私は、織斑マドカ。断じてお前達の出来損ないでもコピーでもない。それをお前達の命を以て証明してやる。」

 

潜伏先としてよく使う風都の廃屋と化したアパートの屋上に降り立ち、変身を解除した。

 

「(あれは・・・・黒い、ナスカ?馬鹿な、あり得ない。でもあれは確かに・・・)帰って検索しなければ。」

 

亜樹子と食材の買い出しに付き合わされたフィリップはふと空を見上げてMナスカが丁度屋上へと姿を消す僅かな瞬間を捉えた。

 

「フィリップ君どうしたの?急に立ち止まって空を見ちゃって。何か落ちて来てるの?」

 

「(今は無駄に場を混乱させる訳にも行かないな。だがせめて織斑一夏にも話しておくべき、なのか・・・?僕の勘違いであれば良いのだが)いや、何でも無いさ。何かを見た気がしたんだが、気のせいだったよ。早く帰ろう。生鰹の鮮度が落ちる速度は肉類よりも遥かに速いし、刺身として食べられる期間は氷蔵しても二日しか無い。それに今日は亜樹ちゃんにとって重要なイベントだ。失敗があってはいけない。」

 

新たな波乱が訪れるかもしれないと言う大きな可能性にフィリップの胸中は感情が複雑に入り乱れていた。

 

 

 

 

 

「お、来た来た。」

 

「一夏さん、レディーを待たせるのはよろしくありませんわよ?」

 

「ごめんごめん。ちょっと待ち合わせてる人がちょい遅れててさ。でもまあ、千冬姉に口利きしてもらってアリーナを暫くの間貸し切りにしてもらえたから許してちょ。」

 

実際は待ち合わせの場所に二人を行かせて自分はプテラップトップである事を調べていた。プテラップトップに収納されていたコードは零式に繋げる為のであり、更にプテラップトップにはガイアメモリを差し込む為のスロットがついていたのだ。半信半疑でもしやと思い、複製されたファングメモリを差し込んだ。すると案の定、ファングメモリのデータがプテラップトップに読み込まれ、コードを通してデータが零式に流れ込んだ。ウェザーメモリも試してみたが、原因不明のエラー表示が出た。持っているメモリを片っ端から差し込んでみようと言う気に駆られたが、時間が押していた為ファングとスカルメモリしかデータをダウンロード出来なかったのだ。

 

「一夏、部屋で何してたの?」

 

「ちょっと実験をな。」

 

「実験?」

 

「ああ。まあ一回やるごとにそれなりに時間食うから、後でやった方が良いとは思ったんだが探究心を刺激されて思わず。ごめんな。さてと、では特訓始めようか。鈴とセシリアは組むから良いとして・・・・・そうだな・・・簪、シャルルと即席ペア組んで俺と一戦やってくれないか?」

 

「うん、僕は別に構わないよ?」

 

「一夏が、言うなら・・・・(ぜ、絶対に一夏とペアを組む!)よ、よろしく、デュノア君。」

 

「シャルルで良いよ、更識さん。」

 

「じゃ、じゃあ、私も簪、で良いから・・・・」

 

意外とすぐに打ち解けて一夏が内心ほっとしていたのは秘密である。

 

「オッケー。私もあの実習の時は指導している所位しか見れなかったから気になるし。」

 

「ですわね。私達は見極めに専念しましょう。」

 

ピットの入り口辺りに座り込んだセシリアと鈴はとりあえずは傍観を決め込んだらしく、鈴はどこからか取り出したコーヒー牛乳と菓子パンを食し始めた。

 

「んじゃ始めようか。」

 

待機状態のメビウスの帯の様なラインが入った黒い腕輪が光を放ち、一夏は瞬時に装甲に体が覆われた。黒い体色に両腕はアクセントのオレンジ色のフレアマーク、青い複眼、そして靡く白いエターナルローブ。言うなれば仮面ライダーエターナルのネガverである。

 

「それが一夏の専用機なんだ。カッコいいね。」

 

「そりゃありがとう。俺もこの色合いは気に入ってるんだ。」

 

シャルルと簪もそれぞれISを展開した。画面に映る基本的なデータを見て一夏はフムフムと頷く。

 

「成る程。うげ、どっちも全距離対応なんだな。ちょっときついかも。」

 

シャルルの専用機、ラファール・リヴァイブカスタムIIは量産型のラファールとは違ってカモフラージュグリーンが橙色に変わっており、若干だがスリムな感じがする。簪の打鉄弐式も近距離型から汎用性と機動力重視のカスタマイズが施されていた。

 

「ふふっ、男に二言無しだよ一夏?」

 

「分かってるって。俺も試してない事が幾つかあるからな。模擬戦がてらちょいと実験に付き合ってもらうぞ。」

 

次に簪の機体にプライベートチャンネルを繋いだ。

 

「簪。コレ終わったら屋上に来てくれ。細やかなお詫びを用意してある。」

 

時間も限りがあるのでそれだけ言うと一方的に回線を閉じて左手に天幻を展開した。管制室で制御されるブザーが鳴ると同時に三人が空中に躍り出た。

 

「出し惜しみはしねえ!俺の手札、とくと見せてやるぜ!!!」

 

『ワンオフアビリティー、「魂魄記録」発動』

 

『Luna!』

 

トリガーにかけた指を凄まじい勢いで動かし、黄金の湾曲する軌道を描く銃弾が立て続けに銃口から飛び出してシャルルと簪に襲いかかった。それを見てセシリアは地獄の特訓によって刻み付けられたトラウマが再燃したのか、震えたまま壊れてしまったかの様な笑い声を上げた。

 

「あは、はははははははは、あははははははは・・・・・」

 

「ちょっとセシリア何をされたの?あいつ何をしたの?」

 

「光が・・・・光ガ私を引キ裂コうト・・・・・太陽のレクイエムがキコエマスワ。」

 

ルナメモリの能力により追尾弾と化した弾を凝視していたセシリアは、壊れたロボットの様に震えてそう繰り返す。

 

「ほんと何されたのアンタ?」

 

多少は被弾した物の、やはり代表候補生と言う事もあって二人は未だに飛び回っていた。シャルルはお返しとばかりに大量の銃火器からの集中砲火を浴びせて来た。アサルトライフル、ショットガン、アサルトカノンと、超高速で入れ替わる実弾兵器の際限無き銃弾、散弾、焼夷弾の嵐が一夏を襲う。

 

「テストその一、スタート。」

 

『Skull!』

 

白いエターナルローブをマタドールの如く構えて飛んで来る弾を全て弾こうとしたが、流石に数が多く、その多さ故に全体的な威力も上がっている為、エターナルローブが多少破れてしまった。その穴から銃弾が届き、シールドエネルギーが削れてしまう。中には焼夷弾が混じっており、着弾と同時に爆発が巻き起こった。だが、削られたダメージは微々たる物。増してや零式は束が手がけたISだ。試合開始直後のエネルギーは2250。先程の被弾でエネルギーは確かに削れて2245になっていたが、只それだけである。

 

「うっそぉ!?」

 

そして後ろから対複合装甲用超振動薙刀『夢現』を振り下ろして来た簪の一撃も雪片・無限を展開せず、二の腕で刃ではなく柄の部分を受け止めた。

 

(なるほど、骨格の『堅さ』を上げる防御重視のメモリって事か。堅いって事は、その堅さが攻撃の威力を上げる。流石は千冬姉。伊達に人間やめてねえな。あ、俺もか。あの姉にしてこの弟あり、だな)

 

つまらない事を考えていたのがうっかり顔に出たのか、それを見て簪が不機嫌になった。

 

「一夏、余所見禁止!!」

 

今度は背中に搭載された二つの砲門がエネルギーを吐き出して一夏にクリーンヒットした。すかさずシャルルが今度は銃弾ではなく威力も効果範囲が更に上の榴弾をぶち込んで来た。

 

「てめえはっ、歩くっ、火薬庫かっ?!」

 

避けながらも薄い紫色に変化した銃弾を撃ち返して応戦する一夏はそう叫んだ。

 

(カスタムって言う位だから、拡張領域もそれなりに弄ってスロットの数が多いんだろうな。あー、俺も新しい武器が欲しい。今度束さんにお願いしようっと)

 

「ではではお次はテストその二を兼ねて、お待ちかねのCQB!白兵戦だ!」

 

「望む所!簪さん、行くよ!」

 

両手に近接ブレード『ブレッドスライサー』を構えシャルルが右から、後ろから簪が突貫して来た。天幻をしまい、雪片・無限が右手に現れた。

 

「では。」

 

エターナルローブを脱ぎ捨て、次のメモリを選択した。

 

『Fang!』

 

キュオン、と言う音と共に左腕に多数の刃が増えた。二の腕にはひれの様に鋭利な物が三つ、マニピュレーターの指先も尖り始め、肘からも浅く反りが付いた刀の様な刃が伸びた。

 

「また変わった・・・・・!!」

 

二人の動揺ににやりと覗くしたり顔は、命ギリギリ勝負を賭ける博徒の顔だ。だがその表情はすぐに消え去り、一夏は天幻をコールした。

 

『Heat!』

 

そして右斜め後ろから凄まじいスピードで襲いかかる砲弾に向けて巨大な火炎弾をぶつけて相殺した。

 

「いきなりぶっ放すとは穏やかじゃないな。随分と気が早いぞ、トーナメントでけりをつけると確約を取り付けた筈だが?」

 

「確かにな。だが、気が変わった。我が部隊と私の顔に泥を塗った雪辱、今この場で果たさせてもらうぞ!(私は、失敗作ではない!必ず、なるのだ!教官の様に強く!)」




さてと、ここからそろそろファントムタスクと搗ち合わせなきゃいけませんなあ。

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