転生とらぶる1   作:青竹(移住)

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0913話

 高畑達を始めとした偵察部隊が出発してから数日、俺の姿はホワイトスターにあった。

 いや、俺がアルヌスの丘にいてもやる事ないしな。さすがにニーズヘッグで基地建設工事を手伝う訳にもいかないし。

 それに俺には俺でやるべき事もある。例えば……

 

「ウランバートルハイヴか。確かにその考えは分かる。実際そのハイヴを占領してしまえば、オリジナルハイヴのカシュガルハイヴまで目と鼻の先……とまでは言わないが、かなり近いしな」

『そうだろう? それにアンバールハイヴもカシュガルハイヴには近い。それを思えば、次のハイヴ攻略をウランバートルハイヴにする価値は十分にあると思うんだが』

 

 通信機の向こうで崇継がそう告げてくる。

 俺達の窓口でもあるオーストラリアを通しての通信だから、忙しい時ならともかく用事が無い場合は無碍にする訳にもいかない。

 普通ならこの手の通信の応対はエザリアやレオンの仕事なんだが……あの2人は現在帝国に対する懲罰やら賠償金やら降伏条件やら何やらを纏めるので、寝る間も無い程に忙しいからな。

 被害を受けたのがシャドウミラーだけなら、ここまで揉める事は無かっただろう。だが、今回はギアス世界、SEED世界、ネギま世界、マクロス世界の4つの世界が被害を受けている。つまり、それぞれがそれぞれにどのような懲罰を課し、あるいは賠償金としてどのような物を要求するのか。そして謝罪の宣言等々を考えている訳だ。

 で、それを擦り合わせるのも多数の世界の上に立つ俺達シャドウミラーの役割となってしまっている訳だ。

 内政担当の2人は、どうにか1時間の休みを取っては魔法球の中で過ごし、再び調整作業に入る……といった事を繰り返している。

 魔法球があるから身体を壊すような事はないだろうけど、それでも精神的にはかなり厳しいものがあるだろう。

 そんなこんなで、マブラヴ世界の窓口であるオーストラリアから回ってきた通信に俺が対応する事になっていた訳だ。

 

「だがな、そもそもアンバールハイヴ攻略作戦を議決した時にEUやイギリスの支持を得る条件の1つが、次のハイヴ攻略に関してはリヨンハイヴを選ぶという事だったんだ。それを反故にする訳にもいかないだろ?」

『確かにそれは分かるけど、ヨーロッパ方面だとカシュガルに近づくまで相当な数のハイヴを攻略する必要があるよ? 具体的にはリヨン、ブタペスト、ミンスク、ウラリスク。この4つを攻略して、ようやく中東方面でアンバールハイヴの次に攻略を狙っているマシュハドハイヴに届く』

 

 そう、崇継が言っているのも事実だ。ヨーロッパ方面からカシュガルを目指すのは相当に遠回りになる。それなら中東方面と極東方面から一気に攻め上がった方が早いというのは分かるんだが……

 

「母国を取り戻すってのは、色々な意味で大きいものがあるからな。その辺を考えれば、EUやイギリスとの約束は反故に出来ないな」

 

 ちなみに、ソ連の方からはハイヴ攻略に関して正式な要請は来ていない。

 何を考えているのかは分からないが、多少気になるところだ。

 

『ふーむ、確かにその動機は大きいかもしれないね。実際に日本の者達にしても、国を愛するという意味ではその気持ちは分からないでもない、か』

 

 納得したように口元へと手を当てて呟く崇継に対し、更にこちらの事情を口にする。

 

「それと、現在ホワイトスター側で色々と忙しい事態になっていてな。そっちにも通達はいってるだろ?」

 

 その言葉に、崇継の眉が顰められる。

 

『ああ、未知の国家から侵略を受けているんだったか。……それで、ハイヴ攻略を要請しておきながらこういう事を聞くのもなんだけど、大丈夫なのかい?』

「被害自体はそれ程多くはない。ただ、それでも向こうから仕掛けてきた戦争だからな。相応の対処は必要だし、何より他の世界の住人が交流する為の交流区画にいきなり姿を現したから、当然他の世界の被害が大きくてな」

『そうか。私達の世界がシャドウミラーとそこまで交流が進んでいなかったのは、この場合は喜ぶべきなのだろうね』

「それに……アンバールハイヴを攻略して得たG元素に関してもまだ研究が始まったばかりで、余裕があまりないんだよな」

 

 門の解析や、ホワイトスターに攻め寄せてきた中でもワイバーンやオーク、ゴブリンといったファンタジー生物の調査といった仕事の他に、ようやく……それこそ、本当にようやく手に入れたマブラヴ世界に関わった中でも最大の要素でもあるG元素の研究がある。

 BETAの作り出した元素という事で色々と不明な点も多いが、シャドウミラーの誇る技術班なら解析や使用用途についてベストなものを見つけてくれるだろう。

 実際、現在の技術班はそれらに大忙しで、魔法球をフル活用している。

 門、ファンタジー世界の生物、G元素。この中でもやはり最も技術班の興味を引いているのは門だ。システムXNと同様に、異世界へと繋げる為の技術。

 捕虜から聞き出した情報によれば、ハーディとかいう冥府の神が作り出した門を帝国の魔法使い……いや、魔導士だったか。とにかくそいつらが石造りの魔法建築物を使って固定したらしい。

 ……そう、門世界には概念的なものではなく正真正銘の神がいるのだ。それも複数。

 実際に目に見える形で存在しているし、人間が神に成り上がる事も可能だとか。

 この辺はさすがにファンタジー世界といったところか。

 ただ、何故か神がいると言われても、それ程敬虔な気持ちにはならない。

 神の如き存在――あくまでも力に関してだが――のアインストやダークブレインといった者達をこの手で仕留めてきた経験がある故だろう。

 人間が神に成り上がる、亜神。これも興味深い。

 ただ、最大の問題は亜神というのは神に仕える神官から選ばれるって事か。その時点で俺達シャドウミラーとしては亜神になるのは難しいだろう。

 個人的には、ゲートを作り出した冥府の神ハーディ辺りに興味があるんだが。

 

『アクセル? 急に黙ったけど、何かあったのか?』

「っと、いや何でもない。ちょっと門世界について考えてただけだ。それよりもストライクダガーの解析の方はどうなっている? アメリカとオーストラリアにそれぞれ機体を供与してからそれなりに経つが……」

 

 話題を変えて尋ねるが、それに戻ってきたのは微かに顰められた眉。

 基本的にポーカーフェイスの上手い崇継が表情を見せるとなると、あまり上手い具合に進んでいないらしい。

 

『一応シャドウミラーから提供された機体の技術解析については、他の追随を許さない……とでも言っておくよ』

「へぇ、自信があるらしいな」

『それなりには、ね。さすがに半年以上も先行されて渡されたのに、あっさりと追いつかれましたというのは恥ずかしいし。もっとも色々とちょっかいを出してくる者達はいるから、予定よりも進んでいないのは事実だけど』

「おい、いいのか? そこまで俺にぶっちゃけて」

『勿論。アクセルは友人だろう? で、ある以上はどこか他の場所でこんな事を口にするとは思ってないしね』

 

 さて。友人というのはともかく、今のはどこまでが本音だろうな。あるいはこのままだと他の国に追いつかれるから手を貸せとでも言外に要求しているのか?

 だが……

 

「そうなるとこれからもっと厳しくなるかもしれないな」

『うん? それはどういう意味かな?』

「アンバールハイヴを守るという意味もあって、アフリカ連合、中東連合にも機体の提供を予定している。砂漠戦用のMSをな」

 

 まぁ、4足歩行MSのバクゥである以上、戦術機に対して技術を応用するのは少し難しそうだが……立地が立地だ。局地専用戦術機とかが出来上がっても不思議じゃない。

 にしても、バクゥか。あれって何でMSに分類されてるんだろうな? どちらかと言えばMAだと思うんだが。

 いや、単純にザフトにMAというカテゴリが無いからか?

 まぁ、SEED世界でのMAというのはメビウスやメビウス・ゼロ、スカイグラスパーのような戦闘機っぽいものだという認識があったのも大きいだろう。

 DESTINY時代になればザムザザーのようなMAも……そう言えばその辺、今のSEED世界ではどうなっているんだろうな? ザムザザー辺りが開発されていてもおかしくない筈だが、ロゴスに張り付けている量産型Wからは特に何の報告もない。

 OGs世界のように通信が断絶している訳ではないにも関わらず、だ。

 となると、恐らくはまだ開発されていない?

 一瞬疑問に思うが、すぐに納得する。何しろシャドウミラーやオーブの介入でSEED世界の戦争は俺達の一人勝ちに近い状態になった。続いてプラントがきて、地球連合は実質的には負け戦に等しい。

 その結果原作よりも国力に余裕が無くなり、兵器の開発速度も落ちたというところだろう。

 後はブルーコスモスが消滅していたり、ロゴスに対して量産型Wやオーブの監察が入っていたりというのも影響している。

 その割にはダガーLを開発しているようだが……まぁ、これは正統なストライクダガーの後継機というか、正式機という扱いだからありなんだろう。しかもそのダガーLでさえ、俺達がニヴルヘイムのテストをした時にようやく実戦に投入されたのだから。

 

『砂漠戦用のMSか。それは、具体的にはどういう?』

「その辺はまだ秘密だ。色々と特殊な機体ではあるから、楽しみにしているんだな」

 

 頭の回る崇継といえども、バクゥの姿形は想像出来ないだろう。……いや、その辺をあっさりと口にされたりしたら、さすがに驚くが。

 ああ、でもシャドウミラーを通じてオーブとの交流はあるんだから、その辺の情報を持っていてもおかしくはないのか?

 

「まぁ、何はともあれだ。悪いが次のハイヴ攻略に関してはフランスのリヨンハイヴになるのは間違いないだろうな。もっとも、それが時期的にいつになるのかは、それこそ国連の決議次第だろうが」

 

 俺達シャドウミラーと違い、普通の国家は明日ハイヴを攻めます、はい準備が整いましたとはいかない。

 補給物資の類を用意するにも各種手続きが必要で、戦力を集めるのにも相応の時間が掛かる。

 国によっては、出兵に反対する勢力との折衝の類も必要になってくる。

 この辺、トップダウンのシャドウミラーは話が早いし、戦力は無人機なので効率よく集める事も出来る。更に補給物資に関しては最悪キブツを使えばどうとでも融通が可能だ。

 ……こうしてみると、シャドウミラーってのはとことん規格外な存在だよな。

 

『……分かったよ。そうなると、こっちの方でも国連の方に手を回してリヨンハイヴの次のハイヴ攻略はウランバートルハイヴに出来るように榊首相に提案してみるとするかな』

 

 数秒程悩んだようだったが、あっさりと頷く。

 まぁ、五摂家という事や、俺達シャドウミラーとの関係の深さから強い影響力を持っているのは事実だが、それでも現状で政治の実権を握っているのは榊を始めとする政府上層部だしな。

 もっとも以前の料亭の件を考えると、お互いの関係はそれ程悪くないのだろうが。

 

「そうして……」

 

 そうしてくれ。そう言おうとした、その時。唐突に別の通信が着信した事を知らせる。

 

「悪いが、他からの通信が入った。用件がもう無いようならこれで通信を終わるが、構わないか?」

『ん? ふむ、そうだね。このまま通信を粘ってアクセルを困らせるのもいいが……』

「おい」

 

 崇継の言葉に思わず呟く。

 すると、それを見た崇継も小さく肩を竦めて笑みを浮かべる。

 

『このままからかっていると色々と怖い事になりそうだから、この辺で失礼するよ』

 

 その言葉に頷き、通信を切ろうとしたその瞬間。

 

『そう言えば、恭子の方には連絡しているかい? 彼女も結構アクセルの事を心配していたから、連絡はした方がいいよ』

「……そうだな、気にとめておくよ」

 

 そう告げ、通信を切る。

 相変わらず崇継の狙いが分からない。

 恭子を俺に宛がうように動いているのは分かっている。だが、それで何を狙っているのか。

 まさか、崇継に限って俺に女を宛がって日本に対して有利な状況にしよう……なんて、ありふれたものではないと思うんだが。

 だが、そうなると逆に狙いがさっぱりと分からなくなる。

 いや、今はそれを考えてる時じゃないか。

 通信の着信が未だに続いているのを思えば、何らかの用件があるのは事実なんだろう。

 そう判断し、通信を受信すると……

 

『アクセル代表、帝国に動きがありました。かなりの数の軍勢が帝都の近くに集結し始めています』

 

 量産型Wからのそんな報告を受け取るのだった。




アクセル・アルマー
LV:42
PP:140
格闘:301
射撃:321
技量:311
防御:311
回避:341
命中:361
SP:1402
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
   努力 消費SP8
   集中 消費SP16
   直撃 消費SP30
   覚醒 消費SP32
   愛  消費SP48

スキル:EXPアップ
    SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
    念動力 LV.10
    アタッカー
    ガンファイト LV.9
    インファイト LV.9
    気力限界突破
    魔法(炎)
    魔法(影)
    魔法(召喚)
    闇の魔法
    混沌精霊
    ???
    ???

撃墜数:1137

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