転生とらぶる1   作:青竹(移住)

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0910話

 ホワイトスターの交流区画に突如出現した侵略者達の殆どを捕らえてから数時間。ホワイトスター内の時間も既に夜になっていた。

 当然捕らえたのは殆どであり、中にはまだ隠れている者もいるだろう。現在それを警戒して量産型W、イルメヤ、メギロートが門が現れた周辺を中心にして探索を続けている。

 実際、今でも時々敵の残党を捕らえたという報告が来る以上、まだ完全に安心は出来ない。

 とはいっても門を中心にして半径5kmの位置には、俺達が到着する前にエザリアがシャドウミラーの戦力を配置して取り囲んでいる。量産型W、メギロート、イルメヤの探査能力を考えれば、その外に敵が出たというのは考えなくてもいいのは助かる。

 実際、敵のかなりの数は逃げ出した者達を追ってその外苑部まで到着し、そこで捕まえ……あるいは殺されていた。

 そして俺が門の周囲に展開させたイルメヤも、門から出てくる相手を片っ端から捕らえ続けている。

 ファンタジー世界だろう向こうには通信機の類も無く、あるいは魔法やテレパシー的な能力にしても門を通せば使えないのか、全く警戒する様子も無く出てきてはスパイダーネットで捕らえられているらしい。

 

「……それで、死者は?」

「死者、行方不明者、合わせて100人を超えているわ」

 

 ホワイトスター内にある会議室で俺の質問にエザリアが答えると、集まっているシャドウミラーの幹部達が深い溜息を漏らす。

 普段はクールビューティっぷりを発揮しているエザリアだが、今はその顔に強い疲労の色がある。

 コーディネーターであるエザリアにここまでの疲労を感じさせる程、今回の件は色々とイレギュラーだったのだ。

 

「100人で済んだと言うべきか、あるいは100人もと言うべきか……どっちかしらね」

 

 呟きつつ、レモンが冷たい紅茶を口へと運ぶ。

 

「100人で済んだ、だと思うがな。もしあのような軍勢が陽光の首都である光明に……そうでなくても、SEED世界のオーブ、ネギま世界の麻帆良、マクロス世界のミュートスといった場所に現れたら、どうなっていたと思う? 間違いなく100人では利かない程……それこそ1000人、下手をしたらそれ以上の被害が出ていた。それを思えば、まだ限られた人員しかいない交流区画に奴等が現れたのは幸運だったと言えるだろう。……それが私達にとっては酷く屈辱ではあってもな」

 

 そう話すコーネリアだが、口調には殆ど感情が込められていない。

 皇女として……そしてブリタニアの魔女とまで呼ばれる程の軍人として、自らの感情を爆発させないように抑え込んでいるんだろう。

 

「だろうな。奴等には報いを与えてやるべきだ」

「そりゃ当然。大層なものを貰ったんだ。こっちからも相応の礼はしなきゃ駄目でしょ」

 

 イザークが淡々と呟き、ムウは笑みを浮かべつつそれに同意する。

 ただし、その笑みは決して友好的なものではない。獲物を見つけた猛禽の如き笑みだ。

 そんな2人の言葉に俺も同意し、レモンへと視線を向ける。

 

「それは確実にやらせてもらう。だが降伏勧告をするにしても、向こうの言葉が分からないとどうにもならない。……レモン、悪いが捕虜を何人か連れて言語解析をして、翻訳機の作成を頼む」

「ええ、この会議が終わったら早速取り掛かるわ。ちなみに言語解析をするのは人間でいいのよね? あのゴブリンとかオークみたいなのじゃなくて」

「ああ。ああして軍隊として攻めて来た以上、何らかの意思疎通の方法があるのは間違いないが、今必要なのは人間の方の言語だ。それとこの中でも奴等と戦った奴は俺達と違う魔法体系の魔法を見た者もいると思う」

 

 その言葉に、会議室にいる者達が多かれ少なかれ頷く。

 予想通り向こうにも魔法使いはそれなりにいると見ていいだろう。

 

「その魔法体系に関しても、出来れば調査を頼む。こっちに関してはエヴァにも助力を頼んで欲しい」

「そう、ね。分かったわ。ただ、優先順位は言語の方でいいのよね?」

「そうだ。意思疎通が出来なければ、向こうの責任者に謝罪と懇願の言葉に、絶望の悲嘆の嘆きを口にさせる事も出来ないからな」

 

 そう、俺達の本拠地でもあるホワイトスターに土足で入って来た礼はきちんとして貰わなければ。

 

「その事ですが……」

 

 そう口にしたのはレオン。

 以前はマクロス世界での件もあってシャドウミラーのメンバーに色々と疑い深い目で見られる事も多かったレオンだが、マブラヴ世界で多数の交渉をこなしてきた実績から、今ではそれなりに受けいれられている。

 勿論、マクロス世界での交渉はエザリアに任せているが。

 

「各世界から、向こうの世界に侵攻を掛ける時には自分達も勢力を派遣したいとの要望が来ています」

「……だろうな」

 

 ポツリと呟いたのはスレイ。

 その声が響き渡り、視線が集まっている中で言葉を続ける。

 

「確かに私達も本拠地であるホワイトスターに奴等の奇襲を食らった。だが、交流区画を主に利用していた者達は基本的には他の世界からゲートでやってきた者達だろう? である以上、他の世界の者達にしても今回の件は大きな被害を受けたと言える。……いや、実質的な被害という面では私達よりも大きいかもしれないな」

 

 まぁ、100人以上の死者や行方不明者が出ているのだから、それは事実だろう。

 こちらとしても交流区画の建物が多数破壊されているのは事実だが、その辺に関しては別の場所に交流区画を設ければいい話だし、修繕に関しても量産型Wやメギロート、イルメヤ辺りを使えばそう難しい話ではない。

 建物の瓦礫はキブツを使えば、ゴミにもならないでリサイクル出来るしな。

 そういう意味では交流区画で使っていた商品の類の大部分を駄目にし、そこにいたおかげで怪我をしたり死んだりした他の世界の被害の方がかなり大きいだろう。

 特に各世界から代表的な意味で交流区画にやって来ているのだから、相応に優秀な人材であるのは間違いないんだし。

 それを思えば、突然襲撃された事に他の世界が怒ってもしょうがないか。

 となると……

 

「向こうの世界に侵攻する時は、他の世界の部隊も引き受ける必要があるな」

「そうなるかと。不幸中の幸いだったのは、まだマブラヴ世界の住人をホワイトスターには受け入れていなかった事ですね」

「……そういう意味では、本当に助かったな」

 

 オーストラリアの首相であるアンディー、レモンと仲のいい夕呼、社、俺と親しい崇継、恭子辺りは以前から何度かホワイトスターに行ってみたいと、それとなく言われていたのだ。

 もしその面子が来ている時に今回のような出来事があったとしたら、マブラヴ世界はどうなっていたことか。

 いや、だからといって別の世界の住人ならどうなってもいいという訳ではない。

 だが他の世界では俺達が関わるような騒動も一通り終わっており、いわゆる安定期に近い状態になっているのに対し、マブラヴ世界はまだまだBETAとの戦いが続いていて、それどころではない。

 そんな状態で世界第2位の国力を持つ国家の首相や、あるいは世界第3位の国力を持ち、更にはオルタネイティヴ4を勧めていたりする国家の重要人物達が死んだりしてしまったら……向こうでは酷い混乱に陥るのは間違いなかった。

 それを思えば、確かにレオンの言葉通りに不幸中の幸いだったのだろう。

 

「それと、こっちに侵攻してきた勢力に対して逆侵攻するのはいいけど、そのマブラヴ世界に関しても放っておく事は出来ないわね。向こうは向こうで、シャドウミラーという存在がいるからこそ人類が優勢になりつつあるんだから」

「……だろうな。確かに向こうの世界に集中しすぎてマヴラヴ世界の方でBETAに押されるようになっては意味が無い、か」

「俺としてはBETAよりも生身の人間相手の方がいいのだがな」

 

 今まで黙っていたムラタがそう告げる。

 交流区画が襲撃された時、ムラタは生身で獅子奮迅の活躍をした。

 ……まぁ、あの狭い場所で特機のトリニティゲインを使えという方が無理だし、小回りの件を考えても生身で戦ったのは正解だろう。

 事実、気を習得したムラタは一騎当千の如き戦いを繰り広げ、ゴブリンやオークと言ったモンスターや騎士、兵士の多くをその刃に掛けているのだから。

 こっちの被害が100人くらいで済んだのはムラタの働きが大きな理由なのは事実だった。

 

「取りあえず向こうを攻めるのにしても、あの門の周辺くらいは確保しておく必要があるだろうな。シャドウミラーとしては、転移技術……いや、転移魔法だろうが、とにかく転移系の技術的な蓄積は欲しいところだし」

 

 そう呟きながらチラリと視線をレモンに向けるが、その本人は小さく肩を竦めて口を開く。

 

「確かにそれも重要だけど、やるべき事がちょっと多すぎるわね。……そうなると言語関係のデータに関しては技術班の中にいる面子に任せて、私はその門の方を調べるべきかしら?」

「……その辺は悪いが、言語の方を最優先で頼む。向こうに攻め込むにしても、あるいは向こうの情報を捕虜から得るにしても、言語関係が最重要なのは変わらないからな」

「そう。……じゃあ、そうした方がいいかもしれないわね」

 

 何かを考えつつそう呟くレモンに頷き、次の議題に移る。

 

「で、向こうに対する逆侵攻だが……さっきもレオンが言ったが、他の世界からも受け入れるかどうかだが……」

「受け入れざるを得ないでしょうね」

 

 素早く言葉を返したのはエザリア。

 そのまま周囲の視線を向けられているのを理解しつつ説明を続ける。

 

「各世界にしても、今回の件は非常に神経質になっているわ。寧ろ怒り狂っていると言ってもいい。その中で、後は私達だけで事を済ませるから手を出すなと言えば……勿論表立っての不満は上げないでしょうけど、後日色々と面倒な事になるのは確実よ。外交やら内政やらを担当する立場の者としては、そんな不安定な状態にはしたくないわ。それならいっそ受け入れるのがベストよ」

「そうですね。私としてもエザリアの意見に賛成します」

 

 エザリアの言葉にレオンが賛成し、その件は正式に決まる。

 

「ただ、条件を付けさせて貰う」

「条件、ですか? この場合無理に条件を付けるのは危険だと思うのですが」

 

 俺の条件を付けるという言葉にそう返してくるレオンだが、それに対しては首を横に振る。

 

「この件は絶対に必要な条件だからな。……安心しろ、別にそこまで問題になる事じゃない。具体的に言えば、高さ10m以上……あの門より高い兵器の持ち込みは禁止するって事だ」

 

 その言葉に、皆が納得の表情を浮かべる。

 例えばKMFは高さ10m以下の物が殆どだし、VFにしてもファイター、ガウォークなら問題ないだろう。ネギま世界の主戦力でもある魔法使いは言うに及ばずだ。

 だが、SEED世界のMSは高さ15m以上だ。

 ……まぁ、MS運搬用トレーラーとかを使えばその辺は問題ないだろうが。

 最終的には俺の空間倉庫を使えばその辺は解決するだろうが、俺が向こうの世界だけに集中出来る訳でもない。そうなると、どこそこの世界では空間倉庫を使ってその辺を解決したのに、自分の世界は……みたいな事にもなりかねない。

 ならいっそ、自分達だけで解決出来るのなら俺は手を出さない方がいいだろう。

 ……シャドウミラー以外には、との注釈が付くが。

 

「分かりました、その辺は徹底させましょう。それと、参加人数に制限を付けた方がいいと思われますが」

「制限?」

 

 レオンの言葉にムウが尋ねると、当然とばかりに頷く。

 

「全く未知の世界である以上、主戦力となるのは戦力的に最も上である我々シャドウミラーがいいでしょう。今までの役割的に考えても、他の世界からは文句が出ないでしょうし。それに向こうが降伏した後の条約で得られる利益は私達が多い方がいいと思われますが」

 

 その言葉に数名が嫌そうな顔をする。

 だが、同時にエザリアを始めとした内政に関して多少でも心得のある者は納得の表情を浮かべる。

 確かにシャドウミラーは各世界と友好的な関係を築いている。だが、それはあくまでもシャドウミラーが圧倒的な存在であるが故の事だ。

 勿論ウズミや近右衛門、星刻、ハワードといったようにその世界だったり、国だったり、組織だったりのトップが好意的なのは事実だ。だが、それはあくまでもトップ限定であり、その下にいる者達は必ずしもそう思っている訳では無い。

 それらを考えると、レオンの提案を採用するのがいいだろうな。

 ……にしても、すっかり憎まれ役が板に付いてきたように見える。

 鵬法璽で行動を縛っているとは言っても、本人が生き生きとその憎まれ役をやってるんだから、余程シャドウミラーの空気があったらしい。

 まぁ、外交を含めた政治部門では実質的なNo.2だし……いや、それはフロンティア船団でも変わらないか。

 ともあれ、何だかんだいいつつ馴染んできたようで何よりではある。

 

「では各世界から出して貰う戦力に関してですが……」

 

 こうして、その後は門の向こう側に対する逆侵攻の計画について話し合うのだった。




アクセル・アルマー
LV:42
PP:140
格闘:301
射撃:321
技量:311
防御:311
回避:341
命中:361
SP:1402
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
   努力 消費SP8
   集中 消費SP16
   直撃 消費SP30
   覚醒 消費SP32
   愛  消費SP48

スキル:EXPアップ
    SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
    念動力 LV.10
    アタッカー
    ガンファイト LV.9
    インファイト LV.9
    気力限界突破
    魔法(炎)
    魔法(影)
    魔法(召喚)
    闇の魔法
    混沌精霊
    ???
    ???

撃墜数:1137

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