IS x W Rebirth of the White Demon   作:i-pod男

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前回は沢山の感想、ありがとうございました。やはり書き直して良かったと今更ながら思います。そして、今回は鈴が戻ってきます。そして篠ノ之箒もとい空気さんのお叱りタイムもあります。

何時もより少し長めになりました。やる気元気、投稿!

ではどうぞ。


帰って来たF達/仕事と私事のパートナー

深夜、IS学園へと続くモノレールの改札口前で、二人の人間の姿があった。一人は長身だが若干猫背で、口髭を生やしている中年の男で、男の割には若干長い髪を束ねている。彼の持ち物は現在身に付けている草臥れたスーツ、リュック、そして漆塗りの美しい縦長の箱だった。その隣には彼の鳩尾辺りまでしか背丈が無い小柄な少女がボストンバッグを肩にかけて立っていた。

 

「ゔ〜〜、お父さん、眠いし背中が痛い・・・・」

 

「我慢しろ。ここまで来れば大丈夫だな?」

 

「うん。」

 

「よし。じゃあ、俺は一度風都で荷物を降ろして母さんに会いに行く。」

 

多少ハスキーな声で娘との会話を楽しんだ。

 

「風都?何で?」

 

「少し行く所がある。」

 

「どこに?」

 

「仕事探しだ。一夏にも、私からよろしく言っておいてくれ。」

 

「分かった。じゃあまた後でね、お父さん。」

 

少女の父は小さく頷き、娘の頭を優しく撫でた。

 

「さてと・・・・待ってなさい、一夏。お仕事再開よ。んでもって、再結成開始よ。」

 

少女はニヤリと笑い八重歯を覗かせ、モノレールに乗ってIS学園との距離を縮めて行く。

 

 

 

 

 

 

 

「課長 課長 課長 課長!課長おおおおおおおおおおおーーーーーぐェッ!!!!!!」

 

後日早朝、超常犯罪捜査課の部屋に、真倉が凄まじい勢いで扉を開き、慌ただしく部屋中を走り回っていた。だが突っ込んで来た所をアイアンクローで押し止め、椅子に座らせた。

 

「朝からうるさいぞ。なんだ?」

 

「こ、これ!見て下さい!」

 

差し出された書類を見て竜は一瞬だけだが思わず目を疑った。

 

「超常犯罪捜査課への異動を志願した男が?」

 

それを見て眉を顰めた。実際人手は(真倉と刃野の無能さも相俟って)足りないのだが、自らここに入りたいと言う人間は全くと言って良い程いない。ミュージアムの一件然り、NEVERの風都タワー占拠然り、誰もがドーパント事件やガイアメモリに関わる事に対して及び腰になっているのだ。

 

「はい。それも昨日の夜遅くにです!しっかし、どんな奴なんスかね、ここに来たがる様な物好きって?!ねえ、ジンさん。」

 

真倉が昆布茶を啜っている刃野に視線を向けた。

 

「だな。けど、別に悪い話じゃあねーだろ?こっちだって万年人員不足なんだからよお。感謝こそすれ迷惑がる事は無いと思うぞ?でも、確かに気になる。どんな奴なんだろうな?照井課長、気になりません?」

 

「誰であろうと別に構わん。俺もいい加減一人で書類の整理をする事に辟易していた所だ。残業続きで所長の出来立ての手料理も食べられない。履歴書がこれか。」

 

紙切れと一緒に置かれたファイルを開いて経歴に目を通し始める。

 

「名は『鳳劉龍』、読みはファン・リィウロンか。年齢45歳、元中国人民武装警察の内衛部隊所属、階級は警部。武術大会や銃の組み立て、色んな競技で表彰台に上がっている。検挙率も上位十人の一人だったらしい」

 

「えええええーーーーー!!」

 

「ちょ、課長、どんな奴なんですかソイツは?!」

 

流石のズッコケ刑事二人もそれを聞いて腰を抜かした。

 

「経歴だけを見ればどこからどう見ても優秀な男だ。だが、人間性は会って見なければ分からない。これで少しは負担が減れば良いのだがな。」

 

その時、ちょうどドアがノックされた。

 

「どうぞ〜」

 

真倉がやる気が全く無さそうに入室を許可した。中に入って来たのは、紺のスーツを身に付け、口髭を生やしたあの男だった。

 

「おはようございます。超常犯罪捜査課を希望した凰劉龍と申します。日本の方には呼び難いので、気軽にロンと呼んで下さい。」

 

凰劉龍改めロンは、上半身を腰からしっかり四十五度曲げてお辞儀をした。

 

「課長の照井だ。よろしく頼む。早速だが、貴方の腕前を見せて貰いたい。超常犯罪捜査課の事は聞いていると思うが、ドーパント事件やガイアメモリに関する事案を主に扱っている。いざドーパントに遭遇した場合、命を落とす危険がある。実力は履歴書の文字だけでは測れないからな。」

 

「それは同意します。分かりました。」

 

それから竜に付き添われて体力測定、射撃の命中率などを見極め、最後に格闘能力の高低を測る事になった。

 

「中国ではそれなりの役職に就いていたらしいので、遠慮は要らない。」

 

「では。」

 

ロンは拳包礼で左の拳を右手で包んで前に出すと、構えを取った。竜はまず軽いジャブを顔と胸に向かって繰り出したが、前に踏み込みながらそれをいなし、

 

「ハイィッ!」

 

捻りを加えた拳で反撃した。まるでライフル弾の様な凄まじいスピードで放たれる拳を竜は咄嗟にそれを両手で受け止めたが、竜はその凄まじいパワーに目を見開いた。

 

(重い・・・・!何だこのパワーは!?押し負けそうになった!?)

 

今度は手を鉤爪の様に曲げて竜の急所——鳩尾、喉、首筋、顎、眉間など——を狙って攻撃して来た。肩にかけられた両手を強引に引き離して捻り、頭突きを食らわせた。

 

「ぅおっ?!」

 

突然の事にロンは仰け反った。だがその仰け反りを利用したバク転で距離を取り、今度は拳を開き、腰を落としてどっしりとした構えを取った。

 

「すげえ・・・・刃野さん、あの人課長と互角に渡り合ってますよ。」

 

「ああ。中国の警察は、軍人扱いされるからな。階級も独自のシステムがあるらしい。しっかし、あの動きはすげえな。」

 

刃野と真倉の二人は年齢による衰えを全く感じさせないロンの腕前に舌を巻いていた。

 

「あれ、カンフーですよね?」

 

「ああ。最初に使っていたのが八極拳、次に、手を虎の前足に見立てて急所を攻撃して行くのが虎拳。今取ってる構えは、太極拳だな。」

 

「すげえ、刃野さん分かるんすか?」

 

「映画で見たからな。」

 

「映画かよっ!?」

 

(手足の長さは向こうが上・・・・リーチは若干こちらが劣るか・・・)

 

「ここまでにしよう。超常犯罪捜査課にようこそ、ロン刑事。」

 

「こちらこそ。照井課長。刃野刑事と、真倉刑事も。」

 

ロンは差し出された手をしっかりと握った。

 

 

 

 

 

 

同時刻、IS学園の屋上では・・・・・

 

『クェ〜!』

 

「ん?」

 

一夏が日課の素振りをしていると、空から変な鳴き声を上げる白い機械が飛んで来た。それは屋上に降り立つと、口に銜えていた茶色い紙袋を置いて自動的にメモリを排出、ライブモードからガジェットモードのラップトップに変形した。

 

「これは・・・・ガジェットか。でも何で・・・・?」

 

すると、突然スクリーンが開き、束の姿が画面に現れた。

 

『やあやあいっくん、久し振りだね!これを見ていると言う事は、やっと束さん特性のメモリガジェット、名付けて「プテラップトップ」を手に入れた様だね〜!束さんは見ての通りここで大人しくしていまーす!あ、そうそう、フィー君と一緒にメモリ作るの手伝ったから、とりあえず出来た分だけ纏めて郵送しちゃいま〜す。メカウサめんば〜ず〜♪、なんちゃって。それじゃあ、ぐっどらっく!ちーちゃんと箒ちゃんにもよろしくね。アリーベデルチ!』

 

そこで映像は切れて、電源も落ちた。袋の中身を取り出すと、確かにかなりのメモリがあった。サイクロン、ルナ、ヒート、ファング、ジョーカー、メタル、トリガー、アクセル、そしてエクストリーム。九本のガイアメモリとシャッフルメモリが三本、合計十二本のメモリだ。

 

「束さん・・・・絶対に依頼は果たしますからね。」

 

空に向かってぽつりとそう呟き、予鈴が鳴る前に教室に向かった。一組の生徒達は間近に迫るイベントに

 

「そろそろだね、クラス対抗戦!」

 

「おりむ〜頑張れ〜!」

 

「おう。まあ、目指せ優勝だな。デザートフリーパスは甘党の俺には魅力的だ。皆の分も、しっかりと勝たせて頂きまっす!」

 

「「「「「お〜〜〜〜!!!」」」」

 

「大丈夫だよね〜、だって今の所専用機持ってるのって一組と四組だけでしょ?楽勝じゃない?」

 

「あれ?でも二組に転校生が来るって聞いたんだけど?」

 

「二組に?それもこの時期か?どこの誰だ、そのガリ勉努力家は?」

 

「一夏さん、気になりますの?」

 

「まあ、一応な。心当たりが無くはないんだ。」

 

セシリアの言葉に、一夏はワイバーフォンに昨日届いたメールを見せた。

 

「だ〜れがよ、馬鹿。後、二組の代表も専用機持ちになったから、楽勝には絶対ならないわよ?」

 

「鈴・・・・・やっぱオメーか。」

 

「ひっさびさに戻って来たわ。やっぱり住み心地は日本が一番ね、うん。あそうだ、お父さんがよろしく言う様にって。」

 

「え?ロンさんも来てるのか?!」

 

「うん。お母さんと再婚して、風都に住むって。」

 

「風都に!?マジで?!ィヤッホゥーイ!弾と蘭が揃えばチーム復活だな、これで。」

 

「どーせここでもお悩み相談、やってるんでしょ?チーム復活、そしてお仕事再開よ。」

 

「一夏!いい加減にこいつとの関係を教えろ!」

 

会話に入り込めず蚊帳の外となってしまった箒は業を煮やして一夏に詰め寄った。だが、すぐに後頭部に衝撃を感じて撃沈した。

 

「篠ノ之、朝から随分と元気だな。そこまで元気ならグラウンドを十周位して来るか?凰、SHRの時間だ、とっとと教室に帰れ。」

 

「はいっ!!」

 

敬礼をすると、鈴音は凄まじい勢いで一組の教室から姿を消した。

 

(これでまた頭痛の種が増えた気がするな・・・まあ、これで相談室を一々空けずに済むんだが。)

 

 

 

 

昼休みになり、一夏は教室まで迎えに来た簪と一緒に食堂に向かった。

 

「今日は何食べようかな〜・・・・」

 

「フフッ。一夏、食いしん坊。」

 

「ねえ、あれ四組の更識さんじゃない?」

 

「織斑君と手繋いでる〜羨ましい〜!」

 

そこら辺でハンカチを噛みながら血涙を流す輩がいたがスルーを貫いた。一々相手にしていては色々問題になる。

 

「一夏、ありがとう。お姉ちゃんの事。あの一時間弱で一生分は泣いた気がするって言ってたよ?」

 

「俺は大した事はしてない。ただ、自分が窮屈な生き方をしているって事を改めて自覚させただけだ。さてと、朝はあんまし食べなかったからな。よし、チャーハンとラーメンのセットにしよう。」

 

「全く、アンタのその底無し胃袋は相変わらずね。見てて胸焼けがするわ。」

 

鈴音の盆には麻婆丼と卵スープが乗っていた。

 

「お前もそんだけ食って何で背丈が伸びねーのが、相変わらず不思議だよ。ロンさんとユエさん、再婚したんだ。」

 

「そ。実は一ヶ月ちょっと前にこっちに引っ越して来たんだけどね。お父さんは仕事の為に二重国籍だけど、家族三人で仲良く移住って訳。」

 

「なるほど、で、行き着いた所が風都か。まあ、また会えて良かったよ。」

 

「それより、アンタの隣で私の事を睨んでる彼女は?」

 

「更識簪。四組の代表で、日本の代表候補だ。で、俺の彼女。」

 

「更識簪、です・・・・よろしく。」

 

「ん、よろしく。あたしは鳳鈴音。日本人には呼び難いと思うから鈴で良いわ。ちなみに、アンタと同じ代表候補よ。じゃ、良い席取られる前に行こうか。」

 

「おう。」

 

一夏は簪の分の食べ物も運びながら席を確保して座った。

 

「でもここに来てまだそんなに時間が経過してないのに彼女作るなんて、あんたも手が早いわね。で、もう色々シちゃったの?」

 

「ぶふっ!?ケホッ!ケホッッ!」

 

簪は突然の下世話な質問を聞いて水を飲んでいる最中に咽せてしまい、入ってはいけない気管に水が入って咳き込んだ。

 

「お前は俺を何だと思ってるんだ?」

 

「な〜にをすっとぼけてんのよ、あんた。中学時代お悩み相談室でどんだけ女子が殺到したと思ってんの?人の心を分析するのは良いけど、本みたいにスラスラ読むのも考え物だわ。」

 

「一夏さん、こちら、よろしいでしょうか?箒さんも来ているのですが・・・・」

 

セシリアと箒がそれぞれ昼食を持って一夏が座っている席に近付いた。

 

「おお、良いぞ?」

 

「この二人は?」

 

「あ、そうか。顔は知っても名前は知らずのままだったな。この高貴なオーラだだ漏れの彼女はセシリア・オルコット。イギリスの代表候補だ。で、こっちの大和撫子が幼馴染みの篠ノ之箒だ。」

 

「まあ、とりあえずよろしく。」

 

「こちらこそ。」

 

鈴音とセシリアは握手を交わした。

 

「一夏、そろそろ説明して貰おうか?この二人との関係を。」

 

目が切れ長な為に目付きは元々鋭い物が更に鋭くなった箒は一夏を問い詰めんばかりの声音でそう言った。

 

「何でお前は一々そう喧嘩腰になるかね?まあ、良いけどさ。後々言うつもりだけど。簪は俺の彼女。で、鈴は中学からの付き合いで俺の情報屋。住居自体はここに移転してあるから、来日して来たって具合だ。」

 

「か、彼女、だと・・・・・?!」

 

箒は心の中で色んな物が波に晒された砂の城の様に崩れて行くのを聞いた。

 

「おう。決定事項だ。」

 

「篠ノ之、だっけ?貴方が何考えてるかは大凡の察しがつくけど、私は一夏とは中学時代の腐れ縁でもあり、ビジネスパートナーよ。それだけ。気心は知れた間柄だけど。」

 

「し、しかし!!」

 

「おい!」

 

遂に一夏が尚も食い下がろうとする箒を制止した。

 

「箒。食い終わったら道場に来い。お前に言っておく事がある。」

 

それから一夏は黙って食事を済ませて別れを告げると、道場に向かった。

 

「一夏、怒ってる・・・・」

 

隣に座っていた為に彼の怒気を間近に感じた簪は少し震えていた。セシリアも多少は強張っていたが、簪を慰め始めた。

 

「大丈夫ですわ。怒る時は怖いですが、一夏さんは寛大ですもの。すぐに何時もの一夏さんに戻ると思います。」

 

「確かに、あいつ感情の切り替え結構簡単にしちゃうし。ああ言うのをハードボイルドって言うのかしら。にしても、篠ノ之、アンタ終わったわね。」

 

鈴は哀れみの籠った視線を箒に向けた。

 

「・・・・何が言いたい!?」

 

「アレを見て分からない?良くそれで幼馴染みなんて言えたモンね。一夏がああいう風にだんまりをする時は、人の話を聞いているか、寝ているか、完全にブチキレたかのどれかだけ。それに、少しだけど瞳孔も開いていたから相当に怒り心頭でしょうね。」

 

卵スープの残りを一気に飲み干し、麻婆丼の方に箸をつけた。

 

「まあ、一応幼馴染みだから殺されはしないと思うけど、痣の二つ三つ、最悪の場合は脳震盪を覚悟しといた方が良いわ。あいつ、ほんっっっと強いから。」

 

箒は食事を済ませ、慌てて道場へと足を運んだ。入るや否や足元に竹刀が転がって来た。

 

「色々と俺に不満があるみたいだからな。とりあえず全部吐き出せ。折角人が楽しく飯食って話してるのに喧嘩腰できやがって。」

 

「ならば何故私を誘わない!?」

 

一夏は振り下ろされる竹刀を片手で持った己の竹刀で受け止めた。

 

「ISでの訓練も、体力作りも!一声でもかけてくれればそれで良かった!なのに何故・・・・・」

 

「問題が多過ぎるからだ。」

 

喋りながらも、一夏は振るわれる竹刀を全て防御した。

 

「第一に、訓練機の申請が降りるまでは時間が掛かるし、申請書を書くのも一手間掛かる。それを一々待っている程俺は暇じゃないし気も長くない。こと訓練に関しては、尚更だ。第二に、操縦者の生身の技術と能力はそのまま訓練やバトルで反映される。それに従うと、生身でもISでも今のお前は俺には勝てないと言う事だ。最初に剣道で試合をした時にお前は俺から一本も取る事が出来なかったのが良い証拠だ。 第三に、何時俺がお前を誘う事が義務づけられたんだ?」

 

その言葉に、箒の動きは止まった。一瞬の隙を突いて一夏の竹刀は箒の手首を捉え、彼女の竹刀を取り落とさせた。更には足を払い、堅い床に背中から地面に叩き付けると、喉元に竹刀の先端を突き付けた。

 

「前にも言ったと思うが、俺には俺の都合がある。」

 

「一体どうしたと言うのだ?!わ、私はお前の幼馴染みだぞ!?」

 

「だから何だ?俺には俺の目標がある。確かに、お前は昔なじみの友達だ。だが、それだけだ。一々お前がダメ出しをする理由も必要も無い。俺がどうするかは俺が決める。良いな?」

 

箒は何かを言おうとしたが、一夏はそれを遮って更に言葉を紡いだ。

 

「俺だって何も考え無しに言っている訳じゃない。立ち場を考えると、お互いの為でもある。世界最強の姉を持つ世界初の男性操縦者とISの生みの親の血縁者。俺は世界中の政府に色々な意味でマークされていると言っても過言ではない。日本を含めてだ。それに、お前は俺よりも気にしなければならない事があるだろう?束さんとの仲直りだ。」

 

「何故そんな」

 

だが箒の顔から一センチも離れていない所に一夏の拳が炸裂した。

 

「何様のつもりだてめえは!?」

 

突然怒声を浴びせられた箒は震え始めた。

 

「束さんの所為で要人保護プログラムに入れられ、自由を奪われ、家族がバラバラに引き離された、確かにそうだ!だが、あの人は自分の罪を数え、今も必死に償おうとしている。お前にも謝りたいと、そう思っている!だがお前はその謝罪を、弁明を、聞こうともしない!今のお前は全ての責任を彼女に押し付けて逃げている臆病者だ!腰抜けだ!!」

 

一夏は荒い息を整えると、立ち上がって竹刀を戻した。

 

「近日中に、電話なりなんなりして束さんとコンタクトを取れ。そしてお前の罪を、数えろ。」

 

そう言い捨てて、道場を後にした。

 

「で?ボコボコにした?」

 

「流石にドーパントでもない女を殴るなんてのはちょっとな。ポリシーに反する。」

 

「ねえ、放課後に組手やらない?久し振りにさ。」

 

「良いぜ?」




はい、と言うことで、今回は鈴のお父さんを登場させちゃいました。色々とネタ要素を追加するかもしれません。イメージCVはジェット・リーの吹き替え声優、池田秀一氏かドニー・イェンの吹き替え担当の山野井仁をイメージして下さい。五十歳であんなにシュバシュバな動きが出来るのが信じられん・・・・

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