転生とらぶる1   作:青竹(移住)

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0940話

 ピニャ達とのホワイトスターでの交渉……あるいは会談が終わってから数日。俺の姿は門世界の拠点でもあるアルヌスの丘……ではなく、マブラヴ世界のイギリスにあった。

 拠点でもあるオーストラリアではなく、わざわざイギリスに来ているのは簡単だ。つい昨日、いよいよ国連でリヨンハイヴの攻略が決議された為だ。

 鉄原ハイヴにアンバールハイヴと、俺達がこの世界と関わってから既に2つのハイヴが攻略されている。

 だが、鉄原ハイヴはネギま世界の修羅を援軍として用意し、アンバールハイヴに至ってはギアス世界、SEED世界、ネギま世界、マクロス世界からそれぞれ戦力を派遣して貰っての攻略だ。

 勿論この世界の戦力が何もしていなかった訳ではない。

 事実アンバールハイヴの攻略作戦には、中東連合やアフリカ連合がそれぞれ部隊を派遣し、結構な戦果を上げている。

 いやまぁ、リニアガン・タンクとガン・ルゥで近づいてくるBETAを撃っていただけってのが正直なところだが、それでも十分助けになったのは事実だ。

 中東連合やアフリカ連合にしても、ハイヴ攻略の空気を肌で感じるという意味ではお互いにWIN-WINな関係だったと言ってもいい。

 ともあれ、これまで攻略してきたハイヴは2つとも俺達シャドウミラーが主戦力だったのは変わらない。だが、今回攻略が決議されたリヨンハイヴは違う。

 前々からEU側に打診されていたように、EUが主戦力となってのハイヴ攻略となる。

 まぁ、国連での決議の結果国連軍も参加する事になったんだが。

 ……正直、初めての試みであるのなら、何もフェイズ5のリヨンハイヴじゃなくても……と思わないでもないが、そもそも欧州にあるハイヴは既にその殆どがフェイズ5なのだからしょうがない。

 どうしてもフェイズの低いハイヴを攻略するのなら、中国やソ連、あるいは中東方面のハイヴ攻略となる。

 だが、そもそも今回の件を国連に提案したのがEUである以上、当然攻略目標のハイヴは欧州にある物になるのは当然だろう。

 ちなみに、EUが今回半ば強引に国連にリヨンハイヴ攻略作戦を提案したのは、幾つかの理由がある。

 まず第1に、元々次のハイヴ攻略時はリヨンハイヴにして欲しいとEU側から内々に打診されていた事。これに関してはシャドウミラーとしても受け入れていたのだが、俺達があっさりとハイヴを攻略した為に他の国々……特にソ連辺りが自分達もハイヴを攻略したいので協力を要請してきた。

 だが、当然EUとの契約があった以上は受けるわけにもいかず……ハイヴを攻略したいソ連やアメリカ。中国にあるハイヴを少しでも減らしたい日本や、鉄原ハイヴの安全を確実にしたい為に人類の領域をもっと広げたい大東亜連合といった国々からの突き上げがあった訳だ。

 第2に、何と言っても俺達シャドウミラーを経由してEUが輸入している各種兵器。

 特にガン・ルゥはバッテリー技術の改良によって陽光とシャドウミラーとの話し合いが纏まり、ライセンス契約が結ばれている。

 その工場も既に出来上がっており、ガン・ルゥの生産も既に始まっていた。

 ある意味、ストライクダガーを解析した日本よりも一気に先をいった感じだよな。

 ただ、ガン・ルゥは生産性に特化したKMFだけに、当然ストライクダガーどころか、最初期のMSでもあるジンと比べても圧倒的に性能が低いんだが。

 それでも、まだ解析途中で部分的にしかストライクダガーの技術を使えていないよりは、実際に量産が開始されたガン・ルゥの方が役に立つのだろう。

 第3に、EUで開発していた第3世代戦術機、EF-2000 タイフーンが完成した事。

 開発自体は最終段階に入っていたのだが、シャドウミラーを通して輸入された兵器の技術解析を通して一気に機体が完成したのだ。

 EU内で開発していた第3世代戦術機開発計画のECTSF計画から抜けたフランスは涙目だろうな。

 今は先行量産型がかなりの数生産されており、ECTSF計画に参加していた各国に続々と配備されている。

 まぁ、考えるまでもなくイギリスがガン・ルゥをライセンス生産できるようになったとしても、基本的に平面での移動しか出来ないガン・ルゥはハイヴ内での使用は難しい。つまり、現状ではどうしてもハイヴを攻略するとなれば戦術機が必要になってくる訳だ。

 その状態で第3世代機の開発が完了したのは、リヨンハイヴ攻略作戦に関する大きな原動力となったのは間違いない。 

 ちなみに、このEF-2000に関しては先行量産型を5機、正式な量産型を5機の計10機がシャドウミラーにリヨンハイヴ攻略作戦に協力する報酬として譲渡される事が決定されている。

 勿論報酬に関してはそれだけではない。リヨンハイヴ内で見つかったG元素の2割が無条件でシャドウミラーに譲渡予定となっている。少ないとは思うが、今回はあくまでもEUを中心とした戦力でのハイヴ攻略戦であり、俺達シャドウミラーは基本的にはいざという時の援護に回る事になっているのでしょうがない。

 ただし、そのいざという時が来て俺達が戦線に出るような事になれば、報酬として得られるG元素の量は5割にまで達する事が国連と結ばれた契約によって決められている。

 まぁ、国連……というより今のアメリカは、G元素もそうだがアメリカ大陸に近い位置にあるリヨンハイヴの攻略を何としても成し遂げたいという思いもあるんだろう。

 ……EUからのリヨンハイヴ攻略作戦に対して反対とまでは言わないが、賛成していなかったにしては随分と都合のいい話だが。

 ともあれ、そんな様々な事情を踏まえて現在俺達シャドウミラーとEUのハイヴ攻略部隊共同で実戦訓練を行っていた。

 

「どうかな、アクセル代表」

 

 そう声を掛けてきたのは、今回の作戦の中でマブラヴ世界から派遣される部隊で最も精鋭揃いと言われているツェルベルス大隊の大隊長、ヴィルフリート・アイヒベルガー少佐だ。

 何でもグレートブリテン防衛戦で活躍した七英雄の1人で、黒き狼王の異名を持っているらしい。

 このマブラヴ世界にもトップエースに異名を付ける習慣があるとは思わなかったが、よく考えれば戦意を高揚させるという意味では悪くない選択なんだよな。

 目の前に立つ男は、黒き狼王という異名とは裏腹に白髪に近い銀髪を持っている。

 もっとも、皮膚の色は白人とは思えない程に褐色に近いが。

 俺がこの男を見て抱いた印象は、武人。

 本来であればドイツ人なんだから、武人というよりは騎士と表現した方がいいのだろう。だが、俺の印象はあくまでも武人だった。

 スパロボOGs世界にいるゼンガー、そして今は既に亡きウォーダンとどこか似た雰囲気を持っている。

 

「こちらの技術が入った影響で開発が前倒しになったと聞いてはいたけど、機体に不安な要素はなさそうだな」

 

 視線の先では、EF-2000の模擬戦が行われている。

 勿論使っているのはペイント弾であり、実弾ではない。

 だが、それでも必死に動いているのは、ペイント弾が当たればそれを洗うのがパイロットの役割だからだろう。

 ……その辺は国が違えども変わらないんだな。

 

「ただ……」

「ただ?」

「こう言っては何だが、戦術機はあくまでも戦術機でしかないなと思っただけだ」

 

 ある意味では侮蔑とも取れる表現だったが、アイヒベルガーは表情を変えずに受け止める。

 実際、視線の先で動き回っているEF-2000が戦術機としてはかなりの性能を有しているのは事実だ。イギリスがKMFの件で改良して性能の上がったバッテリーや改良された推進剤によって、稼働時間は飛躍的に伸びている。武器に関してもプラントからオーブとシャドウミラー経由で輸入した重斬刀の性能は高いし、今までの戦術機で問題だったOSの硬直時間に関してもかなり解消されている。

 それでも……やはり戦術機は根本的にまだ幼い兵器だと言える。

 いや、歴史が浅いという意味じゃないけどな。

 歴史が浅いという意味では、それこそPTやAM、MS、KMFのどれもが実用化されてから100年も経っていない兵器なのだから。

 一番歴史が長いVFにしたって、まだ50年程度でしかない。

 それに比べれば戦術機は25年もの歴史を誇っており、何気にシャドウミラーと関係のある人型機動兵器の中では第2位の歴史の長さを誇る。

 それでも若いと言われるのは、やはり技術力不足。これに尽きるだろう。

 EU待望の第3世代戦術機のEF-2000にしても、ストライクダガーと比べれば性能的には下になるのだから。

 アイヒベルガーもそれは理解しているのだろう。俺の言葉に微かに眉を顰めて頷きを返してくる。

 

「確かにアクセル代表の言う事も分かる。だが、我等が戦い抜くのにこの機体は必須でもある。ガン・ルゥやリニアガン・タンクの類はハイヴの外でなら強力極まりない威力を発揮するが、3次元的な機動を必要とするハイヴ内では使い物にならん」

「分かってるよ。だからこそ、今回は俺達シャドウミラーの機体が予備戦力として用意される事になったんだからな。俺が言えるのは1つだけだ。無理をするな。ハイヴ攻略においてBETAの物量は馬鹿にならない。だからこそ、必要となったら俺達に躊躇いなく援軍を要請しろ」

 

 その言葉に、微かに躊躇った後で頷くアイヒベルガー。

 何だ? EUを主体とした戦力だけでハイヴを攻略したいのは分かるが……いや、なるほど。

 

「上か」

「ふっ、分かるか」

 

 端的な説明で全てを理解したとでも言うようにアイヒベルガーは苦笑を浮かべる。

 まぁ、分からないではない。実際に俺達が戦力を動かした時点で、リヨンハイヴに存在するG元素の半分がシャドウミラーに譲渡されるのだから。

 EU上層部としても、出来れば自分達……それが無理でも国連軍の方で確保したいとは思うだろう。

 一応条約の関係で表向きG元素は国連軍の管理下に置かれる事にはなっているが、ちょろまかすくらいはしたいと思ってもおかしくはない。

 それでもアメリカからの横槍があるのは確実だが、全てをこちらに渡すよりはマシなのだから。

 

「けど、今回はあくまでもこの世界の戦力だけでハイヴ攻略が出来るかどうかのテストケースと考えておいた方がいい。一応こっちから色々と技術的な援助はしているが、それでも何が起きるかは分からないからな」

 

 技術的な援助のうち、もっとも分かりやすく効果が目に見えるのは通信機だろう。

 今回に限り、フォールド通信機をレンタルする事になっている。

 勿論譲渡ではない以上、そのまま盗まれないように量産型Wによる監視が付くが、ハイヴ内に突入する部隊が通信の中継器を持っていく必要がないというのはかなり大きい。

 それに中継器を使った通信は俺も聞いた事があるが、雑音が入ってかなり聞き取りにくくなっている。

 その辺を考えると、CPの方でもかなりやりやすくなるだろう。

 ただし、不安要素もある。

 それが母艦級。

 オーストラリアの基地で技術班がこの世界の科学者と共に色々と解析したんだが、装甲……というか、表皮と表現すべきか? ともかく、防御力がかなり高くて戦術機が使っている並大抵の武器ではダメージを与えられない。

 リニアガン・タンクの攻撃であれば効果もあるんだが、ハイヴ内ではそれも無理だ。

 

「母艦級に関しての対策は?」

「……一応S-11で対応予定だ。ただ、それはあくまでも戦闘の回避が不可能な場合に限るが」

 

 なるほど、出来れば戦わない方がいいか。確かにそれは事実だが……

 

「母艦級の名前通り、その体内は大量のBETAが入っているぞ? それを逃がすのは色々と不味そうな気がするが」

「ああ、それは分かっている。だがアクセル代表も知っての通り、今回はEUを含めてこの世界の戦力をメインにした戦いだ。そうなると、母艦級にまで手を出せるかどうかは……微妙なところだろう」

 

 その口調は、自分ならばなんとかなると言っているようなものだったが……いや、この男ならそれも可能なのか。

 どんな方法を使うのかは分からないが、それでもこの男が出来ると言うからには出来るんだろう。

 そう思ってしまうのは、この男がゼンガーやウォーダンにどこか似ているからだろうか。

 だが、それでも……アイヒベルガーが出来たとしても、それが個人では意味がないのも事実だ。何しろフェイズ5のハイヴの広さは広大だ。しかも内部のドリフトが迷路状になっている為に非常に複雑になっている。

 そんな中でアイヒベルガーが母艦級に遭遇するのと、それ以外の者が母艦級に遭遇する確率。どちらが高いかと言われれば、圧倒的に後者だろう。

 

「他の部隊が母艦級に遭遇したら、逃げの一手か?」

「うむ。だが、出来れば……そう、出来ればでいいが、その時は……いや、何でもない」

 

 無念そうに口を噤むアイヒベルガー。

 分かっているのだろう。ここで今言おうとした事を口にする事がどのような結果をもたらすのかを。

 俺達が戦闘に参加した時点でEUが……最終的には国連が入手出来るG元素の量が大きく減るという事を。

 

「まぁ、そうだな。確かにこっちから手助けは出来ないが……何かあった時に偶然に偶然が重なって、という事はあるかもしれないな」

「……すまん」

 

 短くそう告げ、アイヒベルガーは頭を下げるのだった。




アクセル・アルマー
LV:42
PP:290
格闘:301
射撃:321
技量:311
防御:311
回避:341
命中:361
SP:1402
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
   努力 消費SP8
   集中 消費SP16
   直撃 消費SP30
   覚醒 消費SP32
   愛  消費SP48

スキル:EXPアップ
    SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
    念動力 LV.10
    アタッカー
    ガンファイト LV.9
    インファイト LV.9
    気力限界突破
    魔法(炎)
    魔法(影)
    魔法(召喚)
    闇の魔法
    混沌精霊
    ???
    ???

撃墜数:1167

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